投資アプリとは、スマホで簡単に少額から投資ができるアプリです。対面の証券会社を通して株式投資や投資信託を購入するのと比べて、非常に手軽に投資や資産運用をはじめられるハードルの低さで注目を集めています。
投資アプリには多くの種類があり、それぞれのアプリごとに手数料や特徴はさまざまです。この記事では、投資初心者でも投資アプリが選びやすくなるようにタイプ別に代表的なアプリを挙げ、比較できるように解説していきます。
投資アプリとは?
投資アプリは、アプリの役割で大別すると以下の3種類に分けられます。
投資アプリのタイプ
- 投資取引アプリ
- 資産管理アプリ
- 情報収集アプリ
投資取引アプリ
投資取引アプリは、株や投資信託といった投資商品の売買などの取引ができるアプリです。口座開設から注文、購入、売却などの一連の手続きができます。取引機能がシンプルで使いやすい設計になっているアプリが多い傾向です。なかには、ワンタップや画面をスライドさせるだけで注文できるものもあります。
売買チャンスを逃しにくくするアラート機能なども備わっているなど、いつも持ち歩くスマホの特徴が活かされているものが多くあります。
資産管理アプリ
資産管理アプリは、複数の銀行口座や証券口座、公的年金、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどの資産全体を一元管理できるアプリです。どこまでの資産を管理できるかは、アプリによって異なります。一般的には、金融機関ごとの残高がまとめてグラフや数値で表示され資産ポートフォリオの現状を一目で把握できます。
なかには、将来の年金見込み額から老後必要資金を自動計算してくれる機能が搭載されているものもあり、将来に向けた資産作りにも役立ちます。
情報収集アプリ
情報収集アプリは、株式投資をはじめとした資産運用に役立つ情報を提供しているアプリです。多くの場合、経済ニュースや金融ニュース、株価・為替の動きなど投資に必要な情報をリアルタイムで入手できます。また投資デビューのきっかけにしやすい株主優待情報を調べたり配当金を確認したりできるアプリなどさまざまです。
権利確定月ごとに企業名をリストアップし、参考最低投資金額を表示してくれるため、投資予算から銘柄選択しやすくなります。
投資取引アプリはどのように選ぶ?
投資アプリの中でも「投資取引アプリ」にはさまざまなタイプがあり、何を基準に選べばよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。投資取引アプリは、大きく以下の2タイプに分類することができます。
投資取引アプリのタイプ
- 投資先を自分で選択するタイプ
- AIなどを活用して自動運用するタイプ
それぞれのタイプで代表的なものを紹介しましょう。
投資先を自分で選択するタイプ
投資先を自ら選択できる積極的に投資するタイプの代表的なものには、以下の4種類があります。
サービス名 | 取り扱い商品 | 約定手数料(税込) ※約定代金20万円の場合 |
---|---|---|
国内株式・外国株式・IPO | 1,100円 | |
国内株式・投資信託・FX | 115円 | |
国内株式 | 無料 ※但し月額手数料は220円 |
|
国内株式・外国株式・投資信託・NISA | 1,100円 ※100万円以下の取引では0.50%、100万円超の取引では1.00% |
【PayPay証券】
PayPay証券は、日本初のスマホで1,000円からリアルタイムに株式投資ができる話題のサービスです。スマホを数回タップするだけで人気企業の株式を購入できます。手数料もわかりやすくなっているのが特徴です。
【LINE証券】
LINE証券はスマホにて、LINEアプリから利用できる投資サービスです。専用アプリのインストールが不要で、ウォレットタブからアクセスすれば即座に投資を始められるという手軽さが特徴になります。
【SBIネオモバイル証券】
SBIネオモバイル証券は現金を使わなくても、Tポイントを使って株式投資ができます。スマホで1株単位からでも始めることが可能です。今後は外国為替証拠金取引のサービスも開始され、Tポイントで手軽にFXができるようになります。
【日興フロッギー】
日興フロッギーは、投資を記事で学びながら資産運用を100円から体験できるサービスで、記事は誰でも無料で読むことができます。実に約3700銘柄の個別銘柄・ETF・REITがあり、dポイントを運用に使うことも可能です。
