転職活動を第二新卒の年齢で行いたいと考えている方は多いでしょう。ただ、第二新卒とは、具体的に何歳までのことをいうのかご存じでしょうか。また第二新卒で転職活動を行う場合、ポイントとなることや注意点はどのようなものかについても、わからないという方も少なくありません。

今回は、第二新卒での転職活動について、詳しく解説していきます。

第二新卒での転職活動とは

(画像=PIXTA)

「第二新卒」とは、その定義がはっきりと定められているわけではありませんが、一般的には新卒で就職し、それから1~3年以内に転職を考えて新たな就職活動をする人を指しているようです。ただ、1~3年というのは大まかな目安であり、最初の就職から数か月後でも4年後でも、転職を目指す場合は、第二新卒と呼んでも構わないでしょう。

第二新卒を求めている企業はたくさんありますが、全体的に見ると新卒採用よりは少なくなっています。新卒OK、第二新卒NGという企業もありますが、それでも一定の需要はあるようです。というのも、近年は新卒求人数に対して学生数が不足気味となっており、第二新卒に注目が集まっているからです。

厚生労働省が2020年10月に示した「新規学卒就職者の離職状況」によると、大学を卒業して就職した新卒者のうち32.8%が、3年以内に離職しているそうです。こうした傾向は2020年以前からしばらく続いています。特に事業規模が小さい企業では、離職率が高くなっています。

出典元:新規学卒就職者の離職状況 | 厚生労働省

第二新卒で転職した先輩の事例を紹介

第二新卒で転職を考えている人にとって、転職活動がうまくいくかどうかは、大きな懸念点でしょう。そこで、実際に転職した人の事例を紹介します。自分の転職活動参考にしてみてください。

まず経理部で働いていたAさんの事例です。この方の場合、3年務めるなかで、経理・会計のスキルをもっとあげていきたいという思いが強くなったようですが、今の職場ではそれが見込めないと感じ、転職を決断したとのことでした。

転職活動のやり方については、転職サイトに登録し、カウンセラーの指導を受けることにしたことで、かなり有益なアドバイスが受けられたようです。目標は、「経理としてのキャリアを積めるところ」というもので、幅広い業種で探していきました。カウンセラーがさまざま優良企業を紹介してくれ、選択を迷ったものの、あるIT企業に応募することにしたそうです。その際、カウンセラーのアドバイスに従って、適切な書類を作り、面接でもしっかり対応したので、無事転職ができたとのことです。

次は、半導体の代理店営業職に就いていたBさんの事例です。

この方の場合、新卒で就職した当時はこれから先のことはあまり念頭にはなく、「会社に頼りながら生きていければそれでいいかな」という程度の認識しか持っていなかったとのことです。少し認識が甘かったということでしょう。

ただ、その会社での働き方にはやはり不満があったそうです。前職では受動的で動くことが多く、積極的な活動ができないので、同じ営業でもやりがいも感じないようになったそうです。そんな状態で数年経ち、だんだん会社に頼ってばかりいず、独力で自分の未来を切り開かなければだめだと感じるようになったのが転職のきっかけになりました。転職活動にするにあたっては、「さまざまな業務に関わってみる」「IT分野の企業を選ぶ」「現場で思い切り羽ばたいてみる」の3つを軸に、企業探しを行い、思い描いていた企業に就職できました。仕事内容については少しきつい部分もあるらしいのですが、非常にやりがいがあり、今では充実した日々を送っているそうです。

もう一つの事例は、フリーペーパーの記者をしていた女性の体験談です。

前職では、フリーペーパー作成の為に、街の記事を書いたり、広告の作成・営業などをしたりしていたそうです。転職を考えたきっかけは、残業が非常に多いこと、休日も思うように取れなかったこと、営業車での活動がとても大変であったことなどで、この方は前職でかなり苦労されていたことがうかがわれます。

ただ、転職活動を始めるのは大変早く、入社後2週間で転職サイトに登録。実際の行動はもっと後だそうですが、求人へ応募して2週間で内定をもらったとのこと。仕事内容については、事務の仕事がメインという希望通りで、残業も大幅に減って満足だそうです。

以上、3つの事例を紹介しましたが、このように第二新卒の転職で成功している人は多数います。こうした事例も参考にしながら、思い切ってチャレンジすれば、飛躍につながる可能性も出てくるでしょう。

第二新卒の転職市場を読み解く

転職というと、ある程度実践経験を積んだ人の方が有利にも思えますが、第二新卒を専門にした転職エージェントなどもあります。そのような転職エージェントを利用することで、幅広い選択肢が広がってくるでしょう。

具体的にどのような転職先があるのか確認してみましょう。飲食店や店舗販売員などの仕事では、人手不足もあって第二新卒でも転職がしやすくなっています。事務職は人気の職業で、求人数も多いですが、応募者も非常に多いので、転職先としてはかなりハードルが高いといえるでしょう。営業職は前職での経験があると、応募しやすくなっています。情報処理分野は専門的なスキルが求められるので、第二新卒でも多少の経験があると重宝されるでしょう。

第二新卒は転職での失敗を避け、安定した仕事に就きたい人がほとんどでしょう。そのため、大手企業や中小でも実績や歴史のあるところを目指す人も多いですが、そのような転職市場ももちろんあります。

