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投資商品には、株式投資や債券投資、投資信託などさまざまなものがありますが、その中の一つに高配当ETFという商品があります。高配当ETFは、その名のとおり高配当が期待できるETFです。メリットだけでなく、もちろんデメリットもあります。

この記事では、高配当ETFの概要やメリット・デメリットについて解説します。

  1. 高配当ETFとは
    1. 高配当ETFの概要
    2. 高配当ETFの平均的な配当金利回り
    3. 国内株ETFと米国株ETFの違い
  2. 高配当ETFのメリット
    1. 高い分配利回り
    2. 値動きが安定している
    3. 結果的に分散投資ができる
  3. 高配当ETFのデメリット
    1. 運用益はあまり期待できない
    2. 自動的に再投資はできないため工数負担がかかる
    3. 複利効果が期待できない
  4. 高配当ETFの選び方
    1. 経費率が低いものを選ぶ
    2. 分配金の高いものを選ぶ
    3. 流通量の多いものを選ぶ
  5. 国内のおすすめETF銘柄5選
  6. 米国のおすすめETF銘柄5選
  7. まとめ

高配当ETFとは

はじめに高配当ETFとは、どのようなものなのかを見ていきましょう。

高配当ETFの概要

高配当ETFとは、簡単に言えば「配当利回りの高いETF」のことです。ETFとは、「Exchange Traded Funds」の略で、和訳すると「上場投資信託」です。上場投資信託という名前のとおり、ETFは証券取引所に上場している投資信託です。

投資信託と一般の株式との大きな違いは「誰が運用するか」という点です。一般の株式は、投資家自身が好きな株を購入し、好きなときに売却します。一方で投資信託は、資産運用のプロが投資家から資金を集めて運用を行っているのが特徴です。

そのため投資信託では、株式の知識がない初心者でも運用できます。また一般の投資信託とETF(上場投資信託)の大きな違いは、上場しているかどうかです。ETFは証券取引所に上場しており、日経平均株価や東証株価指数などの動きに連動するように運用されますが、一般の投資信託は上場していません。

ETFも資産運用のプロが運用を行っているため、株式の知識がなくても運用することができます。

高配当ETFの平均的な配当金利回り

高配当ETFは、具体的にどの程度の利回りをいうのでしょうか。配当利回りとは、1株当たりの株価に占める年間配当金額の割合です。計算式で示すと以下のようになります。

・配当利回り(%)=年間配当金額(1株当たり)÷株価(1株当たり)×100

例えば、1株1,000円の銘柄で年間配当が20円であれば、「20円÷1,000円×100」で2%が配当利回りです。2021年9月における加重平均利回りは、東証1部が1.84%、東証2部が1.62%でした。一般的に高配当利回りとは、3%を超える配当利回りが目安です。

国内株ETFと米国株ETFの違い

ETFは、大きく分けると「国内株ETF」「米国株ETF」の2つがあります。両者の大きな違いは、対象としている銘柄です。

・国内株ETF:国内の上場企業の株式を対象として運用
・米国株ETF:米国の取引所に上場している株式を対象として運用

対象銘柄が異なるため、取引時間も異なり、国内株ETFは日本時間、米国株ETFは米国の時間が取引時間の基準となります。

高配当ETFのメリット

ここからは、高配当ETFのメリットについて見ていきましょう。

高い分配利回り

高配当ETFの最大のメリットは、何といっても分配利回りが高いことです。上述のとおり、一般的な上場株式の配当利回りは1%後半なので、3%を超えれば配当利回りは高いとされます。高配当ETFの中には、配当利回りが4%を超えるものがあり、高い配当金(分配金)を受け取ることが期待できるでしょう。

値動きが安定している

ETFは、日経平均株価や東証株価指数などの動きに連動するように運用されています。これは、一般的なETFや高配当ETFも同じです。そのため比較的値動きは安定しています。特別な事情がない限りは、急激に値が下がる可能性は低いため、計画的な資産運用が可能です。

結果的に分散投資ができる

分散投資とは、複数の商品を対象に資産運用する方法です。高配当ETFなどの投資信託は、自分で運用ができないため、分散投資ができないと考えている人もいるかもしれません。しかし高配当ETFに投資することは、結果的に分散投資をすることになります。

なぜなら1つの高配当ETFは、複数の銘柄に対して投資しているからです。どこか1つの銘柄の株価が下落したとしても、他の銘柄でカバーできるため、大きな損失が出るのを防ぐことができます。

高配当ETFのデメリット

高配当ETFには、メリットだけでなくデメリットもあります。ここからは、高配当ETFの3つのデメリットについて見ていきましょう。

運用益はあまり期待できない

高配当ETFの対象となっている銘柄は基本的に大企業が多く、今後劇的に成長する可能性は高くありません。そのため今以上の大きな運用益が期待できるわけではないと言えます。ただしすでに成熟している企業のため、安定性があります。少ないリスクで運用を考える場合は、高配当ETFはおすすめの投資商品になるでしょう。

自動的に再投資はできないため工数負担がかかる

高配当ETFと一般的な投資信託の違いの一つに、分配金を自動的に再投資できるかどうかがあります。一般的な投資信託では、あらかじめ設定しておくことで、分配金を自動的に再投資することが可能です。しかし高配当ETFでは、分配金を自動的に再投資することができません。分配金を再投資するには、分配金を受け取るたびに、自分で再度買い付けを行うなどの工数負担がかかります。

複利効果が期待できない

上述したとおり、高配当ETFは、分配金の再投資ができません。再投資ができないということは、複利効果が期待できないことを意味します。複利効果とは分配金を元手に追加することで、元本と分配金を合算した新しい元本に分配金が支払われることです。分配金が分配金を生んで元本が大きくなり、資産運用の効果が大きくなります。

