シキノハイテックIPOレポート

【目次】
①️シキノハイテックIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(近日中に追加予定)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/8追加)

会社名
株式会社シキノハイテック
コード
6614
市場
JASDAQスタンダード
業種
電気機器
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 浜田 満広 /1959年生
会社住所
富山県魚津市吉島829番地
設立年
1975年
社員数
340人(2020年12月31日現在)
事業内容
半導体検査装置の開発・製造
LSIの設計及びIPコアの開発
カメラモジュール及び画像処理システムの開発・製造
URL
https://www.shikino.co.jp/
資本金
170,311,000円 (2021年2月18日現在)
上場時発行済み株数
4,150,000株
公開株数
1,230,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/03/04→360~390円に決定
ブックビルディング期間:2021/03/08 - 03/12
公開価格決定:2021/03/15→390円に決定
申込期間:2021/03/16 - 03/19
上場日:2021/03/24→初値1,221円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:野村證券
引受証券:大和証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
大株主
塚田隆 12.76%
シキノハイテック従業員持株会 10.80%
浜田満広 6.83%
名古屋中小企業投資育成(株) 6.57%
ほくほくキャピタル(株) 4.58%
岸和彦 4.55%
宮本和子 4.49%
志貴野メッキ(株) 4.46%
広田文男 3.56%
宮本幸男・・・以下同率保有者1名 3.53%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/03 単体実績 
5,272,427 402,444 527,730 454,007
2019/03 単体実績 
4,678,140 169,821 120,833 557,565
2020/03 単体実績 
4,531,640 235,270 113,914 677,300
2020/12 第3四半期単体実績 
3,200,151 97,506 62,971 753,818
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2021年9月19日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
4億7970万0000円(1,230,000株×390円)
潜在株数(ストックオプション)
120,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社シキノハイテック<6614>は半導体検査装置の開発製造、LSI設計、カメラモジュールの製品開発などを手掛ける、本社を富山県魚津市に置く企業である。
シキノハイテック
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

事業内容詳細

同社は下記3事業を手掛けている。

・電子システム事業
・マイクロエレクトロニクス事業
・製品開発事業
 
シキノハイテック
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●電子システム事業について
電子システム事業では、半導体製造工場で使用される検査関連機器及び装置の開発製造を行っている。同社では特に車載用半導体部品向けの検査装置の製造開発を手掛けている。

また半導体周辺機器開発により培われた技術で、産業顧客の製品生産工程における検査ボードや専用計測器、更には各種電子機器の開発・設計・製造を行っている。

●マイクロエレクトロニクス事業について
マイクロエレクトロニクス事業では、半導体のLSI設計(アナログ・デジタル)及びIPコアの開発などを行っている。

LSI設計アナログ系では、回路設計、レイアウト設計、特性評価から、テスト部門との連携によるLSIテストプログラム作成までの一貫設計体制を構築しており、設計技術者の派遣も行っている。

開発されたLSIの主な用途は、デジタル情報家電(携帯電話、DVD、デジタルカメラ、液晶テレビなど)及び車載機器関連(カーナビ)である。

●製品開発事業について
製品開発事業では、画像技術を活用した産業用組み込みカメラ、画像処理カメラの開発・製造及びシステム開発を行っている。複雑な画像処理をカメラ単体で実現しており、画像検査や計測、各種認識処理等、様々な用途に幅広く活用可能である。専用クリーンルームを完備した国内自社工場での一貫生産による、高信頼性と中長期にわたる安定供給を実現している。
 

2020年3月期部門別損益及び主要取引先

2020年3月期 売上高45億円(対前年同期比▲3.1%減)、営業利益2.4億円(同43%増) ・電子システム事業 売上高18億円(同▲7.3%減)、セグメント利益0.5億円(同201%増)
・マイクロエレクトロニクス事業 売上高18億円(同0.2%増)、セグメント利益2.5億円(同▲3.9%減)
・製品開発事業 売上高9.1億円(同▲1.1%減)、セグメント利益▲0.6億円(同▲47%減)

電子システム事業とマイクロエレクトロニクス事業は同等の売上規模の事業である、ただしセグメント利益ではマイクロエレクトロニクス事業は2億円を超えるセグメント利益を計上する一方で、電子システム事業は0.5億円に留まっている。

