(画像=PIXTA)

仮想通貨投資では、仮想通貨の売買以外に、仮想通貨を貸し出してリターンを獲得することもできます。このようなサービスを「レンディング(貸仮想通貨)」と言います。レンディングによってインカムゲインが得られるようになり、仮想通貨投資の幅広がりました。

この記事では、仮想通貨のレンディングの仕組みやメリット、気をつけておくべき注意点、レンディングを始める際の手順を解説します。レンディングを提供している仮想通貨取引所もまとめたので、仮想通貨のレンディングをしたい人はぜひ参考にしてください。

  1. 仮想通貨のレンディングとは?
    1. 仮想通貨のレンディングの概要
    2. 仮想通貨のレンディングの仕組み
  2. 仮想通貨のレンディングのメリット
    1. 高い年率
    2. 手間をかけずに利益を狙える
    3. 持ち逃げリスクが低い
    4. 少額からでも始められる
  3. 仮想通貨のレンディングのデメリット
    1. 価格変動リスクを負う
    2. 貸出中に取引所が破綻するリスク
  4. 仮想通貨のレンディングサービスを提供している取引所
    1. コインチェック
    2. GMOコイン
    3. BITPOINT(ビットポイント)
    4. ビットバンク
  5. 仮想通貨のレンディングの始め方
    1. 仮想通貨取引所で口座開設
    2. 貸し出し用の仮想通貨を用意
    3. レンディング用アカウントの作成
    4. 申し込み完了
  6. 仮想通貨のレンディングまとめ

仮想通貨のレンディングとは?

まず、仮想通貨のレンディングの概要や仕組みについて解説します。

仮想通貨のレンディングの概要

レンディング(貸仮想通貨)とは、保有する仮想通貨を取引所に一定期間貸し出すことで、賃借料を得られるサービスです。利回りの高さから、投資家の人気が高まっています。

仮想通貨のレンディングの仕組み

なぜ仮想通貨を貸し出すことで、賃借料が得られるのでしょうか。

仮想通貨取引所は、貸し手が貸し出した仮想通貨を、さらに借り手に貸し出します。そして、借り手が仮想通貨取引所に手数料を支払います。仮想通貨取引所は、受け取った手数料の一部を利息として貸し手に支払います。

なぜ手数料を支払ってまで仮想通貨を借りる人がいるのかというと、レバレッジ取引のためです。レバレッジとは「てこの原理」を指し、レバレッジ取引とは、元手の数倍の取引ができる仕組みのことです。例えば、元手が100万円でも、レバレッジを2倍に設定すれば、200万円分の取引が可能になります。そうなると、2倍のリターンを狙えることになります。レバレッジ取引が成立するのは、仮想通貨取引所が仮想通貨を貸し出しているからです。

このように、仮想通貨を貸したい・借りたいニーズを仮想通貨取引所が仲介することで、レンディングが成り立っています。

仮想通貨のレンディングのメリット

続いて、仮想通貨のレンディングのメリットを4つ紹介します。

高い年率

レンディングの年率は、仮想通貨取引所や仮想通貨、レンディングの期間などによって異なります。最大年率は3%や5%で、預貯金と比べるとはるかに利回りがいいことが特徴です。

メガバンクの普通預金の利息は0.001%程度です。仮に100万円を預けても、1年後に10円しか受け取れません。一方、レンディングで年率5%が適用される場合、100万円預けると1年後に5万円も受け取ることができます。

年率が高いことから、仮想通貨のレンディングは投資家に注目されています。

手間をかけずに利益を狙える

仮想通貨では当初、安く買って高く売ることで売却益を得るというキャピタルゲイン狙いの投資手法が一般的でした。しかしレンディングの登場で、仮想通貨投資でもインカムゲインを得られるようになりました。

インカムゲインとは、売買しなくても、資産を保有しているだけで受け取れるリターンのことです。預貯金の利息や株式の配当金をイメージすると分かりやすいでしょう。

また、仮想通貨投資では、将来性に期待して中長期投資の構えで仮想通貨を購入している人も多いでしょう。それなら、せっかくの仮想通貨をただ保有したままにせず、レンディングで貸し出したほうが、リターンが大きくなります。資産形成の効率アップを狙えるのも、レンディングのメリットです。

