(画像=編集部作成)

【目次】
①️セキュアIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社セキュア
コード
4264
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 谷口 辰成 / 1976年生
会社住所
東京都新宿区西新宿二丁目6番1号 新宿住友ビル20F
設立年
2002年
社員数
95人(2021年10月31日現在)
事業内容
法人向け入退室管理及び監視カメラシステムの提供等
URL
https://secureinc.co.jp/
資本金
294,000,000円 (2021年11月22日現在)
上場時発行済み株数
4,590,620株
公開株数
669,000株
連結会社
1社
スケジュール
仮条件決定:2021/12/09→870~950円に決定
ブックビルディング期間:2021/12/10 - 12/16
公開価格決定:2021/12/17→950円に決定
申込期間:2021/12/20 - 12/23
上場日:2021/12/27→初値2,185円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:東海東京証券
大株主
(同)LYON 30.44%
谷口辰成 11.25%
谷口喆成 10.26%
谷口才成 10.22%
CBC(株) 5.18%
グローバル・タイガー・ファンド3号投資事業有限責任組合 4.94%
(株)ブロードバンドタワー 3.41%
i-nest1号投資事業有限責任組合 3.41%
(株)東邦銀行 2.73%
(株)KAWASHIMA 2.73%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/12 単体実績 
1,473,179 66,109 46,750 119,313
2019/12 単体実績 
1,717,077 -56,570 -47,191 421,740
2020/12 連結実績 
2,790,181 27,637 33,032 455,236
2021/09 第3四半期連結実績 
2,505,079 130,683 108,222 568,394
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2022年3月26日まで、または
上場後180日目の2022年6月24日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
6億3555万円(669,000株×950円)
潜在株数(ストックオプション)
259,500株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社セキュア<4264>はAI(画像認識)技術を実装可能な入退室管理システムや監視カメラシステムの構築、導入・施工、アフターフォローまで一気通貫したソリューションを提供する企業である。
 
セキュア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は「SECURE AC(=Access Control:入退室管理システム)」、「SECURE VC(Video Surveillance:管理カメラシステム)」、「SECURE Analytics(画像解析サービス)」という3つのサービスを顧客のニーズに合ったデバイスとソフトウェアを組み合わせて販売している。またAI(画像認識)技術を監視カメラ等の物理セキュリティシステムに実装し最適化する研究開発を行っており、より付加価値の高いサービスを提供できる。
 

■同社の強み

同社はAI(画像認識)技術を監視カメラ等の物理セキュリティシステムに実装し、最適化して提供する研究開発を行っている。これによりシステム構築の最適化と掛け合わせることで、AI(画像認識)の運用効果を高めてより付加価値の高いサービスとしての提供が可能である。

また同社では単一的なサービスの提供に限らず、顧客の多様なニーズに沿った付加価値の高いサービスの提供ができる。具体的には、入退室管理システムにおける扉の開閉に連動した勤怠管理や顔認証による側温等の健康管理、監視カメラシステムと連動したオフィスの混雑度の見える化など、顧客ニーズを解決するための一連のソリューションとして提供できる。これにより中小企業から大企業まで幅広い顧客層を持つに至った。

尚、同社が扱う監視カメラは韓国IDIS Co.,Ltdと日本国内の販売総代理店契約を締結して仕入れを行っている。
 
セキュア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■導入実績

同社では直接エンドユーザーに販売を行う直販のみならず、2021年9月末時点において211社の販売パートナー(代理店)による代理店経由での販売も行われている。販売パートナー経由での販売が中心であり、売上比率は約9割である。
 
セキュア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2020年12月期サービス別売上高及び主要取引先

2020年12月期 売上高28億円
・入退室監視システム 8.5億円
・監視カメラシステム 19億円
・画像解析サービス・その他 0.6億円

監視カメラシステムが売上の68%を占める主力サービスとなっており、2021年12月期Q3(累計)も同様の傾向である。

また2020年12月期の主力売上先は下記である。

・綜合警備保障株式会社 5.6億円(割合20%)
・株式会社JVCケンウッド・公共産業システム 4.4億円(同16%)
・CBC株式会社 3.5億円(同13%)

上記3社で売上の48%を占め、売上の約半数が計上されている。2021年12月期Q3(累計)は3社の比率が57%まで上昇しており、安定的な取引が継続中。尚、CBC株式会社は未上場のセキュリティ機器等の開発会社である。
 

