【目次】
①️テスホールディングスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(4/14追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(4/12追加)
- 会社名
- テスホールディングス株式会社
- コード
- 5074
- 市場
- 市場第一部
- 業種
- 建設業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役会長兼社長 石脇 秀夫 / 1948年生
- 会社住所
- 大阪市淀川区西中島六丁目1番1号
- 設立年
- 2009年
- 社員数
- 45人(2021年2月28日現在)
- 事業内容
- 再生可能エネルギー発電所の開発・売電、小売電気事業、コージェネレーションシステムを始めとした各種環境・省エネ対策システム等の設計・調達・施工・オペレーション&メンテナンスほか
- URL
- https://www.tess-hd.co.jp/
- 資本金
- 1,500,000円 (2021年3月24日現在)
- 上場時発行済み株数
- 35,069,100株
- 公開株数
- 9,800,000株
- 連結会社
- 18社 (匿名組合含む)
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/04/08→1,470~1,700円に決定
- ブックビルディング期間:2021/04/12 - 04/16
- 公開価格決定:2021/04/19→1,700円に決定
- 申込期間:2021/04/20 - 04/23
- 上場日:2021/04/27
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:大和証券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:丸三証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 石脇秀夫 25.13%
- (同)ストーンサイド 9.64%
- TESSグループ従業員持株会 8.87%
- (同)たかおか屋 8.77%
- (株)K 7.98%
- (株)瑛 7.42%
- 髙崎敏宏 5.11%
- 山本一樹 5.01%
- 藤井克重 5.00%
- 石田智也 3.70%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/06 単体実績
272,000 95,000 67,000 2,270,000 - 2019/06 連結実績
29,638,000 775,000 38,000 8,536,000 - 2020/06 連結実績
28,415,000 2,534,000 1,625,000 8,409,000 - 2020/12 第2四半期連結実績
16,021,000 2,141,000 1,223,000 9,640,000 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の2021年10月23日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 166億6000万円(9,800,000株×1,700円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 1,062,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- テスホールディングス株式会社<5074>はエネルギープラントなどの設計・施行及び再生可能エネルギー発電所の所有・運営などを手掛ける大阪市に本社を置く企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容
同社は下記2事業を手掛けている。
・エンジニアリング事業
・エネルギーサプライ事業
同社は独立系の立場を活かして、産業分野の様々な顧客が抱える環境対策、省エネ対策、エネルギーコスト対策等の課題を解決するために上記2事業で総合的なソリューションを提供している。
●エンジニアリング事業について
エンジニアリング事業では、エネルギープラントやユーティリティ設備(※)のEPC(Engineering:設計、Procurement:調達、Construction:施行)を行っており、省エネルギー領域と再生可能エネルギー領域の2つを主たる事業領域としている。
※ユーティリティ設備:工場の生産設備の稼働に必要な電気、上記、水、圧縮空気、燃料等を供給する設備
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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●エネルギーサプライ事業
エネルギーサプライ事業は、オペレーション&メンテナンス(O&M)、再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電・電気の小売り供給及びその他の各種サービスを提供するストック型のビジネスである。
2021年2月末時点で太陽光発電所56件(193.6MW)、風力発電所6件(0.1MW)、バイオマス発電所1件(5.8MW)の63件を保有し、合計で約200MWの発電容量を有している。
また2021年2月末時点において太陽光発電所を連結子会社11社、風力発電所を連結子会社1社、バイオマス発電所を持分法適用関連会社1社にて所有・運営・売電を行っている。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■今後について
同社は総合技術が求められるコージェネレーションシステムのEPCを通じて技術基盤を確立し、太陽光発電等のエネルギーソリューションを展開してきた。今後はバイオマス燃料、水素、蓄電池などの新しいエネルギー分野に既存の技術基盤を応用して展開することで、顧客に最適なエネルギーソリューションを提供する。
