ネオマーケティングIPOレポート

【目次】
①️ネオマーケティングIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(4/12追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(4/5追加)

会社名
株式会社ネオマーケティング
コード
4196
市場
JASDAQスタンダード
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役 橋本 光伸 / 1975年生
会社住所
東京都渋谷区南平台町16番25号
設立年
2000年
社員数
75人(2021年2月28日現在)
事業内容
マーケティング支援事業
URL
https://neo-m.jp/
資本金
47,560,000円 (2021年3月19日現在)
上場時発行済み株数
2,448,000株
公開株数
460,000株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/04/02→1,660~1,800円に決定
ブックビルディング期間:2021/04/06 - 04/12
公開価格決定:2021/04/13→1,800円に決定
申込期間:2021/04/14 - 04/19
上場日:2021/04/22→初値3,805円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:いちよし証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:あかつき証券
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:エース証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:極東証券
引受証券:東洋証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
大株主
(株)エムスリードリームインベスター 27.61%
橋本光伸 20.33%
(株)TRMブラザーズ 12.08%
小林康裕 8.91%
村上直 5.34%
(株)エイジェック 5.05%
ネオマーケティング従業員持株会 3.94%
原島茂雄 3.29%
葛山博志 2.70%
荒池和史 2.10%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/09 単体実績 
1,020,213 59,457 55,088 172,354
2019/09 連結実績 
1,132,272 19,674 8,027 156,427
2020/09 連結実績 
1,427,555 173,652 116,650 211,887
2020/12 第1四半期連結実績 
415,522 86,844 55,782 268,413
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年7月20日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
7億6360万0000円(460,000株×1,660円)
潜在株数(ストックオプション)
165,200株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社ネオマーケティング<4196>はクライアント企業に対するマーケティング支援事業を手掛ける企業である。
 
ネオマーケティング
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業概要

同社はクライアント企業のマーケティングプロセスを「カクシン(核心)」、「カイハツ(開発)、「カイタク(開拓)」、「カイゼン(改善)」4つのプロセスに分けて考察した上でマーケティングサービスを提供している。

それぞれのプロセスごとに適切なマーケティング施策を、各サービスと対応する形で考案した、独自の「マーケティングフレーム4K」を開発している。同社のマーケティングコンサルタント(営業人員)は、クライアントに対し「マーケティングフレームワーク4K」を活用することで、マーケティング全体を俯瞰した最適な提案を行っている。

具体的には下記サービスを提供する。

・カスタマードリブン(生活者パネルから収集した定量的データを数値化し分析する)

・インサイドドリブン(生活者パネルの中から最適な対象者を抽出し、インタビューや行動観察を実施することで、数値では計測できない潜在的な意識を明らかにする)

・デジタルマーケティング(生活者に対する理解をベースにWeb広告に関する戦略立案から作成、運用、効果検証まで一貫してデジタルを通じ他生活者との対話を設計。実行する)

・PR(認知拡大・ブランディングを目的としたPR支援サービス)

・カスタマーアクセス(クライアント企業の顧客を成功させる為に、クライアントが提供している商品やサービスの価値を最大限に引き出せるよう支援するサービス)

・BtoBマーケティング支援サービス(累計導入企業数約50,000社の企業リスト収集ツール「Urizo」を提供し、企業間のマーケティング活動や営業活動の支援を行っている)
・クラウドソーシング(会員組織プラットフォーム「SOLPANEL(ソルパネ)」を利用して不特定多数の人に業務を依頼することができる仕組みを構築している)
 
