投資信託/利回り
(画像=PIXTA)

投資信託の「利回り」は預貯金と異なり、事前に確定するものではないので、投資家にとって分りづらい指標のひとつかもしれません。

ここでは投資信託の利回りについて説明します。また、「利回り」に似た用語として「利率」、「騰落率」、「パフォーマンス」などがよく使われますが、これは「利回り」とは違った意味を持ちます。「利回り」をはじめ、こうした用語を理解し、正しく投資信託を選べるようになりましょう。

●投資信託(ファンド) 「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のこと。 「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。

引用元:金融庁|用語集

目次

  1. 利回りの概要と計算
    1. 「利回り」とは
    2. 「利率」との違い
    3. 「騰落率」との違い
    4. 「パフォーマンス」との違い
  2. 投資信託の利回りはどの程度か?
    1. 投資信託の利回りランキング
    2. 利回りが高い=良い投資信託とは限らない
  3. 投資信託の種類ごとの利回りランキング
    1. 国内株式
    2. 国際株式
    3. 国内債券
    4. 国際債券
  4. 利回りと投資信託の選び方
    1. ハイリスク・ハイリターンならブル型ファンド
    2. 安定を目指すなら利回りが低くても債券型
    3. ノーロード商品であるか
  5. 投資信託を買うことができる証券会社は
    1. ランキング表
    2. 多く実績のあるSBI証券
    3. ポイントが貯まる楽天証券
  6. まとめ
  7. 投資信託の「利回り」に関するよくある質問
    1. 投資信託の「利回り」とは何ですか?
    2. 投資信託の「利回り」の注意点は何ですか?
    3. 投資信託の「利回り」の見方・選び方は?
    4. 投資信託における「利率」とは?
    5. 投資信託における「騰落率」とは?
    6. 投資信託における「パフォーマンス」とは?

利回りの概要と計算

まずは、投資信託における「利回り」とは何を指すのかを説明します。また、類似した用語との違いも明確にしておきましょう。

「利回り」とは

投資信託における「利回り」とは、一般に投資金額に対する年単位の収益の割合のことをいいます。これは値上がりした分だけではなく、その期間に受け取った分配金も含めて計算します。このような分配金を含めた投資信託の利回りは「トータルリターン」と呼ばれることも多いです。

例えば、100万円の投資信託を購入して1年後に103万円に値上がりしたとします。さらに、この1年間で分配金を2万円受け取っていた場合の利回りを計算すると以下の通りです。

5万円(値上益3万円+分配金2万円) ÷ 100万円(投資金額) × 100 = 5(%)

1年の利回りは5%と計算することができます。利回りを計算することで、どれほど儲かったかを把握することができます。また、他の投資信託との収益性を比較するのも容易になります。

●分配金 投資信託の運用の結果、得られた収益を口数に応じて決算ごとに投資家に分配するお金のこと。分配金を出すかどうか、またはどのくらいの額を出すのかは、投資信託の約款や投資信託協会の規則に基づいて運用会社が決定するため、状況によっては分配金が出ないこともあります。

引用元:金融庁|用語集

「利率」との違い

利回りと似た金融用語として「利率」があります。通常、「利率」は債券の額面金額に対し毎年受け取る利子の割合のことを指して用いられる言葉です。さらに、銀行預金で受け取れる利息の割合を表すのに「利率」が使われることもあります。

投資信託は、債券や預金と違って、どれだけの利益が得られるかが事前に確定していない金融商品です。ですから、投資信託の収益性を表すのに「利率」という言葉が使われることは基本的にありません。

「騰落率」との違い

「騰落率」とは、ある期間の初めと終わりで価格がどれだけ変化したかを表したものです。利回りと違って、投資信託では受け取った分配金は考慮されていません。例えば、1万円であった運用商品の価格が1万1000円になった場合、騰落率10%と表記されます。反対に9000円に値下がりした場合は、騰落率がマイナス10%となります。

投資信託の場合は、一定期間に基準価額がどれだけ変動したかを騰落率で表記されることが多く、1日、1カ月、3カ月、6カ月、1年、3年、5年などさまざまな期間の騰落率が算出されています。

「パフォーマンス」との違い

投資信託について、「パフォーマンス」という用語も目にすることがあるかもしれません。投資でいうところのパフォーマンスとは、運用成果や運用実績のことを指しています。

例えば、日経平均株価やTOPIX等の市場全体を表す指標(ベンチマーク)より収益率が上回っていることを「アウトパフォーマンス」、下回っていることを「アンダーパフォーマンス」といったりします。

多くの民間評価機関が投資信託のパフォーマンス評価をしています。投資信託のパフォーマンスの評価は、単純に利回りや騰落率を見ているだけではありません。収益がリスクに見合ったものであるか、市場全体をどれほど上回ったかなどを総合的に判断し、星をつけたり格付けをしたりしています。

投資信託の利回りはどの程度か?

