SharingInnovationsIPOレポート

【目次】
①️Sharing Innovations IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/15追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/8追加)

会社名
株式会社Sharing Innovations
コード
4178
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 飯田 啓之 /1973年生
会社住所
東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号
設立年
2008年
社員数
195人(2021年1月31日現在)
事業内容
システム開発ならびにクラウドインテグレーション
URL
https://sharing-innovations.co.jp/
資本金
330,500,000円 (2021年2月19日現在)
上場時発行済み株数
3,710,000株
公開株数
1,035,000株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/03/05→2,670~2,850円に決定
ブックビルディング期間:2021/03/09 - 03/15
公開価格決定:2021/03/16→2,850円に決定
申込期間:2021/03/17 - 03/22
上場日:2021/03/24→初値4,650円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:野村證券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:エース証券
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
(株)Orchestra Holdings 87.21%
有田佳史(受託者) 6.77%
飯田啓之 2.30%
根本崇司 2.30%
柳径太 0.48%
女鹿慎司 0.38%
中川義則 0.24%
久田友紀 0.08%
山下祐介 0.08%
足立研一郎・・・以下同率保有者1名 0.08%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2017/12 単体実績 
141,941 15,875 11,457 106,071
2018/12 連結実績 
676,430 58,737 61,832 387,903
2019/12 連結実績 
2,724,748 150,507 73,971 866,434
2020/09 第3四半期連結実績 
2,748,627 168,940 95,912 962,507
ロックアップ情報
株式会社Orchestra Holdingsは上場後180日目の2021年9月19日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
27億6345万0000円(1,035,000株×2,670円)
潜在株数(ストックオプション)
536,800株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社Sharing Innovations<4178>はシステムソリューション、クラウドインテグレーション、占いアプリの企画・開発・運営を主に行う企業である。
Sharing Innovations
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
尚、株式会社Orchestra Holdings<6533:企業向けデジタルマーケティング事業>が株式シェアの87%持つ 筆頭株主であり、子会社上場となっている。
 

事業内容詳細

同社は下記2事業を展開している。

・デジタルトランスフォーメーション事業
・プラットフォーム事業

尚、2008年6月の創業後、複数の事業買収を行いながら事業拡大を果たしている。また2017年6月に株式会社Orchestra Holdingsの100%子会社となった。
 

デジタルトランスフォーメーション事業について

デジタルトランスフォーメーション事業は①システムソリューション、②クラウドインテグレーションの2つのサービスから構成されている。

まず①システムソリューションは同社の創業時からのサービスである。金融、流通、ウェブサービス、人材などの幅広い業種・業態をクライアントとするシステム開発サービスとなっている。

要件定義、基本設計、詳細設計までの上流工程、実装、テストの下流工程の両者に対応しており、全ての工程を同社従業員等で進める場合と、他社が主導するプロジェクトの一部をサポートする場合がある。

同社ではこれまでのプロジェクト実施・参画経験をもとに、開発業務に必要なスキルや需要のある技術を分析し、分析結果をもとにプログラミング言語や開発フレームワークなどの教育カリキュラムを作成して、従業員の育成を行っている。

次に②クラウドインテグレーションでは、米salesforce.com社が提供しているクラウドベースのCRM(顧客管理)・SFA(営業支援)ツールなどのサービスの導入支援を行っている。

クラウドベースの顧客管理システムである「Sales Cloud」の導入支援では、クライアントからのヒアリング内容を基に要件定義を行い、その要件定義に従って設計・テストを実施し、クライアント自らが運用できるようにトレーニングを行っている。
Sharing Innovations
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

プラットフォーム事業

プラットフォーム事業では、占いを主要カテゴリーとしてネイティブアプリの企画・開発・運営を中心に行っている。主要サービスである「チャットで話せる占いアプリ-ウラーラ」は、占い師とユーザー間のリアルタイムコミュニケーションによる占い鑑定を可能としたオンラインチャット占いアプリである。

「ウラーラ」の2021年1月末における在籍占い師数は900名、2020年12月期の平均月間利用者数は8,400名を超えている。
 
Sharing Innovations
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

2019年12月期のセグメント別損益

2019年12月期 売上高27億円(対前年同期比303%増)、営業利益1.5億円(同151%)
・デジタルトランスフォーメンション事業 売上高25億円(同269%増)、セグメント利益2.5億円(同71%増)
・プラットフォーム事業 売上高2.3億円、セグメント利益0.1億円

