Facebookを利用している人も多いだろう。世界最大級のSNSといわれるFacebookが発表した暗号資産のことを「リブラ」という。まだ計画段階だが、2019年6月に合弁会社リブラ協会が発足し、その全容が明らかになった。
この記事では、リブラについて実用化の可能性や特徴などについて、詳しく解説する。
仮想通貨リブラとは
リブラは、当初は2020年には実装化を進めると表明していた。しかし2021年5月現在、その計画は見直しが進められている。名称も「Diem(ディエム)」に変更される予定だという。ちなみにこちらの名称、「日」というラテン語がルーツになっていると言われている。
軌道修正が必要になった背景には規制当局からの反発がある。当初は、世界中で実際の通貨のように買い物できるようなコインを想定していた。複数の法定通貨によって構成されたバスケットで裏付けも得ようという計画を立てていた。
ところがこのプランを発表すると、金融の安定性に危険を生じさせると懸念した当局から反発を呼んだ。その結果プロジェクトの規模を限定的にして、複数ではなく単一の法定通貨もしくは資産によって裏付けられたコインを複数発行するという構想となり、現在に至っている。
リブラの価格やチャート
上述したような背景もあり、リブラは2021年5月段階でまだ発行されていない。万が一「リブラを購入できる」という謳い文句の出ている取引所や販売所があれば、それは詐欺の可能性が高いので注意が必要だ。
ただしリブラが実際に発行されれば、海外を中心に複数の取引所で上場される可能性が高いだろう。Facebookの発行している暗号通貨ということで信頼性が高いと考えられるからだ。
リブラの将来性は?
リブラのプランが発表されたときには大きな期待を集めた。リブラの運営母体はリブラ協会であることはすでに紹介した。その協会の参加メンバーは錚々たる顔ぶれだった。28社が参加しているのだがVISAやSpotify、Uberなど日本でも広く知られている有名企業が参加している。これだけの大手が参加したことで、かなり信用できる仮想通貨ということで投資家の関心を集めた。
その後創立メンバーが何社か撤退を表明した。しかし実装化までに100社程度のメンバー獲得を目指すと表明している。実際にこれだけのメンバーを集めることができれば、さらに注目の存在になると考えられる。
Facebookが母体になっていることも将来性の高さを裏付けている。数あるSNSでもユーザー数が世界トップクラスである。日本でも約2,600万人のユーザーを抱えているSNSだ。しかも先進国から新興国まで幅広い地域で利用されているツールでもある。Facebookのユーザーが全員、リブラを運用するとは限らない。しかし潜在ユーザー数が多いので、上場していきなり高値を記録することも十分期待できる。
利便性の高さも期待されている根拠の一つである。Messengerというメッセージアプリを使った送金も可能になるといわれている。手軽にコインのやり取りができれば、ビットコインと比較しても引けを取らない実用性の高い仮想通貨になるかもしれない。
リブラの過去の高騰とこれからの高騰
これまで何度か紹介してきたように、リブラは2021年5月現在実装化されていない。このため、過去に高騰した記録はない。ただしほかの仮想通貨にはないリブラの特徴として、価格変動が起こりにくいシステムになっている点に着目したほうがいいだろう。つまり今後高騰する可能性は低いが、急落するリスクも少ないと言われており、安定した運用が期待できる。
リブラ協会の声明によると市場に出回っているリブラの時価総額よりも多くの資産を常に保有する構造にする予定だという。もしリブラがマーケットに多く出回り価格が下落したら、リザーブ資産で買い戻しを行う。こうすることでリブラの価格が一定以上に値下がりしないように下支えを行う形になる。
逆にリブラの価格が高騰局面に入った場合、リザーブ資産を市場に流す。供給量を増やすことで、急騰しないように調整を行う予定だ。高騰しない代わりに急落もしないので、中長期的な安定した運用を希望している人にはおすすめの仮想通貨になるかもしれない。
リブラは裏付けのある仮想通貨である点も、値動きが安定しやすい根拠の一つである。ステーブルコインといって、法定通貨と一定のレートで交換できるような暗号通貨を目指している。こちらも投資家が安定して購入できる理由といえるだろう。
