①️サーキュレーションIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社サーキュレーション
- コード
- 7379
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 久保田 雅俊 / 1982年生
- 会社住所
- 東京都渋谷区神宮前三丁目21番5号
- 設立年
- 2014年
- 社員数
- 180人(2021年5月31日現在)
- 事業内容
- プロ人材の経験・知見を活用して経営課題の解決を支援する「プロシェアリングコンサルティング」、他
- URL
- https://circu.co.jp/
- 資本金
- 12,000,000円 (2021年6月18日現在)
- 上場時発行済み株数
- 8,153,000株
- 公開株数
- 2,124,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/07/05→1,610~1,810円に決定
- ブックビルディング期間:2021/07/07 - 07/13
- 公開価格決定:2021/07/14→1,810円に決定
- 申込期間:2021/07/15 - 07/20
- 上場日:2021/07/27
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 久保田雅俊 58.93%
- (株)ニューアイデンティティクリエイション 31.95%
- 山口征人 1.84%
- 福田悠 1.80%
- 村上亮太 0.73%
- 鈴木亮裕 0.50%
- 柳田直人 0.41%
- 信澤みなみ 0.37%
- 笹島敦史 0.37%
- 赤羽宏之 小野寺貴則 0.37%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/07 単体実績
2,020,611 64,508 42,978 159,366 - 2019/07 単体実績
3,003,127 26,638 17,480 176,846 - 2020/07 単体実績
3,995,590 -139,553 -109,371 67,475 - 2021/04 第3四半期単体実績
3,951,269 366,965 256,648 324,123 - ロックアップ情報
- 久保田雅俊、山口征人、福田悠、株式会社ニューアイデンティティクリエイションは上場後180日目の2022年1月22日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 38億4444万0000円(2,124,000株×1,810円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 533,400株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社サーキュレーション<7379>はプロ人材との協業により、法人企業向けに経営・人事・マーケティング・ファイナンス等の「プロシェアリングコンサルティング」サービスや、CTO、エンジニアリング、デザインの「FLEXY」サービスなどを提供する企業である。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)-
■事業内容詳細
- 同社は各経営テーマにおいて17,116名(2021年4月末時点の登録者総数)と協業し、法人向けに下記4サービスを展開している。
・「プロシェアリングコンサルティング」サービス
・「FLEXY」サービス
・「Open Idea」サービス(新規事業開発)
・「人が繋ぐ事業承継」サービス(事業承継)
このうち経営、人事、マーケティング、ファイナンス等のビジネス領域全般を扱う「プロシェアリングコンサルティング」サービスと、CTO、エンジニアリング、デザインを扱う「FLEXY」サービスが主力サービスである。 -
●「プロシェアリングコンサルティング」サービス及び「FLEXY」サービスについて
- 「プロシェアリングコンサルティング」サービスは、主に中小・ベンチャー企業の経営者、大企業の経営者・役員層向けに、プロ人材を活用した経営課題解決支援サービスを提供している。
同社サービスを利用することで、企業は専門性の高いプロ人材を雇用ではなくプロジェクト単位で必要期間のみ活用できるため、効率的に事業を展開して成長を加速させることができる。
また「FLEXY」サービスは、新規Web/ITサービスの開発・成長、エンジニア組織の目標・評価制度設計、データマイニング、IoTサービス開発案件等を得意としている。優秀なエンジニア/デザイナーを企業の必要に応じてフレキシブルに活用できる、準委任契約型サービスである。
同社の登録人材の各領域別の比率は下記であり、ビジネステーマ・プロフェッショナルが45%と約半数を占めている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)-
■累計稼働プロジェクトについて
同社が関与するプロジェクトは、2021年7月期Q3時点で累計8,005プロジェクトである。毎期右肩上がりにプロジェクト数は増加を続けている。
また新規顧客及び継続+既存客の累計プロジェクト件数の推移は下記であり、継続+既存客が新規より若干多い状態が続いている。よってリカーリングモデル(継続収入)でのビジネスモデルが構築されており、今後も新規顧客の増加とともに継続的な事業拡大が可能である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■2020年7月期の部門別売上高
