【目次】
①️ベビーカレンダーIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/16追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/10追加)
- 会社名
- 株式会社ベビーカレンダー
- コード
- 7363
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役 安田 啓司 /1966年生
- 会社住所
- 東京都渋谷区代々木一丁目38番2号
- 設立年
- 1991年
- 社員数
- 46人(2021年1月31日現在)
- 事業内容
- 妊娠・出産・育児向けの情報メディア事業及び産婦人科向けの経営支援ソリューション事業
- URL
- https://corp.baby-calendar.jp/
- 資本金
- 56,790,000円 (2021年2月19日現在)
- 上場時発行済み株数
- 828,000株
- 公開株数
- 165,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/03/08→3,960~4,200円に決定
- ブックビルディング期間:2021/03/10 - 03/16
- 公開価格決定:2021/03/17→4,200円に決定
- 申込期間:2021/03/18 - 03/23
- 上場日:2021/03/25→初値9,400円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:藍澤證券
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:むさし証券
- 大株主
- 安田啓司 30.01%
- 山田育代 25.88%
- 高谷康久 17.38%
- 高谷コンサルティング(株) 8.49%
- 福島智晴 2.60%
- オオサキメディカル(株) 1.70%
- 大崎将男 1.13%
- 三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合 1.13%
- 髙桑忠久 0.85%
- 佐々木和幸・・・以下同率保有者3名 0.74%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2017/12 単体実績
415,596 -302 -11,746 179,036 - 2018/12 単体実績
488,348 -17,313 -19,208 159,670 - 2019/12 単体実績
600,045 32,742 70,756 283,923 - 2020/09 第3四半期単体実績
663,456 93,603 58,176 342,099 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の2021年9月20日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 6億4020万0000円(165,000株×3,880円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 140,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社ベビーカレンダー<7363>は妊娠・出産・育児領域の専門サイト「ベビーカレンダー」の運営及び産婦人科向けにiPadなどを利用したITソリューションを提供する企業である。
株式会社クックパッドからMBOにより独立し現在に至っている。
■沿革
同社の前身は1991年4月に設立された株式会社ロジスティクスコンサルティングである。その後、医療用液晶情報端末の開発・製造などを行い、2008年7月に産婦人科毎にカスタマイズしたコンテツをiPadに搭載して提供するベビーパッドシリーズを発表した。
2015年6月にクックパッド株式会社<2193>から妊娠・出産サイト「クックパッドベビー(現ベビーカレンダー)」を譲り受けメディア事業が開始された。2017年5月には株式会社クックパッドベビー代表取締役の安田啓司氏(減、同社社長)がMBOを行い、株式会社ベビーカレンダーに商号変更を行い現在に至っている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)■事業内容詳細
同社は下記2事業を展開している。
・メディア事業
・産婦人科向け事業及びWebマーケティング事業
●メディア事業について
メディア事業では妊娠・出産・育児領域の専門サイト「ベビーカレンダー」を運営しており、広告媒体としてインターネット広告枠を販売している。同サイトは医師・専門家監修の安心かつ信頼できる妊娠・出産・育児の情報を提供する。常に信頼性の高い情報を掲載し、即時性の高い無料相談に対応するなどリアルとバーチャルの組み合わせのバランスを念頭に置き、サイト制作が行われている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
2016年6月のサイト運営開始以降、月間PV数、月間UU数は右肩上がりで上昇しており、2020年12月には月間PVが1億PVを超えた。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
●産婦人科向け事業及びWebマーケティング事業について
産婦人科向け事業では、産婦人科が抱える様々な課題に対してITを介したソリューションを提供する。産婦人科毎にカスタマイズしたコンテンツをiPadに搭載して提供する「ベビーパッドシリーズ」や、ホームページの制作・保守管理・診察予約システム・エコー動画館など、幅広いラインナップを揃えている。
