仮想通貨で得た所得は2021年現在、雑所得として課税対象となる。総合課税となるなど、他の投資と比べ不利となる場合があるが、今後の仮想通貨の社会における位置付け次第で変わる可能性もある。まずは現行の税制の下で正しく納税する必要がある。

利益の3割が吹き飛ぶ?雑所得で課税の現状

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2021年現在、仮想通貨で得られた利益は原則、雑所得として課税の対象となる。課税の計算上、利益の半分以上が税として取られてしまう可能性がある。それも利益が大きければ大きいほど可能性が高くなるのだ。

「雑」という言葉から連想されるように、雑所得は10種類ある所得分類のうち、他の9種に当てはまらないものを指す(他の9種の所得は、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得)。所得分類は得られた利益の性質によって分かれており、所得の計算のしかたや税額が異なっている。

雑所得の計算は、総収入金額-必要経費だ。ある価格で取得した仮想通貨を、値上がり時に売却した場合、売却価額と取得価額の差益が雑所得となる。

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仮想通貨で商品を購入した場合は、商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が雑所得とみなされる。例えば90万円で購入した仮想通貨で100万円の商品を購入すれば差額の10万円が雑所得だ。ある仮想通貨で他の仮想通貨を買った場合も同じで、90万円で購入した仮想通貨で100万円分の別の仮想通貨を購入すれば10万円が雑所得となる。もっとも、このように何かと交換しない限り差益もないので、仮想通貨を保有しているだけでは税はかからない。

仮想通貨の利益が雑所得とされる現状は、他の投資に比べて不利である。所得の種類によっては他の所得と合算せず独自の税率をかかることもあるが(分離課税)、雑所得は他の所得と合計して税が課せられる(総合課税)。この総合課税である点が不利となる大きな原因だ。

所得税の総合課税の税率は所得が大きくなるにつれて高くなる。累進課税という言葉を聞いた人も多いだろう。高額所得者ほど高い税率が課されるという課税方式である。

しかも、所得にかかる税は所得税だけではない。地方税として住民税も納めなければならない。こちらは一律10%だ。さらに、2037年まで復興特別所得税がかかるため税率は1.021倍になる。

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例えば、仮想通貨で1,000万円の利益を得たとしよう。この人の普段の所得税課税対象額が400万円だと仮定すると所得税は37万2500円である。ここに仮想通貨での雑所得が1,000万円加わると、その年の課税所得金額は1,400万円となり、所得税額は308万4,000円。それに10%の地方税が140万円加わって総額448万4,000円となる。総所得の3割以上が税金となるのである。さらに高額な所得を得る人であれば、税の占める割合はより高くなる。

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金融商品の税制に比べると雑所得扱いは不利

仮想通貨を購入しようという人は現時点では投資目的の人が多いだろう。ところが、仮想通貨以外の投資商品ならば雑所得より有利な税制があるのだ。

現在個人投資家が購入可能な金融商品で得た利益(配当所得、利子所得、その売買で得た譲渡所得)は、ほとんどのケースで分離課税が適用される。税率は所得税15%住民税5%だ(復興特別所得税が0.315%加わる)。この税率は一律なので、どれだけ利益を得ても先に見た総合課税のように、利益が増えることで税率も増える、ということはない

ちなみに、FX取引(外国為替証拠金取引)で得た利益も雑所得であるが、こちらは特例として所得税・住民税合わせて20%の分離課税とされている。

また、株式や投資信託の売却で損が出ても、他の金融商品で得た利益との間で赤字と黒字を相殺することができる。これを損益通算という。一定の手続きが必要だが、損益通算をすれば課税対象額が低くなり、節税になる。さらに、その年の損益通算で赤字が解消できなければ翌年以降最長3年間赤字を繰り越せる(繰越控除)。雑所得のFXはこのグループには含まれないが、FXや、他の「先物取引に係る雑所得等」の損益通算と繰越控除は認められている。

同じ投資でも、仮想通貨には分離課税も損益通算も繰越控除もない。他の投資対象と比較して税制面で不利なのが現状だ。

金融商品の税制を考慮して課税が変わる可能性も?

株式や投資信託などの金融商品が分離課税の対象となり、損益通算や繰越控除ができるようになったのは比較的最近だ。

株の売買益は昭和28年から平成元年までは原則非課税だったし、公社債、公社債投資信託の売買益も非課税だった。配当課税は戦後総合課税のみで、昭和40年に源泉分離課税が選択できるようになってもしばらくは条件がついていた。現在のように債券、投資信託、株式などの利益を分離課税で損益通算及び繰越控除が適用されたのは2016年以降のことだ。

その前からも金融所得課税の一体化が提案され、徐々に実現してきた経緯がある。少子高齢化で貯蓄率が下がり、さらに日本人は株式や投資信託などの投資を敬遠しがちなことから、政府は経済活性化のために家計に対して「貯蓄から投資へ」と呼びかける政策をとるようになった。

そこで、税制でも「金融商品間の課税の中立性」「簡素で分かりやすい税制」「一般の個人の投資リスクの軽減」を目指し、主な金融商品について20%の分離課税と損益通算と繰越控除が適用されるように投資環境が整備されてきたのだ。

上記の主な金融商品のグループには入っていないが、FXについても2012年の4月以降総合課税から分離課税となり、FXやその他の先物取引の損益とも損益通算ができるように税制が変わった。

このように税制は、経済政策やその時々の現状にふさわしいように改正されてきた。仮想通貨についても国がどのような姿勢で臨むのかによって、他の投資商品と同じような変化を迎えることもありえるだろう。

