FX取引をしていると、スプレッドが大きく広がるタイミングがあることに気付き、驚いたり不満を持ったりした経験があるというトレーダーは多いのではないでしょうか。
スプレッドの広がりは、トレーダーにとってコストや利益に直結する重要な要素です。この記事では、スプレッドが広がる理由や広がりづらいFX口座の特徴について解説します。
さらに、スプレッドによるコストを抑えるための注意点や、実際に試すべき複数の口座開設についてもご紹介します。
FXのスプレッドとは?
FXのスプレッドとは、売値と買値の差のことです。
FXは買いと売り両方で取引できますが、一般的には売値と買値のレートは一致していません。売値と買値のレートが一致していればスプレッドが0ということになります。
スプレッドはトレーダーにとっては取引コストとなるため、狭い方が有利です。
これからFX取引を始める初心者向けに、必ず押さえておきたいスプレッドの要点を詳しく解説しますので、取引前に確認しておきましょう。
スプレッドはFX会社が設定する
スプレッドはFX会社が設定しているため、利用するFX会社によってスプレッドが異なります。
トレーダーにとっては、スプレッドが狭いFX会社の方が有利に取引できますので、FX会社を選ぶ際はまずスプレッドに注目してみましょう。
また、スプレッドは取引タイミングによって大きく広がることがありますが、その時間帯や広がりやすさなどもFX会社によって異なります。
公式サイトの広告表示だけでなく、実績値や実際に利用した人の口コミなどを確認しながら、トレーダーに有利なスプレッドを提供しているFX会社を探してみましょう。
スプレッドは通貨ペアによって異なる
スプレッドは通貨ペアによって大きく異なります。
例えば、多くのトレーダーから人気を集めているGMOクリック証券(FXネオ)のスプレッドは以下のとおりです。
◼︎GMOクリック証券(FXネオ)のスプレッド
ドル円 | 0.2銭 | ユーロ円 | 0.4銭(午前9時~翌午前3:00) 5.9銭(左記以外の時間帯) |
---|---|---|---|
ポンド円 | 0.9銭 | 豪ドル円 | 0.5銭(午前9時~翌午前3:00) 5.8銭(左記以外の時間帯) |
ユーロドル | 0.3 pips(午前9時~翌午前3:00) 3.8 pips (左記以外の時間帯) |
ポンドドル | 1.0pips |
豪ドル米ドル | 0.4pips(午前9時~翌午前3:00) 5.8 pips (左記以外の時間帯) |
NZドル米ドル | 1.6pips |
※原則固定
取引量が大きい通貨ペアはスプレッドが狭く、取引量が少ない通貨ペアはスプレッドが広い傾向にあります。
また、FX会社によってスプレッドが狭い通貨ペアが異なる点も覚えておきましょう。
たとえば取引ツールや約定力に定評のあるOANDA証券のスプレッドと比較してみます。
◼︎OANDA証券(東京サーバーMT4)のスプレッド
ドル円 | 0.5銭 | ユーロ円 | 0.4~1.1銭 |
---|---|---|---|
ポンド円 | 0.9~1.9銭 | 豪ドル円 | 0.6~1銭 |
ユーロドル | 0.5~0.6pips | ポンドドル | 0.8~1.5pips |
豪ドル米ドル | 0.9pips | NZドル米ドル | 1.4pips |
ドル円のスプレッドはGMOクリック証券の方が狭いですが、NZドル米ドルのスプレッドはOANDAの証券の方が狭いです。
自分自身が最も取引したい通貨ペアのスプレッドを確認しておくと良いでしょう。
スプレッドは時間帯によって異なる
スプレッドは取引時間帯によって大きく異なるので、取引のタイミングには十分に注意しましょう。
特に日本時間の早朝5時から7時頃まではスプレッドが拡大しやすいです。また、重要な経済指標の発表は最もスプレッドが拡大するタイミングの一つといえます。
