(画像=編集部作成)

【目次】
①️スローガンIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
スローガン株式会社
コード
9253
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 伊藤 豊 / 1977年生
会社住所
東京都港区南青山二丁目11番17号
設立年
2005年
社員数
103人(2021年9月30日現在)
事業内容
新産業領域向け求人プラットフォーム「Goodfind」を通した新卒採用支援サービス等
URL
https://www.slogan.jp/
資本金
227,102,000円 (2021年10月21日現在)
上場時発行済み株数
2,703,075株
公開株数
500,000株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/11/08→1,020~1,200円に決定
ブックビルディング期間:2021/11/09 - 11/15
公開価格決定:2021/11/16→1,200円に決定
申込期間:2021/11/17 - 11/22
上場日:2021/11/25→初値1,800円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:丸三証券
引受証券:極東証券
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
大株主
伊藤豊 30.26%
Reapra Ventures Pte. Ltd. 23.30%
織田一彰 12.97%
KMFG(株) 4.41%
XTech1号投資事業有限責任組合 4.32%
仁平理斗 3.30%
スローガン社員持株会 2.77%
北川裕憲 2.29%
(株)ドリームインキュベータ 2.24%
三菱地所(株) 1.86%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/02 単体実績 
947,025 85,120 96,543 66,013
2020/02 連結実績 
1,458,440 172,916 145,183 459,548
2021/02 連結実績 
1,311,021 42,580 49,627 491,775
2021/08 第2四半期連結実績 
779,383 299,802 226,763 694,701
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2022年2月22日まで
または、上場後180日目の2022年5月23日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
6億0000万0000円(500,000株×1,200円)
潜在株数(ストックオプション)
195,500株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
スローガン株式会社<9253>は新卒学生向け就活プラットフォーム「Goodfind」及びコンサル就活サービス「FactLogic」などの学生向けサービス及び社会人向けベンチャースタートアップ求人特化型エージェント「Goodfind Career」などを展開する企業である。
 
スローガン
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内証詳細

同社は下記2事業分野を展開している。

・キャリアサービス分野
・メディア・Saas分野
 

●キャリアサービス分野について

キャリアサービス分野では、学生向けサービスとして新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」、コンサル就活サービス「FactLogic」、学生向け長期インターな紹介サービス「Intern Street」の3サービスを展開している。
 
スローガン
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
同分野の中心の新卒学生向け厳選就活プラットフォーム
「Goodfind」では、スタートアップ企業を中心に新産業領域の企業の新卒採用と挑戦意欲・成長志向の高い学生の就職活動を支援するプラットフォームを提供している。学生に対してはスキルアップセミナーや、厳選企業を集めたイベント・セミナー・インターンシップ・説明会・選考会等の各種就活情報の提供を行っている。2006年6月から運営をスタートしており、2022年卒業予定学生の総会員数は1.9万人(2021年9月30日現在)である。

顧客企業に対しては、成功報酬型人材紹介サービス・人材紹介一致型コンサルティングサービス・メディアサービスの3つのサービスモデルを、顧客企業の採用課題やニーズに合わせてカスタマイズして提供している。

また社会人向けサービスとして、ベンチャースタートアップ求人特化型エージェント「Goodfind Career」を展開しており、社会人と求人企業とのマッチングサービスを提供中。
 
スローガン
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●メディア・SaaS分野

メディア・SaaS分野では、①若手イノベーション人材向けビジネスメディア「FastGrow」の提供及び②1on1の仕組みをつくるSaaS型HRサービス「TeamUp」を提供している。

「FastGrow」は新産業領域の情報を整理し若手イノベーション人材に向けて発信するメディアである。スタートアップ・ベンチャー企業を含む新産業領域の企業の採用広報やブランディング、サービス認知を支援するサービスを提供中。
 

■2021年2月期の部門別売上高

2021年2月期 売上高13億円(対前年同期比▲10%減)
・キャリアサービス分野 11億円(同▲13%減)
→学生向けサービス 9.2億円(同▲15%減)
→社会人向けサービス 1.5億円(同▲4.2%減)
・メディア・SaaS分野 2.4億円(同6.3%増)

キャリアサービス分野が売上の約8割を占める主力事業である。その中でも学生向けサービスが約8割を占めている。

2021年2月期は成功報酬型人材紹介サービスから人材紹介一致型コンサルティングサービスへのシフトに注力した結果、全体で▲10%の減収となった。ただしメディア・SaaS分野は増収を果たし、同社売上高を下支えしている。
 