税を徴収する国の戸惑い

●金銭か外貨か財産か

仮想通貨は通貨だろうか。法的には通貨とは強制通用力があるものを指す。現状、支払い時に相手が仮想通貨を受け取らなくても問題はなく、法的には通貨ではない。一方、経済学では、価値のあるモノとの交換に使えること、異なるモノの価値の尺度となること、その価値を貯蔵できることの3つの機能を有するものを通貨と考える。仮想通貨は、これらの機能はある程度満たしている。また、本来は支払い手段として生まれ、法的根拠がなくとも支払いに用いることも可能なので部分的ながら通貨の機能も果たしている。

では外貨との類似性はどうだろうか。仮想通貨はどの国の法定通貨でもないので外貨には当てはまらない。ただ、円貨との売買差益が生まれる点は外貨との取引に似ている。

それでは資産だろうか。資産は経済的価値があるものを指す。ただし、税の世界では、現金そのものは値上がりも値下がりもしないので資産とは考えない。外貨そのものも円に換算した価値を測ることができるので円貨に準じて資産にあたらないとされる(ただ、為替の変動で得た差益は「雑所得」として課税される)。後で述べるように完全にモノとして扱うなら、その売買には消費税がかかることとなるが、諸外国でも日本でも消費税はかからないという扱いになった。この点純粋な資産とは扱いが異なるものの、通貨や外貨以外の価値のあるモノなので資産であるとはいえる。

●改正資金決済法の前後

仮想通貨とは何か、について一定の回答となるのが2017年の改正資金決済法だ。この法改正そのものは、利用者保護などのために仮想通貨の取扱業者を規制するもので、直接仮想通貨について法的地位を与えるものではない。

この法律の中で仮想通貨は、モノやサービスの購入する際に「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値」であり「本邦通貨及び外国通貨ならびに通貨建資産を除く」とされている。

この前後に、仮想通貨に消費税をかかるかどうかが問題となっていた。2017年7月までは主要国(G7)の中で唯一日本だけが消費税を課していたが、改正資金決済法で仮想通貨が支払い手段と位置付けられたことと、諸外国の課税関係を考慮して消費税が非課税となった。

2017年12月には国税庁が「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」を発表し、2021年現在の雑所得としての課税が定まった。

仮想通貨が誕生したのは2009年にビットコインの最初のブロックが作成されたときといえる。 2014年には当時最大級のビットコインの取引所であったマウントゴックス社が破綻した、いわゆる「マウントゴックス事件」が起きたが、それを受け法整備が進められたことで、利用者は2017年前後から大きく増えた(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会「仮想通貨取引についての現状報告 平成30年4月10日」)。

改正資金決済法前後で仮想通貨に係る消費税の扱いが変わるなど、急激な変化に国が戸惑っている様子がうかがえる。既存の金銭、外貨、資産との異同を踏まえ、国外の動きをにらみながら税制その他の法整備を図っている段階だ。

現在、仮想通貨は支払い手段というより投資の対象とされることが多い。そのため、他の投資と同じく分離課税にしてほしいと思う人も多いだろう。また、仮想通貨が広まることがブロックチェーンの技術を含めフィンテック(FinTech)の活性化につながる見解からも、税制を含めまだまだ議論は尽きない。国会でも既に取り上げられており、政府も慎重な見解を示しているが、今後も争点となるだろう。

ペナルティは大きい 確定申告は正確に

将来的に税制が変わる可能性があるかもしれないが、現時点では仮想通貨で得た利益は雑所得で総合課税だ。誰も源泉徴収してくれないので自分で税務署に対し確定申告を行う必要がある。

これまで給与から源泉徴収されたことしかない人にはなじみがないかもしれないが、1年の所得について翌年3月15日までに税務署へ申告しなくてはならない。勤め先企業からもらった源泉徴収票を基に給与所得について申告書に記入したうえで、仮想通貨での利益を加えて課税所得金額と納税額を申告する。

ただ、雑所得も含め給与所得以外の所得が20万円以内であれば、所得税については確定申告をしなくてもよいことになっている。国税庁の定めでは、給与所得者が源泉徴収以外に確定申告する必要があるのは「給与所得や退職所得以外の所得金額(収入金額から必要経費を控除した後の金額)の合計額が20万円を超える人」としているためだ。ただし、住民税についてはこの限りではなく、別途申告が必要となる。

では、仮想通貨での利益が20万円を超えたのに確定申告をしないとどうなるか。単なるうっかりミスで忘れていた場合でも延滞税はかかってしまう。延滞税とは利息に相当するもので、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてその税率が定められている。

正当な理由なく納税が遅れると加算税が課せられることになる。原則、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分が20%となる。

せっかく仮想通貨で利益を上げても、そもそもの総合課税で3割以上の税がかかるうえ、遅れてしまうと延滞税と加算税で納税額の2割ほどの余計な税を払わなければならない。期限を過ぎても自発的に早期に申告すれば、延滞税や加算税の負担が軽くなることがある。まずは3月15日の締切厳守のうえ、どうしても遅れてしまったら即税務署に相談だ。

仮想通貨という投資から得た利益は、現在のところ雑所得とされ、総合課税となる。今後の展開次第では税制が変わる可能性もあるが、他の金融商品への投資に比べると不利な扱いといわざるを得ない。サラリーマンにはなじみがない手続きかもしれないが、20万円を超える利益があれば3月15日までに確定申告が必要だ。遅れるとさらに税負担が重くなるので確実に納税を行いたい。(ZUU online編集部)

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