パンケーキスワップ
(画像=PIXTA)

近年、ますます盛り上がりを見せている仮想通貨。それを受けて、DEX(分散型取引所)のPancakeSwapが注目を集めています。資産を預けるだけで報酬がもらえる、「ステーキング」の仕組みを採用しているPancakeSwap。

この記事では、PancakeSwapの特徴や具体的な利用方法、その危険性にいたるまでを詳しく解説していきます。

PancakeSwap(パンケーキスワップ)とは

PancakeSwap(パンケーキスワップ)とは、「DEX」と呼ばれる仮想通貨の分散型取引所の一種です。既存の中央集権型の取引所(bitFlyerやCoincheckなど)は「CEX」と呼ばれていますが、DEXはこのCEXのように中央集権的なサーバーがあるわけではなく、全世界にあるサーバーで分散管理されているのが大きな特徴です。

coincheck

PancakeSwapはそんなDEXの一種として、仮想通貨取引所の世界的な大手であるバイナンスが開発・運営している「BSC(バイナンススマートチェーン)」上で稼働しています。

DEXはこのPancakeSwapだけではなく、さまざまな種類があります。そんな数あるDEXの中でもPancakeSwapが高い人気を誇り、注目を集めている理由については順次解説していきます。

自動マーケットメーカー(AMM型)の分散型取引所(DEX)の一つ

DEXにもその仕組みによっていくつかの種類がありますが、その中でもPancakeSwapは「AMM型」に分類されます。このAMMというのは「Automated Market Maker:自動マーケットメーカー」の略で、分散型取引所の仕組みの一つです。中央集権的な取引所に頼らない取引を実現するための「流動性プール」を維持するために、利用者にはそのプールに資金を投入(ステーキング)してもらい、謝礼として利息が支払われます

「PancakeSwapにお金を預けると利息がもらえる」と理解している方は多いかもしれませんが、それはPancakeSwapがAMM型のDEXだからです。利息は「CAKE」というトークン(仮想通貨)を発行し、支払われます。

仮想通貨CAKEを購入できる取引所は?

CAKEを購入できる取引所は2021年12月現在、海外取引所のみとなっています。海外取引所を利用する場合にも日本円に対応していないところが多く、国内取引所を経由して仮想通貨を送金することが基本となります。

まずは安全性の高い国内取引所で口座を開設しておきましょう。国内取引所はアルトコインの取扱いが多い「Coincheck」「bitFlyer」をおすすめします。

「bitFlyer(ビットフライヤー)」

ビットフライヤー
(画像=ビットフライヤー公式HPより)
bitFlyerの概要
取扱通貨数(販売所) 21通貨
(BTC,ETH,ETC,LTC,BCH,MONA,LSK,XRP,BAT,XEM,XLM,XTZ,DOT,LINK,XYM,MATIC,MKR,ZPG,FLR,SHIB,PLT)
取扱通貨数(取引所) 6通貨
(BTC,ETH,BCH,MONA,XRP,XLM)
最低取引単位(BCH) 0.00000001BCH(販売所)
0.01BCH (取引所)
取引手数料(販売所) 無料
※別途スプレッドあり
取引手数料(取引所) 0.01~0.15%
送金手数料 0.0002 BCH
入金手数料 0円~330円
出金手数料 220~770円
レバレッジ取引 最大2倍

取引手数料無料の「Coincheck」

コインチェック
(画像=コインチェック公式HPより)
Coincheckの概要
取扱通貨数(販売所) 24通貨
BTC,ETH,ETC,LSK,XRP,XEM,LTC,BCH,MONA,XLM,QTUM,BAT,IOST,ENJ,SAND,DOT,CHZ,LINK,MKR,MATIC,IMX,APE,AXS,WBTC
取扱通貨数(取引所) 8通貨
BTC,ETC,LSK,MONA,PLT,FNCT,DAI,WBTC
最低取引数量(BTC) 販売所:500円相当額
取引所:500円相当額
取引手数料 販売所:無料
取引所:無料
送金手数料(BTC) 0.0005 BTC
※コインチェックユーザー間は無料
送金手数料(ETH) 0.005 ETH
※コインチェックユーザー間は無料
入金手数料(銀行振込) 無料
入金手数料(コンビニ入金) 3万円未満:770円
3万円以上30万円以下:1018円
入金手数料(クイック入金) 3万円未満:770円
3万円以上30万円以下:1018円
50万円以上:入金金額×0.11%+495円
出金手数料 407円
レバレッジ取引 -
スマホアプリ Coincheck(ios/Android)
口座数 174万口座(2022年9月末時点)
取引ツール(PC) ブラウザ上で使えるツールあり
貸暗号資産
積み立て暗号資産
出典:Coincheck

PancakeSwapの基本的な仕組み

すでに解説しているように、DEX であるPancakeSwapには特定の中央集権的な取引所が存在しているわけではありません。分散型のネットワークによって成り立つDEXを皆で維持し、皆で報酬を受け取る仕組みになっています。このAMM型のDEXにはいくつかの種類がありますが、その中でもPancakeSwapは断トツの人気を誇ります。