時間帯によってスプレッドが拡大するのは、取引量が少なく流動性が低下していたり、売買注文に著しい偏りがあるためです。その詳しい仕組みについては後述しますが、原則固定を謳っているFX会社でも時間帯によってスプレッドが広がることは覚えておきましょう。
原則固定スプレッドと変動スプレッドの違い
国内FX会社は、原則固定スプレッドを提供していることが多いですが、一部変動スプレッドを提供しているFX会社もあります。
原則固定スプレッドは、基本的にスプレッドが固定されていて、経済指標の発表や日本時間早朝等といった特定のタイミングのみ変動します。
一方、変動スプレッドは常にスプレッドが変動しているため、トレーダーとしては実際に約定したときのスプレッドを把握しづらいです。また取引タイミングによってスプレッドが激しく変動してしまうこともあり、取引コストがわかりづらいという難点があります。
原則固定スプレッドのほうがわかりやすく取引タイミングに迷わないため、FX初心者にはおすすめです。
FX口座のスプレッドを確認する時に注意すべきポイント
取引コストを抑えて、なるべく手元に残る利益を大きくするためにFX口座のスプレッドを確認しましょう。
FX口座のスプレッドを確認する際、特に注意すべきことは以下のとおりです。
通貨ごとのスプレッドを確認
FXのスプレッドは通貨ペアごとに異なるため、必ず各通貨ペアのスプレッドを確認しましょう。
国内のFX会社はドル円のスプレッドが最も狭い傾向にあります。しかしトレーダーによって頻繁に取引する通貨ペアや得意な通貨ペアは異なるはずです。
たとえばデイトレードやスキャルピングといった短期売買をメインにしているトレーダーであれば、値動きが小さい高金利通貨ペアのスプレッドは気にする必要はないでしょう。
一方、スイングトレードなどの長期売買をメインにするのであれば、取引回数が少なく一度の損益が大きいためそもそもスプレッドを気にする必要はないかもしれません。
自分自身がどのような取引を行い、頻繁に取引する通貨ペアは何なのかを把握した上でスプレッドを確認しましょう。
スプレッド実績値を確認
FXのスプレッドには、広告表示と実績値があります。
広告表示とは公式サイトに掲載されているスプレッドで、実績値とは実際の取引時に提示されたスプレッドの割合や最大スプレッドを示す数値です。時間帯やイベントによってスプレッドが拡大するため、広告表示と実績値が異なる数値となることは珍しくありません。
スプレッドの実績値はFX会社公式サイトで公開されていますので、必ず確認しておきましょう。
約定力を確認
スプレッドとともに約定力も確認しておきましょう。
スプレッドを確認するのは、取引コストを削減するためです。スプレッド以外にも取引コストとなる要素として、約定力が挙げられます。
約定力とは、取引したい価格で注文を成立させる力です。約定力が弱いと狙った価格で注文を成立させられず、不利なレートで約定してしまいます。
不利なレートでの約定は、広いスプレッドで取引している状態と変わりません。
スプレッドだけではなく、約定力も確認しトータルの取引コストを抑えましょう。
スプレッドに関する口コミは要注意
FX会社に掲示されているスプレッドが実際の取引でも提示されるかどうかは、取引してみることで明確にわかります。
各社の口コミでは実際に取引したトレーダーによってスプレッドが報告されているため、非常に参考になりますがすべてを鵜呑みにするのは危険です。
スプレッドは取引時間や取引量などによって大きく異なりますが、口コミの中には取引した状況に関する詳細が明示されていないことも少なくありません。
FX会社のスプレッドを正しく把握するためには、取引時間帯や通貨ペアなどが明示されている口コミかどうかもあわせて確認しましょう。
スプレッドが狭く広がりづらいFX会社3選
ここからはスプレッドが狭く広がりづらいFX会社3選を紹介します。
ランキングを作成するにあたって、参考にした項目は以下の2つです。