ネオマーケティング
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■同社の強み

同社の強みは下記3点である。

・不確実性の高い時代に必須となる、生活者起点のソリューション提供
・顧客開拓力。中堅~大手メーカーの顧客基盤
・独自マーケティングプラットフォーム運営

同社は累計約2,000社超の取引実績がある一方で、新規顧客は毎年増加し続けている。潤沢な顧客リソースに対してクロスセル・アップセルが可能な顧客基盤を有している。

また同社独自の生活者パネル約55万人に加え、他社との提携により約1983万人超の生活者パネルを常時活用できる。

今後についてはマーケティングフレームワーク4Kを活用した提案で1顧客に対し複数サービスを提供することで、1社当たりの売上増と取引継続を狙う。
 
ネオマーケティング
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■業績推移

2018年9月期 売上高10億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.6億円
2019年9月期 売上高11億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.1億円
2020年9月期 売上高14億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.2億円
2021年9月期(予想) 売上高18億円、経常利益2.2億円、当期純利益1.5億円
※2019年9月期より連結決算

着実な増収増益が続いているが、2020年9月期は大幅な増益となり経常利益1億円の大台を突破した。

2021年9月期も増収増益を予想しており、経常利益は2億円の大台到達の予想である。2021年9月期Q1は売上高4.2億円、経常利益0.9億円でスタートしており、堅調なスタートを切っている。
 

■財務内容

2020年3月期末時点で資産合計9.8億円に対し、純資産合計2.1億円、自己資本比率22%である。借入金4.7億円に対し現預金4.8億円を有している。

資産合計のうち流動資産合計7.2億円であり、資産合計のうち74%を占めている。また無形固定資産としてのれんが1.5億円計上されている。

キャッシュ・フロー計算書において2020年9月期に投資活動によるキャッシュ・フロー▲1.6億円を計上しているが、2019年9月に株式会社モニタスよりリサーチ事業の譲受が行われた際の支払代金となっている。
 

■資金使途

IPOにより3.5億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。

・人材獲得の採用費 0.5億円
・獲得人材の人件費 1.3億円
・借入金の返済 0.8億円など

調達資金は人材採用及び人件費中心に投じられる。
 

■株主構成

筆頭株主の株式会社エムスリードリームインベスター(株式シェア28%)は橋本社長の資産管理会社である。橋本社長は個人でも第2位(同20%)株主であり、橋本社長の関係先で48%の株式が所有されている。

個人中心の株主構成であり、ファンドや金融機関の株主参入はない。
 

■まとめ

メーカーなどのクライアント企業に対しマーケティング支援事業を手掛ける企業のIPO案件である。

Webマーケティング主体の上場企業が増えているが、同社はメーカーなどに対し販売のためのリアルマーケティング支援サービスを主に行っている。

着実に増収を続ける中で、2020年9月期は売上高14億円、経常利益1.7億円となり、経常利益が1億円の大台を突破した。2021年9月期も増収増益が続く計画であり、経常利益は2.2億円を予想している。

企業のマーケティング投資は景況感に大きく左右される面がある。同社は豊富な顧客基盤を背景に着実な成長を続けているが、景況感に過度に左右されることなく継続的な成長を維持出来るのか、という点が今後の注目点になると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、生活者起点で企業のマーケティングを支援する事業を展開している。上場市場は東証JASDAQ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額で44億円、2021年9月期の業績予想ベースのPERが29.18倍となっている。当社の成長はここ数年で著しく、売上は年率20 %成長、営業利益率が10%超あることから、公開価格のPERはIPOディスカウントもあって割安感がある。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が10億円弱となることから、需給はタイトになるはずだが、同日に3社上場となり、銘柄間で優劣が起こると考える。超大型の著名企業とバイオベンチャー企業のはざまでポジション的には個人投資家のトレーダーが手掛けやすい銘柄ともいえるので、個人投資家の需要で初値は後場の遅い時間となると推測する。初値が付いた後も上値を追う展開も予想される。

セカンダリー市場においては、当社の売上には季節性があり、1-3月期の売上が最も大きくなる傾向があるため、第2四半期の開示で通期の業績予想に対する進捗率が大きいことから、上場後の調整をこなした後に株価が反転するきっかけになるかもしれない。