■業績推移

2019年2月期 売上高9.5億円、経常利益0.9億円、当期純利益1.0億円
2020年2月期 売上高15億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.5億円
2021年2月期 売上高13億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.5億円
2022年2月期(予想) 売上高14億円、経常利益2.0億円、当期純利益1.4億円
※2020年2月期より連結決算

着実に増収を続けていたが、2021年2月期は成功報酬型人材紹介サービスから人材紹介一致型コンサルティングサービスへのシフトに注力した結果、若干の減収となった。ただし黒字は維持されている。2021年2月期の減収減益により、直近では2020年2月期が業績のピークとなっている。

2022年2月期は売上高14億円、経常利益2.0億円の予想である。前期に行ったサービスシフトの効果が上がり大幅な増収増益が見込まれている。2022年2月期Q2(累計)は売上高7.8億円、経常利益3.0億円であり、既に通期予想の経常利益を超えるなど通期予想の達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2021年2月期末時点で資産合計12億円に対し純資産合計4.9億円、自己資本比率42%である。借入金0.5億円に対し現預金8.3億円を有している。

資産合計12億円のうち、現預金8.3億円と売掛金2.3億円などの流動資産合計11億円であり、資産の殆どは流動資産から構成されている。

尚、顧客から前払いで受領した料金について、負債の部の前受金で5.2億円を計上している。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2020年2月期▲0.3億円、2021年2月期0億円であり、現状では安定的にプラス化した状態となっていない。尚、2020年2月期は前受金の減少(▲2.1億円)、2021年2月期は法人税等の支払い(▲0.5億円)が影響している。
 

■資金使途

IPOにより5.0億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・業務拡大に伴う人材獲得のための採用活動費及び人件費 2.9億円
・各種サービスの改修や機能開発に関する業務委託費 0.7億円
・各種サービスの認知度向上や会員の獲得を目的とした広告宣伝費 1.0億円

調達資金の半数以上は業務拡大に向けた採用活動費及び人件費に充当される。

尚、公募のみが行われ売出は行われない予定である。
 

■株主構成

筆頭株主は伊藤社長であり株式の30%を所有している。また第4位株主のKMFG株式会社(株式シェア4.4%)は伊藤社長の資産管理会社であり、伊藤社長の関係先で株式の35%が所有されている。

第2位株主のReapra Ventures Pte. Ltd.(同23%)はシンガポールのVCだが、介護人材紹介会社の株式会社エス・エム・エスの創業者・諸藤周平氏が立ち上げたVC。他のVCも株主参入しており、VC比率は約3割である。尚、VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
 

■まとめ

新卒学生向け就活プラットフォーム「Goodfind」、コンサル就活サービス「FactLogic」、学生向け長期インターな紹介サービス「Intern Street」、社会人向けベンチャースタートアップ求人特化型エージェント「Goodfind Career」などを展開する企業のIPO案件である。

新卒学生向けに就活サービスを主に提供しており、着実に成長を続けている。2021年2月期はサービス内容のシフトにより減収減益となったが、2022年2月期は本シフトの成果が上がり大幅な増収増益を予想する。2022年2月期Q2(累計)は売上高7.8億円、経常利益3.0億円であり、通期予想達成に向け順調に進捗している。

ベンチャー企業への就職サービスに特化する形で成長を続けてきたが、景気の低迷期にはベンチャー企業の採用マインドが特に低下する。景気動向に過度に左右されることなく、継続的な成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、スタートアップ・ベンチャー企業など新産業領域向け求人プラットフォーム「Goodfind」を通した新卒採用支援サービスや就職転職活動を支援する事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が32億円、2022年2月期の業績予想ベースのPERは23.16倍となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が7億円弱と小さいこともあって、需給はタイトで、初値は前場の後半に付くと予想する。上場後の発行済株式に対してVCが6.7%を保有しており、公開価格の1.5倍でロックアップが解除されるので、初値が付いた後のVCの売りには注意が必要だ。 セカンダリーマーケットにおいては、目論見書には売上の季節性は書かれていないが、新卒採用の成功報酬が売上の8割を占めているモデルなので売上は当社の第1四半期が最も多くなるはずだ。

裏を返せば、下期は売上低調な期間となるので、決算発表までにサプライズは望みにくいと考える。但し、来期に関しては、コロナ下で採用が減っていた前期よりも、企業の採用意欲は強くなっているはずなので、2022年4月入社の成功報酬は増えるのではないだろうか。年末に向けてIPOが多い中、上場後に調整するはずなので、じっくりと下値を拾いたい銘柄だ。