- 約定力
- メジャー通貨ペアのスプレッド
以下でそれぞれの会社についてくわしく説明します。
マネーパートナーズ
マネーパートナーズのメリット
- ◎ 主要通貨ペアの少量取引はスプレッドがかからない
- ◎ 最小取引単位が100通貨
- ◎ 取引ツールの使いやすさ
- ◎ 約定力が高い
マネーパートナーズのデメリット
- △ デモ口座がない
マネーパートナーズは、パートナーズFXとFX nanoの2つのサービスを展開しているFX会社で、どちらも狭いスプレッドと高い約定力が魅力です。
- 100通貨少額取引が可能
- 豊富なキャンペーンを開催
- HyperSpeed NEXTで自作自動売買
- 約定力が高い
特にFX nanoは100通貨から取引可能で、ドル円の取引に必要な証拠金は約600円なので、少額取引から始めたいFX初心者にもおすすめできます。
マネーパートナーズのスプレッドは原則固定ですが、時間帯によってスプレッドが細かく別れている点が特徴です。事前にスプレッドをしっかりと確認し、最もコストが抑えられる時間帯を把握しておきましょう。
広告表示のスプレッド | スプレッド提示率 | スプレッド最大値 | |
---|---|---|---|
ドル円 | 0.2 銭(9:00-17:00) 0.1銭(17:00-18:00) (21:00-27:00) 3.9 銭(27:00-9:00) 0.0 銭(18:00-21:00) |
97.06% | 19.1 銭 |
ユーロ円 | 0.4 銭(9:00-17:00) 0.2 銭(17:00-27:00) 5.9 銭(27:00-9:00) |
97.88% | 49.9 銭 |
ポンド円 | 0.7 銭(9:00-17:00) 0.4 銭(17:00-27:00) 9.9 銭(27:00-9:00) |
98.02% | 49.9 銭 |
豪ドル円 | 0.5 銭(9:00-17:00) 0.2 銭(17:00-27:00) 5.9 銭(27:00-9:00) |
97.86% | 49.9 銭 |
ユーロドル | 0.3pips(9:00-17:00) 0.2pips(17:00-27:00) 3.9 pips(27:00-9:00) |
98.99% | 19.9pips |
ポンドドル | 0.8pips(9:00-17:00) 0.5pips(17:00-27:00) 9.9 pips(27:00-9:00) |
98.96% | 49.9pips |
豪ドル米ドル | 0.7pips(9:00-17:00) 0.3pips(17:00-27:00) 5.9 pips(27:00-9:00) |
99.17% | 42.1pips |
30代男性FX歴:5年以上
5
スプレッドに関して言えば、国内業者の中では文句なしにトップクラスです。 特に自分の場合はドル円の取引に利用しておりますが、スプレッドが時間帯によっては0、それ以外も主に0.1銭で利用しているため、恐ろしく勝ちやすいと感じております。
40代男性FX歴:1ヶ月~3ヶ月
5
マネーパートナーズ「パートナーズFX」は手数料が0円で、スプレッドも業界最狭水準です。 米ドル/円のスプレッドは、平日の日中は0.3銭~0.5銭です。他社では1銭以上のところもありますから、これはかなりお得と感じました。
マネーパートナーズが提供しているFX nanoは、少額取引が可能なため初心者向けという印象が強いですが、最大20万通貨までの取引も可能な上、約定力にも定評があります。
スプレッドも非常に狭く設定されており、コストを抑えた取引を行いたい人におすすめです。
指標発表時や朝のスプレッドが開くのは、どこのFX会社でもよくあることですので、取引時間帯には十分に気をつけましょう。
ヒロセ通商(LION FX)
ヒロセ通商のメリット
- ◎ スキャルピングが公認されている