デジタルトランスフォーメンション事業が大幅な増収増益を果たした結果、全体でも大幅な増銃増益となっている。

プラットフォーム事業は同事業を手掛ける株式会社ライフテクノロジーの吸収合併を2019年12月期に行っており、それに伴い2019年12月期から同社売上に計上されている。
 

業績推移

2017年12月期 売上高1.4億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.1億円
2018年12月期 売上高6.8億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.6億円
2019年12月期 売上高27億円、経常利益1.5億円、当期純利益0.7億円
2020年12月期 売上高38億円、経常利益2.8億円、当期純利益1.8億円
2021年12月期(予想) 売上高44億円、経常利益3.2億円、当期純利益2.1億円
※2018年12月期より連結決算

増収増益を続けており2020年12月期は経常利益2億円、当期純利益1億円の大台に到達した。2021年12月期も引き続き増収増益の予想である。

2021年12月期はデジタルトランスフォーメンション事業の売上高40億円(前年同期比19%増)、プラットフォーム事業の売上高3.9億円(同▲2.2%減)の予想である。またデジタルトランスフォーメンション事業の売上内訳はシステムソリューション27億円、クラウドインテグレーション13億円となっている。

尚、2019年12月期が公開申請決算期であり期越え決算でのIPOである。
 

財務状況

2019年12月期末時点で資産合計14億円に対し、純資産合計8.7億円、自己資本比率61%である。借入金なく現預金3.2億円を有している。ただし資産合計のうちのれんなど無形固定資産が6.0億円計上されている。

2020年12月期は資産合計16億円、純資産合計10億円、自己資本比率66%まで拡大した。また無形固定資産5.2億円となっている。

キャッシュ・フロー計算書において営業活動によるキャッシュ・フローが2018年12月期2.2億円、2019年12月期1.9億円、2020年12月期1.4億円となっている。2018年12月期はその他の流動資産の減少(1.0億円)、その他の流動負債の増加(1.0億円)を受け当期純利益比で大幅に増加した。
 

資金使途

IPOにより1.8億円の資金調達を行い、クラウドインテグレーションの受注増加に対応するための人員増強に向け採用教育費として全額を充当する。

また公募株数50,000株に対し売出株数985,000株であり、売出株数の多いIPOとなっている。売出は親会社である株式会社Orchestra Holdingsが拠出する。
 

株主構成

株式会社Orchestra Holdings<6533:企業向けデジタルマーケティング事業>が筆頭株主であり株式シェアの87%を保有している。

飯田社長は第3位株主でありシェア2.3%を保有するが、全株が潜在株式である。株式会社Orchestra Holdings以外の株主は潜在株式での保有となっており、実質的には株式会社Orchestra Holdingsの100%子会社である。

株式会社Orchestra Holdingsは売出にて3,660,000株のうち985,000株を売却するが、IPO後も筆頭株主は維持される。
 

まとめ

システムソリューション、クラウドインテグレーション、占いアプリの企画・開発・運営を主に行う企業のIPO案件である。株式会社Orchestra Holdings<6533>が親会社であり子会社上場となる。

米salesforce.com社が提供するクラウドサービスの導入支援を行うクラウドインテグレーションの伸びにより成長が続いており、2020年12月期は売上高38億円、経常利益2.8億円となった。

システムのクラウド化に対する高い需要を背景とする成長の継続性が、今後の注目ポイントになると考えられる。

また上場後も親会社の株式会社Orchestra Holdingsが筆頭株主を維持するため、親会社の株式保有スタンスにも注意が必要と考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、Orchestra Holdings(東証1部6533)のシステム子会社で、システムソリューション、クラウドインテグレーション、アプリの企画・開発・運営事業を展開している。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が106億円、2021年12月業績予想ベースのPERが50.11倍となっている。親会社の予想利益ベースのPERが55倍であることから、10%ディスカウントの水準は妥当と考えられる。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が30億円とやや大きいことから、同日上場の他の銘柄に資金が集中して割負けするのではないかと考えられる。よって、初値は前場中に付くと予想する。もし、前場の早い時間に付くことがあれば、親会社は連結維持のため売出し株数以上を放出しないと考えられるので、需給は悪くなく、公募・売出し株を買った個人投資家の売り一巡後は強含みの展開を予想する。

セカンダリー市場においては、デジタルトランスフォーメンション事業が順調に成長しており、業績の崩れはないと見るが、上場直後に、もし株価が公開価格の2倍になるようなことがあると割高感が出て来るるため、調整は避けられないと考える。また、決算は12月なので、来期の業績を織り込む動きは年末にならないと出てこないので、年内は公開価格から上場直後の高値の範囲での動きとなると考えておいて良いだろう。