(画像=編集部作成)

【目次】
①️エフ・コードIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社エフ・コード
コード
9211
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 工藤 勉 / 1984年生
会社住所
東京都新宿区市谷八幡町2番1号
設立年
2006年
社員数
21人(2021年9月30日現在)
事業内容
「CODE Marketing Cloud」等のCX向上SaaSの提供、DX戦略設計・実行支援、顧客獲得・育成等のマーケティング支援
URL
https://f-code.co.jp/
資本金
148,464,000円 (2021年11月19日現在)
上場時発行済み株数
2,049,100株
公開株数
159,700株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/12/07→1,860~2,020円に決定
ブックビルディング期間:2021/12/09 - 12/15
公開価格決定:2021/12/16→2,020円に決定
申込期間:2021/12/17 - 12/22
上場日:2021/12/24→初値6,000円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:アイザワ証券
引受証券:あかつき証券
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:極東証券
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:水戸証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:東洋証券
引受証券:丸三証券
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:エイチ・エス証券
引受証券:光世証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:むさし証券
大株主
工藤勉 59.29%
梅澤康二 5.31%
荒井裕希 4.95%
株式会社マイナビ 4.52%
株式会社リヴァンプ 4.26%
平井隆仁 3.12%
須合聡 2.92%
長島毅 2.15%
衣笠槙吾 1.41%
大山卓也 1.34%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/12 単体実績 
421,535 -276,338 -336,258 40,816
2019/12 連結実績 
459,224 -65,687 -41,181 17,449
2020/12 単体実績 
531,528 30,940 40,585 56,774
2021/09 第3四半期単体実績 
477,721 136,825 137,182 290,886
ロックアップ情報
工藤勉、梅澤康二、荒井裕希、須合聡、衣笠槙吾、山岡佑、山崎晋一、平井隆仁、今村元太は、上場後180日目の2022年6月21日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
3億2259万4000円(159,700株×2,020円)
潜在株数(ストックオプション)
282,900株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社エフ・コード<9211>はCX(Customer Experience)領域のデータ基盤を軸に、企業のDX推進をワンストップで支援する企業である。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は2006年の創業時より行うデジタルコンサルティング、デジタル広告運用などの実績・経験から得られた知見・ノウハウを長年に渡りデータとして蓄積した。その後2013年より10年近くにわたりSaaS型のマーケティングツールとして、エントリーフォーム最適化ツールやブラウザプッシュ通知ツール、Web接客ツールなどのデジタルマーケティングサービスを提供している。これまでに培った独自のCXデータは累計1,000社を超えるユニークなCXデータ基盤として進化を続けており、より質の高いDX推進サービスのための不可欠かつ強力な武器である。

上記を背景に、同社事業は企業のDX推進をワンストップで支援する下記2つのサービスを提供している。

・デジタル顧客獲得支援サービス
・デジタル顧客育成支援サービス
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●デジタル顧客獲得支援サービス

デジタル顧客獲得支援サービスは、顧客クライアントのデジタル戦略の設計やデジタルマーケティング活動の改善など、主にクライアントの顧客獲得のデジタル化を支援するサービスである。

同社のCXデータ基盤を参照することで、前提となるクライアントの課題を分析し、クライアントとその顧客にとって最適なコミュニケーションのための戦略を設計・実行して顧客獲得を支援する。
 

●デジタル顧客育成支援サービス

デジタル顧客育成支援サービスは。同社がSaaS型ソフトウェアとして提供するWeb接客ツール「CODE Marketing Cloud」を中心に、クライアントが獲得した見込顧客の成約率・継続率の向上を図るための個別のデジタル施策を広範囲に提供する。同社のCXデータ基盤による分析から導かれた最適なものを一体となって実行することで、見込み顧客の育成(ロイヤル化)を支援する。

「CODE Marketing Cloud」は企業Webサイトに来訪したユーザーに対し、ユーザーのサイト内での行動情報・購買情報などをもとに最適なタイミングで適切なコンテンツを自動提示し、サイト内の顧客体験をより良質なものへと改善することができるWeb接客ツールである。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2020年12月期サービス別売上高

2020年12月期 売上高5.3億円
・デジタル顧客獲得支援サービス 2.7億円(対前年同期比18%増)
・デジタル顧客育成支援サービス 2.6億円(同14%増)

