【目次】
①️オキサイドIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/24追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/17追加)
- 会社名
- 株式会社オキサイド
- コード
- 6521
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 電気機器
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長(CEO) 古川 保典 /1959年生
- 会社住所
- 山梨県北杜市武川町牧原1747番地1
- 設立年
- 2000年
- 社員数
- 155人(2021年1月31日現在)
- 事業内容
- 光学分野における酸化物単結晶、光部品、レーザ光源、計測装置などの開発・製造・販売
- URL
- https://www.opt-oxide.com/
- 資本金
- 405,500,000円 (2021年3月1日現在)
- 上場時発行済み株数
- 4,531,500株
- 公開株数
- 1,082,900株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/03/16→2,480~2,800円に決定
- ブックビルディング期間:2021/03/18 - 03/24
- 公開価格決定:2021/03/25→2,800円に決定
- 申込期間:2021/03/26 - 03/31
- 上場日:2021/04/05→初値6,540円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:水戸証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 大株主
- 古川保典 19.71%
- エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ(株) 7.21%
- (株)日立ハイテク 6.03%
- NTTファイナンス(株) 5.38%
- KLA-TENCOR(SINGAPORE)PTE, LTD 4.41%
- ティー・ハンズオン1号投資事業有限責任組合 4.31%
- KT VENTURE GROUP 2,L.L.C. 2.70%
- (株)ニコン 2.69%
- レーザーテック(株) 2.69%
- 山梨中銀経営コンサルティング(株) 2.64%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/02 単体実績
608,204 -124,780 -184,781 572,652 - 2019/02 単体実績
2,608,896 87,371 140,565 1,044,668 - 2020/02 単体実績
3,065,267 104,910 76,960 1,189,629 - 2020/11 第3四半期単体実績
2,287,895 67,086 48,892 1,250,071 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年7月3日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 26億8559万2000円(1,082,900株×2,480円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 864,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社オキサイド<6521>は単結晶・光部品・レーザ光源・光計測装置などの光学関連製品の開発・製造・販売を手掛ける、本社を山梨県北杜市に置く企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■沿革
同社は独立行政法人物質・材料研究機構(現、国立研究開発法人物質・材料研究機構)発のベンチャー企業として2000年10月に設立された。
複数の大手事業会社と資本・業務提携を行いながら、2005年以降複数回のM&Aを国内外で行い、製品開発と事業化に関するノウハウを蓄積している。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容詳細
同社は光学事業の単一セグメントで光学関連製品の開発・製造・販売を手掛けているが、下記3つの事業に区分されている。
・光計測・新領域事業
・半導体事業
・ヘルスケア事業
●光計測・新領域事業
光計測・新領域事業は国内外の光計測機器・光学製品メーカー及び大学等研究機関に向けて、単結晶・光部品(光デバイス)・レーザ光源・光学測定装置を開発・製造・販売している。
また同社では製造した光学単結晶を加工し、ウエハ、チップ、光部品、レーザ光源、計測装置までの開発・製造・販売を一貫して手掛けている。
●半導体事業
光計測・新領域事業では半導体ウエハの検査装置メーカー向けに、単結晶とレーザの開発・製造・販売を行っている。同社の単結晶とレーザは、販売先の最新機種に搭載されている。
単結晶とレーザには、半導体の微細化に伴う次世代製品の開発が常に求められており、同社では単結晶は2006年に開発を受託し2011年から量産を開始した。レーザは2011年に開発を受託し、2016年から量産に移行している。
尚、検査装置に搭載された単結晶やレーザは定期的なメンテナンス需要が発生し、概ね1~2年毎に劣化した単結晶や光学ユニットを交換する必要がある。よって検査装置の新規発売に伴い累積的に同社のメンテナンス売上も増加する。2020年2月期におけるメンテナンス売上高は同事業の2割強を占めている。
●ヘルスケア事業
ヘルスケア事業ではがんの診断に使用されるPET検査装置に搭載されるシンチレータ単結晶の開発・製造・販売を行っている。PET検査装置では、放射線を光信号に変換し画像化するためのシンチレータと呼ばれる材料が必要である。同社はシンチレータ単結晶を開発・製造しており、全身検査用PET検査装置におけるシンチレータ単結晶の世界市場の約20%のシェアを同社は有している。
