【目次】
①️アルマードIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社アルマード
- コード
- 4932
- 市場
- JASDAQスタンダード
- 業種
- 化学
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 荒西 俊和 / 1976年生
- 会社住所
- 東京都中央区京橋三丁目6番18号
- 設立年
- 2000年
- 社員数
- 36人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- E卵殻膜を配合した食品、化粧品の企画・開発・販売
- URL
- https://www.almado.co.jp/
- 資本金
- 110,000,000円 (2021年5月21日現在)
- 上場時発行済み株数
- 10,394,000株
- 公開株数
- 5,300,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/08→840~880円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/09 - 06/14
- 公開価格決定:2021/06/15→880円に決定
- 申込期間:2021/06/16 - 06/21
- 上場日:2021/06/24→初値861円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- アント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合 66.42%
- (株)DALMA 14.89%
- 鈴江由美 4.83%
- グリーンコア(株) 4.83%
- CBC(株) 1.93%
- みずほ成長支援投資事業有限責任組合 1.45%
- (株)ヒト・コミュニケーションズ 0.97%
- 大幸薬品(株) 0.97%
- 保科史朗 0.97%
- 長谷部裕二 0.97%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/03 単体実績
2,753,920 562,819 205,063 1,417,300 - 2019/03 単体実績
3,788,675 456,754 333,667 1,297,611 - 2020/03 単体実績
5,796,105 982,719 651,660 1,949,272 - 2020/12 第3四半期単体実績
3,351,580 435,160 294,259 2,243,531 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年9月21日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 46億6400万0000円(5,300,000株×880円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 314,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社アルマードは卵殻膜商材を活用した化粧品及び健康食品の開発販売を行う企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
- 同社は2000年10月に設立され、2001年10月にQVCテレビショッピングにて化粧品の販売を開始した。
その後2008年3月に株式会社セシール(現、株式会社ディノス・セシール)から75%の出資を受け子会社となるが、2014年10月に58%の自己株式を取得し親子関係を解消した。
2017年9月にアント・キャピタル・パートナーズ株式会社の運用受託するファンドが同社株式の過半数を取得し現在に至っている。■卵殻膜について
卵殻膜とは鶏卵の殻の内側にある薄い膜であり、18種類のアミノ酸、ヒアルロン酸等で構成されている。卵殻膜は古くから人体における創傷治癒素材として活用されてきた。
同社では2007年よりスタートした産学連携プロジェクトにより、卵殻膜塗布と摂取の両側面からの有用性とメカニズム検証を行ってきた。最近の研究では創傷治癒の早期化、皮膚の弾力性の増加への有用性も認められ、また難病指定されている潰瘍性大腸炎の改善にも有効という研究結果を発表している。
また同社では卵殻膜について、①高品質の卵殻膜原料の製造技術、②同社の卵殻膜原料を活用した食品加工、化粧品加工の技術、の両者の技術を開発し、卵殻膜原料を活用した商品及び化粧品の製造販売事業を展開している。■商品及び販売チャネル
同社の主力良品は下記4種類(化粧品、美容サプリメント、美容ドリンク)である。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
- 上記商品を下記の4つの販売チャネルで販売している。
① TVショッピング(QVテレビショッピング経由)
② OEM
③ 卸販売(ドラッグストア等への一般流通)
④ 自社販売(自社及び他社のECサイト)
上記のうち④自社販売では2018年4月に自社ECサイトを通じた定期購読サービスを開始した。定期顧客会員数は着実に増加しており2019年12月末時点で会員数は3万7千人となっている。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