2020年7月期 売上高40億円(対前年同期比33%増)
・「プロシェアリングコンサルティング」サービス 売上高24億円(同25%増)
・「FLEXY」サービス 売上高13億円(同66%増)
・その他 売上高2.6億円(同▲5.7%減)
「プロシェアリングコンサルティング」サービスが売上全体の6割を占めている。また「プロシェアリングコンサルティング」サービスと「FLEXY」サービスで売上の殆どが計上されている。
「プロシェアリングコンサルティング」サービスが対前年同期比で25%増となったが、「FLEXY」サービスは同66%増となり大幅な伸びを見せた。
2021年7月期Q3(累計)では下記となっている。
2021年7月期Q3(累計) 売上高40億円
・「プロシェアリングコンサルティング」サービス 売上高24億円
・「FLEXY」サービス 売上高14億円
・その他 売上高1.3億円
Q3時点で既に2020年7月期(通期)と同等の売上を計上しており、順調に事業は成長している。
■業績推移
2018年7月期 売上高20億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.4億円
2019年7月期 売上高30億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.2億円
2020年7月期 売上高40億円、経常利益▲1.4億円、当期純利益▲1.1億円
2021年7月期(予想) 売上高55億円、経常利益4.4億円、当期純利益2.9億円
順調に増収を続けているが、2019年7月期までは経常利益が1億円未満に留まり、2020年7月期は経常利益▲1.4億円の赤字となった。
2021年7月期は売上高55億円、経常利益4.4億円の予想である。大幅な増収及び黒字転換を予想しており、今期から本格的な黒字となる。2021年7月期Q3(累計)は売上高40億円、経常利益3.7億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年7月期末時点で資産合計18億円に対し純資産合計0.7億円、自己資本比率3.7%である。借入金12億円に対し、現預金11億円を保有している。資産合計18億円に対し、流動資産合計16億円であり、資産の殆どが流動資産で構成されている。
借入金に近い額の現預金を保有しているが、自己資本比率3.7%に留まるため過小資本の状態である。
■資金使途 IPOにより16億円の資金調達が行われ、下記使途を予定している。
・人材の採用等に係る費用及び人件費 7.0億円
・同社の認知度向上を目的としたマーケティング費 2.5億円
・新サービスとして開発中のソフトウェア開発投資 1.5億円
今後の事業拡大を踏まえた人材採用費、人件費に調達資金の約半数が充当される。
■株主構成
筆頭株主は久保田社長であり株式シェアの59%を有している。また第2位株主(株式シェア32%)の株式会社ニューアイデンティティクリエイションは久保田社長の資産管理会社である。久保田社長の関係先で株式の約90%が所有されており、安定的な株主構成である。
また個人中心の株主構成であり、金融機関や投資ファンドの株主参入はない。
■まとめ
プロ人材との協業により、法人企業向けに経営・人事・マーケティング・ファイナンス等の「プロシェアリングコンサルティング」サービスや、CTO、エンジニアリング、デザインの「FLEXY」サービスなどを提供する企業のIPO案件である。
一般的にコンサルティング案件はスポット契約となる傾向にあるが、同社は既存顧客からの案件が新規案件に比べ若干少ない程度で推移しており、リカーリングモデル(継続収入)のビジネスモデルを構築している。これまで1億円以下の低い利益水準が続いたが、今期(2021年7月期)は売上高55億円、経常利益4.4億円の予想であり、今期から利益成長が開始される。
2021年7月期の予想を達成し、2022年7月期以降も利益体質を維持しながら成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、企業が雇用でも派遣でもなく、外部プロ人材の経験・知見をプロジェクト単位で活用し、自社の経営課題を解決する新しい人材活用モデルであるプロシェアリング事業を展開している。多くの場合、準委任契約による月額制で収益を得ている。上場市場は東証マザーズ。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が147億円、2021年7月期の業績予想ベースのPERは50.88倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が44億円とマザーズ銘柄としては大きいが、新しいビジネスモデルとしての評価もあるので、需給はタイトで、初値は前場の終わり頃には付くと予想する。セカンダリー市場においては、初値がいったん付いた直後は、公募・売出し株を購入した個人投資家の売りに押される展開を予想する。
株価が底入れて持ち直しを見せるのは、9月中旬の決算発表で、売上、利益の成長性に陰りがないことを確認してからになるだろう。ただし、このビジネスモデルは、完全な労働集約型なので、成長性の観点から、瞬間風速ではPER100倍を超す水準まで行くかもしれないが、来期の業績予想ベースで落ち着く水準の目安としてPER50倍としておきたいところだ。