FXでポジションを保有しているとスワップポイントが付与されたり、あるいは差し引かれたりします。スワップポイントは必ずしも高ければ高いほど良いというものではなく、トレードスタイルによって最適な条件が異なります。
比較的短期のトレードで「売買差益による利益」を狙うのか、長期のトレードで「スワップポイントによる利益」を狙うのかでおすすめの業者は変わるということです。
売買差益を狙うトレード | スワップポイントを狙うトレード | |
---|---|---|
おすすめの人 | ・投資をすると損益が常に気になり、長く保有することが向いていない人 ・含み損のまま持ち続けるのは耐えられない人 |
・できるだけ手間のかからない投資がしたい人 ・平日にトレードをする時間がない人 |
選ぶべき業者 | スワップポイントのプラスマイナスの差が小さい業者 | スワップポイントが高い業者 |
スワップポイントに注目した口座の選び方
売買差益を狙うならスワップポイントのプラスマイナスの差が狭い業者を選ぶ
FXで売買差益を狙うトレードをしたい方はスワップポイントの大きさではなく、スワップポイントのプラスマイナスの差が小さい業者を選ぶことをおすすめします。
なぜなら、FXで売買差益を狙う場合は買いだけでなく売りでもエントリーすることが多く、スワップポイントを支払わないといけないケースが生じるからです。ある通貨ペアを扱う次のような2社を考えてみましょう。A社はスワップポイントが高いですが、マイナススワップポイントはさらに高くなっています。このため、買いでも売りでもトレードをしていくと、スワップポイント収支は大きくマイナスになっていきます。
業者 | 買いSP | 売りSP | SP差 | 買いと売りで10日ずつ保有した場合のSP |
---|---|---|---|---|
A社 | 100円 | -200円 | -100円 | -1,000円 |
B社 | 50円 | -60円 | -10円 | -100円 |
一方B社はスワップポイントは低いですが、プラスとマイナスでの差が小さくなっています。この場合、買いと売りのトレードを繰り返したときのスワップポイント収支がA社ほど悪くなりません。
スワップポイントを狙うならプラスが大きい業者を選ぶ
もう1つのトレードスタイルは、売買による差益を狙うのではなく、付与されるスワップポイントを狙ったトレードです。高金利通貨では高いスワップポイントが付与されるので、そのスワップポイントを利益の中心に据えたスタイルです。
このようなトレードをしたい方にはスワップポイントが高い業者をおすすめします。スワップポイントがプラスになるポジションを保有し続けるため、差益を狙うトレードと違ってマイナスのスワップポイントを考慮する必要はありません。
売買差益トレード向けおすすめのFX業者
メジャー通貨のスワップポイント差に注目して、売買差益トレードにおすすめのFX業者をご紹介します。
FX業者名 | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | ユーロ/米ドル | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
買い | 売り | 買い | 売り | 買い | 売り | 買い | 売り | |
みんなのFX | 195円 | -195円 | 150円 | -150円 | 220円 | -220円 | -72円 | 71円 |
DMM FX | 191円 | -194円 | 137円 | -140円 | 207円 | -210円 | -93円 | 90円 |
SBI FXトレード | 195円 | -202円 | 136円 | -141円 | 207円 | -212円 | -87円 | 82円 |
みんなのFX:スワップポイントの差がなし
みんなのFXのメリット
- ◎ トレーダーを選ぶだけで自動売買ができる
- ◎ バイナリーオプションができる
- ◎ スワップポイントが高い
- ◎ 取り扱い通貨ペア数が34種類と多い
みんなのFXのデメリット
- △ オンラインセミナーの開催や情報配信が少なめ
- △ 証拠金維持率100%以下で強制ロスカットされる
- △ デモ口座がスマートフォンに対応していない
みんなのFXの特徴は、売り買いのスワップポイントが同値に設定されていることです。売りでも買いでも取引する方には特におすすめで、長期的に見ればスワップポイントによる損失をほとんどなしにすることができる、珍しい業者です。
さらにスワップポイントが最高水準に高く設定されているのも特徴です。スワップポイントが付与されるポジションを主体として取引し、売買差益+スワップポイント利益、とダブルで狙いたい方にもおすすめできる業者です。