なお、第二新卒は中途採用組よりも転職市場において有利になる場合があります。というのも、第二新卒の場合、新卒者と年齢が近く、就職した企業で長い期間働いてくれる可能性があるからです。企業にとっては20代の若手社員は大切な存在であり、これからの活動を支えてもらうべき人材です。これが40代以降の転職者となると、企業に貢献できる期間も短くなりますが、第二新卒の場合は、長らく企業のために役立ってくれるため、大きな期待が寄せられているのです。

また、第二新卒の場合は、前職での経験が短いことがほとんど。そのため、柔軟性にも富んでいます。新たに就職した企業の風土や環境にもスムーズに馴染めると期待され、教育もしやすいでしょう。この辺も中途採用組には見られない特徴で、第二新卒が転職市場で期待されている部分でもあります。

第二新卒での転職を成功させるために

第二新卒での転職を成功させるには、新卒での就職活動とは違った工夫も必要です。具体的にはどのような点に注意したらいいのかをまとめました。

転職する理由を明確にしておく

第二新卒で転職をする場合、なぜ前職ではいけないのか、どこが気に入らないのか、転職先には何を求め、どのような仕事をどのような環境でしたいのか明確にしておかなければいけません。つまり転職軸、転職理由を自分でもはっきりさせておくのです。

それができないと、転職しても満足いく結果にはならず、「やめておけばよかった」と後悔することになりかねません。転職においては自己分析をしっかり行い、目的を見定めることが絶対に必要です。

また転職エージェントなどから紹介される転職先は多岐にわたるでしょう。その中からこれが自分に合いそうだという転職先を探すのは簡単ではありません。カウンセラーともよく相談する必要はありますが、その場合でも自分の転職理由が定まっていないと、いいアドバイスはもらえません。

逆に転職軸や転職理由が明確になっている人は、あまり迷わずに転職先を見つけられます。仮に内定が複数になっても、うまく自分に合う企業を選べるでしょう。

新卒での就活とは異なることを理解する

第二新卒の転職活動と新卒の就職活動は違います。学生時代は、大学が面接指導、エントリーシートの添削、合同企業セミナー、大学主催インターンシップなどを通じて、学生の就職活動を支援してくれます。最近では大学の就職支援の質を考慮し、入学先を選ぶ学生もいるようです。

一方、第二新卒の転職活動には大学の応援はありません。基本的に一人で転職活動を行うことになります。ただ、大学に代わって転職エージェントに登録することで、支援を受けられる場合があります。各転職エージェンが基本的にきめ細やかなサービスを提供してくれるので、そのサービスをどう活用するかも成功のカギとなるでしょう。

次に新卒の学生の場合は、準備期間を含めて、就活に多くの時間を割けます。それに対して、第二新卒の場合は、多くの場合、現在の仕事をしながらの転職活動となるため、時間がたっぷりあるわけではありません。そのために正しい判断や適切な選択ができないことも考えられます。それでは、自分が希望するような企業に就職できないかもしれません。

そうならないように、転職したい時期をしっかり見定め、その活動に割ける時間を明確にし、計画的に転職活動を進める必要があるのです。

また、まだ実務経験が少なく、履歴書や職務経歴書に何を記入するのか、あまり思いつかないかもしれません。その場合は、新卒と同じように学生時代の経験などを含めてもいいですが、短くても社会経験を積んだことを活かしたいところです。前職で学んだこと、感じたこと、経験などをアピールするのもいい方法です。

もう一つの成功のポイントとして、面接時の答え方があります。第二新卒の場合、面接で必ず聞かれるのが「どうして前の仕事を辞めたの?」です。これに対しては、前の会社の悪口を言ったり、ネガティブな答えを言ったりせず、前向きな返答するのが正解です。

例えば「前職が嫌いだった」とぶっきらぼうに答えるのではなく、「仕事自体は悪くはありませんでしたが、もう少し自分の可能性を広げてみようと思ったのです」などの柔らかい表現にしましょう。

転職後のキャリアやライフプランをある程度把握しておく

第二新卒が転職活動をする場合、どうしても目先のことに意識が向きがちです。とにかく今の仕事を辞めることばかりにが先に来て、何でもいいので転職したい、書類を早く通したい、転職活動における面接をうまくこなしたいなどにフォーカスしてしまい、長期的な視点が欠けてしまうことがあります。しかし転職する以上、その企業で長く働くつもりでしょう。そのためにも今後のキャリアやライフプランについてもある程度把握しておかなければいけません。3年後、5年後、10年後、20年後、自分はその企業でどうなるのか大体でいいので予測しておくことで、より自分に合った転職先を見つけやすくなるでしょう。

第二新卒は新たなキャリアのスタートライン

新卒で就職した企業やその働き方に満足できない場合、第二新卒として新たに転職活動をするケースは結構もあります。しかし、期間はそれほど空いていないにせよ、第二新卒の場合は、新卒の就職活動と全く違うといっていいでしょう。転職を成功させるには、いくつか注意しておきたい点があり、それに従って上手に転職先を探す必要があります。もしそれがうまく行けば、第二新卒は新たなキャリアのスタートラインとなり、大きな飛躍の可能性が拓けるでしょう。