全研本社IPOレポート

【目次】
①️全研本社IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(6/1追加)

会社名
全研本社株式会社
コード
7371
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 林 順之亮 / 1965年生
会社住所
東京都新宿区西新宿六丁目18番1号
住友不動産新宿セントラルパークタワー
設立年
1978年
社員数
392人(2021年3月31日現在)
事業内容
インターネットを利用する各種デジタルメディアの企画・開発・制作・運営管理・コンサルティング業、語学教室・研修等の企画・開催・運営、不動産賃貸業、これら附帯関連する一切の業務
URL
https://www.zenken.co.jp/
資本金
56,050,000円 (2021年5月14日現在)
上場時発行済み株数
11,810,000株
公開株数
3,280,200株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/05/28→1,290~1,350円に決定
ブックビルディング期間:2021/05/31 - 06/04
公開価格決定:2021/06/07→1,350円に決定
申込期間:2021/06/08 - 06/11
上場日:2021/06/16→初値1,506円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
大株主
吉澤信男 69.15%
林順之亮 14.12%
松島征吾 2.76%
本村建 1.31%
松尾陽二 1.23%
鷲谷将樹 1.05%
上奥由和 1.03%
岡野健二 0.91%
保科衛 0.91%
横井文一 小室博人 鈴木徹 0.91%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/06 単体実績 
5,458,565 290,386 653,334 7,554,093
2019/06 連結実績 
6,410,990 639,834 1,012,630 8,633,649
2020/06 連結実績 
5,827,437 754,598 377,223 8,982,478
2021/03 第3四半期連結実績 
4,494,027 889,708 606,744 9,576,399
ロックアップ情報
吉澤信男、林順之亮、松島征吾、保科衛、小室博人、鈴木徹、松尾陽二、本村建、上奥由和、鷲谷将樹は上場後180日目の2021年12月12日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
44億2827万0000円(3,280,200株×1,350円)
潜在株数(ストックオプション)
1,106,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
全研本社株式会社<7371>はWebメディアの運営などを行うITセグメント、法人向け語学研修などを行う語学セグメント、賃貸不動産の管理を行う不動産セグメントの3事業を展開する企業である。
 
全研本社
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

■事業内容詳細

同社は下記3事業を展開している。

・ITセグメント
・語学セグメント
・不動産セグメント


●ITセグメント
ITセグメントでは、顧客の商材やサービスに対し「コンバージョンに至る可能性の高い見込み客」を送客するためのWeb集客メディアをコンサルティング・制作・編集・運営を行う、コンテンツマーケティング事業を展開している。

美容/医療/健康関連、住宅関連、学校/資格関連といった、個人の関心が高いBtoC向け3業種を中心にあらゆる業種業態における“Web集客”ニーズに応えており、2021年3月末で運用メディア数は1,300件を超えている。同社ではWebサイトの制作にあたり、コンサルティングから制作・編集・運用までを一気通貫で制作できるサービス体制を構築しており、これにより高品質で専門性の高いメディアを年間約400~500件公開している。またライター募集メディア「ライターステーション」を運営しており、多数のライターを安定的に確保している。

尚、AIプロダクトを提供するAI事業及び、日本企業に対し海外の優秀なIT人材を紹介する海外IT人材事業も推進中である。
 
全研本社
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
全研本社
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●語学セグメント
語学セグメントではクライアントから受注した内容の語学研修を講師派遣する形で行う法人向け語学研修事業、ICTを活用したオンライレッスンを提供する中学高校向けオンライン英会話事業、英会話スクール事業など、幅広い語学教育事業を展開している。

●不動産セグメント
不動産セグメントでは、同社が所有するオフィス用ビル「全研プラザ」及び「Zenken Plaza Ⅱ」の賃貸を行っている。新宿駅から徒歩5分の立地にあり、不動産賃料が主な収益である。
 

■2020年6月期部門別損益

2020年6月期 売上高58億円(対前年同期比▲9.1%減)、営業利益7.5億円(同▲1.6%減)
・ITセグメント 売上高42億円(同10%増)、セグメント利益15億円(同1.4%増)
・語学セグメント 売上高12億円(同▲19%減)、セグメント利益▲0.8億円(前年同期▲0.5億円)
・不動産セグメント 売上高2.0億円(同16%増)、セグメント利益0.6億円(同▲40%減)