■2020年2月期販売実績及び相手先別売上高
2020年2月期 売上高31億円(対前年同期比118%)
・光計測・新領域事業 5.8億円(同193%)
・半導体事業 13億円(同104%)
・ヘルスケア事業 12億円(同112%)
3事業のうち半導体事業とヘルスケア事業が売上高12~13億円であり、ほぼ同じ売上規模である。光計測・新領域事業は両事業の1/2程度の売上規模となっている。
2020年2月期相手先別売上高
・Marubeni Specialty Chemicals Inc. 12億円(割合38%)
・株式会社日立ハイテク 6.2億円(同20%)
上記2社で全体売上の約6割が計上されている。2019年2月期も同様の状態であり、両社が同社主力取引先となっている。
尚、半導体検査装置メーカーである株式会社日立ハイテクは、同社第3位株主(株式シェア6.0%)ともなっている。
■業績推移
2017年9月期 売上高18億円、経常利益0.9億円、当期純利益0.8億円
2018年2月期 売上高6.1億円、経常利益▲1.2億円、当期純利益▲1.8億円
2019年2月期 売上高26億円、経常利益0.9億円、当期純利益1.4億円
2020年2月期 売上高31億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.8億円
2021年2月期(予想) 売上高36億円、経常利益2.8億円、当期純利益2.5億円
2022年2月期(予想) 売上高43億円、経常利益4.2億円、当期純利益3.5億円
2018年2月期は決算期変更の影響から赤字となっているが、2017年9月期以降黒字で推移している。順調に増収を続けており、2020年2月期は売上高30億円の大台に到達した。ただし経常利益は1億円前後の状態が続いている。
2021年2月期は増収増益を予想しており、経常利益及び当期純利益が2億円の大台到達の予想である。また2022年2月期も増収増益は続き、経常利益は4億円台となる予想。
これまで増収は続いていたが、2021年2月期からは利益成長も予想されている。
■財務状況
2020年2月期末時点で資産合計57億円に対し、純資産合計12億円、自己資本比率21%である。借入金35億円に対し、現預金6.8億円などで流動資産26億円、機械装置19億円などで有形固定資産28億円となっている。
固定資産合計31億円であり、借入金にて固定資産がカバーされている状態である。
キャッシュ・フロー計算書において営業活動によるキャッシュ・フローは2019年2月期2.7億円、2020年2月期▲1.3億円となっている。2020年2月期は売上債権増額▲4.5億円、たな卸資産の増額▲2.4億円により営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなった。尚、減価償却費が2019年2月期1.6億円、2020年2月期2.1億円計上されている。
また投資活動によるキャッシュ・フローは2019年2月期▲11億円、2020年2月期▲5.1億円であり、積極的な有形固定資産取得(設備投資)により▲5~▲10億円規模の資金流出が続いている。
■資金使途
IPOにより22億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・第3工場(イリジウム坩堝等) 5億円
・第4工場(建屋、レーザー製造装置等) 12億円
調達資金は第3,第4工場(いずれも山梨県北杜市)の設備投資に大半が充当される。
■株主構成
古川社長が筆頭株主であり株式シェアの20%(うち8.5%は潜在株式)を有している。
第2位株主はNTTアドバンステクノロジ株式会社(株式シェア7.2%)。NTTグループは第4位株主のNTTファイナンス株式会社(同5.4%)も株主参入している。
主力取引先の株式会社日立ハイテクが第3位株主(同6.0%)。また事業会社として株式会社ニコン(7731:同2.7%)、レーザーテック株式会社(6920:同2.7%)、株式会社島津製作所(7701:同2.2%)も株主となっている。
VCなどの投資ファンドは第6位株主のティー・ハンズオン1号投資事業有限責任組合(同4.3%)以下、多数が参入している。
■まとめ
山梨県北杜市に本社を置く、単結晶・光部品・レーザ光源・光計測装置などの光学関連製品の開発・製造・販売を手掛ける企業のIPO案件である。
単結晶・光学関連の博士号を持つ技術者25名が在籍するなど、光学関連の研究開発型のベンチャー企業である。またこれまで複数回のM&Aを行うなど、積極的に事業拡大を進めている。
着実な増収を続けているが、利益成長は限定的な状態であった。2021年2月期から利益面での成長も開始される予想だが、IPOを機とする設備投資などにより利益成長を続けることができるか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、光学分野における酸化物単結晶、光部品、レーザ光源、計測装置などの開発・製造・販売事業を展開している。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が127億円、2022年2月期の業績予想ベースPERは 35.8 倍となっている。メーカーとしてのPERはやや割高感があるが、経常利益の伸び率からすると妥当な水準と考えられる。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が35億円と大きく、IT関連でもないことを考えると初値は前場に付くと推測する。株主構成を見ると、VCが上場前の発行済株式の21%を保有しており、若干売出しで売却されるが、そのほとんどが上場後の売却となるため、ロックアップが明ける3ヶ月後の需給には注意が必要となる。
セカンダリー市場においては、1年後の業績予想が出ているので、四半期ごとに進捗率との比較で株価が変動することが考えられる。上場期の業績予想は保守的に出すのが鉄則なので、四半期ごとに少しずつ上振れする可能性も見ておくべきだが、下振れした場合は大きく売られることもあり得るので、四半期開示のフォローを忘れてしまってバイ&ホールドにはリスクがある。