
人気が非常に高いため、ほとんどの場合抽選制で購入の可否が決まることになるIPO。特に有名企業や話題となっている企業が上場する際には高い初値が予想されるため、証券会社ごとに割り当てられたIPOをめぐって抽選が非常に激戦となることが予想される。
では、どうすればこのIPO当選確率を上げることが出来るのか。実は、しっかりと各証券会社の抽選の仕組を理解し、事前に準備を行えばいろいろと対策が出来るのだ。以下では、IPO当選確率を上げる方法を紹介していこう。
目次
IPOとは?

IPO(アイピーオー)は「Initial Public Offering」の頭文字をとった言葉で、日本語では「新規公開株」「新規上場株式」などと呼ばれている。IPOとは、未上場の会社が取引所に上場し、株式を誰もが売買できるようにすることだ。
IPO投資では、投資家はまず「株式を買う権利」を入手する。IPO投資は人気なので、抽選が行われることがほとんどだ。抽選の結果、株式を買う権利を手に入れて代金を支払ったら、上場日につく株価(初値)で株式を売却して利益を出す。
もちろん、「株式を買う権利」が必ずしも初値を上回るとは限らない。しかし、上場するぐらいなので、業績が好調で実力のある会社が多い。そのため、IPOは勝率の高い投資手法といわれている。
2021年10月末現在、84社のうち初値がマイナスとなったのはたったの6社だ。中には4倍を超える高いパフォーマンスを記録した銘柄もある。
IPOの当選確率はどれくらい?
IPOの当選確率は、申し込む銘柄や証券会社、申し込む人のステータスによって異なる。目安として、投資初心者が平幹事(幹事については後述)の証券会社から申し込んだ場合、当選確率は小型IPOで0.1~0.5%程度、大型IPOで5~10%程度と考えておくとよい。
上記のように、IPOの当選確率は非常に低いことがわかる。「これでは当たりっこない」と落胆する人もいるかもしれない。しかし、後述する方法を実践することによって、IPOの当選確率を引き上げることが可能である。
それでは、IPOの当選確率を上げるために、どのようなことができるのか見ていこう。
IPOの当選確率を上げるため、どのような準備ができる?

ここからが本題だ。この魅力的な商品をどうやったら入手出来るのか。まずは、IPOの仕組を理解する必要がある。
IPOは、その都度指定証券会社ごとに購入権が分配される仕組みになっている。つまり新規購入株式が10,000株公開されるなら、指定証券会社A社には5,000株、B社には3,000株、C社には2,000株というように割り振られることになる。割り振られた株式に対して、証券会社ごとに抽選を行い、当選者のみが購入の権利を得るというわけだ。
このような仕組みをきちんと理解して、きちんと対策をしておこう。以下では、IPO当選確率を上げる方法を5つご紹介しよう。
IPO当選確率アップの秘訣1:なるべく多くの証券口座を保有する

IPO当選確率を上げる方法の大原則としては、なるべく多くの証券会社を使って抽選の回数を増やすことである。1回あたりの当選確率は低くても、複数回行うことで確率をあげることは可能だ。
IPO投資を行う際は、各証券会社の「IPOの実績」「抽選方法」「前受金の有無」に注目したい。
IPO実績が多い証券会社では、IPOに応募できる機会が豊富だ。IPO投資を行う場合、IPO実績の多い証券口座を開設しておくことはもはや必須といえる。
IPO株には限りがあるため、抽選で購入の可否が決まることが多い。証券会社によって抽選方法は様々だが、これから口座を開設する方には、完全平等抽選の証券会社がおすすめだ。
前受金とはIPO抽選に応募するために必要な資金のことで、多くの証券会社では応募の前に100株分の資金を用意する必要がある。しかし、野村證券や岡三オンラインなど、いくつかの証券会社では前受金なしでの応募ができる。前受金が不要な口座から応募することで、コストをかけず当選確率上げることが可能になる。
IPOの当選確率を上げるためにも、これらの特徴をもつ証券会社の口座を複数持っておくことをおすすめする。
IPO当選確率アップの秘訣2:投資初心者はネット証券で申し込む

