i-plugIPOレポート

【目次】
①️i-plugIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/9追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/2追加)

会社名
株式会社i-plug
コード
4177
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役CEO 中野智哉 /1978年生
会社住所
大阪市淀川区西中島五丁目11番8号
設立年
2012年
社員数
141人(2020年12月31日現在)
事業内容
新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」の運営
URL
https://i-plug.co.jp/
資本金
215,000,000円 (2021年2月12日現在)
上場時発行済み株数
3,732,500株
公開株数
511,600株
連結会社
1社
スケジュール
仮条件決定:2021/03/01→2,470~2,620円に決定
ブックビルディング期間:2021/03/03 - 03/09
公開価格決定:2021/03/10→2,620円に決定
申込期間:2021/03/11 - 03/16
上場日:2021/03/18→初値6,000円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:大和証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
中野智哉 62.90%
山田正洋 10.62%
ニッセイ・キャピタル8号投資事業有限責任組合 無限責任組合員 ニッセイ・キャピタル(株) 8.17%
田中伸明 5.72%
直木英訓 2.81%
おおさか社会課題解決投資事業有限責任組合 無限責任組合員 フューチャーベンチャーキャピタル(株) 1.70%
りそなキャピタル4号投資事業組合 業務執行組合員 りそなキャピタル(株) 1.02%
(株)シタシオンストラテジックパートナーズ 1.02%
阪田貴郁 1.00%
青木崇 0.88%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/03 単体実績 
691,100 34,957 48,392 135,195
2019/03 連結実績 
1,348,986 88,489 72,988 244,768
2020/03 連結実績 
1,598,291 26,340 -40,296 233,025
2020/12 第3四半期連結実績 
1,449,686 104,357 57,661 141,207
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年6月15日まで
または、上場後180日目の2021年9月13日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
12億6365万2000円(511,600株×2,470円)
潜在株数(ストックオプション)
210,250株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社i-plug<4177>は新卒ダイレクトリクルーティングサービスと適正検査サービスを提供する本社を大阪市に置く企業である。
 
i-plug
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

事業内容詳細

同社は下記2事業を展開している。

・新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」(オファーボックス)
・適正検査サービス「eF-1G」(エフワンジー)
 

新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」ついて

i-plug
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」(オファーボックス)は新卒採用に特化したダイレクトリクルーティングサービスである。2021年卒業予定者のOfferBox登録学生数は14.5万人であり、就活生の約3人に1人が利用するサービスとなっている。

企業の多様な採用ニーズに対応できる学生のデータベースを提供し「待っていても会えない学生に会える」という価値を企業に対して提供する。オファー流通量を制限(採用計画1名につき40枠、学生15枠)したことで、学生と企業が互いを向き合い、一対一のコミュニケーションを通じて相互理解を深められる仕組みとしている。

また「OfferBox」は成功報酬型と早期定額型の2つの料金プランを企業に提供することで、サービス導入のハードル引き下げを図っている。
 
i-plug
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●適正検査サービス「eF-1G」について

適正検査「eF-1G」は、細かいメッシュと高い網羅性で、戦力となる人材を選び、育て、活かすという人事活動を一貫してサポートする適正検査である。

適性検査の結果として得られる測定項目数が194個あり、既存従業員の適正検査結果を分析することで、個々の企業で活躍し定着する人材要件の見極めを可能としている。また入社前であれば採用選考における見極めから、内定後の動機付けまで採用のあらゆるシーンに活用可能である。また入社後には、職種適正による適材適所の実現やデータ蓄積による採用成果の検証も可能となっている。

尚、eF-1Gは業務提携先の株式会社イー・ファルコンが提供のサービスであったが、2020年10月に株式会社イー・ファルコンは同社の完全子会社化となっており、現在は同社サービスとして提供されている。
 

2020年3月期及び2021年3月期(予想)部門別売上高

2020年3月期 売上高16億円(対前年同期比119%)
・OfferBox(早期定額型) 10億円(同134%)
・OfferBox(成功報酬型) 2.7億円(同99%)
・eF-1G 2.8億円(同103%)
・その他 0.5億円(同83%)

OfferBoxが主力事業であるが、OfferBox(早期定額型)の売上高が6割以上を占めており、また対前年同期比で+30%以上の伸びを見せている。

2021年3月期(予想) 売上高21億円(対前年同期比132%)
・OfferBox(早期定額型) 13億円(対前年同期比134%)
・OfferBox(成功報酬型) 4.6億円(同169%)
・eF-1G 2.6億円(同91%)
・その他 0.6億円(同135%)

