初値の値上がりが期待され人気の投資手法であるIPO投資、その高い人気ぶりから既にIPO投資に挑戦している方や口座開設を検討している人も多いだろう。しかしIPOを取り扱う証券会社は多くあり、どの証券会社で口座開設を行えばよいか迷うことも多々ある。そこで今回はSMBC日興証券を紹介しよう。
目次
日本3大証券の一角SMBC日興証券
SMBC日興証券は「野村證券」 、「大和証券グループ」 と並び日本3大証券の一つを構成する総合証券会社だ。同社は過去に日興シティグループ証券や日興コーディアル証券など度重なる社名変更があり、一時はアメリカ金融大手シティグループの傘下にあったが、現在は三井住友フィナンシャルグループの100%子会社となっている。
SMBC日興証券の特徴は、日本3大証券の規模を誇る全国店舗での対面営業を主体にしているという点である。ネット証券が台頭している現在でも同社は対面営業に強い。三井住友フィナンシャルグループの傘下ということもあり、証券事業と銀行事業の連携にも力を注いでいる。
多くの方はSMBC日興証券のイメージとして昔ながらの対面営業のみの証券会社であると思われているかもしれないが、近年ではインターネットでの証券取引にも注力している。インターネット取引を中心に行う場合は、担当者はつかないものの、手数料の安さが魅力の口座開設も可能だ。
SMBC日興証券では全国に広がる店舗網を生かして、さまざまなセミナーを各地の支店や会場で実施している。各地の支店で参加が可能ということもあり、セミナーに参加しさまざまな情報を得たい方、投資について勉強したいという方にもおすすめの証券会社だ。
IPO取り扱い実績
SMBC日興証券の2018年のIPO取り扱い銘柄数は71社であった。2017年も71社であった。そのうち主幹事証券を務めた銘柄数は11社である。主幹事証券を務める場合は、一般的にIPO株の多くを主幹事証券で販売するため、主幹事証券でのIPO当選確率は引受幹事証券などと比べ高くなる場合が多い。
2016年のIPO取り扱い銘柄数は71社であり、同社が主幹事証券となった銘柄は14社あった。2015年のIPO取り扱い銘柄数は72社で、主幹事証券を務めた銘柄は21社であった。これらのIPOの取り扱い実績をみても、取り扱い銘柄数が非常に多いのが特徴だ。取り扱い銘柄数だけでなく、主幹事証券を引き受けた銘柄数もかなり多い。
同社が取り扱ったIPO株について個別に少し紹介しよう。2017年のIPOでは同社は71社の銘柄を取り扱った。個別銘柄では佐川急便を展開する「SGホールディングス」や回転寿司大手スシローを展開する「スシローグローバルホールディングス」等の大型銘柄のIPOも手掛けるなか、ラーメン専門店一風堂を展開する「力の源ホールディングス」といった中小型株のIPOも多く取り扱っている。
2016年は大型IPOとして「LINE」や「九州旅客鉄道」が話題となった。SMBC日興証券では両社とも取り扱いを行ったが、特に九州旅客鉄道では共同主幹事証券の役目を果たすなど、IPOに強いSMBC日興証券であることがうかがえる。
コースによって違うIPOの抽選方法
SMBC日興証券でのIPO株の抽選については口座種類によって抽選のルールを変えている。同社で新規に口座を開設するには、担当営業員が付くいわゆる対面取引の「総合コース」、担当営業員が付かないインターネット取引主体である「ダイレクトコース」の2種類から希望のコースを選択する必要がある。それぞれのコースでIPOの抽選方法が違うので個別に解説しよう。
総合コースではSMBC日興証券で取り扱うIPO株の85%が割り振られる。つまり同社取り扱いのIPO株のうち、全体の約9割が対面取引の顧客のみに配分されるのだ。IPOの抽選方法については、多くの対面系証券会社で優良顧客に優先的に配分するという慣習が存在するが、同社もそれを行なっている。
SMBC日興証券の対面顧客へのIPO株配分の基本方針として以下のように記載されている(以下抜粋)。
・当社とのお取引を中心に資産運用を行っていただいていること
・当社とのお取引の維持拡大が期待できること
つまり同社の口座で頻繁に取引を行う方、今後さらなる取引が見込める優良顧客を中心にIPOの配分をするということである。
一方でインターネット取引が主体のダイレクトコースでは、SMBC日興証券に割り当てられるIPO株全体の10%をめどに配分され抽選がなされる。抽選方法は対面取引の口座である総合コースとは違い、同一条件の下、同一確率での抽選となる。
つまりダイレクトコース口座の場合は普段からSMBC日興証券を利用している顧客も、普段はあまり利用していない顧客も当選確率は全員等しいということになる。さらに2019年からは、ダイレクトコースのみの「IPO優遇特典」として、最初の抽選に漏れた人を対象にした抽選も始まった。これはIPO株の最大5%が対象となり、資産残高に応じて割り振られるステージごとに当選確率の違う抽選が行われる。当選確率は当然口座の残高が多いほうが高くなる。
手数料体系は?
