【目次】
①️ビジョナルIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(4/8追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(4/8追加)
- 会社名
- ビジョナル株式会社
- コード
- 4194
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 南 壮一郎 / 1976年生
- 会社住所
- 東京都渋谷区渋谷二丁目15番1号
- 設立年
- 2020年
- 社員数
- 30人(2021年2月28日現在)
- 事業内容
- プロフェッショナル人材に特化した会員制転職プラットフォーム「ビズリーチ」等の運営
- URL
- https://visional.inc/
- 資本金
- 436,061,000円 (2021年3月17日現在)
- 上場時発行済み株数
- 35,591,100株
- 公開株数
- 13,376,400株
- 連結会社
- 5社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/04/06→4,500~5,000円に決定
- ブックビルディング期間:2021/04/06 - 04/09
- 公開価格決定:2021/04/12→5,000円に決定
- 申込期間:2021/04/13 - 04/16
- 上場日:2021/04/22→初値7,150円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 南壮一郎 42.47%
- ジャフコ・スーパーV3共有投資事業有限責任組合 11.78%
- 島田亨 5.79%
- YJ2号投資事業組合 4.33%
- 竹内真 4.33%
- Japan Entrepreneur Collaboration Limited 3.93%
- 永田信 1.80%
- 多田洋祐 1.46%
- ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合 1.38%
- 村田聡 1.27%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/07 連結実績
21,492,000 511,000 335,000 4,547,000 - 2020/07 連結実績
25,879,000 2,254,000 4,658,000 9,205,000 - 2021/01 第2四半期連結実績
12,167,000 1,665,000 1,086,000 10,944,000 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の2021年10月18日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 582億5422万2000円(13,376,400株×4,355円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 6,248,400株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- ビジョナル株式会社<4194>は転職プラットフォーム「ビズリーチ」等の運営を手掛ける企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■沿革
同社は2007年8月に株式会社ビズリーチとして設立され、2009年4月に“プロフェッショナル人材と企業をつなぐ転職サイトとして”「ビズリーチ」サービスを開始した。
その後、2020年2月3日に株式移転によりビジョナル株式会社が株式会社ビズリーチの完全親会社として設立された。同社グループは現在、同社及び国内子会社5社、国内関連会社1社で構成されている。
■ビズリーチ事業について
「ビズリーチ」は求職者(会員ユーザー)、直接採用企業(人事・採用担当)、ヘッドハンター(人材紹介会社に所属する転職エージェント)の三者が集う独自の人材採用プラットフォームである。
一般的な人材紹介会社のビジネスモデルと同様の人材採用企業からの課金売上に加え、ヘッドハンター(人材紹介会社)及び求職者からの課金売上も存在するユニークな収益構造となっている。
利用企業数、利用ヘッドハンター数、スカウト可能会員数いずれも順調な伸びを見せており、2020年7月期末時点でのスカウト可能会員数は100万人を超えている。
各利用者にとってのメリットは下記となる。
・採用企業→「ダイレクトリクルーティング」を熟知した専任コンサルタントによる支援を通じて、企業が「採用力」を身に付けることができる。
・ヘッドハンター(人材紹介会社)→ヘッドハンターから直接的に求職者(会員ユーザー)に対しスカウトメールを送ることができる。また各年度で最も活躍したヘッドハンターを表彰するイベントを開催するなど、優秀なヘッドハンターのブランド向上に同社は貢献している。
・求職者(会員ユーザー)→企業及び厳正な審査をクリアした優秀なヘッドハンターから直接スカウトを受けることができ、自身の市場価値の把握を行うことができる。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■収益モデル
同社の収益は採用企業からのプラットフォーム利用料(スタンダードプラン6カ月850,000円)及び採用成功報酬(採用人材の理論年収の15%が基本)、ヘッドハンター(人材紹介会社)からのプラットフォーム利用料(スタンダードプラン6カ月600,000円)及び採用成功報酬(ヘッドハンターに支払われた採用成功報酬の一定割合)、求職者(会員ユーザー)からのプレミアム会員に対する月額課金、各3者の収益モデルがある。