DMM FX:クロス円からドルストレートまで、幅広く好条件
DMM FXのメリット
- ◎ スマートフォンアプリの操作性が良く、直感的な操作が可能
- ◎ 24時間のサポート体制を取っており、FX初心者でも安心
- ◎ 口座数が90万を超える人気口座
DMM FXのデメリット
- △ 最小取引単位が1万通貨とやや大きい
- △ 取り扱い通貨ペア数が21種類と少ない
- △ オンラインセミナーの開催や情報配信が少なめ
DMM FXは売り買いのスワップポイント差がほとんどない業者です。みんなのFXのように同値とはなっていませんが、誤差と言っていいくらいの差です。
スワップポイントも高く設定されていて、中でも米ドル/円、ユーロ/米ドルは最高水準です。これらの通貨ペアで売買差益+スワップポイント利益を狙いたい方には特におすすめです。
SBI FXトレード:好条件で少額トレードできる
SBI FXトレードのメリット
- ◎ 米ドル円のスプレッドが0.18銭と狭い
- ◎ 1通貨から取引できるため、数円で取引可能
- ◎ 取り扱い通貨ペア数が34種類と多い
- ◎ 積立FXで長期的な視点の投資ができる
SBI FXトレードのデメリット
- △ 取引量が多くなるとスプレッドが広くなる
- △ デモ口座が無い
- △ スキャルピングが公認されていない
SBI FXトレードはスワップポイント差が比較的小さい業者です。先にご紹介したみんなのFX、DMM FXには一歩劣るのですが、SBI FXトレードだけの強みがあります。それは、1通貨から売買可能であることです。1,000通貨、あるいは1万通貨から取引可能な他社と比べると、少額から取引が可能です。投資資金が少ない、初めてだから少額で試したい、という方におすすめします。
スワップポイントトレード向けおすすめのFX業者
スワップポイントの高さに注目して、スワップポイントトレードにおすすめのFX業者をご紹介します。
FX業者名 | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | ユーロ/米ドル | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
買い | 売り | 買い | 売り | 買い | 売り | 買い | 売り | |
GMO外貨 | 190円 | -205円 | 205円 | -225円 | 31円 | -51円 | 25円 | -45円 |
みんなのFX | 185円 | -185円 | 230円 | -230円 | 30円 | -30円 | 24.1円 | -24.1円 |
IG証券 | 171円 | -203円 | 184円 | -222円 | 47円 | -69円 | 25円 | -29円 |
GMO外貨:米ドル/円のスワップポイントが高い
GMO外貨のメリット
- ◎ バイナリーオプションができる
- ◎ スワップポイントが高い
- ◎ スマートフォンアプリが高機能かつ使いやすい
GMO外貨デメリット
- △ スプレッドが狭い時間帯が短い
GMO外貨は全体的にスワップポイントが高く設定されていますが、中でも米ドル/円は最高水準で提供されています。スワップポイントの変動も少なく安定しています。米ドル/円でスワップポイント投資をする方には特におすすめです。
みんなのFX:ポンド/円のスワップポイントが高い
みんなのFXのメリット
- ◎ トレーダーを選ぶだけで自動売買ができる
- ◎ バイナリーオプションができる
- ◎ スワップポイントが高い
- ◎ 取り扱い通貨ペア数が34種類と多い
みんなのFXのデメリット
- △ オンラインセミナーの開催や情報配信が少なめ
- △ 証拠金維持率100%以下で強制ロスカットされる
- △ デモ口座がスマートフォンに対応していない
みんなのFXも全体的にスワップポイントが高く設定されていますが、中でもポンド/円は最高水準で提供されています。
また、みんなのFXでは取り扱い通貨が豊富に用意されているのも特徴です。ハンガリーフォリント/円やチェココルナ/円など、他社ではあまり扱っていないような高金利通貨を取り扱っており、選択肢が多くあります。高金利通貨で分散投資したい方におすすめです。
IG証券:新興国通貨のスワップポイントが高い
IG証券はトルコリラ/円、メキシコペソ/円、南アフリカランド/円など、新興国通貨のスワップポイントが高くなっています。新興国通貨でスワップポイントトレードをしたい方にはおすすめです。
