【目次】
①️サスメドIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- サスメド株式会社
- コード
- 4263
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 上野 太郎 / 1980年生
- 会社住所
- 東京都中央区日本橋本町三丁目7番2号
- 設立年
- 2015年
- 社員数
- 21人(2021年10月31日現在)
- 事業内容
- 医療機器開発およびその協力
各種医療情報の収集・提供 - URL
- https://www.susmed.co.jp/
- 資本金
- 100,000,000円 (2021年11月19日現在)
- 上場時発行済み株数
- 15,547,600株
- 公開株数
- 2,593,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/12/08→1,310~1,410円に決定
- ブックビルディング期間:2021/12/09 - 12/15
- 公開価格決定:2021/12/16→1,410円に決定
- 申込期間:2021/12/17 - 12/22
- 上場日:2021/12/24→初値1,500円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:あかつき証券
- 引受証券:いちよし証券
- 大株主
- 上野太郎 48.2%
- Beyond Next Ventures 1号投資事業有限責任組合 15.7%
- SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 8.0%
- 株式会社スズケン 4.8%
- 第一生命保険株式会社 4.0%
- 市川太祐 2.8%
- 本橋智光 2.1%
- 住友商事株式会社 1.7%
- サワイグループホールディングス株式会社 1.7%
- ソニーグループ株式会社 東京センチュリー株式会社 1.2%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/06 単体実績
5,031 -215,368 -216,951 452,127 - 2020/06 単体実績
34,888 -88,815 -96,922 355,204 - 2021/06 単体実績
115,489 -271,080 -277,554 1,577,650 - 2021/09 第1四半期単体実績
30,838 -128,996 -129,828 1,447,822 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2022年3 月23日まで
または、上場後180日目の2022年6月21日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 36億5613万0000円(2,593,000株×1,410円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 1,257,200株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- サスメド株式会社<4263>はスマートフォンのアプリケーションなどを活用した、DTxと呼ばれる治療用アプリの開発などを手がける医療ベンチャー企業である。
■事業内容詳細
同社は治療用アプリ開発を行う「DTxプロダクト事業」と、臨床試験システム及び機械学習自動分析システムの機能を備えたデジタル医療プラットフォームを軸とした「DTxプラットフォーム事業」を展開している。
●DTxプロダクト事業について
治療用アプリであるDTxはスマートフォンのアプリケーションなどの形態をしたソフトウェアによる治療手段で、規制当局の承認を得た科学的根拠に基づく医療機器である。DTxはようやく導入期に差し掛かった段階にあり、一般的なヘルスケアアプリケーションとは下記の点が異なっている。
同社は慢性疾患や認知行動療法、運動療法が有効とされる疾病に対する複数のDTxの開発を行っており、開発中のパイプラインは下記である。不眠症治療用アプリは検証的試験の段階にあり最も事業化に近い。
●DTxプラットフォーム事業について
DTxプラットフォーム事業は、汎用臨床試験システムと機械学習自動分析システムを手がけている。
汎用臨床試験システムは、同社が不眠症治療用アプリの開発過程において獲得したノウハウをベースに、効率的な臨床試験を実施するためのシステム開発を行っている。同社のシステムには、リモート治験における各種課題を解決するために、被験者として適切な対象かどうかを判定する「適格性判定」、データ入力者の本人性を確認する「なりすまし防止」など、データの真正性を確保するための幅広い機能に関する特許技術が実装されている。
機械学習自動分析システムは、リアルワールドデータ(RWD)と呼ばれるレセプトや電子カルテなどの匿名化された患者単位の医療データの新薬開発などでの活用に向けて、Awesome Intelligenceという名称で分析基盤を開発しクラウドサービスとして提供している。Awesome Intelligenceでは分析結果を導き出す際にシステムが注目した特徴量の寄与度を命じするようなホワイトボックス型の機械学習をコアアルゴリズムとすることで、医療分野で求められる判断理由の説明を可能としている。製薬企業や学術研究機関、医療機関を中心に導入が進んでいる。
