【目次】
①️ベイシスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- ベイシス株式会社
- コード
- 4068
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 吉村 公孝 / 1972年生
- 会社住所
- 東京都品川区北品川一丁目9番2号
- 設立年
- 2000年
- 社員数
- 330人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- 携帯電話のインフラ・ネットワーク構築・運用保守、IoTインフラ・ネットワーク構築・運用保守
- URL
- https://www.basis-corp.jp/
- 資本金
- 93,470,000円 (2021年5月21日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,758,100株
- 公開株数
- 349,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/04→1,960~2,040円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/08 - 06/14
- 公開価格決定:2021/06/15→2,040円に決定
- 申込期間:2021/06/16 - 06/21
- 上場日:2021/06/24→初値5,200円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- ワイズマネージメント(株) 53.42%
- 吉村公孝 31.13%
- ベイシスグループ従業員持株会 7.02%
- Accuver(株) 3.36%
- 和田健士 0.46%
- 高野竜介 0.46%
- 三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合 0.43%
- 遊佐武文 0.34%
- 田中裕輔 0.31%
- 松下弘樹 0.31%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/06 単体実績
3,004,664 153,764 211,266 499,312 - 2019/06 単体実績
3,092,659 101,438 61,616 560,928 - 2020/06 単体実績
3,263,020 117,606 69,983 630,912 - 2021/03 第3四半期単体実績
3,461,975 315,115 216,778 847,690 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年9月21日まで
または、上場後180日目の2021年12月20日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 7億1196万0000円(349,000株×2,040円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 76,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- ベイシス株式会社<4068>は通信・電力・ガス等のインフラ事業者に対し、通信インフラの設計・施行・運用・保守サービスの提供などを行う企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■事業内容
同社は通信インフラ構築におけるノウハウ・スキルに最新テクノロジーを掛け合わせたサービスを展開しており、通信・電力・ガス等のインフラ事業者に対し、通信インフラの設計・施行・運用・保守サービス及び各種プロジェクト支援等のサービスを提供している。
同社サービスの特徴は自社システムであるBLAS(※)に加え、RPAやAIなどのテクノロジーを利活用することで、現場管理や現場作業・プロジェクト管理等のIT化を推進する点にある。また国内各地域に営業拠点を設置するとともに、施行等を担う協力会社を擁し、日本全国にサービス展開できる基盤を持つ。
※BLAS:自社開発の通信インフラ構築に特化したプロジェクト管理システム
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■具体的なサービス内容
同社は下記2つのサービスを展開している。
・モバイルエンジニアリングサービス(携帯電話のインフラ・ネットワーク構築・運用保守)
・IoTエンジニアリングサービス(IoTインフラ・ネットワーク構築・運用保守)
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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●モバイルエンジニアリングサービス
モバイルエンジニアリングサービスでは、携帯電話基地局の施行案件など請負による現地でのフィールド業務対応のほか、通信事業者等に対してエンジニアを常駐させ、通信インフラの構築、運用、監視等に係る一連の作業を担う。主要顧客は通信事業者である。
具体的には「エリア設計・置局・施行」(基地局等の施行において2021年4月末累計実績で全国20万箇所以上のキャリアWi-Fi構築実績がある)、インテグレーション(電波発射作業、正常性確認、無線機のソフトウェアアップグレード、工程管理等)、「運用監視・保守」を手掛けている。
●IoTエンジニアリングサービス
IoTエンジニアリングサービスでは、電力、ガス等の生活インフラ提供事業者や鉄道、駐車場、小売等のIoTインフラを構築する事業者向けにIoT機器の設置、好感、運用・監視、ネットワーク構築等のサービスを提供している。
これまでの電力スマートメーター設置台数は140万台(2021年4月末累計実績)である。
■2020年6月期主要取引先
2020年6月期 売上高33億円
・ソフトバンク株式会社 14億円(割合44%)
・楽天モバイル株式会社 3.5億円(同11%)
2020年6月期の主要取引先はソフトバンク株式会社と楽天モバイル株式会社であり、両者で全体の半数以上の売上が計上された。特にソフトバンク株式会社に対し、4割以上の売上が計上されている。
2021年3月期Q3(累計)の割合はソフトバンク株式会社41%、楽天モバイル株式会社18%。楽天モバイル株式会社の割合が高まっており、また両者の全体売上に占める割合は58%まで上昇している。
■業績推移
2018年6月期 売上高30億円、経常利益1.5億円、当期純利益2.1億円
2019年6月期 売上高31億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.6億円
2020年6月期 売上高33億円、経常利益1.2億円、当期純利益0.7億円
2021年6月期(予想) 売上高48億円、経常利益3.3億円、当期純利益2.0億円
順調に増収を続けているが、2020年6月期までは経常利益1億円前後での推移である。
2021年3月期は売上高48億円、経常利益3.3億円の予想であり、成長の本格化により大幅な増収増益を予想している。2021年6月期Q3(累計)で売上高35億円、経常利益3.2億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年6月期末時点で資産合計17億円、6.3億円、自己資本比率37%である。借入金6.7億円に対し、現預金7.6億円を有している。現預金及び売掛金6.7億円などで流動資産15億円であり、資産の大半が流動資産で構成されている。
■資金使途
IPOにより4.5億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・設備投資資金 1.5億円
・運転資金 2.4億円
・借入金返済資金 0.6億円
調達資金の半数以上は人材採用費・研修費、業務委託費、広告費及び販売促進費、業務効率化投資などの運転資金に充当される。
■株主状況
筆頭株主のワイズマネージメント株式会社(株式シェア53%)は吉村社長の資産管理会社である。吉村社長は個人でも第2位株主(同31%)であり、吉村社長の関係先で株式シェアの8割以上が有される、安定的な株主構成である。
個人中心の株主構成であるがVCとして三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合(同0.4%)が株主参入している。
■まとめ
通信・電力・ガス等のインフラ事業者に対し、通信インフラの設計・施行・運用・保守サービスを中心に提供する企業のIPO案件である。
ソフトバンク及び楽天グループを主力取引先としており、楽天グループの通信事業参入及びインフラ投資拡大とともに2021年6月期は業績を拡大している。通信業界は5Gインフラの投資が続くため、今後も同社サービスに対するニーズは継続的に発生すると考えられる。
2021年6月期に売上高と経常利益は一段上のステージ入りする予想である。IPO後も通信会社の5Gへのインフラ投資などを背景に継続的な成長を行うことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、携帯電話のインフラ・ネットワーク構築・運用保守、IoTインフラ・ネットワーク構築・運用保守を事業として展開している。5G通信の普及に伴い、今後ある一定の期間はインフラ整備事業が拡張すると考えられる。上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が36億円、2021年6月期の業績予想ベースのPERは18.0倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が8億円と小さいことに加えて、5G関連事業とあって、需給はかなりタイトになると考えられる。よって初値は当日の後場の遅い時間帯もしくは翌日まで持ち越されると推測する。
セカンダリーマーケットにおいては、上場直後のラリーで公開価格の数倍を超す水準まで買われた後の調整後、8月中旬の決算発表時に来期の業績予想が開示されるので、ここ数年の業績の勢いからするとかなり期待値は高まると考えられる。想定以上の業績予想が会社から発表されるとなると、いったん調整した水準から2倍~3倍の水準まで買われる可能性もある。一方で、期待値を満たすことができない業績予想だと失望売りとなるかもしれないため、業績予想が出てから動いた方が良いだろう。