SMBC日興証券でIPO株の売買を行う場合の手数料を見てみよう。幸運にもIPO株の抽選に当選した場合、IPO株が購入できるが、その際の購入手数料は無料となっている。総合コース、ダイレクトコースともに口座の種別に関係なく購入の場合は手数料がかからず購入代金のみ支払うだけでよいのだ。
続いてIPO株を売却する場合の手数料については、通常通りの株式売却となり、SMBC日興証券が定める通常の売買手数料が発生する。株式の売買手数料は総合コース、ダイレクトコースそれぞれに口座ごとに異なる。
・総合コース株式売買手数料
約定代金/基本手数料
~100万円/1.265% (最低5500円)(税込)
~200万円/0.99% +2750円(税込)
~300万円/0.88% +4950円(税込)
~400万円/0.825% +6600円(税込)
~500万円/0.77% +8800円(税込)
~1000万円/0.66% +1万4300円(税込)
~2000万円/0.605% +1万9800円(税込)
~3000万円/0.55% +3万800円(税込)
~5000万円/0.33% +9万6800円(税込)
~1億円/27万5000円(税込)
~5億円/33万円(税込)
~10億円/38万5000円(税込)
10億円超/44万円(税込)
上の表は総合コースの支店へ株式注文した場合の手数料だ。パソコンやスマートフォンでの注文の場合は支店への注文より30%、オペレーターへ注文した場合は支店への注文より15%それぞれ手数料の割引がある。
・ダイレクトコース株式売買手数料
約定代金/手数料
~10万円/137円(税込)
~20万円/198円(税込)
~30万円/275円(税込)
~50万円/440円(税込)
~100万円/880円(税込)
~200万円/1650円(税込)
~300万円/2200円(税込)
~500万円/3300円(税込)
~1000万円/4950円(税込)
~2000万円/9900円(税込)
~3000万円/1万6500円(税込)
5000万円超/2万7500円(税込)
上記の表はダイレクトコースでパソコンやスマートフォンから注文・発注した際の手数料だ。SMBC日興証券は対面系証券会社ではあるが、ダイレクトコースでインターネット上から注文・発注した場合は手数料が137円~と低価格に設定されている。
SMBC日興証券でのIPOの魅力
SMBC日興証券でのIPO投資にはさまざまな魅力が存在する。第一にIPOについて豊富な数の取り扱い銘柄がある点だ。2017年の株式市場全体のIPO銘柄数は90社。その中で同社が取り扱ったIPOは71社と全体の約79%の銘柄にも及ぶ。同社で口座開設をし、IPOの抽選に申し込むことで、より多くの銘柄に申し込めるということだ。
抽選方法が口座の種類別に違うという点も魅力の一つであろう。優良顧客に優先的にIPO株を配分する総合コース、平等に抽選されるダイレクトコースと、投資家の取引形態や資産に合わせたコースを選べるので、自分にあった方法でIPOの抽選に挑戦することが可能だ。
頻繁にSMBC日興証券で支店との取引がある方や今後予定がある方は、総合コースの口座でIPOを申し込むことでIPO株を優先的に配分してもらえる可能性もある。
一方でほとんど同社と取引がない場合でもダイレクトコースでIPO抽選に申し込めば、どんな顧客も同一の当選確率となっているので、誰にでもIPO株に当選する可能性がある。
年間のIPO取り扱い銘柄数が多く、それぞれに適した口座でIPOに申し込めるという点がSMBC日興証券の魅力なのだ。
口座開設方法
SMBC日興証券で口座開設をする主な方法は3つだ。1つ目は同社のホームページ上で必要事項を記入し、必要書類をアップロードまたは郵送することで口座開設を行う方法だ。この方法はダイレクトコースの口座開設のみ対応している。
