
仮想通貨をただ保有しているだけで、銀行預金よりも高いリターンを得られると話題のサービスが「レンディング(貸仮想通貨)」です。しかし「どの取引所を使えば効率よく増やせるのか」「リスクやデメリットはないのか」と悩んでいる人もいるでしょう。
この記事では、レンディングを提供している仮想通貨取引所を金利やサービス内容で比較し、初心者にもおすすめできるプラットフォームをご紹介します。仮想通貨のレンディングの仕組みやメリット・デメリットもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
仮想通貨のレンディング(貸暗号資産)金利を一覧比較
以下は、国内の主要取引所で提供しているレンディングサービスの金利を比較した表です。
金利(BTC) | 金利(BTC以外) | |
---|---|---|
GMOコイン | ベーシック:1.3% プレミアム:15%~ |
ベーシック:1~10% プレミアム:15%~ |
Coincheck | 1~5% | 1~5% |
SBI VCトレード | 1% | 0.1~5.0% |
bitbank | 0.1~5.0% | 0.1~5.0% |
LINE BITMAX | 固定期間型:3% 変動期間型:1.5% |
固定期間型:3~4% 変動期間型:1.5% |
BitTrade | 1.0~1.5% | 3.0~4.5% |
BITPOINT | - | 1.5% |
サービスによって金利水準に大きな差があることがわかります。さらに、通貨ごとに利率が異なるケースも少なくありません。ビットコイン(BTC)の金利はおおむね1%前後が多い一方、イーサリアム(ETH)などアルトコインでは5%前後を狙える場合もあります。
しかし、これらの金利は常に固定されているわけではありません。相場や需給状況に応じて金利や貸出期間などの募集条件は変動するため、あるときは高金利だったサービスが、次の募集時には利率を下げるケースもあります。
例えばGMOコイン(ベーシック)では、BTC年率3%のコース(ベーシック)が暗号資産価格の上昇に伴い、2025年3月にサービスを終了しています。
実際にレンディングを始める際は、各社の公式サイト(基本的に口座開設が必要)で最新の金利や募集状況を確認しましょう。
仮想通貨のレンディング(貸暗号資産)おすすめ取引所7選
主要な国内取引所が提供している仮想通貨のレンディングサービスについて、一覧表を用いて比較しました。各社で対象銘柄や金利、貸出期間などが異なるため、投資スタイルに合わせて選択しましょう。
公式サイト | 対象銘柄 | 金利(BTC) | 金利(BTC以外) | 貸出期間 | 途中解約 | 再貸出し (自動更新) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
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ベーシック:26銘柄 プレミアム:3銘柄 |
ベーシック:1.3% プレミアム:15%~ |
ベーシック:1~10% プレミアム:15%~ |
ベーシック:1~3ヶ月 プレミアム:1週間~2ヶ月 |
ベーシック:可能 プレミアム:不可 |
ベーシック:可能 プレミアム:不可 |
|
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32銘柄 | 1~5% | 1~5% | 14日・30日・90日・180日・365日 | 不可 | 可能 | |
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固定期間型:7銘柄 変動期間型:5銘柄 |
固定期間型:3% 変動期間型:1.5% |
固定期間型:3~4% 変動期間型:1.5% |
固定期間型:30日・60日・90日 変動期間型:1日~ |
不可 | 不可 | |
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42銘柄 | 0.1~5.0% | 0.1~5.0% | 1年 | 可能 | 不可 | |
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37銘柄 | 1% | 0.1~5.0% | 7日・28日 | 不可 | 不可 | |
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29銘柄 | - | 1.5% | 30日 | 不可 | 可能 | |
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4銘柄 | 1.0~1.5% | 3.0~4.5% | 90日・180日・360日 | 可能 | 不可 |
※金利は年率表記
※金利や貸出期間は一例です。実際の募集条件とは異なる場合があります。
上記取引所の中でも特におすすめなのが、GMOコインです。取り扱い銘柄が多彩で、金利設定や貸出期間に幅があり、ユーザーのニーズに合わせて柔軟に投資先を選べるメリットがあります。
ただし、いずれの取引所でも人気銘柄の募集枠は早期に埋まる傾向があります。高金利のプランは募集開始直後に申込みが殺到しやすいため、公式発表や募集スケジュールを定期的にチェックしておくと良いでしょう。
GMOコイン

- ニーズに合わせてベーシック・プレミアムの2種類のコースから選べる
- ベーシックなら中途解約もできる
- プレミアムでは証拠金が必要
GMOコインは、手持ちの資産や相場状況に応じてベーシックとプレミアムの2種類のコースを使い分けられる点が魅力です。
ベーシック | プレミアム | |
---|---|---|
対象銘柄数 | 26銘柄 | 3銘柄 |
金利 | 最大10% | 15%~ |
貸出期間 | 1~3ヶ月 | 1週間~2ヶ月 |
証拠金 | 不要 | 必要 |
中途解約 | 可能 | 原則不可 |
ベーシックの場合、ビットコインで年1.3%、その他通貨では1%や3%などのコースが用意されています。対象銘柄が多く、償還時に受け取る貸借料の10%を支払えば中途解約もできるため、柔軟に運用しやすいでしょう。
プレミアムの場合「貸出暗号資産数量 × 特約レート × 50%」に相当する日本円を証拠金として口座に預ける必要がありますが、15%以上の高い金利が狙える点が魅力です。
Coincheck(コインチェック)

