【目次】
①️表示灯IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/25追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/22追加)
- 会社名
- 表示灯株式会社
- コード
- 7368
- 市場
- 市場第二部
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 上田 正剛 /1953年生
- 会社住所
- 愛知県名古屋市中村区名駅四丁目2番11号
- 設立年
- 1967年
- 社員数
- 440人(2021年1月31日現在)
- 事業内容
- 各駅周辺案内図の広告の設置、運営及び交通広告、屋外広告等を取り扱う一般広告代理店業務
- URL
- https://www.hyojito.co.jp/
- 資本金
- 153,236,000円 (2021年3月4日現在)
- 上場時発行済み株数
- 4,537,245株
- 公開株数
- 1,220,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/03/18→1,800~2,000円に決定
- ブックビルディング期間:2021/03/22 - 03/26
- 公開価格決定:2021/03/29→2,000円に決定
- 申込期間:2021/03/30 - 04/02
- 上場日:2021/04/07→初値2,672円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 喜平会(株) 26.34%
- TYシエル(株) 12.96%
- HKO(株) 12.86%
- YKT(株) 12.86%
- 栗本肇 10.93%
- MKT(株) 9.44%
- 吉田大士 8.63%
- 栗本勉 0.81%
- 上田正剛 0.51%
- 栗本ふみ枝 0.32%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/03 単体実績
11,003,427 756,406 1,055,232 3,942,337 - 2019/03 単体実績
12,116,179 1,129,509 821,794 4,567,311 - 2020/03 単体実績
13,065,401 1,204,513 807,184 5,173,580 - 2020/12 第3四半期単体実績
9,725,250 983,831 655,059 5,697,055 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年7月5日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 19億6420万0000円(1,220,000株×1,610円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- なし
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 表示灯株式会社<7368>は駅・自治体等の公共施設に設置した自社開発の周辺案内図に、複数のスポンサーの店舗情報を掲載する連合広告事業などを手掛ける企業である。本社は名古屋市である。
■事業内容詳細
同社は下記3事業を展開している。
・ナビタ事業
・アド・プロモーション事業
・サイン事業
元々ナビタ事業のみの展開であったが、交通広告や野外広告等ナビタ事業の周辺領域もカバーすべくアド・プロモーション事業を開始した。また広告の設置工事まで自社で内製化するためにサイン事業も展開している。
●ナビタ事業について
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
- ナビタとは、主にロケーションオーナー(全国の鉄道、自治体、病院等公共施設等ナビタの設置場所の所有者)、協賛スポンサー、利用者の3者にとってメリットのある同社オリジナルの広告媒体である。周辺案内図に、複数スポンサーの店舗情報が掲載されている。広告に加えて地図情報、公共施設情報、災害時避難場所の情報も掲載することで、高い公共性と社会インフラとしての役割を担っている。
ナビタは連合広告媒体であり、同社は広告出稿企業などを募集する広告代理店としての立ち位置である。
全国の2,504駅に設置されたステーションナビタ、市区町村等の自治体庁舎内などの996自治体に設置されたシティナビタ、交番や警察署など122カ所に設置された公共ナビタの3種類のナビタがある。ナビタは単なる広告媒体としてだけではなく、地図方法・公共施設情報・災害時避難場所の情報提供を行う社会インフラとしての機能も果たしている。
広告出稿をする顧客ポートフォリオは複数年契約の継続スポンサーが中心であり、スポンサー数は延べ約78,000件(2021年1月31日現在)と多く、安定的な収益基盤を有している。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
●アド・プロモーション事業について
アド・プロモーション事業は交通媒体(社内・駅構内等)、マス媒体(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)、屋外媒体(看板・ボード等)による広告各種を幅広く手掛ける、一般的な広告事業である
●サイン事業
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
