
フリマアプリ「メルカリ」での売上金やポイントを使って、簡単にビットコインを購入できる「メルコイン」が2023年3月に登場しました。
最近「ビットコイン200円分プレゼント」といったキャンペーンの広告を見かけた方も多いでしょう。
もともとビットコインに少し興味があったものの、一歩踏み出せずにいた人にとって、これは絶好のチャンスかもしれません。
メルカリを日常的に使っている方にとって、メルコインは手軽なビットコインの入門手段になり得ますが、ほかの仮想通貨取引所と比べると、取引コストや一部の利用制限がある点も見逃せません。
本記事では、メルコインの仕組みやメリット・デメリット、実際の操作画面と共にビットコインの購入方法まで幅広く解説します。
メルカリのビットコイン取引「メルコイン」とは?

項目 | 内容 |
---|---|
運営会社 | 株式会社メルコイン |
取引可能な暗号資産 | ビットコイン(BTC) イーサリアム(ETH) |
最低取引額 | 1円から購入可能 |
購入資金 | メルペイ残高、メルカリポイント(友達招待やキャンペーンで獲得したポイント含む) ※銀行口座やカードからメルペイにチャージした日本円、メルカリ残高も利用可能 |
取引手数料 | 無料(販売所方式) (※スプレッドあり) |
出金方法 | メルペイ残高から銀行口座への振込(振込手数料200円) |
利用対象者 | 日本在住の18歳以上75歳未満で、メルカリアプリの本人確認(KYC)済みユーザー ※75歳以上は新規購入不可(売却や出金のみ可能) |
メルコインとは、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの子会社、株式会社メルコインが提供する暗号資産サービスです。
メルカリアプリ内でビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を売買できる機能を2023年3月から本格的に開始しました。金融庁に登録された暗号資産交換業者(関東財務局長 第00030号)でもあり、グループの信頼性を背景に安全性の高い取引環境を提供しています。
最大の特徴は、メルカリの売上金やポイントを利用して仮想通貨を買える点にあります。銀行振込やクレジットカードを使わなくても、フリマで得た売上金をそのまま1円単位でビットコインなどに交換可能です。
2023年3月にスタートしたばかりですが、すでに2024年5月16日時点で約220万口座を突破しています。その勢いはとどまらず、2024年12月には会員数が300万人に到達しました。
利用者の約83%が仮想通貨取引の未経験者という統計もあり、初心者が「とにかく簡単な仕組みでビットコインに触れてみる」ためのプラットフォームとして注目を集めています。
- 仮想通貨や投資の初心者
- 少額から始めたい人
- メルカリの利用者
- 銀行口座やカード情報を提供したくない人
- すぐに購入・売却をしたい人
- 取引手数料を少しでも抑えたい人
- アルトコインやその他の暗号資産に投資したい人
- 暗号資産を外部ウォレットに移したい人
- ハイリスク・ハイリターンを狙いたい人
手軽に暗号資産を試したい初心者やメルカリユーザーにはおすすめですが、本格的に暗号資産取引を行いたい人には不向きといえるでしょう。
他の仮想通貨取引所と比較する
メルコインの手数料
メルコインの取引は「販売所方式」のため、取引手数料は無料です。しかし、購入価格と売却価格の差額(スプレッド)が実質的なコストになります。
販売所は運営会社を相手に取引するため注文は即時に成立し、面倒なマッチングを待たずにビットコインの売買が可能です。一方、ユーザー同士で通貨を売買する「取引所」と比べると、スプレッドが広い分だけ結果的に割高になりがちです。

