(画像=編集部作成)

【目次】
①️アジアクエストIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
アジアクエスト株式会社
コード
4261
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 桃井 純 / 1970年生
会社住所
東京都千代田区飯田橋三丁目11番13号 飯田橋i-MARKANNEX6F
設立年
2012年
社員数
299人(2021年10月31日現在)
事業内容
デジタルトランスフォーメーション事業(企業のDXを実現する為のコンサルティング、システム開発、プロダクト開発等、様々なデジタル 技術を活用したデジタルインテグレーションサービスの提供)
URL
https://www.asia-quest.jp/
資本金
135,000,000円 (2021年11月19日現在)
上場時発行済み株数
1,400,000株
公開株数
380,000株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/12/07→2,370~2,430円に決定
ブックビルディング期間:2021/12/09 - 12/15
公開価格決定:2021/12/16→2,430円に決定
申込期間:2021/12/17 - 12/22
上場日:2021/12/27→初値5,600円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:いちよし証券
引受証券:あかつき証券
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:極東証券
引受証券:東洋証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
大株主
桃井純 41.73%
JHDアセットマネジメント株式会社 31.60%
スターティアホールディングス株式会社 20.54%
西野伸一郎 1.90%
岩崎友樹 1.11%
西日本電信電話株式会社 0.92%
屋野祐 0.32%
外谷悠一郎 0.32%
小畠芳紀 0.32%
伊藤晶子 0.32%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/12 単体実績 
1,068,585 -38,411 -52,186 157,790
2019/12 連結実績 
1,563,783 18,699 -4,270 136,293
2020/12 連結実績 
1,800,960 100,598 62,861 196,076
2021/09 第3四半期連結実績 
1,662,432 259,032 175,085 374,471
ロックアップ情報
スターティアホールディングス株式会社、桃井純、JHDアセットマネジメント株式会社、西日本電信電話株式会社は、上場後180日目の2022年6月24日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
9億2340万0000円(380,000株×2,430円)
潜在株数(ストックオプション)
96,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
アジアクエスト株式会社<4261>は企業のDXを実現するためのコンサルティング・システム開発・プロダクト開発等のデジタル技術を活用したデジタルインテグレーションサービスを提供する企業である。
 
アジアクエスト
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は複数のデジタル技術を組み合わせ、ワンストップでDXに必要なシステムを構築する、新しい形のSIサービスとしてデジタルインテグレーションサービスを提供している。

同社は特定分野・技術に固執せず幅広く網羅し最適なものを組み合わせ顧客に提供する。具体的にはIoT、AI、クラウド、RPA等の最新デジタル技術に加え、Web、モバイル、ビッグデータ解析等の技術や優れた顧客体験を実現するUI/UXのノウハウを織り交ぜ顧客ニーズに柔軟に対応している。これによりワンストップでDX実現に必要なサービス提供が可能である。

またDX実現に必要な他分野の全ての工程を同社に一括で発注できる。
 
アジアクエスト
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●ソリューション事例

鹿島建設株式会社の建設現場の管理業務の遠隔化に向けて、建設現場に設置され様々なIoTセンサーで取得したヒト・モノのデータをデジタル空間の仮想建設現場上に表示し、リアルタイムに建設現場の状態を可視化するデジタルツイン(※)システムの開発を行った。 ※デジタルツイン:IoTセンサーなどを用いて物理空間から取得した情報をもとに、デジタル空間に物理空間のコピーを再現する技術
 
アジアクエスト
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■ビジネスモデル

顧客ニーズに応じて、受託開発・派遣を選択し、業務範囲も上流から下流まで幅広く対応している。

またインドネシア法人とマレーシア法人を有しており、現地で累計100社以上の企業にIT支援サービスを実施している。2012年4月の創業後、11月にはインドネシア法人を設立するなど創業当初から海外展開を志向した。現地法人は日本からのオフショア開発拠点としてではなく、現地で顧客開拓を行っている点が同社の特徴である。
 

■2020年12月期主力取引先

2020年12月期 売上高18億円
・クラウドサーカス株式会社 売上高2.1億円(割合12%)

2018年に資本業務提携を行ったスターティアHD株式会社の関連会社であるクラウドサーカス株式会社は、2020年12月期の売上割合12%の主力取引先である。2021年12月期Q3(累計)も10%の売上割合であり、安定的な取引関係が構築されている。
 