AIなどを活用して自動運用するタイプ
AI活用によって、半ば自動的に低リスクで効率よく運用するタイプは、代表的なものとして、以下の表の3種類があります。
サービス名 | 手数料(年率・税別) | |
---|---|---|
預かり資産3,000万円以内 | 預かり資産3,000万円超 | |
ウェルスナビ | 1.00% | 0.50% |
THEO | 0.65%~1.00% | 0.50% |
トラノコ | 預かり資産の0.30%(税別)+月額利用料300円(税込) |
【ウェルスナビ】
ノーベル賞受賞者の理論に基づいた金融アルゴリズムで設計された、ロボアドバイザーによる自動運用サービスです。 リスクを抑えながらリターンの最大化を期待できるという特徴があります。
【THEO】
投資一任型のロボアドバイザーサービスで、各ユーザーの条件に合った最適なプランを提供してくれる上に、それにもとづいた金融商品の購入や運用途中での最適化などを 一部自動で行ってくれます。
【トラノコ】
日々のお買い物のおつりを利用して、世界中の資産へ自動的に分散投資ができるサービスです。 家計簿アプリに買い物のデータが連携しており、おつりを投資するかどうかは買い物ごとに選択できます。
投資の初心者におすすめのアプリとは
投資の初心者におすすめできるアプリは、以下の7種類です。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
ウェルスナビ | 世界約50カ国、約1万1,000銘柄へ分散投資 |
THEO | プロが考えた運用アルゴリズムとAIによる下落リスクの抑制 |
トラノコ | お買い物の「おつり」で自動的に投資ができる |
SBIネオモバイル証券 | Tポイントを使って株式投資ができる |
LINE証券 | 取引コストは業界最安水準 |
PayPay証券 | 米国の有名企業の株も含めて1,000円から購入できる |
日興フロッギー | 100円から約3700銘柄の投資ができてdポイントも使える |
ウェルスナビ
ウェルスナビは卓越したアルゴリズムで、各ユーザーのリスク許容度に応じてポートフォリオを自動的に形成してくれます。
開始時に用意されている質問に回答すると、ユーザーのリスク許容度が診断され、目標金額や達成確率をシミュレーションした結果を示してくれるので、判断がしやすいといえるでしょう。 ユーザーは投資の知識があまり無くても、ハイレベルなポートフォリオで資産運用できるのが特徴です。
また、ウェルスナビは複数の海外ETFを通じて約50カ国の約1万1,000銘柄へ分散投資をしています。長期的に上昇を続けている世界経済の動向から考えて、有望な資産へ投資することでリターンが期待できるのです。
6~7つのETF(上場投資信託)を通じて、世界約50カ国11,000銘柄に自動で分散投資。中長期的に世界経済の成長率を上回るリターンをめざします。
引用元:WealthNavi(ウェルスナビ)| ロボアドバイザーで全自動の資産運用
また、毎月定額で投資を積み上げる「自動積立」も可能であり、その積立コースは月1回、月5回、複数回、カスタムなどから選ぶことができます。
月1回定額、月5回定額、複数回定額、カスタムの4コースの中から、ご希望に応じた積立コースを選ぶこともできます。
引用元:サービス|ロボアドバイザーならWealthNavi(ウェルスナビ)
THEO
THEOは株式会社お金のデザインの投資一任型のロボアドバイザーサービスです。各ユーザーの条件に合う最適な運用プランにもとづいて、実際の金融商品の発注や運用途中の最適化などを一部自動で行ってくれます。
各ユーザーのリスク許容度にもとづいた方針で運用を行うので、初心者でもローリスクの運用が可能です。 リバランスと呼ばれる配分の調整やリアロケーションと呼ばれる対象の見直しなどの、難しい作業を任せることができます。そのため、多忙なユーザーでも無理せず投資を継続することが可能です。
トラノコ
トラノコは提携している家計簿アプリに登録したクレジットカードや電子マネーでの買い物のデータに連動し、設定したルールに基づき、おつりを投資に活用することができます。
