(画像=編集部作成)

【目次】
①️フレクトIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社フレクト
コード
4414
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役CEO 黒川 幸治 / 1979年生
会社住所
東京都千代田区内幸町一丁目1番6号
設立年
2005年
社員数
160人(2021年9月30日現在)
事業内容
クラウドインテグレーションによるDX支援、SaaS型モビリティ業務最適化クラウドサービス「Cariot」の提供
URL
https://www.flect.co.jp/
資本金
301,181,000円 (2021年11月4日現在)
上場時発行済み株数
2,841,900株
公開株数
505,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/11/19→2,210~2,550円に決定
ブックビルディング期間:2021/11/24 - 11/30
公開価格決定:2021/12/01→2,550円に決定
申込期間:2021/12/03 - 12/08
上場日:2021/12/10→初値5,810円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:大和証券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:野村證券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
大株主
(同)クロ 62.85%
salesforce.com, inc. 11.61%
Draper Nexus Technology Partners2号投資事業有限責任組合 8.12%
大橋正興 6.45%
山本啓二 1.02%
大槻真嗣 1.02%
品川晃一郎 0.68%
塚腰和男 0.68%
王丸幸一 0.68%
竹田正和 0.68%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/03 単体実績 
1,872,345 -132,347 -132,877 371,077
2020/03 単体実績 
2,882,817 105,252 66,879 437,956
2021/03 単体実績 
2,559,616 -186,282 -194,924 243,032
2021/09 第2四半期単体実績 
1,616,779 134,754 114,297 373,818
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2022年3月9日まで
または、上場後180日目の2022年6月7日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
12億8775万0000円(505,000株×2,550円)
潜在株数(ストックオプション)
351,800株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社フレクト<4414>は企業のDXを支援するクラウドインテグレーションと、SaaS型モビリティ業務最適化クラウドサービスCariotを提供する企業である。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社はクラウド先端テクノロジーとデザインで企業のDXを支援する、マルチクラウド・インテグレーターである。具体的なサービスは下記2者を提供している。

・クラウドインテグレーション
・Cariot
 

●クラウドインテグレーション

クラウドインテグレーションではクラウド先端テクノロジーで新しい顧客体験をカタチにする「攻めのDX」を支援する。

クラウドパートナーと共同営業を行い、顧客企業に直接プロフェッショナルサービスを提供する。同社は攻めのDX実現のための「クリエイティビティ」と「マルチクラウド・エンジニアリング」のケイパビリティ(組織の能力)を有し、価値を創出する顧客接点(フロントエンド)の開発を強みとしている。同社は国内AIサービスのDX事例を評価され、2019年Salesforceグローバルでのイノベーションアワードを日本企業として初めて受賞した。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
大手企業中心に顧客の開拓が進んでおり、2021年9月末時点で大手企業30社、中小企業15社との契約がある。着実に顧客基盤が拡大しており、また月次平均売上高は大手企業11百万円、全企業8.7百万円で推移している(いずれも2021年9月末時点)。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●Cariot

CariotはSaaS型モビリティ業務最適化クラウドサービスである。「物流」「フィールドサービス」「営業」等で利用する車両の位置や状態を見える化し、問い合わせ業務の削減やアナログ管理業務の効率化により、顧客の生産性向上を支援する自社プロダクトサービスである。車載デバイス・スマホアプリを用いて、クルマのデータをリアルタイムに取得・可視化し、クルマに関わる業務の効率化を支援する。

直販活動を中心に顧客企業に対しSaaSライセンスを提供するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっている。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2021年3月期主要取引先

2021年3月期 売上高26億円
・株式会社小松製作所 5.3億円(割合21%)
・株式会社リクルート 3.2億円(同13%)
・株式会社オーネット 2.3億円(同9.0%)

株式会社小松製作所、株式会社リクルート、株式会社オーネットの3社で2021年3月期売上高の約4割が計上された。2020年3月期も同様であり同3社が主力取引先である。

ただし2022年3月期(Q2累計)は同比率が17%まで減少しており、通期での増収を予想する中で取引先の分散が進んでいる。
 

■業績推移

2019年3月期 売上高19億円、経常利益▲1.3億円、当期純利益▲1.3億円
2020年3月期 売上高29億円、経常利益1.1億円、当期純利益0.7億円
2021年3月期 売上高26億円、経常利益▲1.9億円、当期純利益▲1.9億円
2022年3月期(予想) 売上高33億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.7億円

2020年3月期は売上高29億円、経常利益1.1億円まで事業が拡大した。しかしコロナ禍の影響を受け、2021年3月期は対前年同期比で減収・赤字転落となった。

2022年3月期は売上高33億円、経常利益1.7億円の予想であり、過去最高の売上高・利益を予想する。2022年3月期(Q2累計)は売上高16億円、経常利益1.3億円であり、通期予想の達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2021年3月期末時点で資産合計15億円に対し純資産合計2.4億円、自己資本比率16%である。借入金7.6億円に対し現預金9.0億円を有している。

資産合計15億円のうち、現預金9.0億円、売掛金3.6億円など流動資産14億円であり資産の殆どが流動資産から構成されている。
 

■資金使途

IPOにより7.6億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・人材採用費及び増加人件費 4.2億円
・教育費及び教育体制強化にかかる費用 0.8億円
・研究開発費 1.0億円
・借入金返済 1.0億円

調達資金の半数以上は、受注・開発体制の強化にかかる人員増強を目的とした採用費及び増加人件費に充当される。
 

■株主構成

筆頭株主の合同会社クロ(株式シェア63%)は黒川社長の資産管理会社である。取引先の米企業salesforce.com,inc.が第2位株主(同12%)となっている。

第3位株主Draper Nexus Technology Partners2号投資事業有限責任組合(同8.1%)他、合計2名義でVCが株主参入しており、VC比率は8.5%である。
 

■まとめ

企業のDXを支援するクラウドインテグレーションとSaaS型モビリティ業務最適化クラウドサービスCariotを提供する企業のIPO案件である。

企業のDXニーズ拡大を背景に、米salesforce.comの開発案件などを中心に事業が拡大している。2020年3月期に黒字化したが、コロナ禍の影響により2021年3月期は減収赤字転落となった。2022年3月期は売上高33億円、経常利益1.7億円と増収黒字復活を予想する中で、Q2まで順調に進捗している。

企業のDXニーズの拡大継続が予想される中で、IPOによる調達資金を活用するなどして成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、クラウドインテグレーションによるDX支援、SaaS型モビリティ業務最適化クラウドサービス「Cariot」の提供事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が72億円、2022年3月期の業績予想ベースのPER42.6倍となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が約15億円と大きくないため、需給はタイトとなりそうだが、ロックアップ解除となる公開価格の1.5倍近辺が意識される水準で初値が付きそうだ。また、初値が付いた後は、金曜日ということもあり、買いポジションを週末を超えて保有する個人投資家は少ない為、後場の遅い時間帯は売り方が優勢となりそうだ。

セカンダリー市場においては、上場直後のラリーの後の調整局面で売りが少なくなってきた底値付近では拾っておきたい銘柄のひとつである。クラウドサービスの成長性は高く、事業としてはストック型ビジネスなので、過剰な人材投資がなければ、ある一定の利益率を保持しながら利益水準は毎年上がっていくはずだ。12月はIPOが多いので、底値は意外と早く年内に付く可能性もある。

ちなみにフォローすべき当社のKPIは月次の顧客数と顧客当りの平均売上高となるので四半期ごとに確認しておくべきだろう。