【目次】
①️ネットプロテクションズホールディングスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社ネットプロテクションズホールディングス
- コード
- 7383
- 市場
- 市場第一部
- 業種
- その他金融業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 柴田 紳 / 1975年生
- 会社住所
- 東京都千代田区麹町四丁目2番地6
- 設立年
- 2018年
- 社員数
- 6人(2021年10月31日現在)
- 事業内容
- BNPL(Buy Now Pay Later)決済サービス「NP後払い」等の運営
- URL
- https://corp.netprotections.com/
- 資本金
- 1,337,433,000円 (2021年11月11日現在)
- 上場時発行済み株数
- 96,447,000株
- 公開株数
- 44,560,000株
- 連結会社
- 1社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/11/29→1,300~1,450円に決定
- ブックビルディング期間:2021/11/29 - 12/03
- 公開価格決定:2021/12/06→1,450円に決定
- 申込期間:2021/12/07 - 12/10
- 上場日:2021/12/15
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:大和証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:クレディ・スイス証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅤ号 30.84%
- AP Cayman Partners Ⅲ-Ⅰ, L.P. 19.53%
- リコーリース(株) 11.28%
- AP Cayman Partners Ⅲ, L.P. 10.55%
- (株)ジェーシービー 9.07%
- 柴田紳 3.74%
- Japan Fund V, L.P. 2.72%
- York Asian Opportunities Investments Master Fund, L.P. 2.41%
- Tsunagu Investments Pte. Ltd. 2.18%
- 鈴木史朗 1.66%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/03 単体実績
51,000 -19,000 -19,000 4,807,000 - 2020/03 連結実績
15,183,000 -763,000 -612,000 5,440,000 - 2021/03 連結実績
18,106,000 873,000 574,000 10,509,000 - 2021/09 第2四半期連結実績
8,976,000 754,000 499,000 11,989,000 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の2022年6月12日まで
または、上場後360日目の2022年12月9日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 646億1200万0000円(44,560,000株×1,450円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 3,845,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社ネットプロテクションズホールディングス<7383>は後払いサービスであるBNPL(Buy Now Pay Later)決済サービス「NP後払い」等の運営を行う企業である。株式会社アドバンテッジパートナーズが運営するファンドが6割以上の株式を保有している。
■事業内容詳細
同社は個人、法人、EC(電子商取引)、対面販売にそれぞれ最適化させたBNPL決済サービスを提供している。2002年のサービス開始以降、累計取引件数は3億件を突破しており、取引件数の増加スピードは年々加速している。
BtoC取引において、BNPL決済サービスは購入者がクレジットカード登録不要で簡単に利用でき、商品確認後に支払える安心・便利な決済である。
BtoB取引において、BNPL決済サービスは事前手続き不要で簡単に買い掛け取引ができる決済である。加盟店はBNPL決済サービスを導入することで、少額かつ大量に発生し手間がかかっていた請求業務をアウトソースできコスト削減も期待できる。また購入企業が代金を支払わなかった場合も未払いリスクが保証される。
具体的には下記4サービスを提供している。
・NP後払い
・atone
・AFTEE
・NP掛け払い
●NP後払い(2002年リリース)
BtoC取引のECを対象としたBNPL決済サービスである。2021年3月期における年間取引高は3,422億円(前年対比16.3%増)であり、同社の国内BNPL決済サービスの成長に最も寄与している。
●atone(2017年リリース)
BtoC取引を対象にスマートフォンを活用した会員制BNPL決済サービスである。QRコードを活用することで実店舗での利用も可能である。
●AFTEE(2018年リリース)
BtoC取引を対象にスマートフォンを活用したBNPLサービスで、2018年8月より台湾で展開中。「NP後払い」と「atone」から得られたノウハウもとにローカライズした通販向けのBNPL決済サービスである。
●NP掛け払い(2011年リリース)
