【目次】
①️ランドネットIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社ランドネット
- コード
- 2991
- 市場
- JASDAQスタンダード
- 業種
- 不動産業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 榮 章博 / 1960年生
- 会社住所
- 東京都豊島区南池袋一丁目16番15号
- 設立年
- 1999年
- 社員数
- 379人(2021年5月31日現在)
- 事業内容
- 中古不動産の買取販売、買取り後のリフォーム・リノベーション、仲介及び賃貸不動産の管理
- URL
- https://landnet.co.jp/
- 資本金
- 100,000,000円 (2021年6月17日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,428,000株
- 公開株数
- 357,000株
- 連結会社
- 3社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/07/05→3,680~3,830円に決定
- ブックビルディング期間:2021/07/06 - 07/12
- 公開価格決定:2021/07/13→3,830円に決定
- 申込期間:2021/07/14 - 07/19
- 上場日:2021/07/21→初値5,320円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:水戸証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 大株主
- 榮章博 48.48%
- (株)ブレインネット 48.48%
- 浦好之 0.12%
- 塩尻直樹 0.11%
- 柳久之 0.11%
- 矢嶌卓 0.10%
- 萬代茂明 0.10%
- 小礒純 0.10%
- 中嶌大輔 0.09%
- 逆瀬川幸生 石川裕介 髙橋寛文 竹村徹 0.09%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/07 単体実績
22,344,647 809,398 562,914 2,200,951 - 2019/07 連結実績
30,152,771 1,073,572 773,219 2,937,706 - 2020/07 連結実績
35,773,981 831,131 594,617 3,454,454 - 2021/04 第3四半期連結実績
30,692,693 902,119 592,111 3,988,782 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の令和4年1月16日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 13億6731万0000円(357,000株×3,830円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 35,900株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社ランドネット<2991>は投資用中古マンションの売買・売買仲介及び賃貸不動産の管理などを行う企業である。
■事業概況
同社は1999年9月に設立された。首都圏で投資用中古ワンルームマンションの買い取り販売及び仲介を中心に事業を拡大し、更に中古マンションのリフォーム・リノベーション、賃貸不動産の賃貸管理業務も強化し現在に至っている。
また外国籍の従業員を積極的に雇用することで、国内投資家のみならず台湾や香港の投資家向けに国内不動産の販売も行う。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容について
不動産売買事業では、中古不動産を同社が買い取り、不動産業者や投資家に販売する事業を展開している。中古不動産の中で、特に中古マンションを積極的に取り扱っており、買い取りを行う対象の中古マンションは「ワンルームタイプ」及び「ファミリータイプ」の2つに区分して管理している。
また不動産売買事業にて販売及び仲介した顧客などの不動産所有者から賃貸管理業務を受託しており、同社が賃貸管理業務を受託した賃貸用不動産における賃借人の家賃滞納保証も行っている。
同社は中古不動産の買い取り・仲介から、施行そして販売・仲介を経て、最終的に物件管理や入居者管理までの不動産流通ビジネスにおけるワンストップ体制を構築した。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■今後の取り組み
今後は下記5つの取り組みにて成長を図る考えである。
・3大都市圏中心の支店展開
・実需層、一般投資家への販売
・仕入れ強化
・優秀な人材の確保
・社内システムの整備・再構築
販売面では現状は東京(池袋)、横浜、大阪の3拠点であるが、今後は地方中核都市(名古屋、福岡、札幌、仙台)への支店展開も検討する。尚、東京の城東地区への支店展開も併せて検討する。
