(画像=編集部作成)

【目次】
①️のむら産業IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
のむら産業株式会社
コード
7131
市場
JASDAQスタンダード
業種
卸売業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 清川 悦男 / 1960年生
会社住所
東京都東久留米市前沢五丁目32番23号
設立年
1965年
社員数
76人(2021年9月30日現在)
事業内容
包装資材部門と包装機械部門で構成される包装関連事業、物流梱包事業
URL
https://www.nomurasangyo.co.jp/
資本金
80,000,000円 (2021年10月29日現在)
上場時発行済み株数
1,546,250株
公開株数
661,900株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/11/12→1,160~1,210円に決定
ブックビルディング期間:2021/11/15 - 11/19
公開価格決定:2021/11/22→1,210円に決定
申込期間:2021/11/24 - 11/29
上場日:2021/12/02→初値1,113円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:水戸証券
引受証券:丸三証券
引受証券:極東証券
引受証券:あかつき証券
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
大株主
MCP4投資事業有限責任組合 54.70%
清川悦男 9.99%
(株)サタケ 8.00%
シコー(株) 5.01%
アルク産業(株) 4.90%
堀田正仁 2.98%
のむら産業社員持株会 2.81%
松本博 1.98%
西澤賢治 1.97%
ニューロング(株) (株)マグトロニクス 1.80%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/10 単体実績 
3,923,874 174,005 123,126 903,477
2019/10 連結実績 
5,047,421 306,012 181,345 1,038,615
2020/10 連結実績 
4,898,835 265,243 54,894 1,054,748
2021/07 第3四半期連結実績 
3,525,267 174,906 106,882 1,151,538
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2022年5月30日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
8億89万9000円(661,900株×1,210円)
潜在株数(ストックオプション)
なし
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
のむら産業株式会社<7131>は米穀用の包装資材や機械などの企画販売を行う“包装関連事業”と海外製梱包機械の仕入販売などを行う“物流梱包事業”を展開する企業である。みずほ銀行系のファンドが株式の55%を保有している。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■沿革

同社は1965年11月に設立され、1966年にポリエチレンを材料として米穀精米袋(ポリ袋)を開発し販売を開始した。また1970年2月に精米用の全自動軽量包装機を開発した。

事業を続ける中で2013年7月にみずほキャピタルパートナーズ株式会社(現、MCPパートナーズ株式会社)との連携によりMBOが行われ現在に至っている。
 

■業務内容詳細

同社は下記2事業を手掛けている。

・包装関連事業
・物流梱包事業

2020年10月期の売上高比率は包装関連事業85%、物流梱包事業15%であり、包装関連事業が中心事業である。
 

●包装関連事業について

包装関連事業は「米穀精米袋を中心とした包装資材の企画開発・販売」と「米穀用自動軽量包装機を中心として軽量包装機械の企画開発・販売」を行っている。

具体的には設計からデザインまで行う完全オリジナル米袋から、ベースのデザインに好みの内容を組み合わせるハーフメイド米袋などを取り扱う「包装資材」や、自動計量包装機を中心に米穀用機械及び菓子や新規分野の機械の企画開発を行っている。開発した機械は全農系統卸や米穀卸等の精米工場、米穀小売、外食産業、生産業者に販売されている。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●物流梱包事業について

物流梱包事業では梱包における問題を解決するための商品・サービスを提供しており、顧客の作業等の効率化に貢献すべく、海外メーカーの商材を仕入れて、直接または販売会社を通じてエンドユーザーに販売、メンテナンス等を行っている。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2020年10月期部門別損益

2020年10月期 売上高49億円(対前年同期比▲2.9%減)、営業利益2.6億円(同▲12%減)
・包装関連事業 売上高42億円(同▲1.7%減)、セグメント利益3.1億円(同16%増)
・物流梱包事業 売上高7.2億円(同▲9.5%減)、セグメント利益▲0.4億円(前年同期0.3億円)

主力の包装関連事業はコロナ禍の影響により外食店向けの販売は不振であったが、家庭における米消費量の増加などを背景に卸業者や量販店グループなどの重点顧客のニーズ掘り起こしに注力した結果、対前年同期比で若干の減収。ただし出張等の経費抑制効果からセグメント利益は増益となった。