また総合病院・クリニックを中心として医療機関、企業、官公庁、弁護士事務所に対するWebマーケティング事業も手掛けている。尚、Webマーケティング事業は2020年3月に吸収合併を行ったgaデザイン株式会社が手掛けていた事業である。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
■2019年12月期部門別損益及び主力取引先
2019年12月期 売上高6.0億円(対前年同期比123%)、営業利益0.3億円(前年同期▲0.2億円)
・メディア事業 売上高4.1億円(同135%)、セグメント利益1.3億円(同120%)
・産婦人科向け事業 売上高1.9億円(同102%)、セグメント利益0.2億円(前年同期▲0.4億円)
メディア事業、産婦人科向け事業のいずれも黒字化している。メディア事業は産婦人科向け事業の約2倍の売上規模であり、同社主力事業である。
また2019年12月期の主力取引先は株式会社ベネッセコーポレーションの売上高1.0億円(割合17%)、株式会社日医リースの売上高0.4億円(同7%)である。両者で売上高の2~3割を計上する状態が2018年12月期以降継続している。
■業績推移
2017年12月期 売上高4.2億円、経常利益▲0億円、当期純利益▲0.1億円
2018年12月期 売上高4.9億円、経常利益▲0.2億円、当期純利益▲0.2億円
2019年12月期 売上高6.0億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.7億円
2020年12月期 売上高8.9億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.6億円
2021年12月期(予想) 売上高11億円、経常利益1.6億円、当期純利益1.0億円
着実な増収を続けており、2019年12月期にわずかながら黒字化した。2020年12月期も黒字を維持している。
2021年12月期は売上10億円の大台を突破し、当期純利益も1億円の大台到達の予想である。派手さはないものの着実に増収増益が続く予想となっている。
尚、2019年12月期が公開申請決算期であり期越え決算でのIPOである。
■財務状況
2019年12月期末時点で資産合計3.7億円に対し、純資産合計2.8億円、自己資本比率76%である。借入金0.1億円に対し現預金1.7億円を有しており、財務内容について特段の懸念事項はない。
また2020年12月期末時点では資産合計5.0億円、純資産合計3.5億円、自己資本比率69%となっている。
キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるキャッシュ・フローが2018年12月期0.4億円、2019年12月期0.7億円、2020年12月期1.5億円で推移している。
■資金使途
IPOにより4.0億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。
・既存システムの開発投資 1.0億円
・新サービスの開発投資 1.0億円
・人材採用費及び人件費 0.8億円
・広告宣伝費 1.2億円
調達資金は既存システムの開発投資から広告宣伝費まで幅広く投じられる。
■株主構成
安田社長が筆頭株主であり株式シェアの30%(うち4.1%は潜在株式)を保有している。MBOや事業買収などを過去に行っており、被合併会社のオーナーなどが上位株主として多数存在する。
またVCとして三菱UFJキャピタル7豪投資事業有限責任組合(株式シェア1.1%)が株主参入している。
■まとめ
妊娠・出産・育児領域の専門サイト「ベビーカレンダー」の運営及び、産婦人科向けにiPadなどを利用したITソリューションを提供する企業のIPO案件である。2017年5月に株式会社クックパッドからMBOにより独立した。
「ベビーカレンダー」は2020年12月時点で1億PVを超えるサイトであり、妊娠・出産・育児領域の専門サイトとしては著名な存在である。また「ベビーカレンダー」のみならず産婦人科向け事業も黒字化しており、同社収益を下支えしている。
「ベビーカレンダー」は1億PVを超える優良サイトであるが、いずれ成長の限界点が到来する。IPO後に「ベビーカレンダー」を中心に企業としてどのように継続的な成長を行うのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、妊娠・出産・育児領域の情報専門サイト「ベビーカレンダー」を広告媒体として、インターネット広告枠の販売および産婦人科向けIT(情報技術)ソリューションの提供事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が35億円、2021年12月期の業績予想ベースPERが34.43倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が8億円と小さいこともあり、需給はタイトで初値は後場まで持ち越されると推測する。
セカンダリー市場においては、情報専門サイト「ベビーカレンダー」のKPIとして月間PVと月間UUが開示されるので、この指標が右肩上がりである間は広告事業が成長し、株価も連動して買われると考えられる。但し、株価のバリュエーションにおいては、事業成長の観点からPER100倍がマックスと考えられるので、公開価格の3倍以上の株価の価格帯では割高感が出て来る。おそらく上場直後の高値が今年の高値となり、その水準を超すには、今期の業績予想の上方修正が出るか、もしくは、来期の業績が増収増益になることが明確になるかのどちらかが起こることが条件となるだろう。