【目次】
①️プラスアルファ・コンサルティングIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社プラスアルファ・コンサルティング
- コード
- 4071
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 三室 克哉 / 1969年生
- 会社住所
- 東京都港区浜松町一丁目18番16号 住友浜松町ビル
- 設立年
- 2006年
- 社員数
- 186人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- データ分析プラットフォームのクラウドサービスの提供
- URL
- https://www.pa-consul.co.jp/
- 資本金
- 10,000,000円 (2021年5月27日現在)
- 上場時発行済み株数
- 40,050,000株
- 公開株数
- 9,492,500株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/14→2,100~2,300円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/15 - 06/18
- 公開価格決定:2021/06/21→2,300円に決定
- 申込期間:2021/06/22 - 06/25
- 上場日:2021/06/30→初値2,720円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 三室克哉 36.51%
- 野村キャピタル・パートナーズ第一号投資事業有限責任組合 34.18%
- 鈴村賢治 21.93%
- 辻本秀幸 1.21%
- 竹内孝 1.15%
- 金子若葉 1.15%
- 松原雅仁 0.38%
- 山﨑雄司 0.31%
- 西田紀雄 0.28%
- 下村真由 0.28%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/09 単体実績
2,533,364 730,246 521,780 2,028,611 - 2019/09 単体実績
3,439,370 995,806 638,124 2,676,095 - 2020/09 単体実績
4,726,527 1,445,235 1,026,386 3,576,648 - 2021/03 第2四半期単体実績
2,880,834 1,050,688 688,206 4,059,855 - ロックアップ情報
- 野村キャピタル・パートナーズ第一号投資事業有限責任組合、三室克哉、鈴村賢治、竹内孝、金子若葉、辻本秀幸は上場後90日目の2021年9月27日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 218億3275万0000円(9,492,500株×2,300円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 3,069,600株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社プラスアルファ・コンサルティング<4071>は自然言語処理やデータマイニング等の技術を活用して、世の中に溢れる莫大な情報の「見える化」サービスを中核に事業を展開する企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■技術的背景
同社はあらゆる情報を可視化する技術力を蓄積しており、自然言語処理、データマイニングなど様々な先進技術をビジネスの現場で役立つサービスとして開発し提供している。
自社技術により開発した自然言語処理エンジン『Waters』を、全てのソリューションへ組み込み活用している。『Waters』は長期に渡り民間や研究機関など、多くの顧客からの要望・要求に応える形で機能強化・改良を継続しており、同社独自の機能をサービス内に実装することで、分析の品質や解析スピードの点で他社との差別化が図られている。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■事業内容詳細
同社は自然言語処理やデータマイニング等の技術を活用した分析機能をアプリケーションに取り入れSaaS型のサービスを展開している。事業部門としては下記3事業となる。
・見える化エンジン事業
・カスタマーリングス事業
・タレントパレット事業
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
●見える化エンジン事業
見える化エンジン事業では、大量の顧客の声を可視化できるツールを、主に一般消費者向けに商品・サービスを提供する企業のコンタクトセンターやマーケティング部門に導入している。
顧客の声、ソーシャルメディア、顧客推奨度などを分析対象として、見える化エンジンによる分析結果は、顧客のサービス改善や新商品の開発などに活用されている。
●カスタマーリングス事業
カスタマーリングス事業では、顧客属性や行動履歴のデータを統合し、その分析結果をもとに顧客との適切なマーケティングアクションを実現するCRM/マーケティングオートメーションツールを提供している。主にEC事業者(アパレル、健康食品、化粧品、雑貨など)や小売業などの企業において、オンラインのマーケティング施策の検討やその実行のために導入されている。
●タレントパレット事業