ITセグメントが売上全体の約7割を占める主力事業であり、同セグメントは対前年同期比で増収増益を果たした。

語学セグメントは新型コロナウイルス問題の影響を受け語学研修のキャンセル、英会話スクールの休校などの影響から減収及び赤字が継続。また不動産セグメントは増収減益となったが黒字を維持している。

ITセグメントは増収増益となったものの、他2事業の減益などから全体的には減収減益となった。
 

■業績推移

2018年6月期 売上高55億円、経常利益2.9億円、当期純利益6.5億円
2019年6月期 売上高64億円、経常利益6.4億円、当期純利益10億円
2020年6月期 売上高58億円、経常利益7.5億円、当期純利益3.8億円
2021年6月期 売上高61億円、経常利益13億円、当期純利益8.7億円
※2019年6月期より連結決算

近年は売上高60億円を前後する状況であるが、経常利益ベースでは増益が続いている。尚、2019年6月期は特別利益(関係会社売却延期3.8億円)の計上により当期純利益は10億円を突破した。

2021年6月期も増益が続き、経常利益は10億円の大台突破の予想である。2021年6月期Q3(累計)で売上高45億円、経常利益8.9億円であり、既に経常利益は前期通期を超えている。2021年6月期から成長が加速する予想となっている。
 

■財務状況

2020年6月期末時点で資産合計116億円に対し、純資産合計90億円、自己資本比率78%である。借入金12億円に対し現預金22億円を有しており、財務内容について特段の懸念事項はない。

自社ビルを有して不動産セグメントを展開しており、建築及び構築物14億円、土地60億円など有形固定資産75億円が計上されている。
 

■資金使途

IPOにより7.2億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。

・海外IT人材と日本企業をマッチングするメディアのプラットフォーム開発費 0.5億円
・上記メディアの広告宣伝費 1.5億円
・ITセグメントの事業拡大のための人件採用費及び人件費 5.2億円

調達資金の大半はITセグメントの事業拡大のための人件採用費及び人件費に充当される。

尚、公募600,000株に対し売出2,680,200株であり売出株の多いIPOである。売出は創業者である吉澤信男氏の保有株中心に行われる。
 

■株主構成

筆頭株主は創業者の吉澤信男氏であり株式シェア69%を有する。保有8,515,900株のうち2,400,000株を売出株に充当するが、売出後も筆頭株主は維持される。

第2位株主は林社長であり株式シェア14%(うち2.8%は潜在株式)を保有する。また個人中心の株主構成であり、ファンドや金融機関の株主参入はない。
 

■まとめ

Webメディアの運営などを行うITセグメント中心に、法人向け語学研修などを行う語学セグメント、賃貸不動産の管理を行う不動産セグメントの3事業を展開する企業のIPO案件である。

自社でWebのオウンドメディアを立ち上げるWebマーケティング手法がトレンドとなる中で、記事の執筆からWebメディアの運営までを一気通貫で手掛けるITセグメントが成長している。ライターステーションというライター向けサービスを自ら有しており、スピーディーで多彩な記事作成が可能である。

オウンドメディアを立ち上げるコンテンツマーケティングのトレンドは当面続くと予想される中で、IPOによる調達資金を活用して2021年6月期に加速した成長を維持できるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、ウェブ集客メディアをコンサルティング・制作・運用するコンテンツマーケティング事業を主軸として、海外IT人材事業、語学事業、不動産事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が159億円、2021年6月期の業績予想ベースのPERは18.4倍となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が約50億円とマザーズ上場としては規模が大きく、初値は公募・売出し株を買った個人投資家の売りが出ることが考えられることから需給は弱く前場の早い時間帯に付くと予想する。

セカンダリー市場においては、決算発表の開示のある8月中旬がひとつのターニングポイントになる可能性がある。ウェブマーケティング事業は競合も多く、売上の伸びがここ数年弱いが、来期の業績予想で増収増益が確認されれば買いが入る可能性がある。 成長性の観点としては、海外IT人材市場と考える。特にインドにおいて多くの大学と連携しており、結果が出始めることが確認されると株価に勢いがつくかもしれない。但し、長期的な視点で創業者の持株が市場に出て来る可能性があり、180日間のロックアップ明けに需給で弱含むことも念頭においておくべきだろう。