■業績推移

2018年12月期 売上高11億円、経常利益▲0.4億円、当期純利益▲0.5億円
2019年12月期 売上高16億円、経常利益0.2億円、当期純利益▲0.0億円
2020年12月期 売上高18億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.6億円
2021年12月期(予想) 売上高22億円、経常利益2.6億円、当期純利益1.8億円
※2019年12月期より連結決算

着実な増収を続けており、2020年12月期に経常利益及び当期純利益のいずれも黒字化。経常利益は1億円の大台に到達した。

2021年12月期も増収増益を予想しており、売上高22億円、経常利益2.6億円の予想である。2021年12月期から本格的な利益計上ステージ入りを見込んでいる。2021年12月期Q3(累計)は売上高17億円、経常利益2.6億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2020年12月期末時点で資産合計13億円に対し純資産合計2.0億円、自己資本比率15%である。借入金7.0億円に対し現預金7.9億円を有している。

資産合計13億円に対し、現預金7.9億円や売掛金2.7億円など流動資産合計11億円であり、資産の殆どが流動資産から構成されている。

キャッシュ・フロー計算書において、2020年12月期の営業活動によるキャッシュ・フローは1.9億円(2019年12月期0.0億円)である。減価償却費0.3億円、未払消費税の増加0.3億円、その他の負債の増加0.3億円などにより押し上げられている。
 

■資金使途

IPOにより5.0億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・設備資金 0.6億円
・借入金返済 2.3億円
・人件費・労務費等運転資金 1.9億円

調達資金は借入金の返済及び、事業拡大に必要な人材の確保・新規採用のためにエンジニアを始めとした従業員の人件費・労務費や採用教育費等の運転資金を中心に充当される。
 

■株主構成

筆頭株主は桃井社長であり株式の42%を保有している。第2位株主(株式シェア32%)のJHDアセットマネジメント株式会社は役員等により総株主等の議決権の過半数を所有されている企業である。社長及び役員の関与する企業で株式の70%以上が所有されており、安定的な株主構成である。

資本業務提携先として第3位株主(株式シェア21%、うち2.4%は潜在株式)にスターティアHD株式会社、第6位株主(同0.9%)に西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が株主参入している。

ファンドや金融機関の株主参入はない。
 

■まとめ

企業のDXを実現するためのコンサルティング・システム開発・プロダクト開発等のデジタル技術を活用したデジタルインテグレーションサービスを提供する企業のIPO案件である。

同社は複数のデジタル技術を組み合わせてワンストップでDXに必要なシステムを構築する、新しい形のSIサービスとしてデジタルインテグレーションサービスを提供している。鹿島建設株式会社、大分県別府市、株式会社フュートレックに対して、デジタル技術を組み合わせたソリューション事例を有している。

2020年12月期に経常利益1億円の大台に到達するなど黒字化した。2021年12月期は売上高22億円、経常利益2.6億円、当期純利益1.8億円の予想である。黒字の本格化が予想されており、通期予想達成に向けた進捗は順調である。

企業のDX投資ニーズが強い中で、2021年12月期に本格的な黒字化を達成した後も成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、デジタルトランスフォーメーション事業として、企業のDXを実現する為のコンサルティング、システム開発、プロダクト開発等、様々なデジタル技術を活用したデジタルインテグレーションサービスの提供をしている。アジア市場の開拓にも取り組んでおり、インドネシアやマレーシアにて累計100社以上の企業に情報技術(IT)支援サービスを実施している。

上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が34億円、2021年12月期の業績予想ベースのPER19.3 倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が10億円と小さく、同日上場が2社しかないことに加えて、前週までのIPOラッシュが一服することで、需給はかなりよくなり、初値は前場の後半もしくは後場まで持ち越される可能性もある。また、初値が付いた後も買われてストップ高も相場の地合い次第ではありそうだ。

セカンダリー市場においては、当社は12月決算なので、2月の決算発表で来期の業績予想が発表されるが、社会のDXの流れは続き、来期も増収増益基調が続くと考えられるので、公開価格にIPOディスカウントを加味したバリュエーションのPER25倍~30倍の水準で株価は推移しそうだ。