PancakeSwap(パンケーキスワップ)の始め方から実践までの手順

PancakeSwap投資を始める方法は、いくつかのステップを踏む必要があります。日本国内で直接取り扱っている取引所がないため、海外の取引所を経由して投資をする手順を解説します。

1.国内取引所から仮想通貨を送金

PancakeSwapに投資をするためには、まずその元手となる仮想通貨が必要です。やCoincheckなど国内の主要な仮想通貨取引所に口座を開設し、そこでビットコインなど主要な仮想通貨を購入します。

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2.バイナンスでBNBを購入

次に、仮想通貨取引所であるバイナンス(Binance)に口座を開設します。海外の取引所ですが、日本からでも日本語環境で簡単に手続きをすることができます。

口座を開設できたら、ここでバイナンスでの基軸通貨として機能しているバイナンスコイン(BNB)を購入します。

3.MetaMask(ウォレット)をBSCに接続

次に、ウォレット(仮想通貨を保管する財布)の準備をします。PancakeSwapのプラットフォームであるBSCに参加するために最適なのが、「MetaMask(メタマスク)」というウォレットです。他のウォレットでも可能ではあるのですが、もっとも親和性が高いので、このMetaMaskを利用する手順で解説を進めます。

MetaMaskにはWeb版、スマホのAndroid版、iPhone版があります。それぞれ使用しやすいものをダウンロードしてください。

ダウンロードとインストールを完了するとパスワードの設定などいくつかの設定項目があるので、画面の指示に従ってそれを進めます。シードフレーズといってアカウントの復元に必要な手続きを済ませると、最後にMetaMaskをBSCに接続する作業があります。

「ネットワーク」⇒「カスタムRPC」の順に選択し、以下の情報を記入するとBSCに接続できます。

ネットワーク名 BSC mainnet
RPC URL https://bsc-dataseed1.binance.org/
チェーンID 56
通貨シンボル BNB
ブロックエクスプローラのURL https://bscscan.com/

これを保存して、BSCへの接続を完了させます。

MetaMaskにBNBを送金

次に、バイナンス口座にあるバイナンスコイン(BNB)をMetaMaskのウォレットに送金します。バイナンス口座側の操作で、MetaMaskウォレットのアドレスを貼り付けて送金操作をします。

PancakeSwapにMetaMaskを接続

ここでいよいよ、PancakeSwapの登場です。PancakeSwap側からの操作で「Connect to a wallet」を選択し、その中にあるMetaMaskを選びます。確認画面の指示に従って操作をすると、接続完了です。

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この接続を完了することでPancakeSwapの収入源であるファーミングやステーキングが可能になります。

BNBの半分をCAKEにする

PancakeSwap側での操作で、預け入れているBNBの半分弱をCAKEに交換します。「Exchange」の項目から簡単に操作できます。ただし、取引手数料が必要になるので完全に半分を交換してしまうのではなく、ここでCAKEに交換するのは全体の50%弱(45~47%など)にしておいてください)。

CAKE/BNB で流動性を提供(流動性マイニング)

PancakeSwap側で「Add Liquidity」を選択し、ここでCAKEと同様のBNBを預けます。これにより流動性の提供が完了します。流動性の提供とは、DEXであるPancakeSwapの維持に協力するという意味です。

得たLPトークンを預ける(イールドファーミング)

流動性の提供を完了すると、LPトークンがもらえます。これは「Liquidity Provider(流動性提供者)トークン」の略で、先ほど設定したCAKE/BNBの通貨ペアの流動性を提供していることを証明するものです。

これをイールドファーミングする、つまりPancakeSwapに預けるためには、同画面にて「Farm」を選択し、次に保有しているペア(この場合はCAKE/BNB)を選択します。確認画面を経て 手続きが完了します。流動性を提供し続ける限り、報酬としてCAKEが支払われます。

預けて得たCAKEを収穫してステーキング

最後に、ステーキングをすることで利益を確定します。報酬として支払われたCAKEを「Harvest」という操作をすることで、確定した利益を自分のウォレットに入れることができます。Harvestは「収穫」という意味なので、まさに利益の収穫です。

PancakeSwap(パンケーキスワップ)の特徴

PancakeSwapを理解するために、ここでは主な特徴を4つの項目で解説します。

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手数料が安い

PancakeSwapは、 取引をするための手数料がとても安いという特徴があります。

PancakeSwapと同じAMM型のDEXにはUniswapという有名な仕組みもあります。しかしこちらはイーサリアム系のネットワークを使用しているため、イーサリアムの欠点ともいわれるコストの問題が原因で、どうしても手数料が高くなってしまいます。その点、PancakeSwapはBSCのネットワークを利用しているため、イーサリアムのコスト高による影響を受けず、手数料を安くすることに成功しています。

本人確認の手続きが不要

中央集権的型のCEXには運営会社があるため、その会社の方針だけでなくそれぞれの国の法律による規定もあって、取引を希望する人は本人確認を求められます。しかし、分散型であるDEXのPancakeSwapには特定の運営会社が存在しません。そのため仮想通貨のウォレットに接続するだけで取引が可能になり、そこには本人確認などの手続きは不要です。

