【目次】
①️長栄IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社長栄
- コード
- 2993
- 市場
- 市場第二部
- 業種
- 不動産業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 長田 修 / 1949年生
- 会社住所
- 京都府京都市伏見区深草西浦町三丁目70番地 第5長栄アストロビル
(最寄りの連絡場所)京都府京都市下京区万寿寺通烏丸西入御供石町369番地 No.60京都烏丸万寿寺ビル9F - 設立年
- 1988年
- 社員数
- 248人(2021年10月31日現在)
- 事業内容
- 不動産管理事業及び不動産賃貸事業
- URL
- https://www.kk-choei.co.jp
- 資本金
- 169,110,000円 (2021年11月19日現在)
- 上場時発行済み株数
- 4,466,300株
- 公開株数
- 1,080,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/12/08→1,700~1,800円に決定
- ブックビルディング期間:2021/12/09 - 12/15
- 公開価格決定:2021/12/16→1,800円に決定
- 申込期間:2021/12/17 - 12/22
- 上場日:2021/12/24→初値1,656円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:西村証券
- 大株主
- 長田修 48.82%
- 長田久美子 28.35%
- OSAフィールド株式会社 9.05%
- 長田栄臣 1.98%
- 山本光伸 0.74%
- 舩井渉 0.71%
- 寺田直樹 0.39%
- 田中直樹 0.31%
- 糸井邦広 0.27%
- 松本尚視 0.22%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/03 単体実績
7,873,571 1,503,442 1,057,742 5,878,237 - 2020/03 単体実績
8,285,463 1,603,800 985,721 5,618,579 - 2021/03 単体実績
8,031,258 1,435,167 982,302 6,265,428 - 2021/09 第2四半期単体実績
4,086,522 785,323 1,200,804 7,130,779 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の2022年6月21日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 19億4400万円(1,080,000株×1,800円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 349,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社長栄<2993>は不動産管理事業及び不動産賃貸事業を手がける京都市に本社を置く企業である。
■事業内容詳細
同社は下記2事業を展開している。
・不動産管理事業
・不動産賃貸事業
●不動産賃貸事業について
不動産事業ではマンションオーナーに対し、入居者管理はもとよりビルメンテナンス、売買仲介、賃貸仲介(リーシング)及びリフォーム工事などの賃貸経営に必要なサービスを提供している。『入居率120%(空室待ちが発生している状態、家賃が下がらない状態)』の実現を目指し、入居者満足度を上げ、テナントリテンション(入居者保持)を実現するための様々な施策を行っている。
売上は主に、物件の管理による管理収入とリフォームのための工事売上の両者から構成されている。
●不動産賃貸事業
不動産賃貸事業では自社保有物件の賃貸を行っている。同社は1980年の創業から2010年頃までは京都市内を中心に年平均2~3棟ペースで自社物件の購入を行っていた。2021年10月31日時点で、京都府下66棟(1,890戸)、滋賀県下13棟(697戸)、大阪府下18棟(1,154戸)、兵庫県下1棟(99戸)、愛知県下22棟(738戸)、神奈川県下1棟(31戸)の合計121棟を所有している。
また不動産賃貸事業はアセットマネジメント本部、宿泊事業本部、マンスリーマンション本部に分かれており、ホテルの運営、管理物件の空き室を活用したマンスリーマンション運営も行っている。
■同社ビジネスの特徴
同社では不動産管理事業において管理ノウハウの蓄積がなされており、同ノウハウは不動産賃貸事業に活用されている。また自社物件の取得は不動産管理事業における新規進出エリアの管理戸数のボリューム確保手段ともなっている。
管理と賃貸の相乗効果により管理収入の増加、家賃収入の増加につなげられている。
■2021年3月期部門別損益