- ◎ 取引ツールが高機能かつユーザーの意見が取り入れられる
- ◎ 食材や食事などプレゼントがユニーク
- ◎ 取り扱い通貨ペア数が54種類と非常に多い
ヒロセ通商のデメリット
- △ スワップポイントがあまり高くない
- △ 米ドル円のスプレッドが0.2~2.0銭と幅が広い
- △ 通貨ペアによってはスプレッドが狭い時間帯が短い
LION FXはヒロセ通商が提供するFXサービスで、豊富な注文方法や高頻度取引であるスキャルピングを公認していることで知られています。
- 27種類の注文方法
- 約定スピード最速0.001秒
- 平日24時間電話サポート
- 54種類の豊富な通貨ペア
- 充実したキャンペーン
ヒロセ通商のスプレッドは以下の表のとおり業界内でも低水準ですが、加えて高パフォーマンスを維持できるシステムを導入し、非常に速い約定スピードを実現しています。
豊富な注文方法と合わせてあらゆる相場状況に対応できる上級者も納得の取引環境d絵ありながら、24時間電話サポートでFX初心者も満足できる体制です。
また多くのキャンペーンを開催していることでも知られており、黒毛和牛やプロ野球観戦チケットなどあらゆるプレゼントが受け取れますので、お気に入りの賞品に狙いを定めて取引をしてみましょう。
広告表示のスプレッド | スプレッド提示率 | スプレッド最大値 | |
---|---|---|---|
ドル円 | 0.2銭 | 97.79% | 14.9銭 |
ユーロ円 | 0.4銭 | 99.56% | 21.9銭 |
ポンド円 | 0.9銭 | 99.5% | 26.8銭 |
豪ドル円 | 0.6銭 | 96.16% | 21.9銭 |
ユーロドル | 0.3pips | 96% | 19.8pips |
ポンドドル | 0.6pips | 99.53% | 26.8pips |
豪ドル米ドル | 0.4pips | 96.19% | 21.9pips |
50代男性FX歴:5年以上
4
最も一般的な通貨ペアの「米ドル・円」で、標準0.2銭のスプレッドです。他の業者でこれよりも狭いスプレッドを提供しているところもあるので、最も狭いというわけではありません。しかし、0.2銭は十分に安い水準と言えます。また他の人気通貨ペアに関しても、手数料の安い他社と比較して、同レベル水準のスプレッドを提供しています。
50代男性FX歴:5年以上
4
楽天証券でも少額のトレードをしていますが、ユーロ/円、ユーロ/ドルの通貨ペアのスプレッドが、ヒロセ通商の方が0.1小さいので、安さを感じます。ドル/円の通貨ペアは2社とも同じですが、その他ペアで安いのがヒロセ通商をメインにしている理由です。
外為どっとコム(外貨ネクストネオ)
外為どっとコムのメリット
- ◎ オンラインセミナーの開催や情報配信が充実
- ◎ マイナー通貨ペアのスプレッドが狭い
- ◎ 24時間のサポート体制を取っており、初心者でも安心
外為どっとコムのデメリット
- △ スキャルピングが非推奨となっている
- △スプレッドが狭い時間帯が短い
外為どっとコムは、2002年に設立されたFX取引業者です。2023年6月時点で、顧客口座数は59万を超えており、国内でも人気のFX会社といえます。
- 高いスプレッド提示率
- 豊富な取引ツール
- 充実した教育コンテンツ
- 24時間サポート
- 口座開設キャンペーン
外為どっとコムは、業界でも低水準のスプレッドを提示しており、実際の取引におけるスプレッド提示率も高いため、トレーダーから高評価を得ています。
充実した教育コンテンツ、24時間サポートによりFX初心者も安心して始められる環境が整備されている上に、取引数量に応じてFXポイントが貰えるキャンペーンを開催中です。
この機会に口座開設をして、外為どっとコムの取引環境を体感してみましょう。
広告表示のスプレッド | スプレッド提示率 | スプレッド最大値 | |