日本で販売されている投資信託の利回りの具体例を紹介します。ただし、利回りだけを見て投資信託を選ばないように注意しましょう。

SBI証券

投資信託の利回りランキング

投資信託の利回りトップ5を紹介します。利回りが100%を超えるような投資がいくつもあることが分ります。これは1年間の運用で投資資産が2倍以上になったことを意味します。

ファンド別の利回りランキング(モーニングスターより、2021年8月31日時点)

順位 投資信託名称 利回り
1 eMAXIS Neo バーチャルリアリティ 147.04%
2 eMAXIS Neo ナノテクノロジー 121.20%
3 SBI 日本株4.3ブル 101.30%
4 楽天 日本株4.3倍ブル 100.42%
5 ベトナム・ロータス・ファンド 『愛称:ロータス』 91.40%

※純資産10億円以上。DC、ラップ口座を除く

利回りが高い=良い投資信託とは限らない

利回りが高い投資信託を見つけたからといって、それが良い投資信託だとは限りません。確かに、利回りが高い投資信託は目を引きますし、実績もあるように感じます。

しかし、利回りはあくまで過去の結果を表すものです。仮に、過去1年間の利回りが良かったとしても、続く1年間で同じような利回りになるとは限りません。また、投資信託はもともと元本保証のない金融商品です。次の1年間は結果として利回りがマイナスになってしまうこともあり得ます。利回りだけで投資信託を判断するのは避けましょう。

投資信託の種類ごとの利回りランキング

投資信託によって投資する対象は異なってきます。国内の株式だけを投資対象として運用している投資信託もあれば、海外の株式に投資している投資信託もあります。当然、投資先が違えば、得られる利回りも変わってきます。ここでは、国内株式、国際株式、国内債券、国際債券をそれぞれ投資対象とする投資信託の利回りを紹介します。投資先によって随分差があることが分ります。

国内株式

国内株式投資信託の利回りランキング(モーニングスターより、2021年8月31日時点)

順位 投資信託名称 利回り
1 日本製鉄グループ株式オープン 72.69%
2 マザーズ・コア上場投信 63.42%
3 IPOリサーチ・オープン 『愛称:リターン・エース』 54.85%
4 フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド 『愛称:Jテック+』 50.18%
5 情報エレクトロニクスファンド 49.90%

※純資産10億円以上。DC、ラップ口座を除く

楽天証券

国際株式

国際株式投資信託の利回りランキング(モーニングスターより、2021年8月31日時点)

順位 投資信託名称 利回り
1 eMAXIS Neo バーチャルリアリティ 147.04%
2 eMAXIS Neo ナノテクノロジー 121.20%
3 ベトナム・ロータス・ファンド 『愛称:ロータス』 91.40%
4 iFreeActive EV 90.50%
5 eMAXIS Neo 自動運転 89.63%

※純資産10億円以上。DC、ラップ口座を除く

国内債券

国内債券投資信託の利回りランキング(モーニングスターより、2021年8月31日時点)

順位 投資信託名称 利回り
1 One ニッポン債券オープン 4.47%
2 マニュライフ・円ハイブリッド債券インカム(年1回) 3.77%
3 マニュライフ・円ハイブリッド債券インカム(3カ月) 3.76%
4 ノーロード 明治安田 社債アクティブ 2.84%
5 明治安田 日本債券オープン(毎月決算型) 『愛称:しあわせ宣言(毎月決算型)』 2.32%

※純資産10億円以上。DC、ラップ口座を除く

SBI証券

国際債券

国際債券投資信託の利回りランキング(モーニングスターより、2021年8月31日時点)

順位 投資信託名称 利回り
1 野村 グローバルCB投信(資源国通貨)毎月 29.27%
2 野村PIMCO・米国ハイ・イールド(ペソ)毎月 27.68%
3 ダイワ 米国高金利社債F(通貨)レアル(毎月) 26.64%
4 野村 グローバルCB投信(アジア通貨)毎月 26.34%
5 UBS 世界CBファンド米ドルヘッジコース 25.87%

※純資産10億円以上。DC、ラップ口座を除く

利回りと投資信託の選び方

投資信託の利回りと種類別の利回りの目安を理解したうえで、具体的にはどのように投資信託を選んでいけばいいのでしょうか。3つのポイントを紹介します。

ハイリスク・ハイリターンならブル型ファンド

高いリターンを狙うなら、ブル型ファンドを選ぶことができるかもしれません。利回りランキングでも上位に入っていた「SBI 日本株4.3ブル」や「楽天 日本株4.3ブル」がそれにあたります。名称に“4.3”という数字が含まれますが、これは日本の株式市場の概ね4.3倍程度の値動きとなることを目指して運用されるものです。

ただし、投資においてリスクとリターンはトレードオフの関係にあります。高いリターンを狙うなら、リスクが大きくなることも受け入れなければなりません。右肩上がりの相場が続けば結果として利回りが大きくなりますが、市場の動向によっては利回りがマイナスとなって、大きな損失を被る可能性も十分に承知しておきましょう。