さらにリブラは、銀行口座を持たない人に金融インフラの恩恵をもたらすと期待されている。途上国を中心に世界の人口の1/3は銀行口座を持っていないといわれている。このような人もリブラがあれば、スマホなどの電子機器で送金や売買ができるようになるからだ。彼らがこぞってリブラを購入するようになれば、値上がりする可能性も高いと考えられる。その意味でもリブラは将来性の高い仮想通貨といえるだろう。
リブラを保有するメリットとデメリット
銀行を介さず送金できる
銀行口座がなくても送金できることで、余計なコストがかからなくなるのもメリットの一つだ。自分の口座から別のところに振り込む場合、送金手数料がかかる。もし海外の知り合いに送金するとなると、その手数料も必要になるだろう。また口座を維持するだけでも手数料が発生するかもしれない。
しかしリブラであれば、スマホ一つあれば送金が可能だ。口座を持つ必要がなくなり、手数料も金融機関を介した方法と比較して大幅に圧縮できるだろう。また送金した際、相手の口座に反映するまでに時間がかかる。リブラの場合、リアルタイムで入金反映される可能性が高く、利便性の恩恵も受けられるだろう。
セキュリティが未知数
リブラにはメリットがある半面、デメリットやリスクも懸念されている。2020年7月12日には国際通貨基金がリブラをはじめとしたデジタル通貨に関する報告書をまとめた。その中でリスクに関する指摘がなされた。まずはセキュリティに関する問題だ。リブラ利用者のデータ流出の懸念があり、プライバシー保護の観点の危険性があると言われる。またマネーロンダリングに悪用される危険性も指摘されている。本名を出さなくても複数のアカウントを設立できる可能性があるからだ。
金融政策の恩恵が受けられるかも未知数
またリブラ協会が準備預金制度の対象になるかどうか不透明なところもリスク要因といわれている。もし対象外になってしまうと、金融政策が施行されても効果が波及しないかもしれない。金融政策の恩恵が受けられないと、ユーザーにとってはデメリットになりうる。このような問題点に対して、リブラ協会がどう答えるかが今後のポイントになるだろう。
リブラの取引におすすめの取引所とは?
リブラはまだ実用化されていない、まだマーケットで売買されていないので2021年5月時点で購入できる取引所はない。もし上場された場合、コインチェックやbitFlyerに口座があると購入できるかもしれない。コインチェックの運営母体はマネックスグループだが、こちらがリブラ協会への参加を表明しているからだ。もしリブラが一般で売買されるようになれば、コインチェックでも早い段階で取り扱い開始される可能性がある。
マネックスグループは東証一部上場企業である。コインチェックも金融庁から登録を受けているため、安心して利用できるだろう。パソコンでもスマホでも操作性に優れ、扱いやすいとユーザーの間でも評判である。もしリブラの運用に興味があれば、コインチェックに口座開設しておくのがおすすめだ。
国内と比較して、海外取引所の方が新規通貨をいち早く取り扱う傾向がみられる。もしだれよりも早くリブラを購入したければ、海外取引所にアカウント登録するのも一つの選択肢だ。海外取引所の場合、語学力に自信がなければ日本語対応しているところから選んだほうがよいだろう。
リブラ協会から直接購入する方法も用意されると言われている。しかしこれはほとんどの人にとって非現実的な方法になるだろう。というのも直接発行を受けるには、条件が設定されているからだ。約10億円程度の現金と2,000万人のユーザーが必要である。あくまでもある程度の規模を誇る事業者を対象にしていて、個人向けのシステムではない。
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これからも注目が集まる仮想通貨のリブラ
まだ実際に市場に出回っていないので、リブラに関してまだまだ不透明なところも多い。しかしやはりFacebookが運営する仮想通貨ということもあって、世界中の投資家の関心を集めているのもまた事実である。
システム的に価格変動が少なく安定した値動きになるようなメカニズムを採用しているので、中長期的な運用にも適している。またスマホ一つで送金できる手軽さから、口座を持たない途上国の人々の間で人気になるポテンシャルも有している。リブラ協会への参加を表明しているコインチェックなどは今後取り扱う可能性が高いので、定期的に動向を確認してみてはいかがだろうか。