あらかじめ100円、500円、1,000円の3段階から選んで、そこからの端数がおつりとして認識されるのです。たとえば340円の買い物をすると、おつりの計算は以下のようになります。
- 100円単位:60円(400円-340円)
- 500円単位:160円(500円-340円)
- 1,000円単位:660円(1,000円-340円)
毎月1回おつりの合計額が指定口座から自動引き落としされます。毎月の投資上限の設定や、投資資金の追加も可能です。引き落とされたおつりによって投資信託を自動買い付けしてくれるので、アプリで毎日更新される運用状況を確認するといった手間しかかかりません。
投資している資産構成も一目でわかり、保有している投資信託をいつでも売却して出金することが可能です。
PayPay証券
PayPay証券は、もともとOne Tap BUYというサービス名で日本初のスマホ証券として2016年6月にスタートしました。 1,000円からリアルタイムで株式投資ができる仕組みとなっています。
ワンタップで人気株を気軽に購入できるのが特徴で、従来の投資家層とは異なり、若年層に人気が高い傾向です。また、運営企業が通常の単元数で株式をあらかじめ購入し、ユーザーの出資額に応じて分配する仕組みなので、わずか1,000円からでも株式を購入することが可能になりました。
投資したい銘柄と金額を入力するだけで投資ができます。従来のような株数を基準にする際に必要な計算が不要です。日米の優良銘柄が絞り込まれていて、企業情報に詳しくない初心者でも、銘柄選びをスムーズに行えます。
LINE証券
LINE証券は非対面式の証券サービスです。LINEによる顧客基盤をバックボーンにユーザーが増えています。LINEアプリのウォレットタブから簡単にすぐ投資を始められる手軽さが魅力です。
LINEという多くのユーザーが使い慣れたであろうアプリのインターフェイスで利用することができます。すべてに渡ってシンプルで、LINEサービスの延長上に株取引が乗っかったような手軽さです。銘柄選択から購入数の決定、入金などすべての操作が数回のタップでできます。
1株単位の数百円から売買できるので、少額投資が可能です。さらに投資信託は100円から1円単位での購入ができます。単元株未満でも、あなたの持ち株数に応じた配当を受けられるので、少額資金で配当をねらうことが可能です。また、本格的な信用取引もできます。
SBIネオモバイル証券
SBIネオモバイル証券、愛称「ネオモバ」ではTポイントを使ってスマホで1株単位からでも株式投資ができます。2019年4月の開業以来、順調に口座数が増加し、2021年に入ってから50万口座を超えた話題のサービスです。
株式会社SBIネオモバイル証券は、開業から約1年9カ月で50万口座を達成しましたのでお知らせします。
引用元:プレスリリース|ネオモバ - Tポイントでのポイント投資はSBIネオモバイル証券
また、2020年4月27日からは「ネオモバFX」と銘打って外国為替証拠金取引のサービスも開始されています。いよいよ、Tポイントで手軽にFXができるようになったのです。FXでは1通貨から取引ができるので、必要証拠金は数円程度となります。 米ドル/円のスプレッドは1,000通貨まで0銭で、初心者にとって始めやすいサービスといえるでしょう。
日興フロッギー
日興フロッギーはSMBC日興証券が運営するサービスです。記事で学んで、記事内の「買う」ボタンから株を購入できます。また、記事から株を買う方法以外にも、検索して株を買うことも可能です。
画面の一番上にある検索バーに、企業名などのキーワードや銘柄コードを入れると、該当する企業を探すことができます。企業名を選択して銘柄詳細画面に遷移し、そこから株の購入が可能です。
約3700銘柄を100円またはdポイント100ポイントから取引できます。dポイントの利用には、NTTドコモのdアカウントが必要です。
投資アプリのメリット
投資アプリのメリットを見ていきましょう。
投資アプリのメリット
- 少額投資ができる
- ポートフォリオが組みやすい
- すきま時間に利用できる
少額投資ができる
投資アプリの多くは、少額から投資できるようになっています。実際に売買するときの取引単位は「1株単位」「100円~」「1,000円~」などアプリによってさまざまです。少額取引ができるため、投資の知識や経験が浅い初心者でもトライしやすかったり値下がりしても損失が少なくて済んだりすることはメリットといえます。
