dexとは
(画像=NETMONEY編集部)

この記事でわかること

  • DEXは、話題のDeFi(金融仲介アプリケーション)の一種である。
  • 仲介者を必要としない「スマートコントラクト機能」がある。
  • 代表的なDEXには「Uniswap(ユニスワップ)」「SushiSwap(スシスワップ)」「PancakeSwap(パンケーキスワップ)」がある。
  • 一度も破られたことのない高度なセキュリティをもつ。
  • イーサリアムのアップデートで利便性が向上する可能性がある。

今話題の仮想通貨DEX(デックス)とは何なのか?

この記事では、DEXの仕組みや特徴、利用するメリット・デメリットをわかりやすく解説する。国内取引所・CEXとの違い、DEXでの取引が向いている人についても解説するので、DEXについて知りたい人はぜひ参考にしてほしい。

DEXを始めるにはまず国内取引所で口座開設をし、ビットコインなどの仮想通貨を購入する必要があります。Coincheck(コインチェック)などの取引所で口座開設をするところから始めてみてはどうだろうか。

  1. 仮想通貨取引所「DEX」とは?
    1. 「DEX」は「分散型取引所」のこと
    2. 仲介者が存在せずに取引できるのはなぜか
    3. DEXとDeFi
  2. DEXの仕組みや特徴
  3. DEXを利用するメリットやデメリット
    1. DEXを利用するメリット
    2. DEXを利用するデメリット
  4. 国内取引所・CEXとDEXの違いは?
    1. 1位 アプリダウンロード数 NO.1!「Coincheck(コインチェック)」
    2. 2位 ビットコイン取引量国内9年連続 No.1!「bitFlyer(ビットフライヤー)」
  5. DEXはどのような人におすすめ?
  6. DEXを活用して仮想通貨取引をスムーズに

仮想通貨取引所「DEX」とは?

「DEX」は「分散型取引所」のこと

DEX(デックス)はDecentralized Exchangeの略称で、日本語に訳すと分散型取引所となる。ユーザー同士が直接仮想通貨を取引できるDEXなら、仮想通貨投資の時間的・金銭的コストが抑えられる可能性がある。

DEXとは

現在、仮想通貨への投資を始めようと考えた場合、仮想通貨取引所で口座開設することが一般的だ。口座開設した後、日本円を入金し、日本円を仮想通貨と交換する。しかし、この際に差し引かれる手数料は決して安くはない。仮想通貨取引所を企業が運営している以上、人件費などの経費が発生するが、それらをまかなうためには、ユーザーから手数料を徴収する必要がある。

一方、DEXでは、仲介者となる企業が存在しない。あくまで取引はユーザー同士が直接行う。そのため、取引で発生するコストをかなり抑えられる。

仲介者が存在せずに取引できるのはなぜか

ユーザー同士の取引を実現させているのが、スマートコントラクト機能だ。スマートコントラクトとは、あらかじめ設定したプログラムに基づき、契約が自動実行される仕組みのことだ。スマートコントラクト機能があれば、仲介者が存在せずとも契約は問題なく成立し、金銭の送受が行われる。

coincheck

DEXとDeFi

DEXは、今話題のDeFi(ディーファイ)の一種だ。DeFiは、日本語に訳すと分散型金融となる。中央集権的な仲介者が存在せず、ユーザー同士が直接取引を行える金融仲介アプリケーションをDeFiと呼ぶ。

DeFiとは

中央集権的な仲介者の例として、銀行、生命保険会社、証券会社、仮想通貨取引所などがある。お金を預ける、お金を借りる、保険に加入する、投資するなど、どんな金融取引でも仲介者である企業が存在するのは当たり前だった。そして、金融仲介の対価として、手数料や金利、保険料といった形で、仲介者にお金を支払ってきた。

しかし、DeFiアプリケーションでは、仲介者である企業が存在しない。金融仲介は、ブロックチェーン上のスマートコントラクト機能で自動実行される。企業すら介在しない、無人での金融仲介が可能となったのだ。

今後DeFiが浸透するにつれ、預金や住宅ローン、生命保険など、ありとあらゆる金融サービスが大きく変化すると予測されている。DEXが進化し、ユーザーが増加することで、仮想通貨投資もますます活発になる可能性がある。

