ブロードマインドIPOレポート

【目次】
①️ブロードマインドIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/15追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/10追加)

会社名
ブロードマインド株式会社
コード
7343
市場
マザーズ
業種
保険業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 伊藤 清 /1965年生
会社住所
東京都渋谷区恵比寿南一丁目5番5号
設立年
2002年
社員数
228人(2021年1月31日現在)
事業内容
個人及び法人向けに保険代理店業、住宅ローン代理業、金融商品仲介業、宅地建物取引業に係るソリューションをワンストップで提供するフィナンシャルパートナー事業
URL
https://www.b-minded.com/
資本金
283,790,000円 (2021年2月19日現在)
上場時発行済み株数
5,170,000株
公開株数
900,000株
連結会社
3社
スケジュール
仮条件決定:2021/03/08→710~810円に決定
ブックビルディング期間:2021/03/10 - 03/16
公開価格決定:2021/03/17→810円に決定
申込期間:2021/03/18 - 03/23
上場日:2021/03/26→初値1,566円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:あかつき証券
大株主
伊藤清 36.94%
笹川治信 15.56%
吉橋正 14.27%
小林義典 9.26%
メットライフ生命保険(株) 7.87%
大西新吾 5.81%
小林義典 1.85%
あいおいニッセイ同和損害保険(株) 1.85%
佐藤誠 1.30%
佐藤秀昭 0.93%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/03 単体実績 
2,523,370 281,498 167,574 1,381,975
2019/03 連結実績 
3,140,591 557,903 401,481 1,842,347
2020/03 連結実績 
3,244,620 290,819 177,980 1,991,586
2020/12 第3四半期連結実績 
2,574,804 376,773 252,476 2,206,287
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年6月23日まで
または、上場後180日目の2021年9月21日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
6億3900万0000円(900,000株×710円)
潜在株数(ストックオプション)
830,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
ブロードマインド株式会社<7343>はあらゆる世代・ライフステージに応じて保険・証券・住宅ローン・不動産をワンストップで提供を行う企業である。
 
ブロードマインド
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

事業内容詳細

同社はライフプランニング(=自身の人生設計と資金的な見直し)を土台に顧客の潜在的な金融ニーズを掘り起こし、あらゆる世代・ライフステージに応じて保険・証券・住宅ローン・不動産をワンストップで提供している。

同社では20代から40代のファミリー層に需要のある生命保険契約を中心に顧客を獲得し、ライフステージに応じて他の商品を展開している。
 
ブロードマインド
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

事業の特徴

同社はクレジットカード会社・信販会社を中心とした国内大手企業との提携を基盤に提携先を拡大し、継続・安定的にサービスの提供機会を確保している。

また同社では、ファイナンシャルプランナーとしてのプロフェッショナルを育成する教育プログラムを独自に開発している。プログラムの実践及び実務経験の中で醸成するコンプライアンスマインドや顧客に寄り添う姿勢を通して、ファイナンシャルプランナーとしての成果創出の早期化を実現し、業績拡大と健全な組織拡大を両立させている。

金融サービスの提供にあたっては分野毎に異なるライセンス(登録または許認可)が必要となるため、保険・証券・住宅ローンをワンストップで提供できる仲介業者は国内では少数である。2019年12月末時点で損害保険・生命保険・証券・住宅ローンの全分野を仲介できる業者は同社含め5社とされている。
 

成長戦略

同社ではコンサルティングの生産性向上及びアポイントの収益性向上による事業収益基盤の強化に加え、顧客アプローチ機会の創出による顧客LTV(ライフ・タイム・バリュー)の向上に取り組む。また自社で金融サービスアクセスツールなども開発している。

顧客の年代に応じてアフターフォロー・クロスセルの強化を行うためにも、全世代の金融ニーズに対応するための提案力強化を行う計画である近日中に追加予定

ブロードマインド
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

2020年3月期の販売実績

2020年3月期売上高32億円(対前年同期比103%)
・生命保険代理店業 26億円(同95%)
・損害保険代理店業 1.7億円(同109%)
・金融商品仲介業 0.5億円(同%91)
・住宅ローン代理業 0.4億円(同104%)
・不動産販売業 3.3億円(同261%)
・その他 0.9億円(同122%)