物流梱包事業は若干の減収減益となり、全体的も若干の減収減益となっている。
 

■業績推移

2018年10月期 売上高39億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.2億円
2019年10月期 売上高50億円、経常利益3.1億円、当期純利益1.8億円
2020年10月期 売上高49億円、経常利益2.7億円、当期純利益0.5億円
2021年10月期(予想) 売上高51億円、経常利益3.2億円、当期純利益2.0億円
※2019年10月期より連結決算

売上高50億円前後、経常利益3億円前後で安定的な業績を維持している。

2021年10月期は売上高51億円、経常利益3.2億円の予想であり、対前年同期比で若干の増収増益の予想である。予想の達成がなされれば、直近の業績のピークであった2019年10月期の業績を超える。2021年10月期Q3(累計)は売上高35億円、経常利益1.7億円である。

2020年10月期が公開申請決算期であり、期越え決算でのIPOとなっている。
 

■財務内容

2020年10月期末時点で資産合計32億円に対し純資産合計11億円、自己資本比率33%である。

借入金6.1億円に対し現預金6.4億円を有している。資産合計32億円のうち現預金6.4億円、受取手形及び売掛金8.9億円など流動資産合計21億円となっている。

2013年7月にMBOが行われ、その後企業再編がなされている。2020年10月期末時点でのれんが1.5億円存在する。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2019年10月期3.3億円、2020年10月期▲1.2億円であり、2020年10月期はマイナスとなった。2020年10月期は売上債権の増加▲2.1億円、仕入債務の減少▲1.8億円などの影響から、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっている。
 

■資金使途

IPOによる公募は行わず、売出のみが行われるため会社としての資金調達はなされない。

みずほ銀行系の投資ファンドであるMCP4投資事業有限責任組合が保有761,150株のうち、661,900株を売出にて売却する。
 

■株主構成

みずほ銀行系の投資ファンドであるMCP4投資事業有限責任組合が株式シェア55%を持つ筆頭株主である。ただし保有株式の8割以上が売出で売却される。

第2位株主は清川社長であり株式シェア10%である。

MCP4投資事業有限責任組合を除くと取引先及び個人中心の株主構成となっている。
 

■まとめ

米穀用の包装資材や機械などの企画販売を行う“包装関連事業”と海外製梱包機械の仕入販売などを行う“物流梱包事業”を展開する企業のIPO案件である。みずほ銀行系の投資ファンドが株式シェア55%の筆頭株主である。

コロナ禍の影響はあるものの、売上高50億円前後、経常利益3億円前後で安定的な業績を維持している。2021年10月期は売上高51億円、経常利益3.2億円であり着実な増収増益を予想している。

ファンドが過半数の株式シェアを持つ企業であるが、ファンドは売出にて保有する株式の8割以上を売却する。

業績は安定しているものの、IPOを契機に成長に向けた事業展開を行うことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。また筆頭株主のファンドが売出で保有株式の大半を売却するため、IPO後の株主状況にも注意が必要と考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、包装資材部門と包装機械部門で構成される包装関連事業、物流梱包事業を展開している。2013年7月にMCPパートナーズをスポンサーに旧経営陣から株式を取得するMBOを実施して、現在同ファンドの傘下にある。ファンドは上場に伴いグリーンシューオプションも含めると保有株全てを放出して、保有はなくなる予定。上場市場は東証JQ。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が19億円、2022年10月期の業績予想ベースのPERは9.3倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が8億円と規模が小さいことに加えて、ロックアップが180日付いていることから、需給は悪くないが、成長性の観点から、初値は公開価格以上で付いても後を追うような買いは期待できそうにない。

セカンダリーマーケットにおいては、10月決算発表が12月中旬となることから、来期の業績予想でそれなりの利益成長があれば、PER10倍~15倍のレンジで株価が動く可能性もある。もし、配当が出るようなことになれば、配当利回りの観点で株価の修正もあるので、決算発表には留意しておきたい。