1点注意していただきたいのは、他社に比べて日々のスワップポイントが変動する傾向にあることです。基本的には高スワップポイントとなっていますが、1日だけの実績ではなく、スワップポイントカレンダーで最近の状況を確認することをおすすめします。
取引する際の注意点
スワップポイント、特に新興国のスワップポイントを計算すると年率10.0%や20.0%を超えていました。これを見て「そんなに稼げるならやろう」と思った方もいるかもしれません。しかしこれだけの利益の裏には当然、リスクがあります。ここでは取引をする際に注意していただきたいことをご紹介します。
ロスカットレートを管理する
新興国通貨は長期的に見て価格が下落(=円高)していく傾向があります。ですのであまりロスカットレートを高くすることはおすすめしません。下図のトルコリラ/円であれば、5円でロスカットされるようなポジションは、ロスカットの可能性がそれなりに高いように思われます。
しかしそれ以上に大事なことは、そのロスカットレートを把握していることです。5円でロスカットされるのを把握した上でポジションを持つのは、戦略の1つだと思いますが、自分のポジションがどこでロスカットされるかわからないのは投資ではなく、ばくちです。
ロスカットレート管理に自信がなければ、レバレッジ1倍程度の低レバレッジにしてみましょう。保有している通貨の価格=手持ち資金となるようにすれば、レバレッジは1倍になります。保有している通貨の価格は、普段の買い物と同じように計算できます。100円の通貨を1万通貨買うなら、全部で100万円です。証拠金を100万円用意すればレバレッジ1倍で通貨を保有することができます。
レートが下がればスワップポイントの絶対値も下がる可能性がある
スワップポイントトレードにおいて、レートが下がり続ける通貨にはもう1つ注意点があります。それは、レートが下がればスワップポイントも低下する可能性があるということです。
レートが10円のときに20.0%の年率を期待してポジションを保有したとします。このポジションは、毎年2円のスワップポイントを期待している計算です。ところがこの通貨は5円まで下落してしまいました。年率は同じ20.0%のままだとすると、年間1円のスワップポイントになります。10円で保有しているポジションからすると、年率は10.0%の計算です。
このように、スワップポイントは金利がベースとなっているため、レートが下がるとスワップポイントも減少してしまいます。当初に期待した利益とはならない可能性が高いことは理解しておきましょう。
通貨別スワップポイント比較
スワップポイントを狙ったトレードでは、高金利通貨を保有し続けるのが基本的な戦略です。新興国通貨を保有するのが以前からの手法ですが、最近ではメジャー通貨でもスワップポイントが高くなってきています。ここでは、メジャー通貨と新興国通貨に分けて、スワップポイントがどの程度付与されるのか比較していきます。
メジャー通貨のスワップポイント比較
通貨ペア | 米ドル/円 | 豪ドル/円 | ポンド/円 |
---|---|---|---|
1日の1万通貨あたりSP (買い) |
191円 | 98円 | 207円 |
1年間の1万通貨あたりSP(推計) | 6万9,715円 | 3万5,770円 | 7万5,555円 |
1万通貨の価格 (=レバレッジ1倍) |
134万9,000円 | 91万2,340円 | 170万2,390円 |
年率 | 5.2% | 3.9% | 4.4% |
10万円分保有した場合の年間SP | 5,200円 | 3,900円 | 4,400円 |
豪ドル/円はメジャー通貨の中では高金利で人気がありますが、現在は米ドル/円の方がスワップポイント付与率は高くなっています。上記はいずれも4.0%前後の年率であり、メジャー通貨でのスワップポイント投資も一考の価値があるのではないでしょうか。
また、売買差益を狙うトレードでもスプレッドの低さからメジャー通貨が取引の中心になります。ここではメジャー通貨のスワップポイントを、買いと売りの差に注目しながら見ていきましょう。
通貨ペア | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | ユーロ/米ドル | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
買い | 売り | 買い | 売り | 買い | 売り | 買い | 売り | |
1日の1万通貨あたりSP | 150円 | -210円 | 140円 | -150円 | 165円 | -225円 | -95円 | 81円 |
SP差 | -60円 | -10円 | -60円 | -14円 |