■2020年6月期部門別損益
2020年6月期 売上高284億円、営業利益35億円
・エンジニアリング事業 売上高224億円、セグメント利益31億円
・エネルギーサプライ事業 売上高147億円、セグメント利益16億円
エンジニアリング事業が主力事業であり売上高200億円を超える。また2020年6月期はセグメント利益31億円を計上しており、利益率も高い。ただしエンジニアリング事業はスポット売上中心の事業である。尚、セグメント間取引が87億円存在する。
エネルギーサプライ事業はセグメント利益がエンジニアリング事業の約5割の規模である。ただし売電収入などで継続的な売上・利益が見込める。
■業績推移
2018年6月期 営業収益2.7億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.7億円
2019年6月期 売上高296億円、経常利益7.8億円、当期純利益0.4億円
2020年6月期 売上高284億円、経常利益25億円、当期純利益16億円
2021年6月期(予想) 売上高340億円、経常利益36億円、当期純利益23億円
※2019年6月期より連結決算数値
2020年6月期は売上高284億円、経常利益25億円であり、対前年同期比で減収となったものの経常利益は3倍以上となり堅調に推移した。
2021年6月期の部門別損益は下記と予想されている。
・エンジニアリング事業 売上高240億円、セグメント利益11億円
・エネルギーサプライ事業 売上高202億円、セグメント利益40億円
※セグメント間取引102億円を含む
両事業ともに増収を見込んでいるが、エンジニアリング事業は減益の一方で、エネルギーサプライ事業は大幅増益の予想である。同事業の増益を背景に全体でも増益の予想となっている。
2021年6月期Q2(累計)は売上高160億円、経常利益21億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務内容
2020年6月期末時点で資産合計812億円に対し純資産合計84億円、自己資本比率10%である。借入金627億円に対し、現預金115億円を有している。また流動資産313億円、有形固定資産417億円(機械装置263億円が中心)となっている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2019年6月期12億円、2020年6月期▲16億円である。2020年6月期は未完成工事受入金の減少(▲22億円)、たな卸し資産の増加(▲16億円)、売上債権の増加(▲14億円)により、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなった。ただし2020年6月期Q2時点での営業活動によるキャッシュ・フローは18億円とプラスに転じている。
■資金使途
IPOにより126億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。
・木質バイオマス発電プロジェクトへの出資(2件)にかかる出資資金 26億円
・設備投資資金 2.0億円
・大規模太陽光発電設備建設等にかかるプロジェクト資金(運転資金)の返済資金の一部
調達資金は太陽光発電事業に要したプロジェクト資金の返済及び、木質バイオマス発電プロジェクトの出資資金に主に充当される。
■株主構成
石脇社長が筆頭株主であり株式シェアの25%を有している。また第2位株主の合同会社ストーンサイド(株式シェア9.6%)は石脇社長の資産管理会社であり、石脇社長の関係先で株式シェアの35%が保有されている。
個人中心の株主構成であるが、三菱UFJ銀行が株式シェア1.7%の株主となっている。
■まとめ
大阪に本社を置く、エネルギープラントなどの設計・施行及び再生可能エネルギー発電所の所有・運営などを手掛ける企業のIPO案件である。
2020年6月期は売上高284億円、経常利益25億円であり、経常利益が20億円を突破した。プラント設計などのエンジニアリング事業が、再生可能エネルギー発電所などの運営を行うエネルギーサプライ事業に比べ売上規模は若干大きい。ただし2021年6月期はエネルギーサプライ事業が大幅な増益となり、利益ではエンジニアリング事業を超える予想である。
脱炭素が世界的なテーマとなる中で、再生可能エネルギー発電所の運営などは今後も拡大余地がある。2021年6月期の増益を果たした後はどのようなペースでの成長になるのか、という点が今後の注目点になると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、再生可能エネルギー発電所の開発・売電、小売電気事業、コージェネレーションシステムを始めとした各種環境・省エネ対策システム等の設計:調達・施工・オペレーション&メンテナン等の事業を展開している。
上場市場は東証1部。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が596億円、2021年6月期の業績予想ベースのPERは26.49倍となっている。2021年6月期の1株配当額は20.52円の予定で公開価格ベースの配当利回りは1.2%となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が約190億円と多額になっていることから、相場の地合いにもよるが、需給はさほどタイトではなく、初値は前場の早い時間には付くと予想する。
セカンダリー市場においては、既存の株主には180日間のロックアップがあるため、株価が多少動いても、しばらくは需給が大きく崩れることはない。6月決算企業なので、決算発表は8月中旬となり、来期も今期同様に増収増益の予想が出てくれば、そこから株価が動く展開となるだろう。 但し、ロックアップ解除の時期が10月下旬に到来することから、秋にかけて需給がいったん緩むことを想定しておく必要があるだろう。