【目次】
①️タンゴヤIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- タンゴヤ株式会社
- コード
- 7126
- 市場
- JASDAQスタンダード
- 業種
- 小売業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 田城 弘志 / 1965年生
- 会社住所
- 大阪市中央区淡路町三丁目5番1号
- 設立年
- 1949年
- 社員数
- 218人(2021年6月30日現在)
- 事業内容
- メンズ、レディースのオーダースーツ及びオーダーシャツ等の企画・販売
- URL
- http://tangoya.co.jp/company/
- 資本金
- 80,000,000円 (2021年7月16日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,751,372株
- 公開株数
- 210,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/08/03→1,540~1,600円に決定
- ブックビルディング期間:2021/08/05 - 08/12
- 公開価格決定:2021/08/13→1,600円に決定
- 申込期間:2021/08/16 - 08/19
- 上場日:2021/08/24
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 田城弘志 26.62%
- (株)GSマネジメント 24.84%
- みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合 11.06%
- 田丸祥一 5.51%
- 三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合 4.23%
- 鷹岡(株) 3.25%
- ナントCVC投資事業有限責任組合 3.25%
- 佛圓悠馬 1.95%
- 名本育広 1.95%
- 吉田招代 1.95%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/07 単体実績
463,330 -522,295 -391,592 579,469 - 2019/07 単体実績
9,720,122 632,691 537,714 683,122 - 2020/07 単体実績
9,017,925 257,098 184,799 815,230 - 2021/04 第3四半期単体実績
6,427,577 237,188 152,725 949,513 - ロックアップ情報
- みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合、ナントCVC投資事業有限責任組合は上場後90日目の2021年11月21日まで、田城弘志、佛圓悠馬、名本育広、吉田招代、中川智雄、株式会社GSマネジメントは上場後180日目の2022年2月19日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 3億3600万0000円(210,000株×1,600円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 220,300株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- タンゴヤ株式会社<7126>はメンズ、レディスのオーダースーツ及びオーダーシャツ等の企画・販売を行う企業である。国内主要都市に27店を出店している。
■事業内容詳細
同社はメンズ、レディスのオーダースーツ及びオーダーシャツ等の企画・販売を行っている。主な取り扱い品目は、オーダースーツ、オーダーシャツ、オーダーコート、オーダーシューズである。
下記の店舗やサービスを札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、福岡、広島、熊本、鹿児島の27店で展開している。
・GINZA Global Style 14店舗 「プライベートフィッティングルーム」を備えた1着あたり24,000~100,000円のオーダービジネスウェアを提供する店舗業態。
従来のGINZA Global Styleよりも顧客が更に快適な空間でオーダーメイドのプロセスを楽しめるよう、店内にウェイティングカフェを併設した業態。
・Global Style 1店舗
同社オーダースーツ販売事業をスタートした店舗業態で、「プライベートフィッティングルーム」を設置していない店舗業態。
・MARUNOUCHI Global Style 1店舗
「プライベートフィッティングルーム」よりも更に広い「プライベートテーラリングルーム」を設置。試着だけでなく、モデル選びから記事選びまでプライベートな空間でオーダーメイドが楽しめる業態。
・GSオンラインオーダーサービス
同社で採寸データを保有するGSアプリ倶楽部・GS倶楽部会員を対象として、同社スタイリストによるカウンセリングサービスを受けながらオンラインで商品を注文できるサービス。
・TANGOYA 5店舗
40~50歳代の顧客をメインターゲットに、クラシックなオーダースーツスタイルをリーズナブルな価格で仕立てることができるオーダーサロン。
■今後の取り組み
今後については来店客数の増加、人材育成の強化、魅力ある商品ラインナップの拡充を行う商品戦略に加えて下記の施策を行う。
・レディスオーダースーツの販売強化
