【目次】
①️Enjin IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(6/1追加)
- 会社名
- 株式会社Enjin
- コード
- 7370
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 本田幸大 / 1979年生
- 会社住所
- 大阪府大阪市北区梅田一丁目11番4号 大阪駅前第4ビル 9F 923-470
(最寄りの連絡場所)
東京都中央区銀座五丁目13番16号 ヒューリック銀座イーストビル 8F - 設立年
- 2007年
- 社員数
- 152人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- 法人/経営者、医療機関/医師向けPR支援サービスの提供及びマッチングプラットフォームの運営
- URL
- https://www.y-enjin.co.jp/
- 資本金
- 30,000,000円 (2021年5月14日現在)
- 上場時発行済み株数
- 7,000,000株
- 公開株数
- 2,500,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/05/31→1,300~1,380円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/02 - 06/08
- 公開価格決定:2021/06/09→1,380円に決定
- 申込期間:2021/06/10 - 06/15
- 上場日:2021/06/18→初値2,150円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 本田幸大 49.31%
- (株)S&Sホールディングス 49.31%
- 平田佑司 0.30%
- 多鹿晴雄 0.30%
- 湯浅直哉 0.20%
- 小川浩平 0.20%
- 廣瀬哲夫 0.10%
- 平田里佳 0.10%
- 寺崎祐樹 0.10%
- 添田繁永 0.10%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/05 単体実績
864,995 -2,553 -7,835 418,189 - 2019/05 単体実績
1,251,525 156,808 91,694 509,884 - 2020/05 単体実績
1,528,948 309,693 300,476 810,361 - 2021/02 第3四半期単体実績
1,546,643 414,705 270,593 1,080,954 - ロックアップ情報
- 本田幸大、株式会社S&Sホールディングスは上場後180日目の2021年12月14日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 34億5000万0000円(2,500,000株×1,380円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 84,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社Enjin<7370>は中小・中堅企業、医療機関を対象としてPR支援サービスなどを手掛ける企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容詳細
同社は主に中小・中堅企業、医療機関を対象としたPR支援サービスと、顧客とメディアまたは決裁者をつなぐプラットフォームサービスを提供している。
専任の広報担当者がおらず総務などとの兼務が殆どの中小・中堅企業では、PR業務に十分な時間を割けず広報担当者単独でPR効果を生み出すことは難しい。同社はそのような顧客に広報パートナーとして寄り添い、ともに成長するスタンスである。
同社は幅広い業界に対するPRノウハウを生かし、TV・新聞等の他社既存メディアやオウンドメディア、プラットフォーム等のサービスの提供において徹底したマニュアル化と制作運用パッケージ化を行うことで、PRサービスを安価に顧客に提供できる仕組みを構築している。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■提供サービス
同社では創業から培ったメディアネットワークを駆使し、中小・中堅企業、医療機関を対象としてPR支援サービスを提供している。外部CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)として、オウンドメディアである「KENJA GLOBAL」、「覚悟の瞬間」、「Qualitas」等を中心に複数のメディア媒体の中から顧客のニーズに合わせて露出のサポートを行う。
収益モデルとしては、顧客が希望するメディアへの露出を獲得した場合にのみ料金が発生する成功報酬型ビジネス、月額課金型プラットフォームビジネスの2つのモデルを展開している。成功報酬型でメディアへの露出・掲載が可能であり、これまでPRに馴染みの少ない中小・中堅企業、医療機関におけるPRニーズの潜在市場の開拓ができる。
またメディア関係者と中小・中堅企業、医療機関の広報担当者のマッチングをPC・スマートフォン上で行うことができるサービス「メディチョク」も展開する。「メディチョク」では、PC・スマートフォンから自社の情報発信を直接的にメディア担当者に行うことができる。