■2021年6月期セグメント別損益
2021年6月期 事業収益1.2億円、営業利益▲3.3億円
・DTxプロダクト事業 事業収益0億円、セグメント利益▲1.6億円
・DTxプラットフォーム事業 事業収益1.2億円、セグメント利益0.1億円
DTxプロダクト事業は売上が計上されておらず開発ステージにあるためセグメント利益は赤字である。一方でDTxプラットフォーム事業は2020年6月期の売上高0.3億円から2021年6月期は売上高1億円を突破しており、セグメント利益も若干ながら黒字化している。
■業績推移
2019年6月期 事業収益0.1億円、経常利益▲2.2億円、当期純利益▲2.2億円
2020年6月期 事業収益0.3億円、経常利益▲0.9億円、当期純利益▲1.0億円
2021年6月期 事業収益1.2億円、経常利益▲2.7億円、当期純利益▲2.8億円
2022年6月期(予想) 事業収益1.0億円、経常利益▲7.2億円、当期純利益▲7.5億円
事業立ち上がり前の企業ステージであるが、2021年6月期は事業収益1.2億円、経常利益▲2.7億円となり事業収益は1億円の大台を突破した。
2022年6月期は事業収益1.0億円、経常利益▲7.2億円の予想である。不眠治療用アプリは2022年2月に医療機器承認申請を行う予定であるが、研究開発費の増加及び販売管理費の増加を背景に経常利益の赤字は▲7.2億円まで拡大の予想である。
■財務内容
2021年6月期末時点で資産合計17億円に対し純資産合計16億円、自己資本比率94%である。借入金なく現預金16億円を有しており、資産合計の殆どが現預金により構成されている。
■資金使途
IPOにより33億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている(別途、海外からの調達も予定されているが金額未定)。
・研究開発資金 21億円
・人材投資 7.8億円
・オフィススペース拡張 1.3億円
調達資金の大半は、DTxプロダクト事業における治療用アプリ開発並びに各種開発パイプラインの臨床試験を中心とした研究開発資金に充当される。
■株主構成
上野社長が筆頭株主であり株式シェアの48%を保有している。
第2位株主のBeyond Next Ventures 1号投資事業有限責任組合(株式シェア16%)以下多数のVCが株主参入しておりVC比率は26%である。主要VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
株式会社スズケン(同4.8%)、第一生命保険株式会社(同4.0%)、住友商事株式会社(同1.7%)、サワイグループHD株式会社(同1.7%)、ソニーグループ株式会社(同1.2%)、東京センチュリー株式会社(同1.2%)などの多数の事業会社が株主参入している。
■まとめ
スマートフォンのアプリケーションなどを活用した、DTxと呼ばれる治療用アプリの開発などを手がける医療ベンチャー企業のIPO案件である。
多数の開発パイプラインがある中で、不眠症治療用アプリが検証的試験の段階にあり最も事業化に近く、2022年2月に医療機器承認申請を行う予定である。ただしアプリ提供を行うDTxプロダクト事業は売上が未計上の状態。一方でアプリ開発から得た知見を生かしたDTxプラットフォーム事業は事業化が進んでおり、2021年6月期の事業収益は1億円を突破した。
まずは同社第一弾の治療用アプリとして不眠症治療用アプリが上市され、DTxプロダクト事業の立ち上げがなされるか注目される。その後、継続的に治療用アプリの開発及び上市が行われ黒字化そして急速な成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、治療用アプリ開発を行う「DTxプロダクツ事業」、臨床試験システムおよび機械学習自動分析システムの機能を備えたデジタル医療プラットフォームを軸とした「DTxプラットフォーム事業」を展開している。
上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が219億円、2022月6月期の業績予想は赤字となっているためPERは計算不可となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が42億円とかなり大きく、黒字化の道筋が描けないバイオベンチャーに近いので、需給も緩くて、初値は公開価格割れもありうると考えておいたほうが良いだろう。
セカンダリー市場においては、ベンチャーキャピタルが売出し後も発行済株式数の21%保有しており、ロックアップ明けには市場での売却となるため、ベンチャーキャピタルが売り切るまでは上値の重い展開となるだろう。もし、初値で公開価格割れとなると、公開価格まで戻るには黒字転換の見通しが付くような開示が必要となってくるかもしれない。この銘柄だけは、公募・売出しを買った投資家は深追いせずに早めにイグジットしたほうがよさそうだ。