簡単な審査で融資を受けることができるカードローンは、利便性の高いサービスである。
しかし、「お金を借りる」という行為には、様々なリスクがあることを十分に理解しておかなければならない。カードローンを利用する前に、把握しておきたいリスクとその対策について解説する。
カードローン利用時に留意すべきリスク
高い金利を支払わなければならないリスク
少額から気軽に利用できるというメリットがあるカードローンだが、その金利は、住宅ローン(0.数%~1%程度)や自動車ローン(2%~5%)と比較すると、高い傾向がある。銀行系でも2%~15%程度、消費者金融系ならば3%~18%程度の金利が設定されていることが多い。
「使い道の自由度が高い」といったメリットの反面、金利が高く、支払う利息も多くなりがちという点は理解しておくべきだろう。
返済長期化のリスク
カードローンでは、月々の返済額を数千円程度に抑えることもできる。返済額が少なければ、日常生活への影響も最小限にすることができるだろう。
一方で、当然のことながら返済のスピードは落ちることになる。利息支払い分が返済額のほとんどを占めているというような状態が続けば、元本を減らすことができず返済が長期化するというリスクもある。
毎月の返済のプレッシャーが小さかったとしても、返済が長期化すれば、支払う利息も増える点には注意が必要だ。
多重債務におちいるリスク
気軽に利用できることはカードローンの大きなメリットだ。現在では、コンビニのATMやアプリなどを利用して、「いつでも・どこでも」借り入れをすることができる。
しかし、こうした気軽さによって、頻繁に借り入れすることが習慣化してしまう利用者もいる。返済が長期化したとしても結果的に完済できればよいが、さらなる借り入れを行い、最終的に多重債務におちいってしまうということもある。
住宅ローン審査などに影響を及ぼすリスク
カードローンを利用すると、信用情報機関に情報を登録されることになる。
金融機関は、ローンの利用状況を加盟している信用情報機関に報告している。この情報は、他の金融機関が照会できるようになっており、融資の審査などの参考にされている。
例えば、信用情報機関に、複数社のカードローン利用の報告があれば、新たな金融機関で融資を申し込んだとしても審査に通過できないということになる。このように信用情報機関に登録された情報が住宅ローンや教育ローンの審査に悪影響を及ぼす可能性があると言われている。
ただ、延滞などを起こさず完済すれば、それほど影響がないというケースもあると言われている。「カードローンを利用すると必ず他のローンサービスの審査に通過できなくなる」というわけではないが、利用情報が信用情報機関に登録されるということは理解しておいた方がよいだろう。
カードローンのリスクへの対策
必要な分だけ借り入れを行い、余裕があれば繰り上げ返済する
上述したように返済の長期化は、様々なリスクを招く可能性がある。そのため、まず借り入れを必要最小限とすることが重要だ。
借入額が大きく、返済に一定以上の期間がかかる場合は、とにかく「計画的に」返済を進めることが重要となる。返済先が複数社にわたる場合は、おまとめローンなどを利用して金利を抑え、返済額を圧縮するという選択肢もある。
カードローンはリスクを理解した上で利用すれば、利便性もあるサービスだ。しっかりと自己管理をした上で、利用するとよいだろう。
元みずほ銀行執行役員・前J.Score 代表取締役社長CEO Q.カードローンを利用する際に注意すべきことはなんですか?
最も重要なのは、多重債務にならないようにすることです。現在は、年収の1/3までしか借りられないようになってはいますが、年収の1/3の範囲内であっても複数社から借り入れをしていると返済負担も大きくなります。そのため、「複数社利用しない」「自分で決めた一定額以上は借りない」「生活資金ではなく、教育資金や自己啓発資金などの前向きな用途に限定する」といったように、自分でルールを決めないと、知らない内に借り入れが増え、多重債務に陥ってしまう可能性があります。
万が一、そういう状態になってしまったら、「法テラス」や各自治体の消費者センターなどに相談した方が良いでしょう。