表で参考にしたLION FXでは、買いと売りのスワップポイント差が通貨により大きく異なっています。ユーロ/円ではほとんど差がない一方で、米ドル/円ではマイナススワップが1.4倍にもなっています。買いも売りも同程度の頻度で取引する場合、実質-60円のスワップポイントで取引していることになり、注意が必要です。
LION FXでは米ドル/円のスワップポイント差が大きく、ユーロ/円が小さくなっていましたが、一概に米ドル/円が不利に設定されているわけではありません。各通貨ペアのスワップポイントは業者により大きく異なるため、取引したい通貨ペアごとに調べる必要があります。
新興国通貨のスワップポイント比較
通貨ペア | トルコリラ/円 | メキシコペソ/円 | 南アフリカランド/円 |
---|---|---|---|
1日の1万通貨あたりSP | 44円 | 24円 | 15円 |
1年間の1万通貨あたりSP(推計) | 1万6,060円 | 8,760円 | 5,475円 |
1万通貨の価格 (=レバレッジ1倍) |
6万9,600円 | 7万5,830円 | 7万3,310円 |
年率 | 23.1% | 11.6% | 7.5% |
10万円分保有した場合の 年間SP |
2万3,100円 | 1万1,600円 | 7,500円 |
トルコリラ/円は年率20.0%超、メキシコペソ/円は10.0%超と、スワップポイント付与率が非常に高くなっていることがわかります。
世界的なインフレに対して各国が政策金利を上げているため、スワップポイント狙いの投資には向いている環境と言えるでしょう。
FAQ
スワップポイントはいつもらえる?
FXの取引は24時間世界中で行われます。そこで、ニューヨーク市場が閉まる「ニューヨーククローズ」で営業日が切り替わると便宜上定めています。通常は午前7時、米国サマータイム時は午前6時です。このニューヨーククローズを跨いでポジションを保有することでスワップポイントが付与されることになります。ただし、スワップポイントが実際に付与されるタイミングは業者によって異なり、ニューヨーククローズを跨いだらその日のうちに付与される業者、翌営業日に付与される業者などがあります。
スワップポイントで表示される数字の単位は?
スワップポイントは多くの業者で、「1万通貨あたり」に付与されるポイントを掲載しています。豪ドル/円やトルコリラ/円など、クロス円と呼ばれる通貨ペアなら表示されているポイント=円ですので、「180」とあれば「180円」を意味します。
一方、ユーロ/米ドルなどのクロス円ではない通貨ペアは注意が必要です。スワップポイントは通貨ペアの右側(これを「決済通貨」と呼びます)、ユーロ/米ドルであれば米ドルで付与されます。(円に転換して付与される業者もあります)このスワップポイントを決済通貨のまま掲載している業者と、円換算して掲載している業者があるのです。クロス円以外を見るときは、円換算されているのか、決済通貨のままなのかを確認するようにしましょう。
FXのスワップポイントの引き出し方法は?
FX業者により扱いが異なっており、ポジションを保有したままスワップポイントだけ引き出せる業者と、ポジションを決済したときにスワップポイントも引き出せるようになる業者があります。ポジションを保有したまま引き出したい方は、よく確認してからトレードしましょう。
スワップポイントは土日分も付与される?
スワップポイントは、土日を含めた週7日間分が付与されます。土日は外国為替市場が休場しているため、スワップポイントが付与されないと思われがちですが、実際には週末もスワップポイントが付与されています。
ただし注意が必要なのが、土日分のスワップポイントは土日に付与されるわけではありません。水曜日から木曜日に跨ぐポジションに対して、合わせて付与されます。このため、「スワップ3倍デー」とも呼ばれます。
FXを外貨預金の代わりとして放置するのはあり?
レバレッジ1倍でポジションを保有すれば、外貨預金していることと基本的に同じになります。それどころか、FXならではのメリットもあります。外貨預金では利息が満期、あるいは解約時に受け取りますが、FXのスワップポイントは毎日付与されます。ですので、再投資に回して複利で増やすことができます。(マイナススワップには気をつける必要があります)
また、国内FX業者であれば信託保全がされているため、万が一FX業者が倒産しても資産は守られます。一方で外貨預金は預金保険の保護対象外であるため、万が一金融機関が倒産した場合、資産が戻ってこない可能性があります。資産の保全という意味でもFXにはメリットがあるのです。
本記事で参考にしたサイト一覧