【目次】
①️CINC IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社CINC
- コード
- 4378
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 石松 友典 / 1980年生
- 会社住所
- 東京都港区赤坂一丁目9番13号
- 設立年
- 2014年
- 社員数
- 87人(2021年8月31日現在)
- 事業内容
- デジタルマーケティングの調査・分析・運用・改善ツール「Keywordmap」シリーズの開発・販売、DXコンサルティングサービスの提供
- URL
- https://www.cinc-j.co.jp/
- 資本金
- 10,000,000円 (2021年9月22日現在)
- 上場時発行済み株数
- 3,328,000株
- 公開株数
- 832,400株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/10/08→2,850~3,080円に決定
- ブックビルディング期間:2021/10/11 - 10/15
- 公開価格決定:2021/10/18
- 申込期間:2021/10/19 - 10/22
- 上場日:2021/10/26
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 石松友典 39.39%
- (株)CZ 24.73%
- (株)平企画 14.20%
- 平大志朗 13.28%
- 前山奈津子 7.33%
- 渡井弘一 0.27%
- 雨越仁 0.27%
- 山地竜太 0.23%
- 間藤大地 0.20%
- 外石正行 0.09%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/10 単体実績
336,502 38,193 25,879 150,140 - 2019/10 単体実績
764,181 99,892 74,002 224,142 - 2020/10 単体実績
934,358 39,476 11,433 235,835 - 2021/07 第3四半期単体実績
932,806 162,903 107,160 342,995 - ロックアップ情報
- 石松友典、平大志朗、株式会社CZ、株式会社平企画、SMBC日興証券株式会社は、上場後180日目の2022年4月23日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 25億6379万2000円(832,400株×3,080円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 275,100株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社CINCのビジネスモデル解説
株式会社CINC<4378>はWebマーケティング用調査・分析ツール「Keywordmap」シリーズの開発・提供及び「Keywordmap」シリーズを用いたDXコンサルティングを提供している。■事業内容詳細
同社はビッグデータとAI・機械学習技術を活用したWebマーケティング用調査・分析ツール「Keywordmap」シリーズの開発・提供を行うソリューション事業と、「Keywordmap」シリーズを用いたDXコンサルティングを提供するアナリティクス事業を展開している。●ソリューション事業について
ソリューション事業では「Keywordmap」及び「Keywordmap for SNS」を主軸に、マーケティングにおける調査、分析、運用を支援するソフトウェアの開発・販売を行っている。
「Keywordmap」は日本語キーワードのビッグデータと自然言語処理などの機械学習技術を用いた、デジタルマーケティングの調査・分析プラットフォームである。専門性や高度なスキルを要するデジタルマーケティングの調査分析・施策実行・効果測定・改善の一連のプロセスを、誰でも・再現性を持ち・短時間での実行が可能なツールとなっている。
「Keywordmap for SNS」はTwitterをビジネスで活用する際の運用プラットフォームである。SNS上で商品やサービスの反響を調査する「ソーシャルリスニング」機能、自社のTwitterアカウントで良質なコンテンツを提供して潜在顧客との接点を作り購買へ導く「コンテンツマーケティング」機能を備えている。
2021年10月期Q3時点でストック売上比率が94%と非常に高い水準にあり、サブスクリプション型のビジネスモデル構築がなされている。●アナリティクス事業
アナリティクス事業では、「Keywordmap」シリーズを活用し、ビッグデータの解析を基盤としたマーケティングソリューションを提供している。同社のデータアナリストが「Keywordmap」シリーズが保有するビッグデータを中心に、多量かつ多様なデータを定量的・客観的に調査及び分析し、クライアントのデジタルマーケティングの戦略立案・施策実行・効果測定までを統合的にサポートする。
2021年7月末時点で同事業の顧客の71%が12カ月以上の期間の契約である。また契約単価も徐々に上昇しており2021年7月時点では7億円を超える規模となっている。■今後の経営戦略
今後については契約件数の拡大及び契約単価のアップを目指す計画である。オウンドメディアやSNSを自社で運営することを通じた効率的な顧客認知の獲得、商圏の拡大、CS(Customer Success:クライアントがサービスに感じる不満や疑問を中長期的かつ能動的に解決し、解約率の低下やアップセル・クロスセル等に貢献する役割)体制の強化、新機能開発による契約件数拡大を目指す。