- 対応銘柄は32種類以上と豊富
- 金利や貸出期間の選択肢が多い
- 途中解約はできない
Coincheckでは、各通貨について以下の組み合わせから貸出期間・金利を選べます。
- 14日間:年率1%
- 30日間:年率2%
- 90日間:年率3%
- 180日間:年率4%
- 365日間:年率5%
対応銘柄の豊富さが魅力ですが、途中解約はできないため、貸出期間終了まで資産を動かせない点には注意しましょう。
LINE BITMAX(ビットマックス)

- 固定期間型と変動期間型の2種類から選べる
- ビットコインの金利が比較的高めに設定されている
- 対応銘柄が少ない
- 自動更新はできない
LINE BITMAXでは、運用方法に合わせてマーケット連動(変動期間型)とマーケット連動(固定期間型)の2種類のコースが選択できます。固定期間型なら30日プランで3~4%(年率)など高い貸借料率が期待できる一方で、貸出期間中の途中解約はできません。
対応銘柄は他社に比べると少ないものの、どちらのコースもビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)のようなメジャー通貨の貸し出しには対応しています。
bitbank(ビットバンク)

- 業界最多クラスの42銘柄に対応している
- 基本的には1年間の貸出となる
- 解約は原則不可
bitbankはアルトコインを含む多くの銘柄でレンディングできるのが強みです。ただし、貸出期間は1年間と長く、途中解約にも対応していません(ユーザーの死亡や倒産時などを除く)。
急に資金が必要になった場合や相場の急変で資産を動かしたい場合にも対応しにくいため、長期保有前提の方に向いているサービスといえるでしょう。
SBI VCトレード

- 37銘柄に対応しており、好条件の募集が行われることがある
- 再貸出や中途解約には対応していない
SBI VCトレードの強みは、業界最多クラスの37銘柄に対応している点にあります。マイナーな通貨のレンディングにも対応しており、不定期で魅力的な条件の募集が行われることも少なくありません。例えばポルカドット(DOT)は、貸出期間14日間で年率20%の条件で募集が行われたことがあります。
ただし、再貸出や中途解約には対応していないため、貸出条件は慎重にチェックしましょう。
BITPOINT(ビットポイント)

- 29銘柄に対応しており、好条件の募集が行われることがある
- 途中解約はできない
BITPOINTでは募集時の条件によって金利や預け入れ期間が大きく変わるため、募集開始のタイミングを見極めることが重要です。過去にはKLAY(クレイ)で年利100%(貸出期間10日間)の募集が行われたこともありました。アルトコインを高い金利でレンディングしたい方は、口座開設をして定期的に最新情報をチェックしましょう。
ただし、途中解約はできないため、当面売買する予定のない通貨をレンディングに回すことをおすすめします。
BitTrade(ビットトレード)

- 90日、180日、360日など長めの貸出期間に対応している
- 対応通貨が少ない
- 基本的に途中解約はできない
BitTradeは長い期間をかけてじっくり資産を増やしたい方に向いている取引所です。90日・180日・360日といった貸出期間のプランが用意されています。
ただし、対応通貨は4銘柄のみと、他社に比べて圧倒的に少ないのがデメリットです。また、原則途中解約もできないので、運用を開始する前に貸出期間や金利の条件を十分に検討しておきましょう。
仮想通貨のレンディングの仕組みを解説