2020年7月期のプラットフォーム利用料(リカーリング売上高)と成功報酬売上(パフォーマンス売上高)の割合は、28%:72%である。また採用企業からの売上高61%に対し、ヘッドハンターからの売上高39%である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■その他事業
同社はビズリーチ事業以外にも、HRMOS事業として人材活用プラットフォーム「HRMOS」(2016年リリース)の提供も行っている。
ただし2020年7月期はビズリーチ事業の売上高209億円、営業利益93億円に対し、HRMOS事業は売上高9.3億円、営業利益▲11億円であり、着実な伸びは見られるものの現状では赤字事業となっている。
■業績推移
2019年7月期 売上高215億円、経常利益5.2億円、当期純利益3.5億円
2020年7月期 売上高259億円、経常利益23億円、当期純利益47億円
2021年7月期Q2(累計) 売上高122億円、経常利益17億円、当期純利益11億円
※事業再編により2019年7月期は株式会社ビズリーチの第12期決算数字、2020年7月期から連結決算
2020年7月期時点で売上高200億円、経常利益20億円の各大台を突破している。尚、2020年7月期は事業分離における移転利益48億円を特別利益で計上した。
2021年7月期はQ2(累計)で売上高122億円、経常利益17億円であり、特に増益に向けて順調な推移を見せている。
■財務内容
2020年7月期末時点で資産合計177億円に対し、純資産合計92億円、自己資本比率52%である。借入金なく現預金91億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。
のれん12億円、顧客関連資産13億円など無形固定資産を25億円計上。また売上計上前の顧客からの入金分として前受収益19億円が計上されている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フロー(C/F)が事業分離における移転利益▲48億円発生のため▲2.3億円となっている。たたし投資活動によるキャッシュ・フロー(C/F)で事業分離による収入80億円が生じており(別途、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出▲24億円)、投資活動によるC/Fは48億円。
尚、2021年7月期Q2(累計)の営業活動によるC/Fは11億円となった。
■資金使途
IPOにより合計103億円の資金調達を行い、下記使途が計画されている。
・広告宣伝・販売促進等のマーケティング投資 40億円
・事業拡大のための人件費 40億円
・事業買収等の投資資金(具体的な金額は未決定)
調達資金はマーケティング投資及び事業拡大の人件費の両者を中心に、同規模の各40億円が充当される。
公募株数2,127,700株に対し、売出株数11,248,700株であり売出株数が多数である。主に海外中心に公募・売出が行われる。
■株主構成
南社長が筆頭株主であり株式シェアの42%を有している。
第2位株主はVCファンドのジャフコ・スーパーV3共有投資事業有限責任組合(株式シェア12%)。多数のVCが出資しており、VC比率は約20%である。尚、VC保有株の多くが売出にて売却が予定されている。
個人及びVC中心の株主構成である。
■まとめ
転職プラットフォーム「ビズリーチ」等の運営を手掛ける企業のIPO案件である。新興の人材関連企業として2020年7月期は売上高259億円、経常利益23億円まで業績を拡大した。
人材採用プラットフォーム「ビズリーチ」に100万人を超える会員が登録されており、主に採用企業及び人材紹介会社・ヘッドハンターからサービス利用料及び成功報酬を得るビジネスモデルとなっている。
2020年7月期に売上高200億円、経常利益20億円の大台を超える成長を見せているが、今回のIPOにより100億円を超える資金調達を行い、更なる成長を目指す計画である。
人材ビジネスは景気変動に業績が大きく左右される側面がある。景気変動の波に過度に左右されず、継続的な成長を行うことができるのか、という点が今後の注目点になると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- は、転職プラットフォーム「ビズリーチ」の運営する株式会社ビズリーチを子会社に持っており、求職者と人材紹介会社、採用企業の3者を結びつける転職プラットフォームのほか、採用や人材を管理するプラットフォーム、人材採用サービスなどの事業を展開している。
上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が1,780億円で、2021年7月期の業績予想ベースのPERが 456.3倍となっている。業績予想ベースのPSRで6.7倍となっている。ビズリーチ事業にやや陰りが出てきていることもあり、正直なところ、株価のバリュエーションは割高感があるといえそうだ。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が680億円と規模が大きく、ここにきてIPO市場もやや弱くなってきてることもあり、知名度は高いとはいえ、当日の相場の地合い次第では公開価格と同値の初値となるかもしれない。
セカンダリー市場においては、販管費における広告宣伝費が大きいため、広告宣伝費をコントロールすることで業績を作ることもできるが、認知度の低下はすぐに反響の低下に繋がるため、今期においてボトムラインの伸びが強くなることは期待薄と言える。初値が低迷するようだと、セカンダリー市場の株価の動きも鈍くなるため、今期決算発表の9月中旬までは厳しい株価展開と予想する。