【目次】
①️TORICO IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社TORICO
- コード
- 7138
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 小売業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 安藤 拓郎 / 1973年生
- 会社住所
- 東京都千代田区飯田橋二丁目3番6号
- 設立年
- 2005年
- 社員数
- 65人(2021年12月31日現在)
- 事業内容
- コミックの全巻売りECサイト「漫画全巻ドットコム」の運営及びマンガ・アニメ関連グッズの販売などを行う各種マンガ事業
- URL
- https://www.torico-corp.com/
- 資本金
- 121,456,000円 (2022年2月16日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,208,400株
- 公開株数
- 150,000株
- 連結会社
- 3社
- スケジュール
- 仮条件決定:2022/03/04→1,500~1,700円に決定
- ブックビルディング期間:2022/03/07 - 03/11
- 公開価格決定:2022/03/14→1,700円に決定
- 申込期間:2022/03/15 - 03/18
- 上場日:2022/03/23→初値2,510円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:東海東京証券
- 大株主
- 安藤拓郎 36.47%
- 石井昭 14.93%
- テクノロジーベンチャーズ3号投資事業
有限責任組合
無限責任組合員
伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(株) 11.74% - 鯉沼充 10.66%
- 三菱UFJキャピタル5号投資事業
有限責任組合
無限責任組合員
三菱UFJキャピタル(株) 5.06% - AJC企業育成投資事業
有限責任組合
無限責任組合員
AJキャピタル(株) 4.19% - (株)A 2.94%
- SuMi TRUSTイノベーション投資事業
有限責任組合
無限責任組合員
SBIインベストメント(株) 2.85% - 日本アジア投資(株) 2.55%
- SMBCベンチャーキャピタル1号投資事業
有限責任組合
無限責任組合員
SMBCベンチャーキャピタル(株) 1.76% - 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/03 単体実績
2,813,731 -35,007 -37,802 447,942 - 2020/03 連結実績
3,173,891 -28,628 -2,730 434,905 - 2021/03 連結実績
4,991,170 273,669 254,307 689,212 - 2021/12 第3四半期連結実績
4,090,074 182,193 120,870 961,254 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2022年6月20日まで
または、上場後180日目の2022年9月18日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×公開価格)
- 2億5500万円(150,000株×1,700円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 204,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社TORICO<7138>はコミックの全巻セットに特化したネット書店「漫画全巻ドットコム」の運営、デジタルコミック配信サービス「スキマ」、「MANGA.CLUB」、イベントサービスなどを展開する企業である。
■事業内容詳細
同社は下記3サービスを展開している。
・ECサービス
・デジタルコミック配信サービス
・イベントサービス
●ECサービス
ECサービスでは1巻から最終刊までの全巻セットのみを販売するECサイト「漫画全巻ドットコム」を運営中。同サイトでユーザーは最新コミックから往年の名作までを簡単に購入でき、最短当日発送がなされる。
2021年12月末時点で会員数は441,284である。
なお、「ホーリンラブブックス」(女性向けネット書店)、「まんが王」(男性向けネット書店)のネット書店の運営も手掛けている。
●デジタルコミック配信サービス
デジタルコミック配信サービスでは日本語の電子コミックを配信するサイト「スキマ」と英語版の電子コミックを世界に配信するサイト「MANGA.CLUB」の両者を運営中。
「スキマ」は電子コミック配信サイトとして、Web/アプリ、スマートフォン/タブレット/PCを問わない柔軟な閲覧が可能で、2021年12月末時点で2,964,122の会員数である。
有料配信に加えて、無料閲覧+広告の収益モデルとなっている。
●イベントサービス