ポートフォリオが組みやすい
投資アプリの中には、投資家のリスク許容度に応じてAIが自動的にポートフォリオを組みリターンやリスクの異なるさまざまな投資先に分散投資してくれるものがあります。運用開始後も定期的なタイミングや市場の動向に合わせてポートフォリオがリバランスされるなど最適なポートフォリオを保ちながら手軽な資産運用が可能です。
すきま時間に利用できる
ネット環境さえあれば移動中でも外出先でもすきま時間に利用できます。相場の動きや企業情報など最新のマーケット情報によって売買などの投資判断をすることが求められるため、スマホでいつでもリアルタイム情報を確認できることは大きなメリットです。パソコンでのオンライン取引と比較してもより投資チャンスを逃しにくくなります。
投資アプリのデメリット
手軽に少額から投資できることは、メリットだけでなくデメリットにもなり得ます。例えば相場状況や企業情報のチェックを怠りじっくりと考えずに銘柄を選んでしまう可能性もあるでしょう。少額でも不要な損失は避けるよう銘柄選びは自分のルールにあわせて選定することが必要です。
一般的に株の売買は、双方で手数料がかかるため、利益の大部分が手数料で消化される可能性もあります。投資アプリによっては、購入時の手数料が無料のものや月額制のものもあるため、しっかりと比較したうえで自分の投資スタイルに合わせて選びましょう。
投資アプリの注意点
投資アプリの注意点を見ていきましょう。
投資アプリの注意点
- 短期的な結果にとらわれない
- スマホのセキュリティ対策を行う
- ながら投資をしない
短期的な結果にとらわれない
投資アプリのおかげでこれまで投資をしたことのなかった人もチャレンジしやすくなりました。しかし投資初心者の多くは、短期的な株価の上下に一喜一憂してしまう傾向があります。デイトレーダーのように瞬時の値動きで売買する投資方法もありますが、初心者にとって短期的な取引の繰り返しで利益を上げ続けることは難しいものです。
例えば「買ったときより何%上がれば売る」というようなルールを決め、短期的な結果を求めるのではなく中・長期的なスパンで値動きを見ていくようにしましょう。
スマホのセキュリティ対策を行う
万が一の不正利用リスクに備えてスマホのセキュリティ対策は、しっかりとしておきましょう。スマホをどこかに置き忘れたり盗難にあったりした場合、第三者でもスマホを利用できる状態になっているとアプリ内の証券口座からの出金や不正取引をされる可能性があります。PINやパスワード設定、各種認証など厳重なロックをかけ第三者がアクセスできないようセキュリティには細心の注意を払いましょう。
ながら投資をしない
スマホ片手に投資できるのが投資アプリの特徴です。しかし「街中を歩きながら」「テレビを観ながら」「食事をしながら」というようにいわゆる「ながら投資」は注意しましょう。なぜなら他のことをしながら投資をすると集中力が散漫になり適切な判断ができなくなる可能性があるからです。誤操作によって売買を発注した場合、大きな損失を被る可能性があります。
少額であってもじっくりと状況を見極め、銘柄や売買タイミングを適切に決めることが大切です。
使いやすく続けられる投資アプリを選ぼう
投資初心者のみなさんに向けて、投資アプリが選びやすくなるように、タイプ別に代表的なアプリを挙げ、比較できるように紹介しました。
それぞれ売りにしている強みがあり、各ユーザーの好みで選べるようになっています。興味がある方は、ここでの情報も参考にしながら、使いやすくて続けられるアプリを選び、手軽に投資体験をしてみてください。
投資アプリに関するよくある質問
投資アプリはどうやって選ぶべき?
投資アプリは、投資先を自分で選んで運用するものと、AIなどを活用して自動運用ものの2つに分類することができます。そのため、投資先をこだわりたいか、そうでないかという観点から選ぶと良いでしょう。
初心者におすすめの投資アプリは?
投資初心者の方には少額投資できるアプリや投資先を自動で選定してくれるアプリがおすすめです。例えばウェルスナビでは利用開始時に用意された質問に答えると、自分に合った投資先を自動で判断してもらうことが可能です。
個人投資家。サラリーマンとして働きながら投資を続け、2019年には元本の250万円を追加入金を一切せずに2億円まで増やすことに成功した。