【目次】
①️ステラファーマIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(4/12追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(4/8予定)
- 会社名
- ステラファーマ株式会社
- コード
- 4888
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 医薬品
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 上原 幸樹 /1977年生
- 会社住所
- 大阪市中央区高麗橋三丁目2番7号 ORIX高麗橋ビル
- 設立年
- 2007年
- 社員数
- 43人(2021年2月28日現在)
- 事業内容
- BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)に使用されるホウ素医薬品の開発及び製造販売
- URL
- https://stella-pharma.co.jp/
- 資本金
- 1,999,964,000円 (2021年3月19日現在)
- 上場時発行済み株数
- 27,528,800株
- 公開株数
- 7,391,400株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/04/02→400円~460円
- ブックビルディング期間:2021/04/06 - 04/12
- 公開価格決定:2021/04/13→460円に決定
- 申込期間:2021/04/14 - 04/19
- 上場日:2021/04/22→初値712円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:エース証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- ステラケミファ(株) 60.43%
- (株)INCJ 33.15%
- 住友重機械工業(株) 0.95%
- 浅野智之 0.88%
- 藪和光 0.79%
- 上原幸樹 0.76%
- (株)スズケン 0.42%
- (株)ハイメディック 0.42%
- 槌谷武 0.17%
- 藤井祐一・・・以下同率保有者3名 0.16%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/03 単体実績
0 -1,052,274 -1,054,653 2,511,278 - 2019/03 単体実績
0 -856,248 -859,007 1,652,271 - 2020/03 単体実績
0 -959,351 -962,238 690,033 - 2020/12 第3四半期単体実績
155,919 -502,350 -504,488 385,474 - ロックアップ情報
- 株式会社INCJは上場後90日目の2021年7月20日まで、ステラケミファ株式会社、住友重機械工業株式会社、浅野智之、藪和光、上原幸樹、藤井祐一、永田清は上場後180日目の2021年10月18日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 37億6961万4000円(7,391,400株×510円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 978,800株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- ステラファーマ株式会社<4888>はがん治療のBNCT(ホウ素中性子補足療法)に使用されるホウ素医薬品の開発・製造・販売を行う企業である。ステラケミファ株式会社<4109>が株式シェア60%を保有しており、子会社上場に該当する。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■沿革
同社が開発を進めるBNCT(Boron Neutron Capture Therapy)は放射線治療の一種であり、新しいがんの治療法である。理論上は1936年に考案されていた治療法であるが、長らく実用化が困難とされていた。
同社の代表取締役会長の浅野智之氏は、ステラケミファ株式会社在籍時にステラケミファ株式会社が持つホウ素同位体の高濃縮時靴に着目し、がん治療におけるBNCTの活用に向けて効果的なホウ素薬剤の開発に着手。2007年にステラケミファ株式会社の子会社としてステラファーマ株式会社が設立された。
その後、2016年3月に株式会社産業革新機構(現、株式会社INCJ)及び住友重機械工業株式会社を引受先として第三者割当増資を実施。また2020年10月に株式会社スズケン、株式会社ハイメディックを引受先として第三者割当増資が実施された。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■ビジネスモデル
同社はBNCTの医療技術を軸に加速器メーカーと共同でステボロニンの適応拡大に向けた研究開発及び臨床試験を実施している。
同社では高純度(99%以上)まで濃縮されたB-10(天然ホウ素に約20%含まれるホウ素の安定同位体)を原料として、原薬「ボロファラン」を製造し、さらにステボロニンに製剤加工している。同社が開発、製造及び販売するステボロニンは厚生労働省の実施する先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、2020年3月にBNCT用ホウ素薬剤として世界初となる薬事承認を取得した。同社開発のステボロニンを活用することで、がん細胞に選択的にB-10が集積し、かつ中性子線を照射した際により大きな効果が得られる。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■パイプライン