■業績推移

2018年12月期 売上高15億円、経常利益0.7億円、当期純利益0.5億円
2019年12月期 売上高17億円、経常利益▲0.6億円、当期純利益▲0.5億円
2020年12月期 売上高28億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.3億円
2021年12月期(予想) 売上高34億円、経常利益1.4億円、当期純利益1.3億円
※2020年12月期より連結決算

着実な増収を続けており、2020年12月期は売上高28億円、経常利益0.3億円となり若干ながら黒字化した。

2021年12月期は売上高34億円、経常利益1.4億円の予想であり、増収及び本格的な黒字化を予想している。2021年12月期Q3(累計)は売上高25億円、経常利益1.3億円であり、通期予想達成に向け順調に進捗している。
 

■財務内容

2020年12月期末時点で資産合計15億円に対し純資産合計4.6億円、自己資本比率31%である。借入金6.1億円に対し現預金3.7億円を有している。

資産合計15億円のうち、現預金3.7億円、受取手形及び売掛金3.8億円、商品4.0億円など流動資産合計12億円であり、資産合計の大半は流動資産により構成されている。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)が2020年12月期▲1.3億円となっている。売上債権の増加(▲1.2億円)、たな卸資産の増加(▲1.4億円)が営業C/Fのマイナスの主要因である。尚、2019年12月期もたな卸資産の増加(▲1.0億円)の増加などを背景に営業C/Fは▲1.5億円のマイナスとなっている。
 

■資金使途

IPOにより4.5億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・人材関連費用 3.0億円
・研究開発費用 1.0億円
・広告宣伝費用 0.5億円

調達資金は営業人員および技術者を中心とする優秀な人材補充のための人材採用費と人件費及び教育費中心に充当される。
 

■株主構成

筆頭株主の合同会社LYON(株式シェア30%)は谷口社長の資産管理会社。谷口社長は個人で第2位株主(同11%)でもある。また谷口社長の親族が第3位株主(谷口喆成氏、同10%)、第4位株主(谷口才成氏、同10%)であり、谷口社長の関係先で株式の62%が保有されている。

取引先の株式会社CBC(同5.2%)や株式会社ブロードバンドタワー(同3.4%)などの事業会社が出資を行っている。

VCとしてグローバル・タイガー・ファンド3号投資事業有限責任組合(同4.9%)などが合計3名義で出資しておりVC比率は10%である。尚、VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。

また金融機関として株式会社東邦銀行(同2.7%)が株主参入している。
 

■まとめ

AI(画像認識)技術を実装可能な入退室管理システムや監視カメラシステムの構築、導入・施工、アフターフォローまで一気通貫したソリューションを提供する企業のIPO案件である。

監視カメラなどのハードは主に海外製を活用して、同社自体はAI(画像認識)技術を監視カメラ等の物理セキュリティシステムに実装して提供する研究開発を行っている。これにより単なる監視カメラシステムとは異なる、画像認識ソリューションなどを組み込み企業の様々なニーズにマッチした監視カメラや入退室監視システムの提供が可能である。

2020年12月期は売上高28億円、経常利益0.3億円となり若干の黒字となった。2021年12月期は売上高34億円、経常利益1.4億円の本格的な黒字の予想であり、順調に進捗している。ただし2019年12月期と2020年12月期は、2期続けて営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスである点は留意が必要。

主力取引先と安定的な取引関係を維持しているが、代理店経由の売上が約9割となっている。IPOによる調達資金を活用するなどして、販売パートナーの開拓や直販も含め販売力の強化がなされ成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、入退室管理システム「SECURE AC」、監視カメラシステム「SECURE VS」、画像解析サービス「SECURE Analytics」という3つのサービスを顧客にニーズに合ったデバイスとソフトウェアを組み合わせて販売する事業を展開している。

上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が43億円、2021年12月期の業績予想ベースのPER 34.6倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が7億円と少額であり、前週までのIPOラッシュが一服することで、需給はかなりよくなり、初値は後場まで持ち越されると予想する。

セカンダリー市場においては、当社は12月決算なので、2月中旬には決算発表があり、来期の業績予想が開示されるので、上場直後のラリーの後に調整を経て、業績予想の内容が良ければ株価反発のきっかけになるだろう。長期的な視点では、ビジネスモデルがストック型の売上になっていないことから、導入一巡後は売上は伸び悩むことになるかもしれないが、その時期は少し先だと考えておいた方が良い。但し、顧客数は継続して開示される当社お重要なKPIなので、都度しっかりと確認して成長の速度が落ちてないかみておくことが大事だ。