【目次】
①️イー・ロジットIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/16追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/10追加)
- 会社名
- 株式会社イー・ロジット
- コード
- 9327
- 市場
- JASDAQスタンダード
- 業種
- 倉庫・運輸関連業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 角井 亮一 /1968年生
- 会社住所
- 東京都千代田区神田練塀町68番地
- 設立年
- 2000年
- 社員数
- 166人(2021年1月31日現在)
- 事業内容
- インターネット通販事業者の物流代行及び物流業務コンサルティング
- URL
- https://www.e-logit.com/
- 資本金
- 120,000,000円 (2021年2月19日現在)
- 上場時発行済み株数
- 3,400,000株
- 公開株数
- 915,600株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/03/08→1,400~1,500円に決定
- ブックビルディング期間:2021/03/10 - 03/16
- 公開価格決定:2021/03/17→1,500円に決定
- 申込期間:2021/03/18 - 03/23
- 上場日:2021/03/26→初値1,995円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:いちよし証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- プログレス(株) 24.99%
- 角井亮一 18.26%
- 光輝物流(株) 11.37%
- 三菱商事(株) 11.25%
- 行川久代 8.30%
- イー・ロジット従業員持株会 5.37%
- 白木政宏 3.12%
- (株)フルキャストホールディングス 3.12%
- 大森茂 2.69%
- (株)カーブスジャパン 1.25%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/03 単体実績
4,794,258 235,276 158,457 771,852 - 2019/03 単体実績
7,446,577 389,671 269,725 1,027,411 - 2020/03 単体実績
8,385,453 102,705 76,545 1,085,633 - 2020/12 第3四半期単体実績
7,969,844 209,035 129,062 1,289,334 - ロックアップ情報
- 行川久代、角井亮一、大森茂、菅田勝、プログレス株式会社、光輝物流株式会社、白木政宏は上場後90日目の2021年6月23日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 13億7340万0000円(915,600株×1,500円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 341,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社イー・ロジット<9327>は通販サイト向けの物流代行事業を手掛ける企業である。関東中心に6拠点を保有しサービスを提供している。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容詳細
同社は通販事業社に対して、商品の保管、ピッキング、梱包及び配送までを行う物流代行サポートを提供している。更に通販事業社の通販サイトの運営に係わる、商品撮影、受注処理及び問い合わせ対応等のカスタマーサポートを行う運営代行サービスをワンストップのフィルメントサービスとして提供している。
また通販サイト運営に係わる受注処理、カスタマーサポート、商品管理、物流代行、配送等を一括で行うことができる物流センターとして、関東中心に6つのフルフィルメントセンターを展開中。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■物流代行サービスについて
物流代行サービスは、通販事業社の依頼を受けて商品を預かり、商品管理、ピックング、流通加工、梱包、配送、代金回収等の一連の物流業務を代わりに行うサービスである。同サービスを同社は6つのフィルメントセンターを拠点に提供されている。
また物流代行サービスにおける他社との差別化として、通販物流の周辺サービスの拡充を図っている。具体的には化粧品や医薬部外品など、薬機法の認可が必要な商品の取り扱いを全てのフルフィルメントセンターで行うことができるよう整備している。また運用代行サービスとして、商品撮影サービスなども提供する。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業環境
同社を取り巻くEC市場は成長を続けており2019年におけるBtoC-EC市場は19兆円(対前年同期比7.7%増)である。また物販系EC比率は6.8%(同0.5%増)と増加しており、EC市場の拡大は今後も継続すると予想される。
■2020年3月期相手先別売上高
2020年3月期 売上高84億円
・株式会社LDH JAPAN 13億円(割合15%)
・株式会社カーブスジャパン 10億円(同12%)
2019年3月期、2020年3月期ともに上記2社で売上高の約3割を占めている。2020年12月期Q3(累計)も約25%であり、売上先は各社に分散された状態である。
また株式会社カーブスジャパン<カーブスHD:7085>は同社株主ともなっている。
■業績推移
2018年3月期 売上高48億円、経常利益2.4億円、当期純利益1.6億円
2019年3月期 売上高74億円、経常利益3.9億円、当期純利益2.7億円
2020年3月期 売上高84億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.8億円
2021年3月期(予想) 売上高106億円、経常利益2.2億円、当期純利益1.3億円
増収を継続しているものの、経常利益は2019年3月期がピークとなっている。
2021年3月期は売上高100億円超え及び経常利益2億円超えの予想である。しかし2019年3月期の経常利益3.9億円には届かない。
2021年3月期Q3(累計)で売上高80億円、経常利益2.1億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年3月期末時点で資産合計33億円に対し、純資産合計11億円、自己資本比率33%である。借入金5.7億円に対し、現預金8.8億円を有している。流動資産19億円と高い流動比率だが、フィルメントセンターなどの差入保証金が投資その他資産で7.7億円計上されており、有形固定資産5.3億円より多くなっている。
キャッシュ・フロー計算書では営業活動によるキャッシュ・フローが2019年3月期4.7億円、2020年3月期2.4億円計上されてプラスで推移している。減価償却費が2019年3月期0.8億円、2020年3月期1.1億円計上されるなどしており、税引前当期純利益比で営業活動によるキャッシュ・フローのプラス幅が大きくなっている
■資金使途
IPOにより7.4億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。
・新規フィルメントセンター開設及びフィルメントセンターの生産性向上のための設備投資 5.4億円
・習志野フィルメントセンター開設に伴う増加運転資金 2.0億円
調達資金はフィルメントセンター関連の投資に充当される。
■株主構成
筆頭株主(株式シェア25%)のプログレス株式会社は角井社長の資産管理会社である。角井社長は個人でも第2位株主(同18%)であり、角井社長の関係先で40%以上の株式が所有されている。
第4位株主(同11%)として三菱商事株式会社が株主参入している。また主要取引先の株式会社カーブスジャパンが1.3%の株式シェアを持つ株主となっている。
個人及び取引先などの事業会社中心の株主構成であり、金融機関やファンド等の株主参入はない。
■まとめ
関東中心に6拠点を有し通販サイト向けの物流代行事業を手掛ける企業のIPO案件である。
EC市場の拡大を背景に業績の拡大を続けている。ただし増収は続けているものの、経常利益は2019年3月期3.9億円がピークとなっている。
2021年3月期は売上高100億円突破の予想であるが、経常利益は2.2億円の予想であり、2019年3月期の3.9億円には届かない。
EC市場の拡大は今後も継続が予想される中で同社の増収も続くと予想されるが、利益を伴った成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、インターネット通販事業者の物流代行及び物流業務コンサルティング事業を展開している。上場市場は東証JASDAQ。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が51億円、2021年3月期の業績予想ベースのPERは38.63倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が16億円程度なので需給が緩むほどではないが、上場市場がJASDAQということで、個人投資家の人気はやや低いかもしれないが、コロナ禍にあって、ECのバックエンドシステムを担っていることから、ビジネスモデルとしては成長事業と考えられるので、初値は上場当日の後場まで持ち越されると推測する。
セカンダリー市場においては、上場直後の高値からしばらく調整した後、5月の決算発表で来期の業績予想が大きく伸びれば、株価反転のきっかけとなるかもしれないが、売上拡大で、物流センターの賃料や人件費も増えており、売上成長に見合うだけの利益が出ているかどうかをよく吟味する必要がある。もし、利益成長が売上成長以下になるような来期の業績予想だと、失望売りとなるかもしれないので注意したほうが良いだろう。