2つ目の方法は申し込み書類を取り寄せて記入し、郵送で送り返す方法だ。申込書類の取り寄せ方法はインターネットと電話での請求が可能となっている。この方法ならダイレクトコース、総合コースどちらの口座も開設可能だ。
3つ目の方法は支店で口座開設をする方法だ。自宅の最寄りの支店に来店することでダイレクトコース、総合コースどちらの口座も開設が可能である。
主幹事も多く務め、IPO取り扱い銘柄が非常に多いSMBC日興証券での口座開設、IPO投資を検討してみてはいかがだろうか。 (右田創一朗、元証券マンのフリーライター)
8月のIPO銘柄を紹介:株式会社クラシコム<7110>
会社名 | クラシコム |
市場・コード/業種 | グロース・7110/小売業 |
上場日 | 8月5日 |
申込期間(BB期間) | 7月25日~8月2日 |
おすすめ証券会社 |
SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券(旧:カブドットコム証券)、SBIネオトレード証券(旧:ライブスター証券)、DMM.com証券 ※委託販売の配分がなかったため取扱中止、みずほ証券(主幹事)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(主幹事)、いちよし証券 |
フィスコ分析による 市場の注目度 | ★★★(最高★5つ) |
株式会社クラシコム<7110>は8月5日に東証グロース市場に上場予定の、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」の運営を行い服飾雑貨等の販売を行う企業である。
同社は2006年9月の設立後、2007年9月に自社ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開設して、北欧ヴィンテージ食器の販売を開始した。以降、北欧雑貨の取扱い(2008年8月)、オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」のアパレル・雑貨販売本格化(2017年3月)、「北欧、暮らしの道具店」アプリリリース(iOS版2019年11月、Android版2020年4月)を経て、現在に至っている。
業績は下記の推移である。
2020年7月期 売上高34億円、経常利益5.6億円、当期純利益3.7億円
2021年7月期 売上高45億円、経常利益7.9億円、当期純利益5.7億円
2022年7月期(予想) 売上高51億円、経常利益8.3億円、当期純利益5.5億円
増収増益が続いているが、もう1点注目すべきは利益率の高さである。2021年7月期の経常利益率は17%であり、ECサイト運営事業者としては非常に高い。決算の開示がある2017年7月期以降、高い利益率で黒字が維持されている。また、2021年7月期の自己資本比率も70%であり非常に高い。なお、株主は青木社長(株式シェア75%)、佐藤取締役(同20%)など個人株主のみである。
YouTubeやSNSの積極的な活用で、「北欧、暮らしの道具店」は独自の世界観を構築し、高い利益率を維持してで成長が続いている。IPO後も高い利益率を維持しながら成長を続けることが出来るのか、という点が今後の注目ポイントになると考える。
プロフィール
・石井僚一
金融・投資ライター
大手証券グループ投資会社への勤務を経て、個人投資家・ライターに。 株式市場の解説や個別銘柄の財務分析、IPO関連記事を得意としている。株式会社ZUUでは長くIPO記事を担当。
複数媒体に寄稿しており、Yahoo!トップページに掲載実績あり。
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