DeFiに関する記事
DeFiとは?未来を変える技術の正体とこれからの見通し

DEXの仕組みや特徴

DEXでは、ユーザー同士が直接取引できる。これを実現させているのが、イーサリアムのブロックチェーン上のスマートコントラクト機能だ。

DEXは当初、課題を抱えていた。それは、流動性の低さだ。取り扱い銘柄が少なく、流動性が低いと、取引が成立しにくい。しかし、Poolという仕組みを新たに採用することで、問題を解決した。

coincheck

Poolとは、イーサリアムなどをDEXに預けたユーザーが、トークン(仮想通貨)を受け取れるという仕組みだ。ユーザーはDEXに流動性を提供し、その見返りとして報酬を受け取る。これは、流動性マイニングとも呼ばれている。Poolの採用によって劇的にDEXは普及し、流動性の問題が解決した。

Poolに預けてトークンを獲得するために、まずイーサリアムなどの仮想通貨を保有しておく必要がある。

下の表に、トークンで利用する仮想通貨であるイーサリアムに関する取引所のランキングを載せておいたので是非参考にして欲しい。

代表的なDEXには、以下のものがある。

Uniswap(ユニスワップ)

ユニスワップ,Uniswap
(画像=Uniswap公式サイトより)
SushiSwap(スシスワップ)
SushiSwap,スシスワップ
(画像=SushiSuwap公式サイトより)
PancakeSwap(パンケーキスワップ)
パンケーキスワップ,PancakeSwap
(画像=PancakeSwap公式サイトより)

Uniswapは特に、流動性マイニングを先駆けて導入することで、多くのユーザーを獲得するにいたった。そのため、利用率が高く、2021年6月現在の取引高も最大規模を誇る。

DEXを利用するメリットやデメリット

DEXの仕組みを理解したところで、利用すべきかどうか判断がつかない人も多いだろう。続いて、DEXを利用するメリット・デメリットを整理し、わかりやすく解説していく。

DEXを利用するメリット

DEXを利用するメリットとして、仮想通貨取引所の破たんやトラブルに左右されず仮想通貨に投資できるという点がある。

2014年に、仮想通貨取引所マウントゴックスが経営破たんに陥った。顧客が保有する75万ビットコインが消失したとして、社長が謝罪コメントを公表し、払い戻しの遅延によって投資家は大きな損失をこうむった。このような事件は、仮想通貨取引所に仮想通貨を預けていたからこそ起きたことになる。仲介者の存在しないDEXでは、仮想通貨取引所の経営破たんを心配する必要がない。

また、2018年には、悪意あるハッカーが日本国内の仮想通貨取引所コインチェックを攻撃し、仮想通貨ネム(NEM)が大量に流出する事件が起きた。この事件を機に仮想通貨のセキュリティが危ぶまれたが、これは仮想通貨の問題というより、仮想通貨取引所の問題だ。

その点、DEXはブロックチェーン上のDeFiアプリケーションだ。ブロックチェーン技術は、登場からいまだかつて一度も破られたことがないほど高度なセキュリティを誇る。仮想通貨取引所を介さず取引するからこそ、安全性の高い取引が実現すると言えるだろう。

さらに、取引にかかる手数料が安いこと、仮想通貨を預けて流動性に貢献することでトークンを受け取れることなども、DEXを利用するメリットだ。

coincheck

DEXを利用するデメリット

仲介者が存在しないという画期的な取引形態を実現したDEXだが、デメリットも存在する。

DEXに限らずDeFiアプリケーションや仮想通貨すべてに言えることだが、制度や法律の整備が追い付いていないことだ。DEXの仕組み自体に制限はなくとも、政府の方針によっては、DEXの利用が制限される可能性もある。また、制度や法律が整備されていないということは、よくも悪くも自己責任であり、トラブルに見舞われたときの相談先も限られる。

このような点を理解し、しっかり情報収集してDEXの利用を始めるとともに、各国政府の規制に関するニュースにも気を配っておくようにしたい。

国内取引所・CEXとDEXの違いは?