2021年3月期売上高80億円(対前年同期比▲3.1%減)、営業利益18億円(同▲4.3%減)
・不動産管理事業 売上高32億円(同▲7.6%減)、営業利益5.2億円(同▲22%減)
・不動産賃貸事業 売上高49億円(同0.1%増)、営業利益15億円(同▲1.4%減)
不動産賃貸事業が売上高49億円、営業利益15億円であり、同社主力事業である。不動産管理事業も売上高30億円を超える事業規模であるが、コロナ禍でリフォーム工事の減少などがあり減少減益となっている。
尚、不動産賃貸事業の営業利益は15億円であり、不動産管理事業5.2億円の3倍近い数字である。
■業績推移
2019年3月期 売上高79億円、経常利益15億円、当期純利益11億円
2020年3月期 売上高83億円、経常利益16億円、当期純利益9.9億円
2021年3月期 売上高80億円、経常利益14億円、当期純利益9.8億円
2022年3月期(予想) 売上高84億円、経常利益14億円、当期純利益16億円
コロナ禍の影響により業績は2020年3月期の売上高83億円、経常利益16億円がピークとなった。2021年3月期は対前年同期比で若干の減収減益となっている。
2022年3月期は増収及び経常利益がほぼ横ばいの予想である。ただし複数の土地売却を行い固定資産売却益11億円を特別利益で計上するため、当期純利益は16億円の大幅な増益を予想している。2022年3月期Q2(累計)は売上高41億円、経常利益7.9億円、当期純利益12億円となっており、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務内容
2021年3月期末時点で資産合計522億円に対し純資産合計63億円、自己資本比率12%である。借入金426億円に対し現預金70億円を保有している。
資産合計522億円のうち、建物229億円、土地212億円及び流動資産74億円が主な構成内容である。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)は2020年3月期23億円、2021年3月期22億円となった。減価償却費が2020年3月期11億円、2021年3月期12億円計上されており営業C/Fを押し上げている。
■資金使途
IPOにより12億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。
・機動的な物件取得を図るため賃貸用不動産の取得資金 9.8億円
・長期借入金の返済 2.6億円
調達資金の大半は賃貸不動産の取得資金に充当される。
■株主構成
長田社長が筆頭株主であり株式の49%を保有している。また長田社長と配偶者(長田久美子氏、株式シェア28%の第2位株主)で79%の株式を保有する。更に第3位株主のOSAフィールド株式会社(株式シェア9.1%)は長田社長が社長を務める企業である。他の関係先も合わせて、長田社長の関係先で9割近い株式が保有される安定的な株主構成である。
個人中心の株式構成であり金融機関やファンドの株主参入はない。
■まとめ
不動産管理事業及び不動産賃貸事業を手がける京都市に本社を置く企業のIPO案件である。
コロナ禍の影響がある中でも2021年3月期売上高80億円、経常利益14億円を達成し高い利益率の維持がなされている。2022年3月期は売上高84億円、経常利益14億円の予想であり進捗は順調である。
不動産管理事業及び不動産賃貸事業のシナジー効果により、利益率の高い状態が続いているが、経常利益は15億円を前後している。IPOによる資金調達で新たな物件調達が可能になるが、高い利益率を維持しながら成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、不動産管理事業及び不動産賃貸事業を、京都を中心に近畿、中京、関東圏で展開している。管理保有物件はマンションが主力。新規地域の進出時には自社物件も取得する。近畿地方のほか愛知県、東京都、神奈川県で事業展開してり、2021年10月31日現在の管理戸数は2万5173戸(うち京都府2万1171戸)に上る。このうち自社物件戸数は4609戸となっている。
上場市場は東証2部。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が80億円、2022年3月期の業績予想ベースのPER5 倍となっている。2022年3月末の1株当たりの配当予想は73.22円となっており、公開価格での配当利回りは4%となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額は22億円とさほど大きくないが、セクターが不動産ということで、市場の評価は高くないため、初値は前場の早い時間に付くと予想する。
セカンダリー市場においては、配当利回りが4%と高いため、期末にむけて配当取りの動きが出てくる可能性がある。通常、3月決算銘柄の配当狙いの買いが入る時期は1月末から3月上旬なので、上場後のラリーの直後に公開価格を割込むような調整局面があれば、買いのチャンスとなるかもしれない。