デジタル顧客獲得支援サービスとデジタル顧客育成支援サービスはほぼ同等の売上規模である。両事業ともに対前年同期比で増収を果たし成長が継続中。

ただし2021年12月期Q3(累計)はデジタル顧客獲得支援サービス2.7億円、デジタル顧客育成支援サービス2.0億円であり、Q3累計で前年通期の売上高を超えたデジタル顧客獲得支援サービスの増収幅が大きくなっている。
 

■業績推移

2018年12月期 売上高4.2億円、経常利益▲2.8億円、当期純利益▲3.4億円
2019年12月期 売上高4.6億円、経常利益▲0.7億円、当期純利益▲0.4億円
2020年12月期 売上高5.3億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.4億円
2021年12月期(予想) 売上高6.4億円、経常利益1.5億円、当期純利益1.5億円
※2019年12月期のみ連結決算。2019年12月期に連結子会社を精算しており、2020年12月期以降の連結決算書は作成されていない。

2019年12月期まで赤字が継続したが、2020年12月期に売上高5.3億円、経常利益0.3億円となり黒字化した。

2021年12月期は売上高6.3億円、経常利益1.5億円の予想であり、経常利益は1億円の大台突破が予想されている。2021年12月期Q3(累計)で売上高4.8億円、経常利益1.4億円であり通期予想達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2020年12月期末時点で資産合計5.2億円に対し純資産合計0.6億円、自己資本比率11%である。借入金2.7億円に対し現預金3.3億円を有している。

資産合計5.2億円のうち現預金3.3億円、売掛金1.2億円など流動資産合計4.7億円であり、資産の殆どが流動資産により構成されている。
 

■資金使途

IPOにより2.1億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・採用費及び人件費 0.7億円
・広告宣伝費及び代理店等への販売手数料 0.8億円
・ソフトウェア開発費 0.6億円

調達資金は事業拡大に伴う採用費や宣伝広告費に加え、サービス追加機能開発などソフトウェア開発費用にバランスよく投じられる。
 

■株主構成

工藤社長が筆頭株主であり株式の59%を保有している。

個人中心の株主構成であるが事業会社として株式会社マイナビ(株式シェア4.5%)が株主参入している。また取引先の株式会社リヴァンプが潜在株式で株式の4.3%を保有する。

VCとしてピアラベンチャーズ1号投資事業有限責任組合(同0.7%)が株主参入している。
 

■まとめ

CX(Customer Experience)領域のデータ基盤を軸に、企業のDX推進をワンストップで支援する企業のIPO案件である。

2006年の創業時より行うデジタルコンサルティング、デジタル広告運用などの知見をCXデータ基盤として構築している。自ら保有するCXデータ基盤の活用及びツールとしての提供で、人的サービス主体のデジタル顧客獲得支援サービスとツール提供サービス主体のデジタル顧客育成支援サービスを展開している。

2020年12月期は売上高5.3億円、経常利益0.3億円と黒字化した。2021年12月期は売上高6.3億円、経常利益1.5億円の予想であり、予想達成に向けた進捗は順調。

2021年12月期を予想数値で着地して本格的な黒字ステージ入りした後、来期以降も継続的な成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、デジタルマーケティングサービスの提供事業として、CX(顧客体験)領域のデータ解析・ノウハウをコアとし、企業のDX推進をワンストップで支援するサービスを提供する事業を展開している。

上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が41億円、2021年12月期の業績予想ベースのPER 27.9倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が4億円弱と、同日上場の7社の中では最も小さいこともあって、需給はかなりタイトとなり、初値は前場の遅い時間帯もしくは後場まで持ち越されると推測するが、24日は金曜日ということもあって、後場の半ば以降は利益確定売りが出やすくストップ高までは買われないとみる。

セカンダリー市場においては、来年2月の決算発表で開示される来期の業績予想でこれまでと同じ成長となれば、株価の水準は大きく切りあがる可能性がある。この1年間で見ると、売上が1億円伸びると利益も1億円伸びていることから、来期も同様と考えると、単純に一株当たりの利益も増えることになる。但し、今期までは税務上の欠損金があったが、来期以降は税務メリットが薄れてくるので、EPSの伸びは低くなりそうだ。