●チャネル別売上高(41-44p)
2019年3月期のチャネル別売上高は下記となっている。
2019年3月期 売上高38億円
・TV通販 14億円(構成比38%)
・外販(一般流通) 1.9億円(同5.1%)
・外販(OEM販売※) 14億円(同37%)
・直販(EC) 7.4億円(同20%)
※OEM販売のうち、インターネット販売を主としているOEM先への売上高
TV通販と外販(OEM販売)がほぼ同レベルの売上規模である。また直販の構成比も20%に達している。また2020年3月期Q3(2019年12月まで)時点では下記となっている。
2019年3月期Q3 売上高45億円
・TV通販 12億円(構成比27%)
・外販(一般流通) 1.7億円(同3.8%)
・外販(OEM販売※) 20億円(同45%)
・直販(EC) 11億円(同25%)
今期に入り外販(OEM販売)が大きく伸びTV通販の売上高を上回っている、また直販(EC)も伸びている。今期から急速にTV通販中心の売上構成を脱しつつある。
■業績推移
2017年3月期 売上高20億円、経常利益1.4億円、当期純利益1.0億円
2018年3月期 売上高28億円、経常利益5.6億円、当期純利益2.1億円
2019年3月期 売上高38億円、経常利益4.6億円、当期純利益3.3億円
2020年3月期(予想) 売上高58億円、経常利益9.5億円、当期純利益6.2億円
着実な成長を続けているが、経常利益は急成長を遂げている。今期(2020年3月期)は売上高50億円の大台達成とともに、経常利益は対前年同期比2倍近い9.5億円の予想である。
今期Q3時点で売上高45億円、経常利益8.6億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2019年3月期末時点で資産合計21億円に対し、純資産合計13億円、自己資本比率63%である。
借入金3.4億円に対し現預金5.9億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。流動資産合計19億円であり、資産合計の殆どが流動資産から構成されている。
■資金使途
IPOにより0.7億円の資金調達を行い、海外販売に係る事業資金にその大半を投じる計画である。
また公募株数50,000株に対し、売出株数5,350,000株であり売出中心のIPOとなっている。
■株主構成
筆頭株主はアント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合で株式シェア66%。第2位株主は役員等により総株主等の議決権の過半数が所有されている株式会社DALMA(株式シェア15%)。第1位と第2位株主で株式シェアの約80%を保有する状態となっている。また元代表取締役の鈴江由美氏(現在は顧問契約)37pが第3位株主(同4.8%)である。
アント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合は所有6,870,000株のうち69%に当たる4,750,000株を売出に拠出、また鈴江由美氏も所有500,000株のうち50%に当たる250,000株を拠出する。
■まとめ
卵殻膜商材を活用した化粧品及び健康食品の開発を行い、TV通販やOEM販売を行う企業のIPO案件である。これまでTV通販中心の売上構成であったが、今期からOEM販売や自社ECサイト経由での販売が伸びており、TV通販中心の売上構成から脱しつつある。
増収増益を続けており、今期はOEM販売や自社ECサイト経由での販売の伸びを背景に大幅な増益を予想し経常利益9.5億円を予想している。
2020年3月期並みの利益率を維持したままの成長を行うことができるのか、という点が今後のポイントになると考えられる。また筆頭株主のント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合が売出にて保有株式の69%を売却する予定であり、今後の株主構成の状況にも注意が必要と考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、卵殻膜を配合した食品、化粧品の企画・開発・販売事業を展開している。販売ルートは、テレビ通販、OEM、自社EC。上場市場は東証JASDAQ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が91億円、2022年3月期の業績予想ベースのPERは16.45倍となている。
上場当日の株価動向は、VCの売出しにより資金吸収額が54億円と大きく、同日上場の他の3社に比べると需給は緩く相対的に買われにくいと言える。よって初値は前場の比較的早い時間に付くと考えられるが、公開価格に近い水準で初値が付くと、売り一巡後は買われる可能性があるので、株価の動きを注視したい。ただし、VCが売出し後に発行済株式の20.4%を保有しており、ロックアップが公開価格の1.5倍で解除されるので、解除水準を株価が超えると需給が一気に悪化する可能性もありえるので要注意だ。
上場直後のラリーの後のセカンダリーマーケットにおいては、自社ECサイトを通じた定期購買サービスの会員数が四半期ごとに開示されるので、この数字の伸びがそのまま会社の利益成長に繋がるので注目したいところである。