【目次】
①️BlueMeme IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社BlueMeme
- コード
- 4069
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 松岡 真功 / 1975年生
- 会社住所
- 東京都千代田区神田錦町三丁目20番地
- 設立年
- 2006年
- 社員数
- 66人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- ローコードとアジャイルを活用したシステム受託開発・コンサルティング等サービスの提供及びOutSystems等のソフトウェアライセンス販売
- URL
- https://www.bluememe.jp/
- 資本金
- 206,187,000円 (2021年5月25日現在)
- 上場時発行済み株数
- 3,199,946株
- 公開株数
- 856,000株
- 連結会社
- 1社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/10→2,400~2,820円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/14 - 06/18
- 公開価格決定:2021/06/21→2,820円に決定
- 申込期間:2021/06/22 - 06/25
- 上場日:2021/06/29→初値2,850円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:東海東京証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:水戸証券
- 大株主
- インテック・アイティ2号投資事業有限責任組合 27.20%
- 松岡真功 14.90%
- BMトラスト(株) 11.82%
- MICイノベーション4号投資事業有限責任組合 9.64%
- 辻口真理子 5.67%
- モバイルクリエイト(株) 4.82%
- 朱未 3.89%
- 市川玲 3.17%
- 情報技術開発(株) 2.89%
- 原田実 1.93%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/03 単体実績
765,088 2,842 974 286,800 - 2019/03 連結実績
1,496,721 86,260 61,095 347,872 - 2020/03 連結実績
1,800,132 30,850 10,557 358,733 - 2020/12 第3四半期連結実績
1,507,935 90,062 62,202 420,885 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年9月26日まで
または、上場後180日目の2021年12月25日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 24億1392万0000円(856,000株×2,820円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 338,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社BlueMeme<ブルーミーム:4069>はローコード技術とアジャイル手法を組み合わせた独自のシステム開発技術を活用したシステム受託開発及び関連ソフトウェアの販売などを手掛ける企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■技術及びサービス背景
デジタル経済の急速な発展により様々な業界においてシステム開発は、コストパフォーマンスのみならずタイムパフォーマンスも重視されるようになった。
その中で手作業により行われているプログラミングを自動化できる「ローコード技術」や少人数かつ短期間で情報システムを開発できる「アジャイル手法」などの新しい開発手法が注目されている。同社はローコード技術とアジャイル手法を組み合わせた独自のプロジェクト管理手法「AGILE-DX」で進捗管理を行うユニークな受託開発サービスを提供する。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容詳細
同社では独自のプロジェクト管理手法「AGILE-DX」を使用した受託開発サービスを中心に、そのサービスに関連したソフトウェアの販売と、顧客企業のIT技術者向けの技術トレーニングを提供する。
サービス部門としてはプロフェッショナルサービスとして「AGILE-DX」を使用した受託開発サービスに加えて、将来的に顧客企業が自社内のIT技術者を活用してシステム開発の内製化を実現するための、IT技術者向けの技術トレーニングやローコード技術の導入支援を行っている。
また「ソフトウェアライセンス販売」として、ローコード技術を中心として「システム開発の生産性を向上させるソフトウェア」のライセンスを、主にプロフェッショナルサービスの提供とともにサブスクリプション方式で販売している。尚、2021年3月期(累計)において米Outsystems社のソフトウェアがソフトライセンス売上の約95%を占めている。
■成長戦略