---|---|---|---|
ドル円 | 0.2銭 | 99.09% | 15.0銭 |
ユーロ円 | 0.4銭 | 99.45% | 15.0銭 |
ポンド円 | 0.9銭 | 99.59% | 20.0銭 |
豪ドル円 | 0.5銭 | 99.62% | 20.0銭 |
ユーロドル | 0.3pips | 99.90% | 15.0pips |
ポンドドル | 1.0pips | 96.42% | 20.0pips |
豪ドル米ドル | 0.6pips | 99.73% | 20.0pips |
30代男性FX歴:5年以上
4
シンプルに主要国の通貨ペアのスプレッドが狭く、取引負けしないのがいいと思います。 ドル円であれば0.2銭(原則固定(例外あり))、ユーロドルなら0.4銭(キャンペーンスプレッド。詳細は公式HPをご確認ください。)と狭く、デイトレなどの短期売買も取り組みやすく感じます。 約定力も高く、滑らないのもいいですね。
50代男性FX歴:5年以上
4
始めたころに比べたらかなり安くなったと感じる。重要指標前後で幅が広がるのは仕方がないが、もう少し抑えてもらいたい気はする。安さだけで見ればもっと安いところもあるかと思うが、総合的にみて手数料は安い部類になるかと思うので満足している。
朝方のスプレッド設定はFX会社によって異なるため、複数口座を開設して比較すると良いでしょう。
朝方はスプレッドが広がるうえに値動きもあまりないため、取引時間帯としてはおすすめできません。取引しやすい時間帯のスプレッドに注目してみましょう。
FXのスプレッドが広がる理由は?
FXのスプレッドが広がるのは、取引量が減少し流動性が低下したり、大量の売買注文に著しい偏りが発生したりするタイミングです。
では、なぜ取引量が減少したり売買注文に著しい偏りが発生したりすると、スプレッドは広がるのでしょうか?
スプレッドが広がる理由について理解するために、FX会社が行うカバー取引について解説します。
通常、一般的な店頭FX取引はFX会社と顧客(トレーダー)が直接取引を行う仕組みです。しかしこのままでは顧客(トレーダー)の利益がFX会社の損失となり、利益相反となってしまいますので、FX会社は顧客から受けた注文と同等の注文を金融機関に発注してリスクヘッジします。
たとえば、顧客が1ドル100.000円のドル円の買いを発注したら、FX会社は1ドル100.000円の売りでその注文を受け、顧客の注文を成立させますが、このままでは利益相反です。そのため、FX会社は金融機関に同等の買いを発注します。
これがカバー取引です。
このような仕組みのため、FX会社は顧客の注文より少しでも有利なレートでカバーできれば、利益になります。
FX取引にはスプレッドがありますので、FX会社は常に顧客の注文よりも有利なレートでカバー取引ができます。これが、スプレッドがFX会社の収益となる仕組みです。
ただ、FX会社はすべての注文をカバーしているわけではありません。まずは顧客同士の注文を成立させ(マリー取引)、余った取引をカバーするというFX会社が多いです。
前述の通り、突発的なイベントや重要な経済指標の発表などにより取引量が減少して流動性が下がったり、売買注文が著しく偏ったりするタイミングでスプレッドは広がります。
多くのFX会社はその理由を明言していませんが、このような店頭FX取引の仕組みを考えれば、取引量が少なくても顧客より有利な価格でカバーするためと考えるのが自然でしょう。
スプレッドが広がるのは、FX会社が健全な運営を行うための対応策とも考えられます。
狭いスプレッドはトレーダーにとって嬉しいですが、取引タイミングによって拡大することを受け入れ、取引時間帯や日程などに十分に注意しながら取引しましょう。
店頭FXのカバー取引については、こちらの記事で詳しく解説しています。
FXのスプレッドが広がりやすいタイミングは?