BtoB取引を対象としたBNPL決済サービスである。企業間取引における少額債権を主対象とした掛け払い決済を取り扱っている。多種多様な業態の加盟店との取引実績を積み上げ、2021年3月期における年間取扱高は752億円(前年対比27.1%増)となった。
■成長戦略
同社は業務提携による協業ネットワークを拡大することで迅速且つ継続的な加盟店獲得を実現し、それによる購入者及び購入企業の増加を目指している。結果として得られたビッグデータとAI技術を組み合わせることで与信力を強化させ、提供可能な業種・業態を更に広げる。
下記が同社の協業ネットワークとなっている。
■業績推移
2020年3月期 営業収益152億円、税引前利益▲7.6億円、当期利益▲6.1億円
2021年3月期 営業収益181億円、税引前利益8.7億円、当期利益5.7億円
※同社はIFRSを採用している
※当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益
同社は2000年1月に株式会社ネットプロテクションズ(旧ネットプロテクションズ)として事業を開始した。その後、株式会社アドバンテッジパートナーズにより純投資を目的として2015年11月に設立された現ネットプロテクションズが旧ネットプロテクションを子会社化(2016年7月)するなどの企業再編が行われており、2020年3月期は株式会社ネットプロテクションホールディングスの設立第2期である。
2021年3月期は増収黒字化を果たしている。
■財務内容
2021年3月期末時点で資産合計449億円に対し純資産合計105億円であり、自己資本比率は23%である。借入金68億円に対し現預金83億円を有している。
負債の部に営業債務及びその他の債務240億円を計上の反面、資産の部に営業債権及びその他の債権192億円を計上する。また企業再編によりのれんが非流動資産として116億円計上されている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2020年3月期7.8億円、2021年3月期63億円であり、プラスで推移している。2021年3月期は営業債務及びその他の債務の増減が48億円(前年同期32億円)の反面、営業債権及びその他の債権の増減が▲8.2億円(同▲29億円)に留まり、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅なプラスとなった。
■資金使途
IPOにより53億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・「NP後払い」、「atone」のインターフェース統合やカスタマイズの効率化等の機能拡充のためのソフトウェア開発資金 29億円
・新規顧客獲得のためのセールス・マーケティング活動に係る広告宣伝費及び販売促進費 残額
公募4,000,000株に対し売出40,560,000株であり売出株が多数を占めている。売出はアドバンテッジパートナーズのファンド中心に行われる。
■株主構成
株式会社アドバンテッジパートナーズ運営ファンドが筆頭株主(株式シェア31%)、第2位株主(同20%)、第4位株主(同11%)などで6割以上の株式シェアを有している。また他にも多数のファンドが出資している。主要ファンドはIPO後360日のロックアップ契約を締結済み。
第3位株主リコーリース株式会社(同11%)、第5位株式会社ジェーシービー(同9.1%)などの協業先も株主参入している。
柴田社長は株式シェア3.7%の株主である。
■まとめ
後払いサービスであるBNPL(Buy Now Pay Later)決済サービス「NP後払い」等の運営を行う企業のIPO案件である。株式会社アドバンテッジパートナーズが株式の6割以上を保有している。
国内BNPLサービスのリーディングカンパニーであり、決済サービスの多様化を背景に年々サービスの利用が増えている。特に近年のサービス利用の伸びが著しい。
決済サービスの多様化を背景に今後もサービス活用の伸びが期待できる。IPOによる調達資金を活用するなどして国内外での成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、事業として日本で初めて未回収リスク保証型の後払い決済(BNPL:Buy Now Pay later)サービスを提供し、組織面では「ティール組織」を採用している企業。
上場市場は東証1部。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額 が1,398億円、2023 年3月期業績予想ベースのPER 521.8倍となっている。後払い決済サービスの企業のM&Aが今年の夏にあって、米国の巨大決済スタートアップ企業「スクエア(Square)」によるオーストラリアのBNPL企業「Afterpay」を買収したときの、買収額は売上の41倍の時価総額だった。
当社の前期の売上181億円を41倍すれば、時価総額は7,400億円となる。グローバル基準だと公開価格時価総額の5倍であってもおかしくない計算となる。上場当日の株価動向は、資金吸収額が677億円とかなり大きく、この環境下だと初値が公開価格割れになる可能性もあるが、グローバルな機関投資家の動き次第では株価は大きく動きそうだ。
セカンダリー市場においては、ファンドが売出し後もかなりの株式を保有しているが、おそらくロックアップ明けにブロックトレードで株式移動があると考えるので、市場での株価には影響はあまりないと言えそうだ。むしろ、発行済株式の三分の二が市場に放出されることで、グローバルプレヤーがM&Aを仕掛ける可能性も否定できないので、株価が公開価格近辺で付くなら買っておくと大きく化けるかもしれない。