更にBtoB向けサービスを提供する企業、富裕層ビジネスを展開する企業等を対象に、プラットフォームを利用した決裁者と顧客を直接つなぐアポイントマッチングサービス「アポチョク」(月額利用料のみの徴収)も展開する。「アポチョク」では、顧客が自社のサービスを必要としている決裁者とのアポイントのマッチングが可能である。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■2020年5月期サービス別売上高
2020年5月期 売上高15億円
・法人/経営者向けPR支援サービス 11億円(割合74%)
・医療機関/医師PR支援サービス 4.0億円(同26%)
・メディチョク 0億円(同0.3%)
法人/経営者向けPR支援サービスが売上全体の7割以上を占めている。尚、メディチョクの売上高は4百万円に留まる。
また同社の売上総額に占める「KENJA GLOBAL」及び「覚悟の瞬間」等の自社オウンドメディアに係る売上高の割合は、2019年5月期40%、2020年5月期37%であり、同社売上総額の約4割を占めている。
■業績推移
2018年5月期 売上高8.6億円、経常利益▲0億円、当期純利益▲0.1億円
2019年5月期 売上高13億円、経常利益1.6億円、当期純利益0.9億円
2020年5月期 売上高15億円、経常利益3.1億円、当期純利益3.0億円
2021年5月期(予想) 売上高21億円、経常利益5.0億円、当期純利益3.2億円
順調に増収を続けており2019年5月期に黒字化した。2020年5月期には売上高15億円、経常利益3億円の大台に到達している。
2021年5月期は売上高20億円の大台に到達して、経常利益も増益予想である。2021年5月期Q3(累計)は売上高15億円、経常利益4.1億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年5月末時点で資産合計15億円に対し、純資産合計8.1億円、自己資本比率56%である。借入金なく現預金10億円を有しており、財務内容に対して特段の懸念事項はない。尚、資産合計15億円のうち現預金10億円を始め流動資産13億円であり、同社資産の殆どは流動資産で構成されている。
■資金使途
IPOにより17億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・採用活動費 1.1億円
・人件費 15億円
・広告宣伝費 1.0億円
業容拡大に伴う人員増加を計画しており、営業人員を中心とする人件費に調達資金の大半は充当される。
公募株数1,000,000株に対し売出株数1,500,000株であり、売出株数の多いIPOである。売出株は全て本田社長の所有株から充当される。
■株主構成
本田社長が筆頭株主であり株式シェアの49%を有している。また本田社長と同率1位の株式会社S&Sホールディングス(株式シェア49%)は本田社長の資産管理会社であり、本田社長の関係先で株式シェアの90%以上が保有される安定的な株主構成である。
個人中心の株主構成であり、ファンドや金融機関の株主参入はない。
■まとめ
中小・中堅企業、医療機関を対象としてPR支援サービスなどを手掛ける企業のIPO案件である。
専任のPR担当者を置くことができない中小・中堅企業、医療機関に対し、同社が外部CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)として、複数のメディア媒体の中から顧客のニーズに合わせて露出のサポートを行う。成功報酬の料金体系も導入することで、資金力に限界のある中小・中堅企業でもサービス導入のハードルを下げている。着実に増収増益を続けており、2021年5月期も対前年同期比で増収増益予想である。
新型コロナウイルス問題の影響がある中でも、継続的に増収増益が続いている。広告投資は企業の景気状況に大きく左右されるが、過度に企業の景況感に左右されることなく成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、法人・経営者、医療機関・医師向けPR支援サービスの提供およびマッチングプラットフォームの運営を事業として展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額で97億円、2021年5月期の業績予想ベースのPERは29.8倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金調達額が約40億円とマザーズ銘柄としては大型となっているため、公募・売出し株を買った個人投資家の売りを吸収して上値を追う展開とはなりにくい為、初値は前場に付くと考えられる。
セカンダリーマーケットにおいては、当社は5月決算なので、7月中旬には来期の業績予想が出てくるが、今期においても、第三四半期において、通期の予想をかなり進捗しており、来期も増収増益基調を保持すると考えられる。もし、初値が前場の相当早い時間に付いたならチャンスかもしれないが、6月は後半にIPOが多いので、需給で株価が弱む可能性も見ておくべきだろう。また、当社は社長である本田氏が発行済株式のほとんどを支配しているが、売出しで約20億円を得ており、当面は市場での売却はないと推測され、ロックアップ明けにおいても、当面大きな需給の緩みは無いと推測される。