ほとんどの店舗型の証券会社は、担当者が普段から付き合いのあるお客様にねぎらいの意味を込めて魅力的なIPO株を譲る「裁量配分」が行われている。
多くの店舗型の証券会社は割り当てられたIPO株の内、85%から90%は裁量配分に回り、抽選配分は10%~15%しかない。そのため、投資初心者が店舗型の証券会社から申し込むと、当選確率が低くなってしまうのだ。
一方、ネット証券は割り当てられたIPOの全てを平等抽選によって配分する証券会社が多い。また、平等抽選をとらなくても「SBI証券」のように抽選に参加し続けていればいつかは必ず当選するような制度がとられている。
このため、これまであまり投資を行って来なかった人は、ネット証券から申し込むことでIPOの当選確率を上げることができるのだ。「 マネックス証券 」、「GMOクリック証券 」、「 岡三オンライン 」、「 ライブスター証券(新:SBIネオトレード証券) 」が現在平等抽選を採用している証券会社となっている。
IPO当選確率アップの秘訣3:時間差を利用して抽選する

通常IPOの抽選日は決まっているが、購入申し込み後に抽選をするタイプの証券会社もある。このような会社の場合、抽選後に購入申し込みを行う会社と比べて数日販売が遅くなることがあるのだ。
後期抽選型のネット証券には、「au カブコム証券」、「GMOクリック証券」、「 楽天証券 」、「松井証券」などがある。この時間差を利用して、当選の機会と確率を上げよう。
IPO当選確率アップの秘訣4:SBI証券で何度も抽選にチャレンジする

倍率が高くなるIPOは、抽選に外れる方がむしろ多い。だが「SBI証券」は、抽選に外れるたびにポイントが貯まる「IPOチャレンジポイント」制度を採用し、次のIPO抽選の当選確率を上げてくれる助けになる。
個人客への配分予定の30%が、このIPOチャレンジポイントに割り当てられる割合である。この30%分のIPO株は抽選に落ちた申込者のうち、チャレンジポイントが多い順に当選していく。
新規上場株式(既上場銘柄の公募増資・売出は除く)のブックビルディング後の抽選・配分に外れた回数に応じてIPOチャレンジポイントが加算されます。
次回以降のIPOお申し込み時に、IPOチャレンジポイントをご使用いただくことにより、IPOが当選しやすくなるSBI証券のポイントプログラムサービスです。
引用元:IPOチャレンジポイントの増減 - SBI証券
ということは、IPO株の抽選に落ちてチャレンジポイントが貯まれば貯まるほど当選確率はUPする。IPOチャレンジポイントという制度は何度も抽選で落ち続けた人の努力が報われる制度といえる。
IPO当選確率アップの秘訣5:主幹事証券会社から申し込む

どの証券会社が「主幹事」になるかは、IPO購入前に必ず確認しておきたい。ほとんどの場合、IPO株は複数の証券会社に分配される。その際、各会社に等しくIPO株が分配されるのではなく、「主幹事」の証券会社がIPO株のおよそ80%を引き受け、残りの20%が他の引受先に分配されることになる。
つまり、「主幹事」の証券会社の口座をから申し込めば当選確率は高くなるというわけだ。IPO株の当選確率を上げるために複数口座を開設する場合には、主幹事になる確率が高い証券会社の口座を開設することが、IPO当選確率を高める必須条件となってくる。
以上のように、当選確率を上げる方法は意外と多く存在する。当選確率を少しでもあげ、IPOの恩恵を受けられるように今のうちから準備をしておくと良いだろう。
IPO当選確率アップの秘訣6:口座開設数が少ない証券会社から申し込む
各証券会社にIPOが割り当てられた後、最後にライバルになるのは同じ証券会社からIPOを申し込んだ人たちとなる。そうなった時に当たりやすいと想定されるのは「口座開設数」が少ない証券会社だろう。
当たりやすさはIPO割り当て数にもよるが、例えばSBI証券は595万、マネックス証券は189万、au カブコム証券は120万人が口座開設をしている。(※2020年10月現在)
口座を持っているいくつかの証券会社がIPOの幹事会社に決定し、割り当て数があまり変わらないなら、なるべく口座開設数が少ない証券会社から応募するのがよい。
平等抽選制を採用しているマネックス証券とau カブコム証券のIPO割り当て数が同じで両方から応募する資金的余裕がない場合、au カブコム証券から応募した方が倍当たりやすいことになる。
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IPOの抽選方法
IPOの抽選方法は証券会社によって異なるため、抽選方法の違いを理解して、自分に合った証券会社を選ぶことが大切だ。続いて、IPOの抽選方法として代表的な完全平等抽選について解説し、特徴的な抽選方法を採用している証券会社を紹介する。
完全平等抽選