2025年4月9日時点で、メルカリでのビットコイン販売価格は1BTC=11,483,688円、売却価格は10,768,067円のため、715,621円(約6.23%)がスプレッドとなります。
100万円分の取引をすると約6万2,300円分の差額が発生することになるため、短期で小さな値動きを狙うトレードには不向きといえるでしょう。
メルコインにかかる税金
メルコインでビットコインを売却し、利益が出た場合は雑所得として課税対象になります。仮想通貨の取引利益は総合課税となるため、給与所得や事業所得などと合算したうえで税率が決まります。
所得額によっては最大55%(所得税・住民税合計)まで上がる可能性がある点に注意しましょう。
会社員が副業としてビットコイン取引を行う場合、年間20万円を超える利益が出ると確定申告が必要です。逆に20万円以下なら申告不要となることもありますが、ケースによって異なるので不安があれば税務署や税理士に確認するのがおすすめです。
売却をしない限り含み益には課税されませんが、決済や売却によって利益が確定したタイミングで申告義務が生じます。
また、メルカリでは以下のケースでも申告義務があるため、注意が必要です。
- キャンペーンでビットコインを受け取った(所得と見なされる)
- ビットコインを使ってメルカリで買い物をする
課税対象となる利益が出た場合、原則として翌年2月中旬~3月中旬の確定申告期間に申告・納税を行います。
確定申告書を作成し、e-Tax(国税庁のオンラインシステム)で電子提出するか、紙の申告書を税務署窓口に提出、または郵送しましょう。
メルカリのビットコイン取引のデメリット【やめたほうがいい?】
メルカリのビットコイン取引には以下のようなデメリットが存在します。とにかくシンプルな取引をしたい場合はおすすめですが、仮想通貨の取引のみ行うのであれば他の取引所のほうがより自由度の高い取引ができるでしょう。
取引所に対応しておらず、取引手数料が割高
メルコインはユーザー同士で取引する「取引所」には対応しておらず、すべて「販売所」方式での売買になります。
販売所のメリットはいつでも即時に注文が成立する点ですが、取引所と比較してスプレッドが広い傾向があり、結果的に取引コストは割高です。
GMOコインやbitbank、BITPOINTなどの主要取引所の取引手数料を見てみましょう。
取引所 | 取引手数料 |
---|---|
BITPOINT | 無料 |
GMOコイン | メイカー:-0.03%~-0.01% テイカー:0.09%~0.05% |
bitbank | メイカー:-0.02% テイカ―:0.12% |
メルコインのビットコインのスプレッドは約6.23%(2025年4月9日時点)のため、取引手数料が無料のBITPOINTで取引所を利用すれば、約6万円の取引コストを削減できることになります(100万円の取引を行ったとき)。
取引金額が大きくなるほど取引コストが高くなっていくため、頻繁に取引する場合は取引所での売買をおすすめします。
各取引所の販売所スプレッドも確認しておくべき
さらに、メルコインの販売所のスプレッドが他の販売所と比較して広いのかも確認しておきましょう。ここでは、各販売所のビットコインのスプレッドを比較します。
取引所 | スプレッド |
---|---|
メルコイン | 約6.23% |
BITPOINT | 約4.62% |
GMOコイン | 約4.78% |
bitbank | 約4.88% |
メルコインと他の販売所のスプレッドを比較してみると、やや広めのスプレッドだとわかります。
長期の積み立て投資や高額な取引ではスプレッドの影響が大きくなります。メルコインでは、メルカリのフリマで得たメルカリ残高の一部でビットコインを購入する、などの投資スタイルが賢明かもしれません。
\手数料を抑えた取引なら/
取引できるのはビットコインとイーサリアムのみ
2025年4月9日時点で、メルコインが取り扱っている暗号資産はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の2銘柄に限定されています。
この2銘柄は時価総額が大きく、比較的価格が安定した人気の高い通貨ですが、アルトコインやミームコインまで幅広く取引したい人にとっては選択肢が少ないといえるでしょう。
たとえばGMOコインやbitbank、BITPOINTでは数十銘柄にわたる通貨を扱っており、BITPOINTではシバイヌ(SHIB)やぺぺ(PEPE)などの話題性のあるアルトコインにも投資可能です。
取引所 | 通貨数 |
---|---|
メルコイン | 2通貨 |
bitbank | 42通貨 |
BITPOINT | 29通貨 |
GMOコイン | 28通貨 |
アルトコインはビットコインと比較して価格が暴落するリスクが高いものの、ハイリターンを狙えるメリットがあります。
過去にはSHIBの価格が70万倍以上も急騰した例もあります。2020年9月に100円分のSHIBを購入していれば、7,000万円以上の利益を得られた計算です。