・オンラインオーダーサービスの販売強化
2018年10月に「GINZA Global Style Ladies」ブランドを立ち上げ13店舗(2021年7月時点)を展開しているが、更に女性用ビジネスウェアの潜在需要を開拓するため、女性のニーズに対応する商品企画に取り組む。また女性店舗従業員への教育・研修を強化し、女性客が快適に買い物できる店舗環境作りに取り組む。
またオンラインオーダーサービスの売上拡大のため、オーダーコンテンツの充実とシステム連携による運営力の向上に取り組む。更にネットマーケティングの活用により、オムニチャンネル戦略で実店舗に対する送客効果による店舗売上の拡大を図る。
■業績推移
2017年5月期 売上高74億円、経常利益5.6億円、当期純利益2.0億円
2018年7月期 売上高4.6億円、経常利益▲5.2億円、当期純利益▲3.9億円
2019年7月期 売上高97億円、経常利益6.3億円、当期純利益5.4億円
2020年7月期 売上高90億円、経常利益2.6億円、当期純利益1.8億円
2021年7月期(予想) 売上高83億円、経常利益3.1億円、当期純利益2.1億円
※2018年7月期は決算期変更にともなう2カ月決算
コロナ禍により業績は2019年7月期の売上高97億円、経常利益6.3億円が一旦ピークとなった。ただし決算期変更が行われた2018年7月期を除き黒字は維持されている。
2021年7月期は売上高83億円、経常利益3.1億円の予想であり減収減益が続く。2021年7月期Q3(累計)は売上高64億円、経常利益2.4億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年7月期末時点で資産合計61億円に対し純資産合計8.2億円、自己資本比率13%である。借入金32億円に対し、現預金14億円を有している。尚、現預金14億円、原材料及び貯蔵品20億円など流動資産41億円となっている。
また建物9.9億円などで有形固定資産13億円が計上されている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2020年7月期▲7.1億円(2019年7月期3.4億円)となっている。たな卸資産の増額(▲4.3億円)、仕入債務の増額(▲5.6億円)、前受金の減少(▲2.8億円)などにより、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなった。
■資金使途
IPOにより2.4億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・事業拡大に向けた新規出店の販売設備資金 2.2億円
・業務効率化と生産性向上のための基幹システム開発 0.2億円
調達資金の殆どが事業拡大に向けた新規出店に充当される。
■株主構成
田城社長が筆頭株主であり株式の27%(うち5.5%は潜在株式)を保有している。また第2位株主(株式シェア25%)の株式会社GSマネジメントは田城社長の資産管理会社であり、田城社長の関係先で株式の約半数が保有されている。
みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合(同11%)など合計3ファンドのVCが株主参入しており、VC比率は19%である。尚、VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
他の株主は個人及び取引先が幅広く株式を保有している。
■まとめ
国内主要都市に27店を出店するメンズ、レディスのオーダースーツ及びオーダーシャツ等の企画・販売を行う企業のIPO案件である。
コロナ禍により2019年7月期の売上高97億円、経常利益6.3億円が一旦業績のピークとなり、2020年7月期は減収減益となった(売上高90億円、経常利益2.6億円)が黒字は維持された。ただし営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスに転じた(3.4億円→▲7.1億円)点は留意する必要がある。また2021年7月期も減収減益の予想である。
コロナ禍によるテレワーク普及でスーツ需要は後退している。オーダーメードサービスによる付加価値訴求や新規出店によりIPO後も成長がなされるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、メンズ、レディースのオーダースーツ及びオーダーシャツ等の企画・販売事業を展開している。上場市場は東証JQ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が28億円、2021年7月期の業績予想ベースのPERは13.5倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が約4億円と少額であることから、需給は基本タイトとはいえ、ビジネススーツの成長性にはかなり疑問があるため、強い買い需要があるとはいえないので、初値は前場の遅い時間帯にはつくと考える。セカンダリー市場においては、VCが発行済株式の18.54%保有しており、1.5倍でロックアップ解除となるため、上場当日の株価の高値は公開価格の1.5倍程度を挟んだ展開となるだろう。
また、当社は7月決算なので、9月中旬には決算発表があり、来期の業績予想次第で株価は大きく動くと推測する。コロナ下でテレワークが進み、ビジネススーツ業界は低迷しており、その影響がどの程度でてくるのかを見極めてから投資した方が良いと考えるので、決算発表までは様子見スタンスが望ましい。