2021年3月期はOfferBoxが早期定額型と成功報酬型のいずれも増収を予想している。早期定額型は前期並みの対前年同期比で+30%以上の伸びが予想されるが、成功報酬型が+69%増となり大幅な伸びが予想されている。

ただしeF-1Gは若干の減収予想である。
 

業績推移

2018年3月期 売上高6.9億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.5億円
2019年3月期 売上高13億円、経常利益0.9億円、当期純利益0.7億円
2020年3月期 売上高16億円、経常利益0.3億円、当期純利益▲0.4億円
2021年3月期(予想) 売上高21億円、経常利益2.8億円、当期純利益1.9億円
※2019年3月期より連結決算

増収を続けているが2020年3月期は当期純利益で若干の赤字となっている。

2021年3月期は売上高20億円、経常利益2億円の大台突破の予想で、利益計上のステージ入りの見込みである。2021年3月期Q3(累計)は売上高14億円、経常利益1.0億円であり、通期計画の達成に向け順調に進捗している。
 

財務内容

2020年3月期末時点で資産合計16億円に対し、純資産合計2.3億円、自己資本比率15%である。借入金5.9億円に対し、現預金12億円を有している。尚、顧客からの前払い費用として前受収益4.8億円が計上されている。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2019年3月期2.5億円、2020年3月期2.2億円である。前受収益が毎期1億円以上増加していることから、営業活動によるキャッシュ・フローで2億円を超えるプラスが計上されている。
 

資金使途

IPOにより7.9億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・新規事業領域を含むプロダクト開発力の強化のための人件費 4.2億円
・OfferBox事業のプロモーション費 2.3億円
・子会社化した株式会社イー・ファルコンの事業拡大に向けた人件費 0.4億円
・有利子負債の返済資金 0.8億円

調達資金のうち半数以上が事業拡大に向けた人件費に充当される。
 

株主構成

中野社長が筆頭株主であり株式シェアの63%を有している。中野社長に加え、田中取締役(株式シェア5.7%)、直木取締役(同2.8%、うち0.4%は潜在株式)の取締役3名で株式シェアの約7割があるため、安定的な株主構成である。

第3位のニッセイ・キャピタル8号投資事業有限責任組合(同8.2%)以下、VCが3名義で11%の株式シェアを有している。VC株主はIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
 

まとめ

大阪市に本社を置く、新卒ダイレクトリクルーティングサービスと適正検査サービスを提供する企業のIPO案件である。

人手不足の新卒採用環境下で、有力な新卒ダイレクトリクルーティングサービスとして成長しており、2021年卒業予定者の約3割が同社サービスを利用中である。増収に対し利益の伸びが遅れていたが、2021年3月期から本格的な利益計上が予定されており、売上高21億円、経常利益2.8億円での着地を予想している。

新卒の採用数及び採用環境は景気動向に大きく左右される。コロナ禍による企業業績の二極化が進むなかで、新卒ダイレクトリクルーティングサービス大手として過度に景気動向に影響されることなく成長を続けることが出来るのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社グループは、新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」の運営している。ビジネスとしては、登録している学生の適性検査「eF-1G」で194項目の測定結果を見ることにより、企業に就業上必要なストレス耐性や継続力、幼少期から青年期の経験や気質といったデータを確認することができる仕組みを提供している。売上として入社した学生数により報酬を頂くビジネスモデルとなっている。

株価のバリュエーションは公開価格時価総額が98億円、業績予想ベースPERは50.93倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が15億円程度なので、初値は後場に持ち越しとなると予想する。VCの持ち分が約10%程度あるが、ロックアップ解除で市場に出てきたとしても、この程度であれば十分吸収できる水準である。

セカンダリー市場においては、当社は3月決算なので、5月中旬には決算発表し、翌期の業績予想を開示することになる。 2020年から2021年への成長と同じだけ伸びれば、利益はこの3月期の2倍以上まで伸びる可能性が十分ある。とすれば、公開価格のバリュエーションであるPER50倍はかなり割安感があるが、初値が3倍以上になると、そこから先はちょっと先取りしすぎのバリュエーションとなりそうだ。