同社には現在BNCTのパイプラインが4本存在する。頭頸部癌向けについては2020年3月に製造販売承認を受け、2020年5月から販売を開始した。
脳腫瘍向けの開発は2016年2月~2019年6月にⅡ相臨床試験を行い、先駆け総合評価相談を実施中である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■業績推移
2018年3月期 売上高0億円、経常利益▲11億円、当期純利益▲11億円
2019年3月期 売上高0億円、経常利益▲8.6億円、当期純利益▲8.6億円
2020年3月期 売上高0億円、経常利益▲9.6億円、当期純利益▲9.6億円
2021年3月期(予想) 売上高2.1億円、経常利益▲6.6億円、当期純利益▲6.6億円。
2018年3月期~2020年3月期は売上が計上されていない。よって2020年3月期まで赤字が継続中である。
2021年3月期は売上高2.1億円の予想であるが、赤字は継続し経常利益▲6.6億円が予想されている。2021年3月期はQ3(累計)で売上高1.6億円、経常利益▲5.0億円であり、既に1億円を超える売上を計上している。
■財務内容
2020年3月期末時点で資産合計27億円に対し、純資産合計6.9億円、自己資本比率26%である。
借入金16億円に対し、現預金20億円を有している。国立研究開発法人日本医療研究開発機構から16億円の借入が行われており、親会社のステラケミファ株式会社が債務保証している。
■資金使途
IPOにより33億円の資金調達を行い下記の使途を予定している。
・臨床試験等の開発資金 11億円
・海外展開のための技術移管等に係る開発資金 1.6億円
・長期借入金の返済原資 8.0億円
・事業運営及び開発のために必要な人件費等 12億円
調達資金は臨床試験等の開発資金及び開発のための人件費等中心に充当される。
尚、公募のみのIPOであり売出の予定はない。
■株主構成
筆頭株主はステラケミファ株式会社<4109>であり株式シェア60%を有している。
第2位株主は株式会社INCJ(旧、株式会社産業革新機構)であり株式シェア33%。尚、株式会社INCJはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
第3位株主の住友重機械工業株式会社<6302>(株式シェア0.95%)、株式会社スズケン<9987:大手医薬品卸>(同0.42%)が事業会社として出資している。
■まとめ
工業用薬品メーカーのステラケミファ株式会社の子会社でがん治療のBNCT(ホウ素中性子補足療法)に使用されるホウ素医薬品の開発・製造・販売を行う企業のIPO案件である。2007年にステラケミファ株式会社の子会社として設立され、その後は株式会社INCJ(旧、株式会社産業革新機構)などから資金調達を行い開発を継続。
頭頸部癌向け製品については2020年3月に製造販売承認を受け、2020年5月から販売を開始した。現在は合計4本の開発パイプラインを有している。 2021年3月期から売上が計上されるものの、赤字は継続し経常利益▲6.6億円が予想される。 IPOによる調達資金を活用することで、どのタイミングで開発製品の本格的な事業化がなされて黒字化するのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、放射線による新たながん治療法「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)」を実用化するため、BNCT用のホウ素薬剤を研究・開発して販売する事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が127億円、2021年3月期の業績予想が赤字の為、PERは計算不能となっている。
日本において、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果とし、BNCT用ホウ素薬剤ステボロニン®点滴静注バッグの製造販売承認を2020年3月に取得して、5月から販売を開始していることもあって、一部の病院ではBNCTによる治療が開始されていることで上場までこぎ着けた。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が約40億円あることや赤字解消が見えていないことから、市場環境が良くても初値は公開価格をやや上回る水準で前場の早い時間帯に付くと予想する。セカンダリ-市場においては、バイオベンチャー特有の事業が進展する前向きなリリースには株価は敏感に反応するため、開示情報には目を凝らしておくべきだろう。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、放射線による新たながん治療法「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)」を実用化するため、BNCT用のホウ素薬剤を研究・開発して販売する事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が127億円、2021年3月期の業績予想が赤字の為、PERは計算不能となっている。
日本において、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果とし、BNCT用ホウ素薬剤ステボロニン®点滴静注バッグの製造販売承認を2020年3月に取得して、5月から販売を開始していることもあって、一部の病院ではBNCTによる治療が開始されていることで上場までこぎ着けた。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が約40億円あることや赤字解消が見えていないことから、市場環境が良くても初値は公開価格をやや上回る水準で前場の早い時間帯に付くと予想する。
セカンダリ-市場においては、バイオベンチャー特有の事業が進展する前向きなリリースには株価は敏感に反応するため、開示情報には目を凝らしておくべきだろう。