高配当ETFは分配金の再投資ができないため、複利効果を期待することができない点はデメリットです。

高配当ETFの選び方

実際にどのような高配当ETFを選べばよいのでしょうか。ここからは、高配当ETFの選び方を見ていきます。

経費率が低いものを選ぶ

経費率とは簡単に言うと、資産運用会社に支払う費用の割合です。例えば100万円に対して経費率0.2%であれば年2,000円の費用を支払うことになります。資産運用会社に支払う費用は、口座から差し引かれていくため、その分資産運用の元本が減ることになります。また毎年費用を支払うため、投資金額によっては、経費率の違いは大きく利益に影響してくる可能性もあります。

これらを踏まえると、できるだけ経費率の低い高配当ETFを選んだほうがいいと言えるでしょう。

分配金の高いものを選ぶ

高配当ETFを選ぶ際は、分配金の高いものを選んだほうがいいでしょう。投資しようとする高配当ETFの内容の確認も必要ですが、単純に同じ元手であれば分配金の高いほうが多くの利益を得られます。

流通量の多いものを選ぶ

高配当ETFを選ぶ際は、流通量がポイントとなります。流通量とは、どれだけその銘柄が市場に流通しているのかを示すものです。流通量が多い銘柄であれば取引量も多くなるため、安心性が増します。例えば流通量が少ない銘柄で大きな買いや売りが生じた場合は、大きな影響が出てしまうでしょう。しかし流通量が多ければ、その影響を比較的抑えることが期待できます。

国内のおすすめETF銘柄5選

国内のおすすめETF銘柄には、以下の5つがあります。

・日経高配当株50ETF<1489>
日経高配当株50ETFは、野村アセットマネジメントによって運用されているETFで、日経平均高配当株50を連動対象としています。

銘柄名 日経高配当株50ETF<1489>
運用会社 野村アセットマネジメント
信託報酬 年0.308%(税込)
決算月 1、4、7、10月(年4回)
分配利回り 3.78%(2021年10月21日時点)

・MAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラル<1499>
MAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラルは、三菱UFJ国際投信によって運用されているETFで、野村日本株高配当70MNを連動対象としています。

銘柄名 MAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラル<1499>
運用会社 三菱UFJ国際投信
信託報酬 年0.44%(税込)
決算月 1、4、7、10月(年4回)
分配利回り 3.25%(2021年10月21日時点)

・野村日本株高配当70連動型ETF<1577>
野村日本株高配当70連動型ETFは、野村アセットマネジメントによって運用されているETFで、野村日本株高配当70を連動対象としています。

銘柄名 野村日本株高配当70連動型ETF<1577>
運用会社 野村アセットマネジメント
信託報酬 年0.352%(税込)
決算月 1、4、7、10月(年4回)
分配利回り 3.25%(2021年10月21日時点)

・日経225連動型上場投資信託<1321>
日経225連動型上場投資信託は、野村アセットマネジメントによって運用されているETFで日経225が連動対象です。分配利回りはそこまで高くありませんが225もの企業へ投資することができ、規模の大きいものになっています。

銘柄名 日経225連動型上場投資信託<1321>
運用会社 野村アセットマネジメント
信託報酬 年0.198%(税込)
決算月 7月(年1回)
分配利回り 1.23%(2021年10月21日時点)

・東証REIT指数連動型上場投信<1343>
東証REIT指数連動型上場投信は、野村アセットマネジメントによって運用されているETFで、東証REIT指数を連動対象としています。

銘柄名 東証REIT指数連動型上場投信<1343>
運用会社 野村アセットマネジメント
信託報酬 年0.1705%(税込)
決算月 2、5、8、11月(年4回)
分配利回り 3.14%(2021年10月21日時点)

米国のおすすめETF銘柄5選

米国のおすすめETF銘柄には、以下の5つがあります。

・SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF
SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETFは、S&P500指数の採用銘柄のうち配当支払い上位80銘柄を連動対象としています。

銘柄名 SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF
経費率 0.07%
連動対象 S&P500指数の採用銘柄のうち配当支払い上位80銘柄

・VYM バンガード・米国高配当株式ETF
VYM バンガード・米国高配当株式ETFは、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスの高い配当利回りの銘柄を連動対象としています。

銘柄名 VYM バンガード・米国高配当株式ETF
経費率 0.06%
連動対象 FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスの高い配当利回りの銘柄

・HDV iシェアーズ コア米国高配当株 ETF
HDV iシェアーズ コア米国高配当株 ETFは、モーニングスター配当フォーカス指数を連動対象としています。

銘柄名 HDV iシェアーズ コア米国高配当株 ETF
経費率 0.08%
連動対象 モーニングスター配当フォーカス指数

・VWO バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF
VWO バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETFは、FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ・インデックスを連動対象としています。連動対象には、世界の新興国市場の大型株・中型株・小型株も含まれます。

銘柄名 VWO バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF
経費率 0.10%
連動対象 FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ・インデックス

・VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETFは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスを連動対象としています。連動対象には、先進国や新興国市場を含みます。

銘柄名 VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
経費率 0.08%
連動対象 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス

まとめ

高配当ETFとは、簡単に言えば、配当利回りの高いETFのことです。ETFは、証券取引所に上場している投資信託で、日経平均株価や東証株価指数などの動きに連動するように運用されます。高配当ETFは、高い分配利回りや値動きが安定しているなどがメリットです。

一方で運用益があまり期待できないなどのデメリットがある場合もあります。メリットとデメリットをしっかりと理解し、高配当ETFへの投資を行いましょう。