イベントサービスでは、同社は東京池袋、東京渋谷、大阪谷六の国内3店舗の常設のマンガ展(コラボカフェ)を運営中。なお、名古屋には2022年3月、台湾には2022年春に新規出店予定である。
常設店舗にて1コンテンツ約2週間の期間限定イベントを毎月2回程度開催し、マンガ原画展示、コラボフード/ドリンク提供、同社限定グッズ販売が行われている。
■紙コミック市場及び今後の事業展開について
同社の主力ビジネスが属する過去4年間における国内コミック市場の売上高は下記となっている。
電子コミック市場が拡大の一方で、紙コミック市場は微減の状態が継続中。2020年度は「鬼滅の刃」の映画及びコミックの大ヒットによる一時的な拡大を見せたが、少子高齢化が進む日本において今後も紙コミック市場の微減状態は続くと予想される。
同社はECサービスでの継続的な事業拡大と認知度向上による更なる成長、デジタルコミック配信サービスでの安定的な利益計上と他サービスへの送客への貢献、イベントでの国内外出店促進やグッズEC拡大・海外イベント事業拡大・海外新規サービスの創出により成長を図る計画である。
■業績推移
2019年3月期 売上高28億円、経常利益▲0.4億円、当期純利益▲0.4億円
2020年3月期 売上高32億円、経常利益▲0.3億円、当期純利益▲0.0億円
2021年3月期 売上高50億円、経常利益2.7億円、当期純利益2.5億円
2022年3月期(予想) 売上高51億円、経常利益2.2億円、当期純利益1.4億円
※2020年3月期から連結決算
増収が続く一方で2020年3月期までは赤字が継続した。ただし2021年3月期は売上高50億円、経常利益2.7億円となり一気に黒字化した。
2022年3月期は売上高51億円、経常利益2.2億円の増収かつ若干の減益予想である。
2022年3月期(Q3累計)は売上高41億円、経常利益1.8億円であり通期予想達成に向けた進捗は順調。2021年3月期の業績拡大にともない人員を増強の結果、人件費等の増加があり若干の減益を見込んでいる。
■財務内容
2021年3月期末時点で資産合計15億円に対し、純資産合計6.9億円、自己資本比率46%である。借入金1.6億円に対し現預金5.5億円を有している。
資産合計15億円のうち、現預金5.5億円、商品4.9億円、売掛金3.3億円など流動資産合計14億円であり、資産のほとんどが流動資産により構成されている。
■資金使途
IPOにより1.0億円の資金調達を行い、エンジニア増員費用(0.3億円)と事業拡大に伴う在庫拡充資金等(0.6億円)に調達資金は充当予定である。
公募50,000株に対し売出100,000株であり、売出の多いIPOである。売出はVC保有株にて行われる。
■株主構成
安藤社長が筆頭株主であり株式シェアの36%(うち8.6%は潜在株式)を保有する。また第7位株主の株式会社A(株式シェア2.9%)は安藤社長の資産管理会社であり、安藤社長の関係先で株式の39%が保有されている。
第3位株主のテクノロジーベンチャーズ3号投資事業有限責任組合(同12%)以下、多数のVCが株主参入しておりVCシェアは約3割である。なお、VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
■まとめ
コミックの全巻セットに特化したネット書店「漫画全巻ドットコム」の運営、デジタルコミック配信サービス「スキマ」、「MANGA.CLUB」、イベントサービスなどを展開する企業のIPO案件である。
ネット書店「漫画全巻ドットコム」やデジタルコミック配信サービスの伸びと共に増収が続いたが、2020年3月期までは赤字が継続した。しかし2021年3月期に売上高50億円、経常利益2.7億円となり損益分岐点を超えて一気に黒字化した。電子コミック市場は2019年に紙コミック市場を逆転しており、コミック市場全体が伸びる中で、同社も市場拡大の後押しを受け成長を果たしている。
2022年3月期は増収及び若干の減益となる。IPO後どのようなスピード感で成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、コミックの全巻売りEC サイト「漫画全巻ドットコム」の運営及びマンガ・アニメ関連グッズの販売などを行う各種マンガ事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が20億円、2022年3月期の業績予想ベースのPER14.2 倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が3億円程度と少ない為、需給面の心配はなく、市場が正常なら、初値は前場の遅い時間帯もしくが後場まで持ち越される可能性が高いが、ここのところの市場の乱高下に巻き込まれると寄付き後に売り気配となることもあり得る。
セカンダリーマーケットにおいては、決算発表の5月中旬頃になると、株式市場も落ち着き、来期の業績が増収増益で発表されると、素直に好感されて、業績の伸び以上に株価は反応すると見る。注意すべきは、上場後もVCが発行済株式数の23.5%保有しているので、ロックアップ明けに売りが出てくるはずで、そのタイミングが上場後の株価の底になるかもしれない。中長期的には、日本のアニメ・漫画は、海外でも人気で事業の成長性はあるので、海外展開が実ってくると業績の伸びに勢いが出てくるのではないだろうか。