仮想通貨レンディングは、自分の保有する仮想通貨を第三者に貸し出し、対価として利息(貸借料)を受け取るサービスです。銀行の定期預金に近い仕組みと考えて良いでしょう。
レンディングの基本的な流れは次のとおりです。
- ユーザー(貸し手)が仮想通貨取引所に仮想通貨を預ける
- ユーザーと仮想通貨取引所の間で消費貸借契約を結ぶ
- 仮想通貨取引所が仮想通貨を借りたい人に貸し出す
- 借り手が元本と利息を返済する
- 貸し手(ユーザー)が貸借料を受け取る
貸し手は仮想通貨を預けて待つだけで利息収入を得られます。
仮想通貨のレンディングのメリットとは
仮想通貨のレンディングには、以下のようなメリットがあります。
銀行預金より高い利回りの利息収入が得られる
仮想通貨をレンディングに出すと、銀行預金よりも高いリターンを得られる可能性があります。
仮想通貨のレンディングを利用すると、一定期間預けた後に、貸借料として同じ通貨を受け取れる仕組みになっています。例えば、ビットコインやイーサリアムなどを仮想通貨取引所に貸し出すと、年率で1~5%程度の収益を得ることが可能です。
銀行の普通預金金利が年0.2%前後、定期預金でも0.5%程度にとどまることを考えると、その差は歴然と言えるでしょう。
資産を増やす手段として、レンディングは効率的な手段になり得ます。
長期保有中も資産を活用できる
将来的な値上がりを期待して仮想通貨を保有している場合、そのままウォレットに寝かせておくと、価格変動のリスクだけを負いながら何の収益も得られません。
しかしレンディングを活用すれば、保有中の資産を貸し出すことで、貸借料として利息を受け取れます。
資産の価値が上昇するのを待ちながら、同時に定期的な収益も得られるため、効率的な運用が実現できるでしょう。
プラットフォームによっては自動運用が可能
レンディングでは、仮想通貨をプラットフォームに預けるだけで、利息(貸借料)がもらえる仕組みになっているため、自動で運用することが可能です。難しい取引の知識は必要なく、毎日チャートを見て売買する必要もないため、初心者でも取り組みやすいでしょう。
貸出期限が到来すると、自動で貸出期間が更新されるプラットフォームもあり、普段から忙しく仮想通貨投資に時間を割けない人におすすめです。
仮想通貨のレンディングのリスク・デメリットとは
仮想通貨レンディングには注意すべきリスクやデメリットも存在します。
価格の変動リスクがある
レンディング中も仮想通貨の価格変動の影響は避けられません。
仮想通貨は価格変動が激しい金融商品のため、レンディング中に損切りや利益確定をしたいと考えることもあるでしょう。しかし、原則としてレンディング中に貸している仮想通貨を自由に売買することはできません。
例えば、レンディングの貸出期間が満了し、年利5%に相当する貸借料を受け取ったとしても、同じ期間に通貨の価格が10%以上下落した場合には、トータルで見ると損失が出てしまいます。
仮想通貨投資では銀行預金のような元本保証はないため、レンディング中に資産価値が大きく減るリスクがあることを理解しておきましょう。
貸し倒れリスクがある
仮想通貨取引所が破綻した場合には、貸した仮想通貨が返ってこない可能性があります。
銀行預金の場合、預金保険制度があるため、金融機関が破綻しても元本1,000万円と破綻日までの利息が保護されます。仮想通貨取引所にも分別管理は義務付けられていますが、破綻時に必ず預けた資産が返還されるとは限りません。
レンディングを利用する際は、信頼できる取引所を選びましょう。
引き出し制限やロック期間がある
レンディング中は、仮想通貨をすぐに引き出せないケースがほとんどです。契約時に決めた貸出期間中は原則として解約不可としているサービスが多いため、急に資金が必要になったり、相場が急落したりした場合でも、すぐに売却することはできません。
長期の契約を結んだ場合、相場環境が大きく変化しても資産の売買ができなくなるのは大きなデメリットと言えるでしょう。
仮想通貨のレンディングとステーキングは何が違う?
レンディングは「他者に仮想通貨を貸して貸借料を得る」のに対し、ステーキングは「ブロックチェーンのネットワーク運営に参加して報酬を得る」方法です。
どちらも仮想通貨を一定期間預けて報酬を得るという点は共通しています。
しかし、レンディングは幅広い通貨を対象としていますが、ステーキングはコンセンサスアルゴリズム(ブロックチェーン内での取引承認ルール)にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用している通貨に限られます。例えばイーサリアム(ETH)やカルダノ(ADA)はステーキング可能ですが、ビットコイン(BTC)はステーキングの対象外です。
仮想通貨のレンディング取引の税金はどうなる?
仮想通貨のレンディングでは、利息(貸借料)を受け取るタイミングで税金が発生する可能性があります。
利息(貸借料)は税法上「雑所得」に区分され「総合課税」の対象です。給与所得や事業所得などと合算した金額に対して課税されるため、所得税(5%~45%)と住民税(10%)合わせて最大55%の税率が適用されます。
仮想通貨の雑所得は他の所得(給与所得や不動産所得など)とは損益通算できません。ただし、同じ雑所得に分類される所得(仮想通貨取引で得た利益や副業で得た利益など)とは損益通算が可能です。
仮想通貨の売買やレンディングなどで得た収益が1年間で20万円を超えた場合、給与所得者でも確定申告が必要です。
仮想通貨のレンディングでは、利息(貸借料)を受け取るタイミングで税金が発生する可能性があります。
利息(貸借料)は税法上「雑所得」に区分され「総合課税」の対象です。給与所得や事業所得などと合算した金額に対して課税されるため、所得税(5%~45%)と住民税(10%)合わせて最大55%の税率が適用されます。
仮想通貨の雑所得は他の所得(給与所得や不動産所得など)とは損益通算できません。ただし、同じ雑所得に分類される所得(仮想通貨取引で得た利益や副業で得た利益など)とは損益通算が可能です。
仮想通貨の売買やレンディングなどで得た収益が1年間で20万円を超えた場合、給与所得者でも確定申告が必要です。