FXのスプレッドは、原則固定スプレッドのFX会社であっても、一時的に大きく拡大することがあります。
ここではスプレッドが拡大する主なタイミングについて解説しますので、今後の取引タイミングについて十分に留意しましょう。
早朝
FXのスプレッドは流動性が低下する時間帯に拡大しやすいという特徴があります。
日本時間の早朝は取引量が極端に減少し、流動性が低下するためスプレッドが拡大しやすい時間帯ということを覚えておきましょう。
特に朝5時から7時頃は、原則固定スプレッドであっても大きく広がります。
また、時間帯によって提供するスプレッドを変えているFX会社もありますので、公式サイトで確認しておきましょう。
例えば、マネーパートナーズのスプレッドは、次のように設定されています。
◼︎マネーパートナーズのスプレッド
通貨ペア | 1回の注文数量 | スプレッド | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
米ドル円 | ~5万通貨 | 24時間 0.0銭 | ||||
5万通貨超 | 9時~17時 0.2銭 |
17時~18時 0.1銭 |
18時~21時 0.0銭 |
21時~27時 0.1銭 |
27時~9時 3.9銭 |
経済指標発表時
注目度の高い経済指標の発表時は、取引が控えられ流動性が低下したり、大きな注文が集中したりするため一時的に大きな値動きが発生します。そのため、最もスプレッドが広がりやすいタイミングの一つです。
特に注意すべき経済指標を確認しておきましょう。
- 米国雇用統計
- 米国FOMC
- 各国政策金利発表
- 消費者物価指数(CPI)
- GDP
これらの経済指標の発表スケジュールは、各FX会社の公式サイトで確認できます。
たとえば外為どっとコムの経済指標カレンダーは、重要度や国を指定でき、ビジュアル的にも見やすいためおすすめです。
FX取引では必ず損切りを設定することが基本ですが、取引の方向が合っていてもスプレッドの拡大によりレートが損切り価格に到達してしまうことも珍しくありません。
取引コストを抑え、無駄な損失を避けるためにも経済指標の発表時は、取引を控えることをおすすめします。
各市場のオープン
各市場のオープン時間もスプレッドが大きく拡大するため、注意が必要です。
特にロンドン市場とニューヨーク市場のオープン時間は必ず把握しておきましょう。
- ロンドン市場:日本時間16時から(冬時間は17時)
- ニューヨーク市場:日本時間21時から(冬時間は22時)
なお、外国には夏時間の冬時間があり、時期によってオープンの時間帯が異なります。
- 夏時間:3月第2日曜日から
- 冬時間:11月第1日曜日から
ロンドン市場とニューヨーク市場では取引が非常に活発になるため、トレーダーにとって取引チャンスです。しかし市場オープンの時間帯はスプレッドの拡大に加えて、大きな取引が集中して難しい取引になる可能性があるため、十分に注意しましょう。
世界の祝日
世界の祝日も流動性が低下して、スプレッドが拡大する可能性があります。
特に、日本では平日でアメリカやイギリスは祝日という日には十分に注意しましょう。たとえば、以下のような日です。
- クリスマス
- 米国独立記念日
- 米国奴隷解放記念日
- 米国感謝祭
- 聖金曜日
- 英国イースターマンデー
- 英国バンクホリデー
祝日を把握せずに取引を行うと、期待していた値動きがなく、突発的な値動きによって損失が発生する可能性が高い点にも留意しましょう。
突発的な事件
突発的な事件は、大きな値動きとともにスプレッドも急拡大します。ただ、予期できないことも少なくないため、避けられないケースがある点も覚えておきましょう。
過去に大きな値動きが発生した突発的な事件には、以下のようなものがありました。
- 9.11同時多発テロ
- 東日本大震災
- スイスフランショック
- イギリスブレグジット
- トランプ大統領当選
相場はサプライズを嫌うと言われ、予期せぬ出来事や予測を裏切る結果には非常に敏感に反応します。小口から大口のあらゆる注文が殺到することは想像に難くないでしょう。
