【目次】
①️Waqoo IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(近日中に追加予定)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社Waqoo
- コード
- 4937
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 化学
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 井上 裕基 / 1975年生
- 会社住所
- 東京都世田谷区上馬二丁目14番1号
- 設立年
- 2005年
- 社員数
- 68人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- デジタルマーケティングを活用したオリジナルブランド(化粧品等)の企画・開発及び自社のECサイトを通じた一般消費者への販売
- URL
- https://waqoo.jp/
- 資本金
- 334,293,000円 (2021年5月26日現在)
- 上場時発行済み株数
- 2,924,778株
- 公開株数
- 509,500株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/10→1,780~1,920円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/14 - 06/18
- 公開価格決定:2021/06/21→1,920円に決定
- 申込期間:2021/06/22 - 06/25
- 上場日:2021/06/29→初値2,362円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:むさし証券
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- (株)M&M 36.31%
- 井上裕基 28.43%
- ニッセイ・キャピタル9号 投資事業有限責任組合 12.09%
- 中上慶一 4.70%
- 高橋俊和 4.70%
- (株)ベクトル 2.65%
- (株)オークファン 1.86%
- SBI4&5投資事業有限責任組合 1.82%
- (株)セレス 1.53%
- みずほ成長支援第3号投資事業 有限責任組合 1.53%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/09 単体実績
2,172,610 15,541 22,162 311,233 - 2019/09 単体実績
3,386,006 -793,999 -794,530 62,688 - 2020/09 単体実績
4,504,914 108,607 98,637 161,326 - 2021/03 第2四半期単体実績
2,462,760 38,300 32,613 244,012 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年9月26日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 9億7824万0000円(509,500株×1,920円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 244,880株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社Waqoo<4937>は化粧品分野でデジタルマーケティングを活用したオリジナルブランドの企画・開発・販売を行う企業である。主力ブランドは「HADA NATURE」であり、自社のECサイト等を通じて一般消費者に直接販売している。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容詳細
同社は化粧品分野において、デジタルマーケティングを活用したオリジナルブランド「HADA NATURE」などの企画・開発を行い、自社のECサイト等を通じて一般消費者に直接販売している。
主力ブランド「HADA NATURE」の販売形態としては定期購入サービスモデルを採用しており、顧客が商品を継続的に購入することで安定的なキャッシュ・フローが期待できる、ストック型のビジネスモデルとなっている。
■商品開発について
同社の主力ブランドである「HADA NATURE」は、「全力で人生を歩む、全ての方にエールを」のブランドコンセプトに基づき企画・開発が行われている。製造工程を除く商品の企画・開発から販売までを自社で行うことで、顧客の反応や要望をダイレクトに汲み取り、商品の企画・開発に活用できる仕組みを構築している。主な商品ラインナップは下記である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
- 上記のうち、「HADA NATURE クレンジング」が2020年9月期の売上高の約7割を占めている。
また製造はホシケミカルズ株式会社(未上場)へ委託しており、2020年9月期の依存度は90%となっている。
■販売方法について
同社は直営店舗を持たずに自社ECサイトを通じて「HADA NATURE」の商品を直接販売している。販売方法として、商品を必要な都度購入する都度購入サービスに加え、同一商品を一定間隔で購入する定期購入サービスを展開している。定期購入サービスへの誘引を中心とする販売活動を行っており、定期購入者を増やすことで継続的な収益が見込まれるストック型ビジネスモデルを展開中。