約9.3兆円といわれるシステム受託開発市場におけるローコード開発市場の比率は2020年次展で約0.28兆円に留まっており、今後の成長・拡大余地は大きい。
同社の受託開発サービスは、複雑性がやや低く中規模から比較的大きい規模のシステム開発の領域を対象範囲としているが、今後は①中小企業のシステム開発、②複雑なシステム開発、③大規模なシステム開発の3ステップで対象領域の拡大を行う。
また事業拡大に伴いIT技術者の雇用も順次進んでおり、今後の中規模案件を手掛ける体制も整えられている。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■業績推移
2018年3月期 売上高7.7億円、経常利益0億円、当期純利益0億円
2019年3月期 売上高15億円、経常利益0.9億円、当期純利益0.6億円
2020年3月期 売上高18億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.1億円
2021年3月期 売上高21億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.3億円
2022年3月期(予想) 売上高19億円、経常利益2.2億円、当期純利益1.5億円
※2019年3月期より連結決算
2018年3月期の黒字化後は着実に増収増益が続いており、2021年3月期に売上高20億円、経常利益1億円の大台を突破した。
2022年3月期は若干の減収となるものの増益は続き、経常利益2億円を突破する予想である。尚、2022年3月期よりソフトウェアライセンス販売について売上の計上基準を変更している。従来基準の場合は売上高26億円となる(経常利益は従来基準と新基準で大きな違いはない)。
2020年3月期決算が公開申請決算期であり期越え決算でのIPOである。
■財務状況
2020年3月期末時点で資産合計13億円に対し純資産合計3.6億円、自己資本比率28%である。借入金3.4億円に対し現預金5.8億円を有している。
現預金及び売掛金2.9億円などにより流動資産合計11億円であり、資産の部の殆どが流動資産から構成されている。
2021年3月期末時点では資産合計14億円に対し純資産合計5.2億円、自己資本比率38%まで上昇している。
■資金使途
IPOにより14億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・受託サービスの中核となる技術者人材などの労務費 1.8億円
・売上増加に対応するサービスパートナー企業技術者人材を新規に創出するための外注委託費 7.9億円
・営業及び内部管理体制の充実のための人材増強費 2.3億円
調達資金の半数以上は、売上増加に対応するサービスパートナー企業技術者人材を新規に創出するための外注委託費に充当される。
■株主構成
筆頭株主は投資ファンドのインテック・アイティ2号投資事業有限責任組合であり株式シェア27%を有している。松岡社長が第2位株主であり株式シェア15%(うち2.5%は潜在株式)である。
また筆頭株主に続き第4位株主のMICイノベーション4号投資事業有限責任組合(株式会社9.6%)も投資ファンドであり、両ファンドはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
投資ファンド以外に取引先も株式を保有しているが、個人株主も多数存在している。
■まとめ
ローコード技術とアジャイル手法を組み合わせた、独自のシステム開発技術を活用したシステム受託開発などを行う企業のIPO案件である。
独自のシステム開発手法である「AGILE-DX」を活用してスピーディーかつ安価なシステム開発を可能としており、着実に開発実績を積み上げている。今後もノウハウの蓄積や人材の採用及び成長とともに、順次開発システムの大型化を図る考え。
着実な成長を続けているが、受託開発型サービスであり開発案件が大型化しても利益額はそれほど増えない可能性がある。DX対応などシステム開発ニーズは旺盛であるが、売上規模の拡大とともに利益規模も拡大できるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、ローコードとアジャイルを活用したシステム受託開発・コンサルティング等サービスの提供及びOutSystems®等のソフトウェアライセンス販売事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が90億円、2022年3月期の業績予想ベースのPERは60.97倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が28億円とやや大き位上にPERも高く、同日で4社上場という需給環境の中でやや不利な感は否めないが、もし午前中の早い時間に初値が付くようであれば、ラリーの展開になるかもしれない。
セカンダリーマーケットにおいては、IPOラリーで人気化するかどうかは別として、当社の取り組むローコード技術を用いたシステム開発がこれまでのシステム開発よりも経済合理性が高いとの認識ができて、受託できる案件の増加が目に見えてくれば、機関投資家の買いで株価が動くかもしれないが、システム開発会社としてのPERの高さを維持できるまでの事業成長があるのかどうかは気掛かりである。
また、VC保有株が売出し後も発行済株式の30%超存在することから、ロックアップ解除の条件を満たすと需給が緩むことに注意した方が良い。