ヒューマンクリエイションホールディングス

【目次】
①️ヒューマンクリエイションホールディングスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/2追加)

会社名
株式会社ヒューマンクリエイションホールディングス
コード
7361
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 富永 邦昭 /1970年生
会社住所
東京都千代田区霞が関三丁目2番1号
設立年
2016年
社員数
9人(2020年12月31日現在)
事業内容
システムの開発・保守を行う技術者派遣に特化した人材派遣事業
URL
https://hch-ja.co.jp/
資本金
117,790,000円 (2021年2月9日現在)
上場時発行済み株数
1,898,750株
公開株数
1,619,400株
連結会社
4社
スケジュール
仮条件決定:2021/02/26→2,020~2,120円に決定
ブックビルディング期間:2021/03/01 - 03/05
公開価格決定:2021/03/08→2,120円に決定
申込期間:2021/03/09 - 03/12
上場日:2021/03/16→初値3,505円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:ひろぎん証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
大株主
(株)BSH 94.21%
HCHグループ従業員持株会 2.78%
富永邦昭 2.33%
下田昌孝 0.65%
渡部峻介 0.03%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/09 単体実績 
250,357 38,559 14,078 172,108
2019/09 連結実績 
4,154,577 333,605 203,989 391,549
2020/09 連結実績 
4,565,004 303,442 210,268 637,038
2020/12 第1四半期連結実績 
1,210,242 120,931 79,542 716,581
ロックアップ情報
株式会社BSHは上場後90日目の2021年6月13日まで
富永邦昭、下田昌孝、渡部峻介、HCHグループ従業員持株会は上場後180日目の2021年9月11日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
34億3312万8000円(1,619,400株×2,120円)
潜在株数(ストックオプション)
なし
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)

株式会社ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>はシステム開発・保守人員の技術者派遣に特化した人材派遣事業を手掛ける企業である。

投資会社の株式会社リサ・パートナーズ<未上場>グループが筆頭株主となっている。
 
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書

沿革

同社は1974年10月に設立された金融機関向けのSI事業を手掛ける株式会社バンキング・システムが前身である。設立後まもなく派遣事業を開始しており、以後の主力事業となっている。

2016年10月に株式移転方式により持株会社化しており、その後2016年10月、2018年9月、2019年10月の複数回に渡り事業買収を行い現在に至った。

現在は持株会社及び事業を担う連結子会社4社の5社でグループが構成されている。
 

事業内容

同社が手掛けるシステムソリューションサービス事業は、エンジニアの顧客企業先常駐を基本にシステムの開発・保守を行う技術者派遣事業である。は主要顧客であるシステムインテグレータやメーカーを経由して受託した、企業向け社内システム構築などの開発案件に同社エンジニアは参加している。

サービスの提供先は金融サービス業界、製造・流通業界、エネルギー業界、公共・医療業界、通信・メディア業界など幅広く、開発領域についても物流、製造、マーケティング・販売、サービスなど多岐に渡っている。

同社の技術者数及び平均契約単価は右肩上がりで上昇しており、同社成長を支えている。
 
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書
 

同社の特徴

同社事業の特徴は下記である。

・システム開発の各工程に派遣可能なエンジニア集団の保有
・案件参画を通じた人材の教育効果・単価効果・受注拡大の好循環
・幅広い業種・案件に対応できる独立系の強みと保守運用による継続的な収益計上

同社では自社グループ内で、コンサルティングから運用保守までシステム開発の全工程に必要なエンジニアを保有している。よって上流から下流まで、各工程に対し人材派遣を通じたフレキシブルなエンジニアの提供が可能である。

また特定の業界・取引先・開発領域に依存せず、幅広い案件に対応可能な体制を構築することで、経済環境の変化にも強い企業体質を醸成している。単発の開発受注だけではなく、開発後の保守運用も一貫して受注して、その後の改修・更新案件を継続的に獲得することで、安定収益の積み上げを目指している。
 
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書
 

業績推移

2018年9月期 営業収益2.5億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.1億円
2019年9月期 売上高42億円、経常利益3.3億円、当期純利益2.0億円
2020年9月期 売上高46億円、経常利益3.0億円、当期純利益2.1億円
2021年9月期(予想) 売上高51億円、経常利益5.0億円、当期純利益3.1億円
※2018年8月期より連結決算

2019年9月期及び2020年9月期は経常利益3億円、当期純利益2億円で横ばいの利益推移となっている。2021年9月期は売上高50億円及び経常利益5億円の大台到達の予想である。

2021年9月期Q1は売上高12億円、経常利益1.2億円でスタートした。

財務状況

2020年9月期末時点で19億円に対し、純資産合計6.4億円、自己資本比率34%である。借入金3.6億円に対し現預金5.9億円及び売掛金5.1億円を有しており、財務内容に特段の懸念事項はない。

過去の事業買収により無形固定資産にのれんが4.4億円計上(2019年9月期末は2.3億円)。のれん償却額として2019年9月期0.3億円、2020年9月期0.6億円が計上されている。

資金使途

IPOにより1.4億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。

・人材採用費 0.6億円
・エンジニアの人件費(増加分) 0.8億円

調達資金の大半は人材採用費を含めた人件費に充当される。

公募株数50,000株に対し、売出株数1,569,400株であり、圧倒的に売出株数の多いIPOである。売出は全株が筆頭株主の株式会社BSHにより行われる。尚、売出株の一部は株式会社BSHの親会社である株式会社リサ・パートナーズ(上限284,700株)が取得を予定している。

株主構成

投資会社の株式会社リサ・パートナーズ<未上場>の運営ファンドが設立した法人である株式会社BSHが筆頭株主で株式シェアの94%を保有。IPOによる売出で株式会社BSHの株式シェアの15%未満となるため、同社の持分法適応会社から外れる。

第2位株主はHCHグループ従業員持株会で2.8%の株式シェアである。

富永社長は株式シェア2.3%を持つ第3位株主となっている。

まとめ

投資会社が筆頭株主のシステム開発・保守人員の技術者派遣に特化した人材派遣事業を手掛ける企業のIPO案件である。

売上高45億円前後、経常利益約3億円で安定的な推移を見せていたが、2021年9月期は売上高51億円、経常利益5.0億円と増収増益の予想である。上流工程から下流工程、また様々な業界の案件を手掛けており、手堅い事業展開がなされている。

技術者の増加と契約単価の上昇を背景に今期(2021年9月期)から利益水準が上がる予想であるが、来期からはどのような成長スピードとなるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。

また売出にて筆頭株主の投資会社が保有する大半の株式が売却されるものの、IPO後も投資会社が筆頭株主に留まるため、IPO後の株主構成の推移にも注意が必要と考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、システムの開発・保守を行う技術者派遣に特化した人材派遣事業を展開している。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が40億円、業績予想ベースPERが13.02倍となっている。2021年9月期の1株当りの配当は48.98円で公開価格の配当利回りは2.35%、会社方針としての配当性向は30%となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が約40億円とマザーズとしては規模が大きく、初値は前場の早い時間帯に付くと考えるが、発行済株式数のほとんどが上場日において流通株となるため、既存の株主の売りが将来出て来る可能性はほとんどないため、上場当日に株価が壊れなければ需給による株価下落の不安は小さいと考えられる。

セカンダリー市場においては、社員一人当たりの契約単価がここ数年上昇しており、そのトレンドが継続することができれば、業績開示の実績に合わせて株価は連動すると考えられる。PERの水準と配当利回りの観点から、公開価格はやや割安と考えられるので、初値が公開価格に近い水準で付いた後に押し目があればチャンスかもしれない。