新規顧客の獲得方法としては、インターネット広告を中心としつつ定期的なタレントタイアップも実施している。インターネット広告はLINE、Facebook等のSNSを活用して顧客の反応を収集・分析することで、費用対効果の高い広告運用を目指している。またECサイト等での直接販売に加えて、販売チャネルの強化を目的として卸売販売を行っており、ドラッグストアやバラエティショップ等の小売店を通じての購入も可能である。
■今後の取り組み
今後は現在の主力商品である「HADA NATURE クレンジング」(炭酸クレンジング)の売上高の拡大及び新商品の企画・開発を継続するとともに、次の主力商品とするべく「HADA NATURE ホワイトクリーミーホイップ」(炭酸美白洗顔)の拡販に注力する。
CRMによる定期的な顧客とのコミュニケーションを通じ他既存顧客の囲い込み及び顧客ニーズに応える商品の企画・開発・各メディアにおけるマーケティングによる認知度の向上とブランディングの強化推進を行うことで、更なる事業拡大を行う。
また現在は主に台湾で海外事業を展開しているが、今後は海外情勢を勘案しながら展開地域を拡大予定である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■業績推移
2018年9月期 売上高22億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.2億円
2019年9月期 売上高34億円、経常利益▲7.9億円、当期純利益▲7.9億円
2020年9月期 売上高45億円、経常利益1.1億円、当期純利益1.0億円
2021年9月期(予想) 売上高47億円、経常利益1.3億円、当期純利益1.5億円
順調に増益を続けており、2020年9月期に黒字転換した。ただし2019年9月期は新規顧客獲得のため広告宣伝費を積極投入した結果、経常利益▲7.9億円の大幅な赤字を計上した。しかし翌2020年9月期は売上高45億円、経常利益1.1億円となり、大幅な増収及び経常利益1億円超えを達成している。
2021年9月期は若干の増収増益を予想しており、2021年9月期Q2(累計)は売上高25億円、経常利益0.4億円となっている。
■財務状況
2020年9月期末時点で資産合計12億円に対し、純資産合計1.6億円、自己資本比率14%である。借入金5.9億円に対し、現預金4.7億円を有している。
流動資産が12億円計上されているが、現預金の他に売掛金3.6億円、商品1.8億円、前払費用1.1億円が計上されている。
キャッシュ・フロー計算書において営業活動によるキャッシュ・フローが、2019年9月期▲9.9億円となっている。宣伝広告による販売増の結果として売上債権の増額(▲2.4億円)が生じており、税引前当期純損失▲7.9億円に比べ営業活動によるキャッシュ・フローのマイナス幅が拡大した。
■資金使途
IPOにより4.5億円の資金調達を行い、全額を新規顧客獲得のための宣伝広告費に充当予定である。
公募株数191,400株に対し売出株数318,100株であり売出株数の多いIPOとなっている。売出は井上社長(個人所有846,860株のうち191,400株を売出に充当)の保有株中心に行われる。
■株主構成
筆頭株主(株式シェア36%)の株式会社M&Mは井上社長の資産管理会社である。また井上社長は個人でも第2位株主(同28%)であり、井上社長の関係先で株式シェアの65%が保有されている。
第3位株主のニッセイ・キャピタル9号投資事業有限責任組合(同12%)他、VCが合計3名義で株式シェア15%を有している。ニッセイ・キャピタル9号投資事業有限責任組合とみずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合(同1.8%)は、IPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約締結済み。
また事業会社として株式会社ベクトル(6058:SNSなどのPR会社:同2.7%)、株式会社オークファン(3674:商品在庫管理やECサービス等:同1.9%)、株式会社セレス(3696:ポイントサイト及びアフィリエイト運営:同1.5%)等が株主参入している。
■まとめ
化粧品分野でデジタルマーケティングを活用してオリジナルブランドの企画・開発・販売を行う企業のIPO案件である。主力ブランドは「HADA NATURE」であり、自社のECサイト等を通じて直接販売されている。
毎期増収が続いているが2019年9月期に集中的に広告宣伝を行い、一気に知名度を上げて成長を果たし2020年9月期に黒字転換した。
2020年9月期は「HADA NATURE クレンジング」が売上高の約7割を占めており、次の主力商材をIPOによる調達資金を活用するなどして育てることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、デジタルマーケティングを活用したオリジナルブランドの化粧品等の企画・開発及び自社の EC サイト等を通じた一般消費者への販売事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が56億円、2021年9月期の業績予想ベースのPERが38.7倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が11億円と小型であり、需給はタイトだと言えるので、初値は後場に持ち越される可能性が高い。初値が付いた後は、株価水準にもよるが、VCの売りがでる可能性もあり、注意が必要だが、VCの保有比率はさほど大きくないので、上場当日の出来高の中で消化されるとみる。
セカンダリーマーケットにおいては、今期は業績予想通りの着地となると見るが、株価に影響するのは、来期の業績予想となるので、11月中旬の決算発表後に株価は動く可能性が高い。当社の業績を見るポイントは、販管費の中の宣伝広告費で、2期前は1年で21億円も使って顧客を獲得している。広告宣伝費と顧客数の伸びは相関関係が高いので、売上が上がっても利益が出ないということが想定されることを頭に置いておくべきだろう。