将来的にアルトコインへの投資も検討したい場合は、取り扱い銘柄数の多いbitbankなど他の取引所のほうがよいでしょう。
\取り扱い銘柄数が豊富!/
外部ウォレットへの送金ができない
メルコインで購入したビットコインやイーサリアムは、サービス外部への送金機能がありません。
他社のウォレットサービスやキャッシュレスサービスなどで保有している暗号資産を送金したり、メルカリアプリのビットコイン取引で購入した暗号資産を他社のウォレットに送金することはできません。
引用:メルカリ|ビットコイン取引とは
一般的な取引所であれば自分専用のウォレットに移したり、ほかの取引所で売買するために送金ができますが、メルコインでは買ったコインを外部に出金できません。
この制限によって、たとえば自分用のウォレットで長期保管したい場合や、DeFi(分散型金融)サービスにビットコインを移して運用したいといった使い方が不可能です。

メルコイン口座内に置いたままで価格変動を見守る以外の選択肢がない点は、資産を自由に動かしたい上級者には不便に感じられるでしょう。
メルカリのビットコイン取引のメリット
メルカリは手数料の高さや取引の自由度の低さといったデメリットがある一方で、以下のようなメリットも存在します。取引のシンプルさを最重要視する初心者にはおすすめの取引所です。
メルカリの売上金で手軽にビットコインを買える
メルコインの最大の魅力は、メルカリの売上金やポイントを直接ビットコイン購入に使える点にあります。
フリマで得た売上がアプリ内に残っている場合、その資金をそのまま少額から購入に回せるため、銀行振込やクレジットカード決済の手間がありません。
1円単位で購入できるので、細かい端数分も無駄なく仮想通貨に変えられます。
初心者が大金をいきなり投資するのは高リスクですが、メルコインなら「売上金が少し余っているからビットコインを試しに買ってみよう」と気軽に始められます。
銀行口座やカード情報を入力するのが面倒、あるいは怖いと感じる人でも、メルコインなら新しく口座を開設する必要がないため心理的負担が少ないでしょう。
シンプルでわかりやすい取引画面
メルカリアプリに統合されているメルコインの取引画面は、仮想通貨取引初心者でも迷わず直感的に操作できるように設計されています。
購入ボタンをタップすると、ビットコインの現在価格や購入金額を入力する画面が現れ、そのまま「購入」を確定すれば取引が完了します。

複雑な指値・逆指値注文などの専門用語が少なく、直感的に売買を行えるのが大きな特徴です。
また、アプリを切り替える必要がない点もポイントです。
普段から慣れ親しんでいるメルカリ内でそのままビットコインを売買できるため、「別のサービスやツールを使いこなす自信がない」という方でもスムーズにスタートできます。
すぐに購入・売却できる
メルコインは販売所形式を採用しているため、提示されたレートで即時に注文が成立します。
取引所形式のように他ユーザーの注文にマッチングするまで待つ必要がないため、「いまこの価格で買いたい」「値崩れしそうだからすぐ売りたい」と思った瞬間に決済できる手軽さが魅力です。
また、仮想通貨市場は24時間365日動いているため、いつ取引しても成立するのは初心者にとっても安心感があるでしょう(メンテナンス時を除く)。
さらに、売却して得た資金はそのまま取引用に残しておくか、メルペイ残高に移せます。チャージされたメルカリ残高は、メルカリ内での買い物の支払いに利用可能です。
2024年2月以降はメルカリでの決済にビットコインを直接支払いに使える機能も導入され、メルカリ経済圏の中で仮想通貨を活かしやすい仕組みが整いつつあります。
メルカリでのビットコイン取引のやり方・使い方
ここからはメルカリで実際にビットコインの取引を行う際のやり方、使い方をスマホ画面の説明とともに紹介します。
STEP1:メルカリアプリで利用登録を行う
メルカリでビットコイン取引をはじめるには、まずメルカリアプリをダウンロードする必要があります。すでにメルカリを利用している方は、アプリを最新版にアップデートしておきましょう。
アプリを開き、画面右下の「マイページ」をタップして「ビットコイン」をタップ。次のページで「始める」をタップします。

