【目次】
①️フューチャーリンクネットワークIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社フューチャーリンクネットワーク
- コード
- 9241
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役 石井 丈晴 / 1973年生
- 会社住所
- 千葉県船橋市西船四丁目19番3号
- 設立年
- 2000年
- 社員数
- 91人(2021年6月30日現在)
- 事業内容
- 地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の構築・運営、ふるさと納税支援業務及び官民協働ポータル・地域共通ポイント運営等の官民協業事業受託、マーケティング支援業務
- URL
- https://www.futurelink.co.jp/
- 資本金
- 134,500,000円 (2021年7月14日現在)
- 上場時発行済み株数
- 783,000株
- 公開株数
- 242,500株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/07/29→2,230~2,470円に決定
- ブックビルディング期間:2021/08/02 - 08/06
- 公開価格決定:2021/08/10→2,470円に決定
- 申込期間:2021/08/12 - 08/17
- 上場日:2021/08/20→初値4,315円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:ちばぎん証券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:エイチ・エス証券
- 引受証券:むさし証券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:水戸証券
- 大株主
- (株)石井本店 39.26%
- 石井丈晴 13.02%
- 岡田亮介 9.59%
- 板倉正弘 8.94%
- 片町吉男 8.22%
- 大日本印刷(株) 8.18%
- 室川敏治 4.58%
- 中島繁 0.65%
- 田中悦郎 0.65%
- 鵜飼一美 0.65%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/08 単体実績
635,007 -53,730 -61,777 -47,453 - 2019/08 単体実績
1,074,683 962 17,137 -30,315 - 2020/08 単体実績
1,134,818 42,305 39,487 9,171 - 2021/05 第3四半期単体実績
1,049,918 111,545 97,147 106,319 - ロックアップ情報
- 石井丈晴、岡田亮介、板倉正弘、片町吉男、株式会社石井本店は、上場後180日目の2022年2月15日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 5億9897万5000円(242,500株×2,470円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 61,080株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社フューチャーリンクネットワーク<9241>は地域情報プラットフォーム「まいぷれ」運営や、ふるさと納税支援業務などを手掛ける企業である。本社を千葉県船橋市に置いている。
■事業内容詳細
同社は下記3事業を手掛けている。
① 地域情報流通事業
② 公共ソリューション事業
③ マーケティング支援事業
3事業が重なりながら多方面に価値を提供し、多層的な収益構造を有する独自性の高い事業構造を持つ。
●地域情報流通事業について
地域情報週通事業では、インターネット上でお店・施設、イベントやサークル、暮らしのお役立ち情報などあらゆる地域情報の閲覧ができる『地域情報サイト マイプレ』などに情報配信している。
同社の本社がある千葉県船橋市を始め、同社拠点の近隣エリアは直営エリアとして同社が『まいぷれ』を運営しているが、それ以外の地域は運営パートナー各社と協業体制を組む。2021年7月1日現在、全国148社の運営パートナーと46都道府県・736市区町村の地域で事業展開が行われている。
主な事業収益は下記である。
・地域の中小事業者から月額課金で受領する『まいぷれ』への情報掲載及びプラットフォームへの参加利用料金
・全国の『まいぷれ』運営パートナーから受領するパートナー加盟料及びロイヤリティ収益
●公共ソリューション事業
公共ソリューション事業では、ふるさと納税の業務受託などが行われている。返礼品の開拓や生産者へのサポート、寄附者対応や発送管理まで自治体が行う業務を代行し、自治体職員の負担を軽減しながら寄附額の向上に貢献している。2021年7月1日時点、全国33自治体のふるさと納税業務支援を受託している。
またその他にも地域共通ポイント(まいぷれポイント)の運営、官民協働ポータルサイトの構築も行われている。
●マーケティング支援事業