製品開発事業は電子システム事業及びマイクロエレクトロニクス事業の約1/2の売上規模であり、セグメント利益は若干の赤字である。

また2020年3月期の主要取引先は下記である。

・株式会社デンソー 売上高9.0億円(割合20%)
・ソニーLSIデザイン株式会社 売上高5.9億円(同13%)

2019年3月期及び2020年3月期Q3も、両者で売上高の2~3割が計上されている。
 
シキノハイテック
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

業績推移

2018年3月期 売上高53億円、経常利益4.0億円、当期純利益5.3億円
2019年3月期 売上高47億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.2億円
2020年3月期 売上高45億円、経常利益2.4億円、当期純利益1.1億円
2021年3月期(予想) 売上高46億円、経常利益2.1億円、当期純利益1.3億円

近年では2018年3月期が売上高50億円を突破し業績のピークとなった。2019年3月期以降は売上高45億円前後で推移しており、経常利益は2億円を前後する状態となっている。

2021年3月期は増収及び減益予想である。2021年3月期Q3(累計)で売上高32億円、経常利益1.0億円となっている。
 

財務状況

2020年3月期末時点で資産合計32億円、純資産合計6.8億円、自己資本比率21%である。借入金合計7.7億円に対し現預金2.2億円を保有している。

資産合計32億円のうち、流動資産は現預金2.2億円、売掛金7.7億円など18億円計上されているが、建物などの固定資産は8.7億円に留まる。

キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年3月期0.9億円、2020年3月期3.1億円となっている。たな卸資産の減少、その他負債の増加、法人税等の支払額の減少などから2020年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に増加した。
 

資金使途

IPOにより4.5億円の資金調達が行われ下記使途を予定している。

・設備資金 2.0億円
・新製品に関する研究開発 2.0億円
・人材採用及び人件費 0.5億円

全社基幹システム(ERP)導入費用としての設備資金及び各事業の研究開発に調達資金の殆どが充当される。
 

株主構成

塚田会長が筆頭株主であり株式シェアの13%を保有する。浜田社長は第3位株主(株式シェア6.8%)となっている。また第2位株主はシキノハイテック従業員持株会(同11%)である。

金融機関として名古屋中小企業投資育成株式会社が第4位株主(同6.6%)、第5位株主ほくほくキャピタル株式会社(同4.6%)また株式会社富山第一銀行(同3.2%)が株主参入している。

経営陣、金融機関及び取引先、個人がバランス良く株主となっている。

まとめ

富山県魚津市に本社を置く、半導体検査装置の開発製造、LSI設計、カメラモジュールの製品開発などを手掛ける企業のIPO案件である。

2018年3月期の売上高53億円、経常利益4.0億円が業績のピークとなった後、近年は売上高45億円前後、経常利益2億円前後の業績で推移しており、2021年3月期は減益予想でのIPOとなっている。

半導体検査装置開発の電子システム事業とLSI開発のマイクロエレクトロニクス事業はほぼ同規模の売上規模ながら、利益額はマイクロエレクトロニクス事業が大きく上回る状態である。

2018年3月期の業績がピークとなる中で、IPO後どのタイミングで2018年3月期業績を上回ることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、電子機器製品や半導体検査装置、画像処理システム、カメラモジュール製品などを国内で設計・生産する事業を展開している。JASDAQスタンダード上場。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が16億円、2021年3月期の業績予想ベースのPERが12.07倍となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が5億円と小さいことから初値は高騰すると推測する。昨年、JASDAQに上場した銘柄で資金吸収額が5億円程度の銘柄の初値騰落率が3倍~4倍になっており、今回も同様の展開になると予想する。

セカンダリー市場においては、需給だけで高騰した初値は必ず大きく調整されることから、5月中旬の決算発表時に発表される来期の業績予想が良ければ、上場後に調整した株価の反転のきっかけになるかもしれない。逆に業績予想で来期が横ばい以下になると、そこから大きく売られて公開価格のバリュエーションであるPER12倍程度まで下がることもあり得る。事業が半導体関連なので、製品の需給には中期的な波があることを理解しておくべきだが、DXの流れの中で、当社の事業には伸びしろがあり、なだらかな成長を維持することができると考えられる。