持ち逃げリスクが低い

レンディングでは、貸し手と借り手の間に仮想通貨取引所が入ることで、安心して賃借料を受け取ることができます。

貸し手と借り手で直接契約し、仮想通貨を貸したり、借りたりすることも、理論上は可能です。しかし、借り手が予定どおりに返済してくれるとは限りません。場合によっては、貸した仮想通貨を持ち逃げされてしまうリスクがつきまといます。

その点、間に仮想通貨取引所が入るレンディングなら、持ち逃げリスクが低く安心と言えます。

少額からでも始められる

レンディングを始める最低額は仮想通貨取引所やレンディングの募集内容によって変わりますが、少額からでも始めることが可能です。例えばコインチェックでは、最低1万円からレンディングができます。

まずは少額からスタートし、慣れてきたら金額を増やしていくといいでしょう。

仮想通貨のレンディングのデメリット

メリットがある一方で、レンディングには注意しておくべきデメリットもあります。続いて、レンディングのデメリットを3つ紹介します。

価格変動リスクを負う

レンディングでは、貸し出し期間中、貸している仮想通貨を自由に売買することはできません。中途解約が認められていたとしても、レンディングの中途解約の手続きが必要です。

仮想通貨は値動きの激しい資産です。急激に値上がりしたときに利益確定したいと考えたり、暴落が起きて急激に値下がりしたタイミングで損切りしたいと考えたりすることもあるでしょう。そんなとき、レンディングをしていると、速やかに対応できないケースがあります。

価格変動リスクがあることを踏まえてレンディングをすることが大切です。

貸出中に取引所が破綻するリスク

仮想通貨は株式等と比べると比較的新しい投資対象であり、法律や規制が十分に整備されているとは言えません。仮想通貨取引所が破たんした場合、預けていた資産が戻ってこなくなるリスクがあります。

仮想通貨取引所の破たんリスクはレンディングに限った話ではありませんが、レンディングでは特に、一定期間仮想通貨がロックされるため、注意が必要です。

レンディングを始める前に、仮想通貨取引所の安全性や信頼性、セキュリティ体制をよく確認して口座開設しましょう。

仮想通貨のレンディングサービスを提供している取引所

レンディングサービスは、すべての仮想通貨取引所で提供されているわけではありません。次に、取り扱い銘柄や特徴とともに、2021年11月現在レンディングサービスを提供している仮想通貨取引所を5つ紹介します。

コインチェック

取り扱い銘柄数:17種類
ビットコイン、イーサリアム、イーサリアムクラシック、リスク、ファクトム、リップル、ネム、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、モナコイン、ステラルーメン、クアンタム、ベーシックアテンショントークン、アイオーエスティー、エンジンコイン、オーエムジー、パレットトークン
レンディングの年率:最大年率5%

コインチェックは、仮想通貨の取り扱い銘柄が豊富な取引所です。また、国内仮想通貨取引アプリのダウンロード数No.1で、初心者でも直感的に操作できるアプリが人気です。コインチェックは、すべての取り扱い銘柄のレンディングに対応しています。

コインチェックでは、レンディング以外にも、積立投資やステーキングなどサービスが充実しています。光熱費を支払うとビットコインがもらえる「Coincheckでんき」や、アンケートに答えるとビットコインやイーサリアム、リップルがもらえる「Coincheckアンケート」など、個性的なサービスもあります。

GMOコイン

取り扱い銘柄数:14種類
ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、ネム、ステラルーメン、クアンタム、ベーシックアテンショントークン、エンジンコイン、オーエムジー、テゾス、ポルカドット、コスモス
レンディングの年率:最大年率3%

GMOコインは、GMOインターネットグループが運営する取引所です。金融サービスのノウハウを生かし、強固なセキュリティ体制を持ちます。2021年のオリコン顧客満足度調査では、総合ランキングでNo.1を獲得しました。GMOコインも、すべての取り扱い銘柄のレンディングに対応しています。