安定を目指すなら利回りが低くても債券型を選ぶ

リスクを抑えて安定した利回りを目指すなら、債券型の投資信託が最適な選択肢かもしれません。

国内債券の過去1年間の利回りは、見てのとおりそれほど期待できません。トップ5に入る投資信託でも2~4%程度の水準です。国際債券でも、株式に比べると見劣りします。確かに、債券型の投資信託では高いリターンを狙うことはできません。しかし、リスクが低いため安定した利回りが期待できます。

ノーロード商品であるか

投資信託の利回りはもちろん重要な要素のひとつですが、投資信託を購入する際にまず注意したい点は販売手数料です。投資信託を購入する際には窓口となる金融機関に販売手数料を支払う場合があります。金融機関や販売経路によって異なりますが、1~3%程度かかることがあります。同じ投資信託でも金融機関が違うだけで販売手数料が必要になることもあります。

しかし、今では販売手数料ゼロ(ノーロード)で販売される投資信託も増えてきました。もはやインターネット取引ではノーロードが一般的です。

ノーロードで投資信託を購入すれば、販売手数料が節約でき、実質的に投資収益をかさ上げする効果があります。購入する投資信託がノーロードであるかどうかは重要なポイントです。

●ノーロード(ノーロードファンド) 投資信託を購入する際には「販売手数料」と呼ばれる手数料が徴収されますが、「販売手数料」がかからないことをノーロード、また、販売手数料のかからない投資信託をノーロードファンドと呼びます。

引用元:金融庁|用語集

投資信託を買うことができる証券会社は

投資信託は、銀行、証券会社、保険会社などさまざまな金融機関で購入することができます。ここでは、ノーロードで投資信託が買える人気のネット証券を紹介します。

2021年9月13日現在
引用元:マネックス証券SBI証券楽天証券DMM株PayPay証券

多く実績のあるSBI証券

SBI証券はSBIグループのインターネット証券会社です。1999年からインターネット取引サービスを提供していて、口座数は1,000万、預かり残高は20兆円超であり、ネット証券ナンバーワンの地位を築いています。実績で選ぶならSBI証券がオススメです。

SBI証券は、2645本もの豊富な投資信託を取り揃えていて、そのすべてを販売手数料ゼロ(ノーロード)で購入することができます。(2021年9月19日現在)

SBI証券は外国株式の取り扱いも多く、IPOの実績も増えてきています。今後、株式投資へとステップアップしたい投資家も積極的に検討できるでしょう。

ポイントが貯まる楽天証券

楽天銀行や楽天カードを利用していたり、楽天市場を頻繁に利用したりするのであれば、楽天グループの「楽天証券」で投資信託を購入するのがオススメです。

楽天証券のメリットは、とにかく楽天ポイントがたまりやすい仕組みです。投資信託の残高に応じてポイントが付与されたり、楽天カードを使った積立投資でポイントが付与されたりします。また、ポイントで投資信託を購入することも可能となっています。

楽天証券が取扱う投資信託の数は2600本を超えています。もちろん販売手数料は無料。楽天証券は他の金融商品も充実しており、株式、FXへの投資もできます。

まとめ

投資信託の利回りについて解説してきました。投資信託の利回りはあくまでも過去の数値です。将来の利回りの保証はまったくありません。それでも利回りを計算することで、さまざまな投資信託を比較しやすくなりますし、投資信託選びの参考にすることできるでしょう。

また、利回りだけにとらわれずに、ノーロードであるかどうかなど、コスト面にも目を向けて投資信託を選んでいきましょう。

投資信託の「利回り」に関するよくある質問

投資信託の「利回り」とは何ですか?

投資信託における「利回り」とは、一般に投資金額に対する年単位の収益の割合のことをいいます。(値上益+分配金)で計算され、「トータルリターン」と呼ばれることも多いです。

投資信託の「利回り」の注意点は何ですか?

投資信託はもともと元本保証のない金融商品であることに注意しましょう。

投資信託の「利回り」の見方・選び方は?

利回りだけにとらわれないことです。ノーロードであるかどうかなど、コスト面にも目を向けて投資信託を選んでいきましょう。

投資信託における「利率」とは?

「利率」は債券の額面金額に対し毎年受け取る利子の割合のことを指して用いられる言葉です。投資信託の収益性を表すのに「利率」という言葉が使われることは基本的にありません。

投資信託における「騰落率」とは?

「騰落率」とは、ある期間の初めと終わりで価格がどれだけ変化したかを表したものです。例えば、1万円であった運用商品の価格が1万1000円になった場合、騰落率10%と表記されます。反対に9000円に値下がりした場合は、騰落率がマイナス10%となります。

投資信託における「パフォーマンス」とは?

パフォーマンスとは、運用成果や運用実績のことを指します。投資信託のパフォーマンスの評価は、単純に利回りや騰落率を見ているだけではありません。収益がリスクに見合ったものであるか、市場全体をどれほど上回ったかなどを総合的に判断し、星をつけたり格付けをしたりしています。