利用登録画面が表示されるので「次へ」をタップして、SMSに届く6桁の認証番号を入力しましょう。

次のページでは「国籍・地域」に「日本」が自動的に選択されているため、「本人確認書類の選択に進む」をタップします。
提出する本人確認書類を選択します。メルコインで使える本人確認書類は以下の通りです。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- 日本国パスポート

マイナンバーカードであれば自撮りなしで本人確認が完了するためおすすめです。書類の提出が完了し、審査完了後にビットコインの取引ができるようになります。
STEP2:ビットコインを購入する
利用登録が完了したら、アプリの「マイページ」メニューの「ビットコイン」を選択し、取引画面にアクセスしましょう。

「買う」ボタンをタップすると購入画面が表示されるので、購入したい金額を入力して「購入額の確認へ」ボタンをタップします。

購入額の確認画面でポイントやチャージ残高、メルペイ残高の内訳とビットコイン購入量が表示されるので、問題なければ「ビットコインを購入する」をタップしましょう。
購入が完了したら取引画面トップに現在の運用額が表示されます。

STEP3:ビットコインを売却する
ビットコインを売却する場合は、取引画面トップページから「売る」をタップして、売却するビットコインの金額を入力後、「売却額の確認へ」をタップします。

確認画面が表示されるので、問題なければ「ビットコインを売却する」をタップします。売却が完了したら資金を「メルペイ残高に移す」か「取引用に残す」かの選択をする画面が表示されるので、どちらかを選択しましょう。

メルペイ残高に移しておけば、メルカリ内のショップやメルペイ対応店舗で利用できます。
メルカリのビットコイン取引に関するよくある質問
現金化したい場合は、銀行口座への振込申請を行うことで口座に入金されます(振込手数料200円が必要)。売却時にはメルコインが提示するレートが基準となるため、購入時より高ければ利益、下がっていれば損失が出る点に注意しましょう。
特に仮想通貨は価格変動が激しいので、短期で急騰・急落するケースも少なくありません。「購入価格から何%上がったら売る」「下がったら売る」などマイルールを決めると判断しやすいでしょう。
なお、長期保有が前提の場合はこまめに売買せず、数年単位の上昇を期待する投資スタンスもあります。
振込手数料は1回あたり200円かかり、手続きから1~2営業日ほどで口座に着金します。現金化する必要がなければ、メルカリ内での買い物やメルペイ加盟店での支払いに使うことも可能です。
小額の売却益なら、振込よりもメルペイで日常的に消費するほうが手間とコストを抑えられるかもしれません。
特にメルコインはスプレッドが広めなので、短期間での売買を繰り返すとコスト負担が大きく、利益を確保しにくい点に注意しましょう。
長期保有で将来的な値上がりを待つ戦略はありますが、ビットコイン価格は予想が難しく暴落リスクも高い資産です。市場の変動を分析し、適切なタイミングで売却することが重要です。
ただし、仮想通貨全般にいえることとして、価格変動リスクやサービス停止リスクはゼロではありません。外部ウォレットへ送金できないため、自分でコインを管理できない点も不安材料です。
ハッキングによりビットコインが盗まれたり、メルコインが不測の事態に陥れば、引き出しが困難になる可能性も否定できません。簡単に説明すると「取引自体は安全に行えるが、元本保証があるわけではない」ため、初心者はまず少額から始め、リスク許容度を見極めながら利用する必要があるでしょう。