このようなタイミングで取引コストがかさむことは仕方のないことですが、損切りしないことによる大きな損失は避けるべきです。値動きの動向を予測することは難しいため新規取引は控え、保有ポジションは早々に手仕舞うことをおすすめします。
FXは取引タイミングに気をつけてスプレッドコストを抑えよう
スプレッドはトレーダーにとって取引コストです。本記事で解説した取引コストを抑えるための要点を覚えておきましょう。
- 早朝や指標発表時はスプレッドが拡大しやすい
- FX会社や通貨ペアによってスプレッドは異なる
- スプレッド実績値や約定力も要確認
スプレッドは取引量が少なく流動性が低下したり、売買注文が大きく偏ったりするタイミングで、大きく拡大します。
スプレッドの拡大は、チャートを見ながら確認すると最もわかりやすいです。広がるタイミングや広がり方などを把握できれば、不用意な取引を防止することにも繋がります。
FX口座は無料で開設できますし、口座開設すればほとんどの取引ツールは利用可能です。複数社のFX口座を開設して、実際にどの程度スプレッドが拡大するのか、確認してみましょう。
FX会社のスプレッドに関するFAQ
FX会社のスプレッドに関するよくある質問をまとめました。
「まだ疑問が残っているな」と感じている方は、以下の質問を参考にしてみてください。
- スプレッドとは何ですか?
- スプレッドとは、トレードをする通貨ペアの売値(Bit)と買値(Ask)の差額のことです。
- 取引手数料とスプレッドの違いは?
- 国内のFX会社は基本的に取引手数料が無料になっており、スプレッドが実質的な取引手数料になっています。
- スプレッドはどのように計算すれば良いですか??
- FXトレードにかかるスプレッドコストは「(売値 ー 買値)× 取引通貨量」で求められます。
スプレッドは取引ごとに発生するため、取引回数が増えるほどコストが高くなる仕組みです。 1注文あたりの利益が少ないトレードを繰り返すと利益よりも取引手数料が上回る「手数料負け」を起こしてしまうので注意しましょう。
- スプレッドが広がるのはなぜですか?
- スプレッドが広がる原因は主に以下の2つになります。
- 急激な相場の変動があり、スプレッドを広げてでもFX会社が取引相手を見つけたいケース
- 買い手と売り手が少ないため、スプレッドを広げてFX会社が取引相手を見つけるケース
- スプレッドが広がる時間帯はいつですか?
- 海外と比べ、国内のFX会社のスプレッドは基本的に狭いです。
海外のFX会社は豪華なボーナスや高い最大レバレッジなどの魅力がありますが、特に初心者の方はスプレッドや安全性の面から国内のFX会社での取引をおすすめします。
- スプレッドはいつ引かれますか?
- スプレッドは新規注文が約定した段階で発生します。
- スプレッドが広がりづらいFX会社を教えてください
- みんなのFXやFXTF、GMO外貨などが、一般的にスプレッドの広がりづらいFX会社として知られています。
また、DMM FXやGMOクリック証券などの大手は信頼性が高く、比較的スプレッドも安定しています。
ただし、実際の取引では約定力も考慮に入れる必要があるため、高い約定力を誇るみんなのFXが一番のおすすめです。
実際に取引をする前に、「デモ口座を開設して日本時間早朝や経済指標発表時に約定力を確認してみる」、「少額で取引して約定力を確認してみる」といった形で自分でもテストをすると安心して取引をすることができます。
当記事で紹介している会社は、すべて金融庁から許可を受け財務局に登録されおり、かつ金融先物取引業協会に加入している業者です。
本記事で参考にしたサイト一覧
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外資系金融会社で5年間勤めた経験を持つ。2012年からデイトレードを開始し、FXで年間700万円の利益をあげるなど、現役トレーダーとしても活動している。
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