マーケティング支援事業では、特定の商圏や地域にマーケティングを行いたいナショナルクライアントや地域の中小事業者を対象に、『まいぷれ』を活用したエリアプロモーションを行う。具体的にはWebマーケティングに加え販促物制作・イベントの企画・運営などが行われている。
■2020年8月期セグメント別損益
2020年8月期 売上高11億円(対前年同期比5.6%増)、営業利益0.4億円(同2,581%増)
・地域情報流通事業 売上高3.9億円(同6.4%増)、セグメント利益1.2億円(同25%増)
・公共ソリューション事業 売上高4.7億円(同22%増)、セグメント利益1.3億円(同65%増)
・マーケティング支援事業 売上高2.7億円(同▲15%減)、セグメント利益0.4億円(同1.0%増)
売上規模では売上高4.7億円の公共ソリューション事業が最大だが、セグメント利益は地域情報流通事業1.2億円、公共ソリューション事業1.3億円とほぼ同規模である。ただし公共ソリューション事業の増収及び増益率は地域情報流通事業を上回っている。
マーケティング支援事業は減収となったものの黒字が維持されている。
■業績推移
2018年8月期 売上高6.4億円、経常利益▲0.5億円、当期純利益▲0.6億円
2019年8月期 売上高10億円、経常利益0億円、当期純利益0.2億円
2020年8月期 売上高11億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.4億円
2021年8月期(予想) 売上高13億円、経常利益0.8億円、当期純利益0.8億円
2020年8月期は売上高11億円、経常利益0.4億円となり、売上高10億円の大台維持及び黒字の維持がなされている。ただし営業利益0.4億円、経常利益0.4億円であり、低い利益水準に留まる。
2021年8月期は増収増益の予想であり、売上高は13億円に届く予想。ただし経常利益は0.8億円であり、低い利益水準が続く予想である。2021年8月期Q3(累計)は売上高10億円、経常利益1.1億円であり、既に経常利益は通期予想を達成している。
■財務状況
2020年8月期末時点で資産合計4.4億円に対し純資産合計0.1億円、自己資本比率2.1%である。借入金2.0億円に対し現預金1.7億円を有し、また流動資産合計は3.5億円となっている。
資産合計のうち79%が流動資産であるが、資本金1.3億円・資本剰余金0.5億円に対し利益剰余金▲1.7億円のため純資産合計0.1億円に留まり、過小資本の状態である。
■資金使途
IPOにより2.5億円の資金調達を行い、各事業の規模拡大を目指し採用費及び人件費に2.5億円を充当する計画である。
また公募80,000株に対し売出162,500株であり、売出株の多いIPOである。売出は大日本印刷株式会社62,500株及び石井社長25,000株などの保有株で行われる。
■株主構成
筆頭株主(株式シェア39%)の株式会社石井本店は石井社長の資産管理会社である。石井社長は個人でも第2位株主(同13%)であり、石井社長の関係先で50%以上の株式が保有されている。
大日本印刷株式会社が第6位株主(同8.2%)だが、保有62,500株の全株が売出にて売却される。
大日本印刷株式会社を除くと個人中心の株主構成であり、ファンドや金融機関の株主参入はない。
■まとめ
千葉県船橋市に本社を置く、地域情報プラットフォーム「まいぷれ」運営や、ふるさと納税支援業務などを手掛ける企業のIPO案件である。
『地域情報サイト マイプレ』の運営を手掛ける地域情報流通事業と、各自治体のふるさと納税の業務受託などを手掛ける公共ソリューション事業が2本柱となっている。
いずれの事業も部門損益では営業黒字であるが、全体としては2020年8月期の経常利益0.4億円に留まっている。2021年8月期の経常利益も0.8億円の予想であり、本格的な利益計上ステージに入るタイミングはいつになるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の構築・運営、ふるさと納税支援業務及び官民協働ポータル・地域共通ポイント運営等の官民協業事業受託、マーケティング支援業務を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が19億円、2021年8月期の業績予想ベースのPERは25.44となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が7億円と少額であり、需給はタイトで初値はある程度高騰すると予測するが、ここのところ新興市場の地合いが悪く、初値を買いに行く資金が細っているため、初値は後場の早い時間帯までには付くと予想する。セカンダリー市場においては、当社は8月決算であるため、決算発表が、上場直後からの調整の反転のきっかけになる可能性がある。
ただし、ビジネスモデルから成長性を考えると、売上を上げるには労働集約的な営業が必要となり、運営パートナーの獲得などは時間を要すると考えられる。来期の業績予想が大きく増収増益となれば株価は動くかもしれないが、PERの水準で言えば、30倍程度が関の山ではないかと考える。従って、決算直後に大きく買われるようなことがあっても、強気での追随買いは慎重に考えたほうがよいだろう。