セキュリティが強固

セキュリティの堅牢さは、DEX全体のメリットです。特定の中央集権的なサーバーではなく取引に参加している投資家たちのところに分散して存在しているため、その一部にハッキングをしたところで全体を改ざんしたりすることは極めて困難です。

この概念は、仮想通貨が存在しているブロックチェーンと似ています。ブロックチェーンは一部のマシンだけにハッキングをして改ざんしたとしても、ネットワーク全体を乗っ取ったり改ざんできるわけではないので、ブロックチェーン全体の堅牢性は保たれます。

セキュリティが強固でハッキングが極めて困難であることは、大切な財産を預けるPancakeSwapへの投資において大きなメリットです。

イーサリアム系ではない

先ほど、イーサリアム系のネットワークで運営されているDEX、Uniswapについて言及しました。このPancakeSwapはUniswapとは違ってBSCの「BEP20」という規格をもとにしたプラットフォームなので、イーサリアム系のUniswapが抱えている問題を解決しています。

特に取引コストが安いことは実需を生むので、PancakeSwapへの投資で発生する仮想通貨CAKEは期待感もあって大きく値上がりした経緯があります。それでは、PancakeSwapの人気度を知る意味でもCAKEの値動きを見てみましょう。

(PancakeSwap公式サイトより)

ご覧のように、2020年10月の上場時と比べて数十倍の急騰を見せています。この値動きからもPancakeSwapの有用性、将来性に対する期待値がとても大きいことがわかります。

PancakeSwap(パンケーキスワップ)の危険性

預けておくだけで利益を生み、しかもそのCAKEの価格が大きく上昇すると利益額も大きくなるのがPancakeSwap投資の魅力です。しかしその魅力の一方でリスクもあるので、リスクや危険性についても留意しておきましょう。

金融庁の認可がまだない

PancakeSwap投資は、ほぼすべてが海外で行われます。上記の手順の中でも国内取引所で仮想通貨を購入し、それを送金するところ以外はすべてが海外で行われています。そのため、PancakeSwapには日本の金融庁による認可はありません。日本の法律が及ばないところでの商取引なので、投資をする際には完全なる自己責任となります。

送金ミスをすると損失のリスク

これはPancakeSwapだけのリスクではありませんが、仮想通貨の送金では送金先のアドレスを用います。このアドレスが間違っていると意図しないところに送金してしまい、最悪の場合は送金した仮想通貨が消滅してしまう恐れがあります。

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自らのミスなので誰にも責任を追及することはできません。PancakeSwap投資に限らず、仮想通貨の送金ではくれぐれもアドレス間違いに注意してください。

コインの価格暴落

PancakeSwapが利用しているBSCはプラットフォーム自体が少々マイナーなので、上場している仮想通貨の面々を見ると有名どころ があまりないのが現状です。ビットコインやイーサリアムといった名の知れた通貨で も価格変動幅が大きいのですから、「草コイン」と呼ばれるような仮想通貨はとんでもない値動きをすることがあります。

それが大暴落を招くと、せっかくPancakeSwapで稼いだ分が目減りしたり、無価値同然になってしまう可能性もあります。

APY(年利)の急変動がある

一般的な金融商品のように利回りが約束されているわけではなく、PancakeSwapの年利は一定ではありません。急変動によって期待していた利回りを確保できない可能性もあるので、留意しておきましょう。逆に利回りが高いということはその分だけリスクも高いと思わなければなりません。

PancakeSwap(パンケーキスワップ)に関するQ&A

最後に、PancakeSwapに関するQ&Aにお答えします。

使えるウォレットは?

当記事ではMetaMaskを前提に解説していますが、それ以外にも以下のウォレットが利用可能です。

・TrustWallet
・MathWallet
・TokenPocket
・WalletConnect
・Binance Chain Wallet
・SafePal Wallet

CAKEの価格はなぜ下がらないの?

預けておくだけで高利回りが期待できるPancakeSwapだけに、そこで得られるCAKEが乱発されて価値が下がってしまうのではないかと不安になる方もいるでしょう。

CAKEは価値の希薄化を防ぐために、定期的に「バーン」といって通貨の焼却が行われます。これによって流通量を調整し、流通過多を防いでいます。この仕組みがあることでCAKEの保有に一定の安心感があり、それが価格の安定につながっています。

期待できる年率は?

PancakeSwapで期待できる利回りとして、ステーキングで100%以上、イールドファーミングだと300%の年利もあり得るとして、この利回りの高さが人気をけん引しています。

送金する取引所はどこがおすすめ?

バイナンス口座への送金に使う国内取引所は、bitFlyerやCoincheckなど、多くの利用者を擁しているところが安心感もあるのでおすすめです。

まとめ

値幅を狙う売買ではなく、預けておくだけで高い利回りが期待できることで人気のPancakeSwapについて、その基本から具体的な投資の方法について解説しました。仮想通貨特有のリスクはあるものの、少額でリスクを抑えながらであれば始めてみる価値はあると思います。