タレントパレット事業では、社員のスキル・適性・評価・アンケート・採用などの人事情報を分析・見える化する人材情報プラットフォームとして、主に人事部門において人材活用により社員パフォーマンスの向上に取り組む人事の企画・戦略用途で活用されている。客観的データによる科学的視点の人事戦略による、社員の効率的な活用とパフォーマンスの向上が可能である。
■2020年9月期セグメント別損益
2020年9月期 売上高47億円(対前年同期比37%増)、営業利益14億円(同44%増)
・見える化エンジン事業 売上高16億円(同1.6%増)、セグメント利益10億円(同4.2%増)
・カスタマーリングス事業 売上高12億円(同14%増)、セグメント利益4.3億円(同12%増)
・タレントパレット事業 売上高19億円(同144%増)、セグメント利益5.6億円(同1406%増)
タレントパレット事業が売上の約4割を占めているが、3事業ともに10億円以上の売上を計上中。
2020年9月期はタレントパレット事業の急成長により増収増益を果たした、また見える化エンジン事業は対前年同期比でほぼ横ばいであるが、カスタマーリングス事業は増収増益となっている。
■業績推移
2018年9月期 売上高25億円、経常利益7.3億円、当期純利益5.2億円
2019年9月期 売上高34億円、経常利益10億円、当期純利益6.4億円
2020年9月期 売上高47億円、経常利益14億円、当期純利益10億円
2021年9月期(予想) 売上高60億円、経常利益18億円、当期純利益12億円
順調に増収増益を続けており、2020年9月期に当期純利益10億円を突破した。
2021年9月期も増収増益を予想しており、売上高は60億円到達の予想である。2021年9月期Q2(累計)で売上高29億円、経常利益10億円となっており、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年9月期末時点で資産合計45億円に対し、純資産合計36億円、自己資本比率80%である。借入金なく現預金33億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。資産合計45億円のうち、最大の資産科目は現預金33億円となっている。
■資金使途
IPOにより0.9億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
・人件費 0.6億円
・広告宣伝費 0.3億円
調達資金は人件費中心に充当される。
公募株数50,000株、売出株9,442,500株であり売出株の多いIPOである。売出は筆頭株主の野村キャピタル・パートナーズ第一号投資事業有限責任組合(5,202,500株)及び三室社長保有分(3,200,000株)を中心に行われる。
■株主状況
筆頭株主は三室社長であり株式シェア37%(うち1.4%は潜在株式)を有している。
第2位株主は投資ファンドの野村キャピタル・パートナーズ第一号投資事業有限責任組合(株式シェア34%)であり14,720,000株を保有する。同ファンドは5,202,500株を売出に拠出するが、IPO後も主要株主に留まる。
第3位株主は鈴村取締役副社長(同22%、うち0.8%は潜在株式)となっている。
野村キャピタル・パートナーズ第一号投資事業有限責任組合以外は個人中心の株主構成である。
■まとめ
自然言語処理やデータマイニング等の技術を活用して、世の中に溢れる莫大な情報の「見える化」サービスを中核に事業展開を行う企業のIPO案件である。三室社長以下、株式会社野村総研出身者を中心に設立された。
順調に増収増益を続けており、2021年9月期は売上高60億円、経常利益18億円の予想である。2020年9月期に人事情報を分析・見える化するタレントパレット事業が伸びており、同社の成長を牽引中。尚、IPO前の段階で借入金なく現預金33億円を有するキャッシュ・リッチ企業でもある、
タレントパレット事業の成長継続などによりIPO後もこれまでの成長を維持出来るのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、自然言語処理とデータマイニングの技術から成るテキストマイニングの技術をベースに、世の中に溢れる膨大な情報を「見える化」するサービスを中核に事業展開している。具体的には、Saas型テキストマイニングサービス「見える化エンジン」を提供する見える化エンジン事業、BtoC事業者向け統合マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を提供するカスタマーリングス事業およびタレントマネジメントシステム「タレントパレット」を提供するタレントパレット事業の3つの事業を展開している。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が921億円、2021年9月期の業績予想ベースPERは77.34倍となっている。2021年9月期末の配当を1株5.94円を予定しているが、公開価格ベースの配当利回りは0.2%と利回りで買うほどの魅力はない。上場当日の株価動向は、資金吸収額が250億円もあることから、IT関連銘柄とはいえ、今年の同規模の調達をした銘柄を参考にすれば、前場のかなり早い時間帯に初値が付くと予想する。また、VCが売出し後も発行済株式数の23.7%を保有するため、ロックアップ解除の公開価格の1.5倍付近では需給が緩むと見ておくべきだろう。
セカンダリーマーケットにおいては、当社は9月決算なので、11月中旬に発表される来期の業績予想で売上利益の成長性が再確認された頃から株価は動き出す可能性がある。