仕入としては現在既に約752万件の不動産データ(2021年4月末時点)を有するが、今後も「不動産登記情報」、「不動産情報」、「取引情報」、「顧客ニーズ情報」といった情報を収集することで、量・質の両面でデータベースをより強化する。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■2020年7月期の売上内訳
2020年7月期 売上高358億円(対前年同期比19%増)
・不動産売買事業 売上高352億円(同19%増)
・不動産賃貸管理事業 売上高5.3億円(同12%増)
不動産売買事業が売上の殆どを占める主力事業である。
不動産販売事業における各構成比率は、ワンルームタイプ67%・ファミリータイプ33%であり、ワンルームマンションの取り扱いが半数以上である。また不動産業者向け53%・個人向け42%・法人向け5%であり、不動産業者向けが個人向けを超えている。
■業績推移
2019年7月期 売上高223億円、経常利益8.1億円、当期純利益5.6億円
2019年7月期 売上高302億円、経常利益11億円、当期純利益7.7億円
2020年7月期 売上高358億円、経常利益8.3億円、当期純利益5.9億円
2021年7月期(予想) 売上高409億円、経常利益10億円、当期純利益7.3億円
※2019年7月期より連結決算
増収を続けており2020年7月期には売上高350億円を突破した。ただし経常利益は2019年7月期11億円(1,073百万円)がピークであり2020年7月期は8.3億円と減益となった。
2021年7月期は売上高400億円を突破し、経常利益10億円(1,059百万円)の回復を予想する。ただし経常利益は2019年7月期を若干下回る。2021年7月期Q3(累計)は売上高307億円、経常利益9.0億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年7月期末時点で資産合計84億円、純資産合計35億円、自己資本比率41%である。借入金26億円に対し現預金23億円を保有している。また流動資産68億円が計上されているが、現預金23億円及び販売用不動産39億円が主な構成内容である。
建物4.2億円、土地5.0億円などで有形固定資産10億円に加え、ソフトウェア1.2億円、ソフトウェア仮勘定0.7億円などで無形固定資産1.9億円が計上されている。
キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローが、2019年7月期はたな卸資産の増加(▲10億円)などの影響により2.8億円に留まっている。また2020年7月期は法人税等の支払い(▲4.0億円)などにより6.4億円となった。
■資金使途
IPOにより12億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・販売用不動産の取得 5.3億円
・賃貸用不動産の取得 4.0億円
・システム開発投資 1.3億円
・人件費及び人材採用関連費 0.8億円
・支店及び本店造作設備工事資金 0.2億円
調達資金の大半は事業拡大のための販売用不動産及び賃貸用不動産の取得に充当される。
■株主構成
筆頭株主は榮社長であり株式シェア48%を所有している。また同率1位株主の株式会社ブレインネットは榮社長の資産管理会社であり、榮社長の関係先で株式シェアの97%が所有されている。榮社長中心の安定的な株主構成である。
■まとめ
投資用中古マンションの売買・売買仲介及び賃貸不動産の管理などを行う企業のIPO案件である。
毎期増収を続けており、2020年7月期は売上高357億円に到達した。ただし経常利益は2019年7月期の11億円がピークであり、2020年7月期は8.3億円と減益になった。2021年7月期は売上高400億円、経常利益10億円の大台到達の予想であり、進捗は順調である。
投資マンション事業者は多く存在するが、同社は中古投資マンションで事業拡大に成功している。ただし国内は少子高齢化で人口減少を迎える中で、地方中核都市への出店などを行い継続的な成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、中古不動産の買い取り販売、買い取り後のリフォーム・リノベーション、仲介および賃貸不動産の管理を事業として展開している。上場市場はJASDAQ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が55億円、2021年7月期の業績予想ベースのPERは7.47倍となっている。
2021年7月期末に1株当り51.5円の配当を予想、公開価格での配当利回り1.34%となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が16億円と大きくないことに加えて既存株主には180日間のロックアップがあり、需給は壊れにくく、初値は後場まで持ち越されるかもしれない。セカンダリーマーケットにおいては、上場後のラリー相場が終わると、株価のバリュエーションの観点からPER10倍程度が類似会社の評価となっており、その水準までは調整が起こると考えておいた方が良いだろう。
但し、7月末が期末となることから、若干の配当狙いの買いが入る可能性もありえるが、本格的な株価の動きは、決算発表の9月中旬を待つことになると考える。来期の業績予想のEPSに上場直後の調整を経て株価が落ちついたところでのPERを掛け合わせた株価が妥当な水準となるだろう。