完全平等抽選とは、申し込み口数にかかわらず平等に一票の抽選権が与えられる抽選方法のことだ。申し込み口数にかかわらず、1人の投資家単位で一抽選権が付与される。そのため、資金量が多く余力のある投資家にも、資金量の少ない投資家にも、等しくチャンスが分け与えられる。
完全平等抽選を採用しているのは、マネックス証券やDMM.com証券、GMOクリック証券などだ。
完全平等抽選は、少額でIPO投資をしたい個人投資家にとって安心の抽選方法といえるだろう。IPO投資をするなら、完全平等抽選の証券会社では一通り口座開設しておくようにしたい。
その他の抽選方法

楽天証券やSBI証券では、申し込み口数ごとに一票の抽選権が与えられる。そのため、資金量が多く余力のある投資家にチャンスが巡ってきやすい仕組みになっている。
SBI証券は「IPOチャレンジポイント」という独自の仕組みを採用しており、IPO投資家の人気を博している。
SBI証券では、IPOの抽選に外れたとしても、IPOチャレンジポイントが加算されていく。貯まったIPOチャレンジポイントを次回以降のIPOで使うと、当選確率が上がることになる。具体的には、個人投資家への配分予定量の70%については、申し込み口数に応じて抽選が行われる。この時は、資金余力がありたくさん申し込める投資家が有利になる。
個人投資家への配分予定量のうち残りの30%については、使用したIPOチャレンジポイントが多い投資家へと配分される。この時、申し込み口数が配分の順位に影響することはない。
IPO投資は人気が高く、申し込んだからといってすぐに当選するとは限らない。だからこそ、当選から外れてもチャレンジポイントが貯まるというのは、IPO投資をこれから始める人にとって魅力的な仕組みといえるだろう。
SBI証券で口座開設し、IPOに申し込んでIPOチャレンジポイントを貯めれば、コツコツと当選確率を上げていくことができる。
IPO投資に関するQ&A
IPO株はなぜ当たらないのか?
当選確率が小型IPOで0.1~0.5%程度、大型IPOで5~10%程度と低いからです。
IPOの当選確率を上げるためには?
主幹事の証券会社を狙うことや複数の証券会社で抽選をすること、SBI証券のチャレンジポイント制度を有効活用するなどが挙げられます。
IPO投資におすすめの証券会社は?
取扱銘柄数が多く、チャレンジポイント制度のあるSBI証券や主幹事の確率が高いSMBC日興証券がおすすめです。
投資初心者がネット証券で申し込みをすべき理由は?
店舗型の証券会社では裁量配分が行われているため、平等抽選をするネット証券の方が当選確率が高いからです。
IPOの抽選方法は?
申し込み口数に関わらず平等に1票の抽選権が与えられる完全平等抽選と申し込み毎に口数が与えられる方法があります。
調査の算定基準
当ページの証券口座ランキングは、株式会社ZUUによる証券会社のユーザー満足度のアンケート調査を元に、客観的な統計データによる算出を行っております。
アンケート調査の概要
実施時期 | 2020年4月~2021年3月 |
---|---|
調査の概要 | IPO抽選についてのユーザー情報収集 |
調査対象 | 証券口座を有する国内の20歳以上の男女 |
有効回答数 | 84件 |
調査会社 | 株式会社クラウドワークス |
IPOの抽選に当選した時幾つの会社で応募しましたか?
全体 | 回答数(84) | % |
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1社 | 38 | 45.2 |
2社 | 15 | 17.9 |
3社 | 14 | 16.7 |
4社 | 4 | 4.8 |
5社 | 6 | 7.1 |
6社 | 0 | 0.0 |
7社以上 | 7 | 8.3 |
個人投資家。サラリーマンとして働きながら投資を続け、2019年には元本の250万円を追加入金を一切せずに2億円まで増やすことに成功した。