■2020年10月期セグメント別利益
2020年10月期 売上高9.3億円(対前年同期比22%増)、営業利益0.4億円(同▲48%減)
・ソリューション事業 売上高4.7億円(同35%増)、セグメント利益▲0.2億円(前年同期0.2億円)
・アナリティクス事業 売上高4.6億円(同12%増)、セグメント利益0.6億円(同▲5.0%減)
ソリューション事業とアナリティクス事業は同等の事業規模である。2020年10月期のソリューション事業はサーバ費や人件費の増加等により▲0.2億円の赤字となった。一方でアナリティクス事業は若干の減益となったが黒字は維持されている。
■業績推移
2018年10月期 売上高3.4億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.3億円
2019年10月期 売上高7.6億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.7億円
2020年10月期 売上高9.3億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.1億円
2021年10月期(予想) 売上高12億円、経常利益1.6億円、当期純利益1.1億円
着実に増収を続けているが、経常利益は2020年10月期に減益となった。ただし2016年3月期の第2期決算以降、黒字は維持されている。
2021年10月期は売上高12億円、経常利益1.6億円としており、大幅な増収増益を予想している。経常利益、当期純利益のいずれも1億円の大台到達予想である。2021年10月期Q3(累計)は売上高9.3億円、経常利益1.6億円であり、通期予想の達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年10月期末時点で資産合計7.7億円に対し純資産合計2.4億円であり、自己資本比率31%である。借入金3.6億円に対し、現預金5.3億円を有している。尚、資産科目のうち最大科目は現預金である。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年10月期1.1億円、2020年10月期0.3億円となっている。減価償却費(2019年10月期0.1億円、2020年10月期0.2億円)の計上により、最終利益と比較して営業活動によるキャッシュ・フローが若干増加している。
■資金使途
IPOにより8.8億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・ソリューション事業とアナリティクス事業のサービス開発費 3.1億円 ・サーバやオフィス移転等の設備投資 2.8億円 ・新規採用などの人材投資 0.8億円
調達資金は新規サービスのためのサービス開発費と設備投資中心に充当される。
また公募328,000株に対し売出504,400株であり、売出株の多いIPOである。売出は主に石松社長(301,500株)及び平副社長(201,000株)の保有株で行われる。
■株主構成
筆頭株主は石松社長であり株式の39%を保有する。また第2位株主の株式会社CZ(株式シェア25%)は石松社長の資産管理会社であり、石松社長の関係先で株式の64%が保有されている。
第3位株主の株式会社平企画(同14%)は平副社長の資産管理会社であり、平副社長の所有株式(第4位株主、同13%)と合わせて平副社長の関係先で株式の27%が保有されている。石松社長と平副社長の関係先で株式の9割以上が保有されており、安定的な株主構成である。
尚、金融機関やファンドの株式参入はない。
■まとめ
Webマーケティング用調査・分析ツール「Keywordmap」シリーズの開発・提供及び「Keywordmap」シリーズを用いたDXコンサルティングを提供する企業のIPO案件である。
Webマーケティングに対するニーズの高まりとともに、同社も着実に成長を続けている。ストック型の売上中心ながら、人件費などの先行投資で2020年10月期に減益となるなど利益成長が遅れた。しかし2021年10月期は売上高12億円(対前年同期比32%増)、経常利益1.6億円(同309%増)の予想であり、今期から利益成長も行われる。
利益成長開始のタイミングでIPOを行うが、IPO後も継続的な利益成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、デジタルマーケティングの調査・分析・運用・改善ツール「Keywordmap」シリーズの開発・販売、DX コンサルティングサービスを提供する事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が103億円、2021年10月期の業績予想ベースのPERが91.52倍となってる。
上場当日の株価動向は資金吸収額が約30億円とマザーズ銘柄としてはやや大きめの調達額となっているが、直前のIPOから間が空いていることから、需給はタイトだと考えると、初値は前場の遅い時間もしくは後場の早い時間に付くと考えられる。セカンダリー市場においては、当社が10月決算であることからすると、12月中旬には決算発表があるので、上場直後のラリーを終えた後の調整の時間軸が狙い目と言える。
来期の業績予想については、増収額が、この1年と同額程度とすると、営業利益はほぼ2倍程度になる計算成り立つ。セカンダリー市場においては、公開株価のバリュエーションが増収増益を前提に設定されているので、来期の業績が出たら、予想EPSでPERが公開価格程度までの株価は有り得ると考える。