GMOコインでは、レバレッジ取引が可能で、レバレッジは最大2倍に設定できます。また、積立投資やステーキングなど、関連サービスも充実しています。

BITPOINT(ビットポイント)

取り扱い銘柄数:15種類

ビットコイン、シバイヌ、クレイ、ディープコイン、ジャスミー、エイダ、イーサリアム、トロン、リップル(XRP)、アイオーエスティー、ポルカドット、チェーンリンク、ビットコインキャッシュ、ベーシックアテンショントークン、ライトコイン

BITPOINT(ビットポイント)は、トロンやエイダなど、国内の仮想通貨取引所では取り扱いの少ない仮想通貨も取り扱っています。BITPOINTも、すべての取り扱い銘柄のレンディングに対応しています。

2020年から21年にかけて、サービス開始記念キャンペーンで、30日間年率20%のレンディングが実施され、話題を集めました。キャンペーン以外では、レンディングの貸出期間や賃借料率は、募集ごとに提示されます。

ビットバンク

取り扱い銘柄数:11種類
ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、モナコイン、ベーシックアテンショントークン、ステラルーメン、クアンタム、オーエムジー、シンボル
レンディングの年率:最大年率3%

ビットバンクは、過去に大きな流出事件などを起こしたことのない、高いセキュリティ体制を誇る仮想通貨取引所です。ビットバンクも、すべての取り扱い銘柄のレンディングに対応しています。レンディングの期間は1年間と定められており、1年間の満了期日を迎えると、利用料を受け取れます。

仮想通貨のレンディングの始め方

続いて、仮想通貨のレンディングの始め方を解説します。

仮想通貨取引所で口座開設

まず、レンディングサービスを提供している仮想通貨取引所で口座開設します。

仮想通貨取引所の口座開設では、最初にメールアドレスを入力し、送信されたメールのリンクをクリックして、氏名や住所などを入力するのが一般的です。口座開設には、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の提出が必要ですが、最近はスマートフォンで写真を撮影することで提出できることがほとんどです。その他、電話番号認証や二段階認証を設定します。

貸し出し用の仮想通貨を用意

続いて、日本円を入金して、ビットコインやイーサリアムなどレンディングで貸し出したい仮想通貨を購入します。仮想通貨取引所が取り扱っている銘柄とレンディングに対応している銘柄は異なるケースも多いので、先にレンディングに対応している銘柄を確認し、購入する仮想通貨を選びましょう。

なお、すでに他の仮想通貨取引所で仮想通貨を購入して保有している場合、送金してレンディングを利用することもできます。

レンディング用アカウントの作成

仮想通貨取引所にもよりますが、レンディングにあたり、レンディング用アカウントの作成が必要なケースがあります。レンディング用アカウントを作り、約款や規約を確認しましょう。口座開設手続きと比べて、簡単に素早くアカウントを作成できることがほとんどです。

申し込み完了

貸し出す仮想通貨とレンディング用アカウントを用意できたら、いよいよレンディングの申し込みを行います。貸し出す銘柄・数量・貸出期間などを選びましょう。満期後に貸し出しの自動更新をするかどうかも設定してください。

仮想通貨のレンディングまとめ

仮想通貨のレンディングでは、中長期的に保有することが前提となります。そのため、レンディングする仮想通貨についてよく調べ、中長期的に成長が見込めるかどうかを見極めましょう。

特に仮想通貨の価格は、通貨が流通するブロックチェーンの将来性によって大きく左右されます。DeFi(ディーファイ/分散型金融)やNFT(エヌエフティー/非代替性トークン)など、ブロックチェーン業界のトレンドも踏まえつつ、銘柄を選ぶ視点が大切です。

レンディングで利用する仮想通貨取引所は、レンディングが可能な銘柄や利回りなどを比較して選びましょう。詳細な利率については、口座開設してレンディングを始めないと分からないケースが多いため、複数の仮想通貨取引所で口座開設し、実際に見比べてみるのがおすすめです。また、利用することで、使い心地が自分に合うかどうかも見極められます。

せっかく仮想通貨に投資するなら、売買によるキャピタルゲインだけでなく、レンディングによるインカムゲインを受け取り、効率的な資産形成を目指しましょう。