生命保険代理店業が売上全体の約8割を占める状態だが、対前年同期比では若干の減収である。2020年3月期は全体としては増収となったが、最も伸びを見せたのは不動産販売業である。ただし現状では生命保険代理店業中心の売上構成となっている。

また2020年3月期の主要相手先別売上高ではメットライフ生命保険株式会社15億円(割合47%)、マニュライフ生命保険株式会社3.4億円(同10%)であり、2社で6割近い売上高が計上されている。2019年3月期から2020年12月期Q3(累計)まで、2社の売上累計は5~6割の比率で推移している。

業績推移

2018年3月期 売上高25億円、経常利益2.8億円、当期純利益1.7億円
2019年3月期 売上高31億円、経常利益5.6億円、当期純利益4.0億円
2020年3月期 売上高32億円、経常利益2.9億円、当期純利益1.8億円
2021年3月期(予想) 売上高33億円、経常利益4.1億円、当期純利益2.8億円
※2019年3月期より連結決算

着実な増収を続けているが2019年3月期の経常利益5.6億円がピークとなっている。

2021年3月期も引き続き増収の予想であるが、経常利益4.1億円であり2019年3月期の経常利益5.6億円には届かない。

2021年3月期Q3(累計)は売上高26億円、経常利益3.8億円であり、通期予想達成に向け進捗は順調である。

財務状況

2020年3月期末時点で30億円に対し、純資産合計20億円、自己資本比率67%である。借入金4.8億円に対し、現預金14億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。

流動資産が24億円であり資産合計の殆どが流動資産で構成されている。ただし海外不動産事業における大型不動産プロジェクトへの短期貸付の実行により、短期貸付金が4.0億円計上されている。

資金使途

IPOにより5.0億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。

・同社サービスの認知度向上などを目的とした広告宣伝活動 2.2億円
・基幹システムの開発及び開発の専門人材の採用に係る人件費 2.5億円
・サービス領域の拡大及びコンプライアンス体制の強化を目的とした新規採用に係る人件費 0.4億円

既存顧客に対する提案力強化に向けた基幹システムの開発とその人件費に、調達資金の半数が充当される。

株主構成

伊藤社長が筆頭株主であり株式シェアの37%を保有している。また第2位株主は同社顧問の笹川治信氏(株式シェア16%)。第3位株主は吉橋取締役(同14%)である。

取引先としてメットライフ生命保険株式会社(同7.9%)、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(同1.9%)、東京海上日動あんしん生命保険株式会社(同0.9%)が株式を保有している。

個人及び取引先中心の株主構成であり、VCなどのファンドの株主参入はない。

まとめ

あらゆる世代・ライフステージに応じて保険・証券・住宅ローン・不動産のサービスをワンストップで提供する企業のIPO案件である。国内では数少ない保険・証券・住宅ローンの全てのサービスを提供できる仲介業者となっている。

顧客に対し様々な金融商品をワンストップで提供できる体制だが、売上の中心は生命保険代理店業であり2020年3月期時点で同分野が売上の約8割を占めている。

着実な増収を続けているが、経常利益は2019年3月期の5.6億円でピークを付けた状態である。ライフスタイルの多様化などから各金融商品をワンストップで提供するニーズが高まる中で、今後も増収を継続しながら生命保険以外の売上比率を向上させる等により利益成長を続けることができるか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、個人および法人向けに保険代理店業、住宅ローン代理業、金融商品仲介業、宅地建物取引業に係るソリューションをワンストップで提供するフィナンシャルパートナー事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が42億円、2021年3月期の業績予想ベースのPERが15.06倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が約8億円と小さいことで、需給はタイトとなることから、初値は後場まで持ち越されると推測する。

セカンダリー市場においては、ビジネスモデルが労働集約であるため、レバレッジが効きにくく、成長性の観点から、上場日に高値を付けたあと調整局面に入ると考える。5月の決算発表で来期の業績予想が開示されるが、ここ数年の業績の推移からすると大きな成長は見えにくい。PERの水準としては、IPOディスカウントを勘案した20倍~25倍前後あたりに集約されていくと見るが、ビジネスモデルは、個人向けのプライベートバンキングサービスと考えられるので、金融リタラシーの高い準富裕層向けに緩やかな成長を描くと考えられる。