サイン事業は、ナビタ事業の取引先である鉄道会社、自治体等のネットワークを活かして、広告・看板・案内板等の企画設計から施工に至るサービスを提供している。
■2020年3月期セグメント別損益
2020年3月期 売上高131億円(対前年同月比7.8%増)、営業利益11億円(同14%増)
・ナビタ事業 売上高85億円(同5.1%増)、セグメント利益12億円(同8.1%増)
・アド・プロモーション事業 売上高23億円(同5.8%増)、セグメント利益0.9億円(同80%増)
・サイン事業 売上高23億円(同22%増)、セグメント利益1.7億円(同36%増)
ナビタ事業が中心事業であり全体売上の6割以上を占め、利益も殆どが同事業から計上されている。ただし3部門ともに黒字化している。
2020年3月期は全体として増収増益を果たす中で、3事業いずれも増収増益を果たした。特にサイン事業の売上は対前年同期比22%増と大幅な伸びを見せている。
■業績推移
2018年3月期 売上高110億円、経常利益7.6億円、当期純利益11億円
2019年3月期 売上高121億円、経常利益11億円、当期純利益8.2億円
2020年3月期 売上高131億円、経常利益12億円、当期純利益8.1億円
2021年3月期(予想) 売上高127億円、経常利益10億円、当期純利益7.0億円
毎期着実な増収増益を続けている。ただし2020年3月期の当期純利益は若干の減益となった。
2021年3月期は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け減収減益(対前年同期比売上高▲3.1%減、経常利益▲14%減)の予想であり、2019年3月期並の業績が見込まれている。2021年3月期Q3(累計)は売上高97億円、経常利益9.8億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務内容
2020年3月期末時点で資産合計121億円、純資産合計52億円、自己資本比率43%である。借入金0.6億円に対し、現預金39億円を有している。尚、顧客からの広告費前払い分として前受収益が36億円計上されている。財務内容に対し特段の懸念事項はない。
資産の部は流動資産61億円及び工具、器具及び備品20億円、土地17億円などの有形固定資産47億円が主な構成内容である。
■資金使途
IPOにより15億円の資金調達が行われ下記使途を予定している。
・ナビタ事業における全国の駅周辺案内図346契約単位数の設置に関する設備資金 5.6億円
・社内業務効率化のための基幹システム投資に関する設備資金 3.0億円
調達資金はナビタ事業に係る設備資金に約半数が充当される。
■株主構成
筆頭株主と第2位株主は同社取締役会長の吉田大士氏の資産管理会社の喜平会株式会社(株式シェア26%)とTYシエル株式会社(同13%)。吉田会長は個人所有株式(同8.6%)と合わせて関係先で株式シェアの48%を有している。
また取締役副会長の栗本肇氏の資産管理会社であるHKO株式会社(同13%)、YKT株式会社(同13%)、MKT株式会社(同9.4%)と栗本氏の個人所有株式(同11%)を合わせて、栗本氏の関係先で株式シェアの46%を有している。
創業者である吉田会長と栗本副会長の関係先で株式シェアの94%が有されている。
上田社長は株式シェアの0.5%を有するに留まる。
■まとめ
名古屋市に本社を置く、駅・自治体等の公共施設に設置した自社開発の周辺案内図に、複数のスポンサーの店舗情報を掲載する連合広告を取り扱うナビタ事業などを手掛ける企業のIPO案件である。
幅広い顧客基盤と長年の実績を背景に着実に増収増益を続けており、ナビタ事業から派生したアド・プロモーション事業、サイン事業も伸びを見せている。
着実な成長を続けているが、コロナ禍の下で同社の顧客基盤である中小企業の広告出稿体力が減じている。実際に2021年3月期は対前年同期比で減収減益の予想である。コロナ禍で中小企業の広告出稿の余力が減少する中で、2022年3月期以降は成長軌道に戻すことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。- IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、各駅周辺案内図の広告の設置、運営及び交通広告、屋外広告等を取り扱う一般広告代理店業務を展開する。上場市場は東証2部。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が91億円、2021年3月期の業績予想ベースのPERは12.88倍となっており、一見するとかなり割安感を感じる。IPOディスカウントを考慮すると、PERで15-16倍程度が妥当な株価と言える。今期の配当は1株35円で配当利回り1.75%となるが、来期も引き続き同じ配当性向で配当が実施されると見込む。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が28億円とやや大きめであることに加えて上場市場が東証2部ということからやや人気は低めとなり、初値は前場の遅い時間に付くと推測する。
セカンダリー市場においては、2022年3月期の業績予想が開示される5月中旬以降に動きが出ると考えるが、業績予想ベースのPERで15倍程度まではを割安感があるので、業績予想で増益となれば、株価の水準がPER15倍であれば割安とえいそうだ。今後の展開であるが、コロナ禍で生活様式が変わり、テレワークで通勤する人などが減ることから、駅周辺の広告出稿の減少もあるかもしれないので四半期ベースの開示には要注意である。