従来の中央集権的な仮想通貨取引所は、CEX(シーイーエックス)と呼ばれている。CEXはCentralized Exchangeの略称だ。

日本国内の代表的な仮想通貨取引所・CEXには、Coincheck(コインチェック)bitFlyer(ビットフライヤー)などがある。海外の代表的な仮想通貨取引所・CEXには、バイナンス(BINANCE)バイビット(bybit)などがある。

ここでは主な取引所を紹介していく。

1位 アプリダウンロード数 NO.1!「Coincheck(コインチェック)」

コインチェック
(画像=コインチェック公式HPより)
コインチェックの概要
取扱通貨数(販売所) 34通貨
(BTC, ETH, ETC, LSK, XRP, XEM, LTC, BCH, MONA, XLM, QTUM, BAT, IOST, ENJ, SAND, DOT, CHZ, FINSCHIA, MKR, MATIC, IMX, APE, AXS, WBTC, AVAX, SHIB,FNCT, BRIL, BC, DOGE, PEPE, MASK, MANA, GRT)
取扱通貨数(取引所) 24通貨
(BTC, ETC, LSK, MONA, FNCT, DAI, WBTC,BRIL, ETH, XRP, SHIB, XEM, IOST, ENJ, BC, AVAX, BCH, IMX, CHZ, DOGE, PEPE, MASK, MANA, GRT)
取引手数料(販売所) 無料
取引手数料(取引所) 無料
最低取引単位(ETH) 500円相当額(販売所)
500円相当額(取引所)
レバレッジ取引 取扱なし
入金手数料 銀行振込:無料
コンビニ入金:770円~
クイック入金:770円~
出金手数料 無料
送金手数料(ETH) 0.005 ETH
出典:Coincheck

コインチェックが向いている人

コインチェックが向いている人はいろいろな通貨の購入を考えている人だ。取扱い通貨数は35種類で、マイナーなアルトコインまで揃っているので上級者も満足できるだろう。

コインチェックが向いていない人

コインチェックが向いていない人はレバレッジ取引をしたい人だ。コインチェックでは現在、レバレッジ取引に対応していないため、現物取引のみとなっている。

Coincheck(コインチェック)の評価ポイント

①国内取引所最多級の35通貨を扱っている

コインチェックは国内取引所内最多級の35種類の通貨数を誇っている。販売所では34種類、取引所では24種類の通貨を売買することができる。

②取引手数料が無料

販売手数料、取引手数料が無料の他、入金手数料も銀行振り込みからは無料になる。(コンビニ入金、クイック入金を利用する際には770円~の手数料が必要)

③初心者にも使いやすい作りのアプリ

現在累計ダウンロード数が700万を突破し、2024年のアプリダウンロード数でNo.1を獲得した。
(※対象:国内の暗号資産取引アプリ、データ協力:AppTweak)

2位 ビットコイン取引量国内9年連続 No.1!(※)「bitFlyer(ビットフライヤー)」

※ 国内暗号資産交換業者における2016 年~2024 年の差金決済および先物取引を含んだ年間出来高。
(日本暗号資産取引業協会が公表する統計情報および国内暗号資産交換業者各社が公表する取引データに基づき当社にて集計。日本暗号資産取引業協会の統計情報については2018年以降分を参照)
ビットフライヤー
(画像=ビットフライヤー公式HPより)
ビットフライヤーの概要
取扱通貨数(販売所) 38通貨
(BTC,ETH,LTC,ETC,BCH,MONA,XRP,BAT,XLM,XEM,XTZ,DOT,LINK,XYM,MATIC,MKR,ZPG,FLR,PLT,SAND,SHIB,AXS,MANA,IMX,ELF,CHZ,APE,DAI,AVAX,RNDR,GRT,DOGE,LSK,ZPGPT,ZPGAG,MASK,POL,PEPE)
取扱通貨数(取引所) 6通貨
(BTC,ETH,BCH,MONA,XRP,XLM)
取引手数料(販売所) 無料
※別途スプレッドあり
取引手数料(取引所) 0.01~0.15%
最低取引単位(ETH) 0.00000001ETH(販売所)
0.01ETH(取引所)
レバレッジ取引 2倍
入金手数料 銀行振込:無料
クイック入金:住信SBIネット銀行は無料
住信SBIネット銀行以外は330円
出金手数料 220円~770円
送金手数料(ETH) 0.005ETH
出典:bitFlyer

bitFlyer(ビットフライヤー)が向いている人

bitFlyer(ビットフライヤー)が向いている人は初めて口座開設をする人だ。取扱通貨数は38種類あり、レバレッジ取引ができるなど口座を開設しておけば幅広い投資ができる。

bitFlyer(ビットフライヤー)が向いていない人

bitFlyer(ビットフライヤー)が向いていない人は出金手数料が気になる人だ。出金手数料は220円~770円と幅があるが、最高手数料は他社に比べると高めになっている。

bitFlyer(ビットフライヤー)の評価ポイント

①イーサリアム含め38通貨を扱っている

ビットフライヤーは販売所ではイーサリアム(ETH)を含む38のコインを扱っている。取引所でも6通貨扱っており、複数の通貨に投資をしやすくなっている。

②レバレッジ取引が可能

ビットフライヤーは最大2倍のレバレッジ取引が可能だ。例えば5万円を担保として10万円の取引ができ、通常よりも多くの投資の利益を得ることができる。

③入金手数料が無料

ビットフライヤーは銀行振り込みの手数料が無料である。さらに24時間365日いつでも入金ができる「クイック入金」も住信SBIネット銀行であれば手数料が無料(他社は330円)だ。

続いて、仮想通貨取引所・CEXとDEXの違いについて解説する。

仮想通貨を保管しておく場所をウォレットと呼ぶ。最も大きな違いは、誰がウォレットを管理するかだ。

仮想通貨取引所・CEXの場合、ウォレットは取引所が管理する。多くのユーザーのウォレットが中央集権的に管理されるといっていい。そのため、悪意あるハッカーが取引所を攻撃した場合、仮想通貨の流出事件につながるおそれがある。また、社内管理のずさんさによって仮想通貨が流出する可能性もないとは言い切れない。先ほど触れたような、取引所そのものが破たんするリスクもある。

一方DEXでは、ユーザー自身がウォレットを管理する。取引所自体にブロックチェーンが採用され、非中央集権的であるからこそ、ハッキングの可能性が低くなり、安全性が増す。取引所という仲介者が存在しないからこそ、社内管理に関するリスクや、経営破たんのリスクなども存在しない。

また、手続きの簡素さもDEXの特徴だ。多くの仮想通貨取引所・CEXでは、口座開設にあたり、本人確認などの手続きが必要だ。どの取引所も手続きの負担を減らす工夫をしているとはいえ、ユーザーからすると面倒に感じることも多いだろう。審査には時間もかかるので、取引を始めたいと思ったとき、口座開設に手間取ってしまうわずらわしさもある。一方DEXでは、ウォレットさえあれば、本人確認不要でスマートフォン1つで簡単に取引を開始できる。

ただし、注意点もある。ウォレットを開けるには、秘密鍵が必要だ。仮想通貨取引所・CEXでは、秘密鍵は取引所が管理する。一方DEXでは、秘密鍵を管理するのはユーザー自身だ。ハッキング事件などによる流出を防ぐ意味では効果的だが、秘密鍵の管理責任は自分自身にある。万が一秘密鍵をなくせば、永遠にウォレットから仮想通貨を引き出せなくなってしまう。このような状況はセルフGOXと呼ばれる。

DEXはどのような人におすすめ?

DeFiは急激な盛り上がりを見せており、DEXではUniswapの利用率が高いとはいえ、数多くのアプリケーションが乱立している。ブロックチェーンの仕組みそのものは安全性が高いと言えるが、良いサービス・悪いサービスを見極める責任はユーザー自身にある。しっかり情報収集し、リスクを理解したうえでDEXを利用する必要がある。

coincheck

仮想通貨投資がまったく初めてという場合は、いきなりDEXを利用するより、従来の仮想通貨取引所・CEXで投資に慣れておくというのも1つだろう。中央集権的な仮想通貨取引所・CEXであれば、カスタマーサポートや問い合わせ窓口もあるので、困ったときは相談することもできる。

DEXを活用して仮想通貨取引をスムーズに

DEXは仲介者の存在しない取引所という点で、まったく新しい投資の形を実現している。DEXをはじめとしたDeFiアプリケーションの活用は、2021年にますますホットな話題となり、浸透していくだろう。加熱するDeFiムーブメントに乗り遅れないようにしたい。

イーサリアムは現在、「イーサリアム2.0」という大型アップデートを控えている。このアップデートで、取引にかかる時間的・金銭的コストが高くなってしまうスケーラビリティ問題の解決が見込まれている。イーサリアムのアップデートで、DEXの利便性はさらに向上するかもしれない。

一方、DEXは新しい仕組みだからこそ、今後を予測することは難しい。乱立するアプリケーションの中で、どれを選ぶべきかという問題もある。初心者は安易にDEXを利用せず、しっかり知識を身に付けてから利用するようにしたい。

仮想通貨市場全般に言えることだが、値動きが激しく、想定できないリスクも考えられる。ハイリスク・ハイリターンの市場は魅力的に映るが、あくまで余裕資金で取引することが大切だ。

※「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します。